セロニアス・モンク  ストレート・ノー・チェーサー、そしてニカ男爵夫人

2010年5月15日(土曜日)

 昨晩このノートを書くつもりが時間が無くて今日になってしまった。昨日、夕食の後でたまたまWOWOWをみると、帽子をかぶった大男の黒人がピアノを弾いていた。セロニアス・モンクだった。

 1960年代中頃のモンクカルテットのヨーロッパ公演を中心に撮ったドキュメント映画だった。病で映画を禁じられていた自分の高校時代、禁を破って見に行った唯一の映画が「真夏の夜のジャズ」だった。全てよかったが、モンクのソロ「Blue Monk」の不思議な和音と彼の風貌に強い印象を受けた。

演奏するモンク

  セロニアス・モンクの演奏は非常に独特だ。テンションコード、風変わりな間に突然の強打、意表を突くメロディ、不意なトレモロ。これらで聞く者を興奮やファンタジーへと自在にいざなう。多くのミュージシャンたちからも敬愛されながら1980年代後半、惜しくも64才で亡くなっている。

 

 ところで1962年正月、上京して初めて聞いたジャズの演奏会がホレス・シルバーの東京公演だった。その時、力強いリズムで深くきらめくような「ニカの夢(Nica's Dream)」が演奏された。

モンクを聞くニカ 
動くニカ夫人を初めて見た。

 曲のタイトルにあるニカは白人。ニューヨークで苦しむ数多くの黒人ミュージシャンたちのパトロンとして強力な支援を続けた女性だ。フランスの男爵夫人でしかもロスチャイルド家の人だという。多くのミュージシャンのなかでチャーリー・パーカーとともに彼女から最も手厚いバックアップを受けたモンク。ニカの庇護のもと彼らは新たな音楽の開拓者として歴史に名を刻まれるまでになる。

 

 同夜の映画で何度かニカ夫人を見ることが出来た。てきぱきと知的で魅力的な人だった。お金の使い方によって世界を革新する文化の創造が出来ることを体現した希な人にちがいない。本当に素晴らしいと思う。

 

 この映画「セロニアスモンク ストレート・ノー・チェーサー(モンク作曲の曲名でもある)」の総指揮はピアニストの前歴があるクリント・イーストウッドだということも知った。

  テレビを見ている間、椅子で寝ていた妻が「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」だったかの所で「いいわね」と言って目覚めたが、すぐまた寝てしまった。

 余談ながら、ホレスシルバーの時もそうだったが、昔のジャズ公演は演奏者も聴衆も男性はスーツが基本だった。今では想像も出来ないが、60年代、ダークスーツをキメる黒人の演奏は本当に格好良かった。この映画でもモンクの服装を母親のようにニカが誉める場面があった。
 

 ※1:ちなみにホレスシルバーの時の私は学生服で行った。当時学生はそれで十分OKだった。

 ※2:その昔、日本のジャズ界(モダンジャズ)にニカほどではないにしても、一種パトロン的な女性がいたようだ。その人はある石油会社社長のお嬢さん。ホレス・シルバーの来日に際して、彼女がメンバーたちを東京観光に誘い、食事をもてなす写真付きの記事を当時のスウイングジャーナル(だったと思う)で見たことがある。

 

 

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