「指示が入る、入らない」を止めよう。

2011年9月13日(火曜日)

10年ちょっと前、介護保険が始まる頃、保健、介護、リハ、看護、と多様な職種の方たちと交わるようになった。いろいろ話が聞けてためになったが、認知症に関連した奇妙な言葉にも出会った。

 

「この方は指示が入りません」、「指示は入るのですが、すぐ忘れます」などという言い方だった。こんな言葉は病院にいた時も、20数年の開業でも聞いたことがなかった。

 

この地域だけの言葉だろうか、一部でかなり一般的に使われていたように思われた。  

 

言葉は如何にも上から目線である。そもそも今どき「指示」はまずい。さらに「入る入らない」はなおさら問題だろう。あたかも動物かロボットを相手にしているようではないか、あるいは古い時代の看守など も浮かぶ。

 

「言ったことを理解出来る出来ない」、「助言を行える行えない」などの事だと思われた。治療者や介護者の言葉としては乱暴かつ冷酷であり何とも悲しかった。

 

かなり前、このことを地域の関係者の会議で述べた事があった。しばらく耳目にしなかったが一昨年の介護職の書類に使われていた。その頃ちょうど厚労省から人が来て上越市の担当者を交えた集まりがあったので改善を要望した。

 

そして今日の在宅訪問。同席したケアマネージャーが「指示が入らなくなっています」、と言った。ちゃんとした仕事をされる人だったので残念だった。相談ごとを済ませてから、言葉について皆さんで話し合ってみて下さいと告げた。

 

介護の現場は一定の洗練を続けている。しかし、いつか自分がお世話になる時に、この人は指示が入らない、などとは言われたくない、、、。

 

夜9時半を回った。先ほど痰が詰まって苦しそう、という方を往診した。最後までお願いします、と言われハイと答えた。何とかやってきたので何とかやっていけるだろう、というハイだった。満月を終えた月がむら雲とやりとりしていた。

 

 司修氏講演会

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