齋藤三郎作、寸雪庵好み香合

2009年12月4日(金曜日)

茶道の茶会では、茶室は炭火にお香を添えて香りを立たせて清められます。その際のお香を入れる器が香合です。お茶道具の中では最も小さな器でしょう

大きさ縦4㎝横5㎝奥行き2,7㎝

このたび上越市内の道具屋さんを経て、華やかかつ上品な香合が樹下美術館にきました。齋藤三郎(陶齋)さんらしい味わいの良い赤地に金で雪の結晶が綴られています。上越高田にゆかり深い寸雪庵主のお好み道具。由緒もできばえも素晴らしく、是非にと求めました。

香合の箱IMG_1184

 

器を入れる木目の効いた小さな杉箱には、陶齋の字で「寸雪庵好雪花文金彩屏風香合」と書かれていました。以前にも触れましたが寸雪庵は亡き濱谷朝さん(写真家・故濱谷浩氏夫人)のお茶室の名です。詩人、フランス文学者の堀口大學が名付け親ではなかったでしょうか。

 少々驚いたことに箱のヒモは普通には布紐ですが、当箱は革紐があしらわれていました。なんともおしゃれな仕事ぶり、箱にも惹き付けられます。

 

 その昔、たとえ疎開も一つの縁とはいえ、上越に濱谷浩夫妻や小田嶽夫氏、さらに堀口大學ご一家が歩いていた時代があったのですね。赤い椿の雪の夢、などと呼んでみたい気持ちがします。そしてみんなに愛された陶齋もまた、思う存分力を発揮していたことでしょう。

 

※濱谷朝さんは「女人日日(おんなのひび)」という書物を残されました。日ごとの営みやご自分の事で、新潟の話が沢山書かれています。写真や本を見ますと、朝さんは博多人形のように(またそれ以上に)美しく、奥ゆかしい生活感覚の持ち主だったことがわかります。 

※「女人日日」は来週からカフェに置かせて頂きます。

※当香合は来春の開館で展示致します。

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