充実の卯の花音楽祭。

2012年7月15日(日曜日)

本日午後、卯の花音楽祭が上越市大潟区のコミュニティープラザで催された。ー小山作之助先生を讃えてーのサブタイトルで毎年開催される会は第10回となった。
ちなみに上越市大潟区出身の作之助は日本教育音楽協会の初代会長になった人。

 

大潟オカリナアンサンブル、大潟ギターアンサンブル、コーラスおおがた、合唱団てくてく、コーラスゆりかご、卯の花合唱団、の皆様が出演された。力強さに加えてハーモニーのやわらかさ、ひそやかさの微妙まで丁寧に表現され、聴き応えがあった。

10回記念として中央から大西恵代さんと吉田恭子さんお二人の声楽家をお招きして「ソプラノの調べ」があった。ともにイタリアへ留学され、現在Duo Fiori(デュオ フィオーリ)として活躍されている。

 

大西恵代さん
大西恵代さん
吉田恭子さん
吉田恭子さん

 大矢絢子さん
ピアノの大矢絢子さん

 

Duo Fioriのお二人は日本人が作った叙情歌の研究にも力を注がれているということ。調査の途上、作之助に関連して当会実行委員会と縁が生まれ、この度の来演となった経緯も興味深かった。

前半、大迫力のイタリアオペラで聴衆の心をわしづかみにして、後半は日本の歌だった。聞き慣れた歌が一層心に響く。恥ずかしいことに作之助の「鏡ヶ浦の驟雨」を初めて聞いた。良い曲だった。

 

日本の歌で特筆すべきは著名な明治唱歌の作曲家・奥好義(おく よしいさ)作曲の「海のあなた」と「ゆかりの色」が歌われたことであろう。
奥の作品の中にメロディーの斬新さから作之助の影響が窺われるものが少なくない、と紹介された。お二人は澄んだ叙情をもって二曲を歌われ、プログラムにあった以下の詩にも惹き付けられた。

 

「海のあなた」

いさり火遠く見え初めて

沖より寄する暮れの色

なかば夢路と過ぎ去りし

旅の月日もいま幾日

ああ恋し海のあなた

親子打ちつれ岩陰を

おくれて帰るあま小舟

明日の日和のほかにまた

もの思いなき世の仲間

ああ恋し雲のあなた

ー作詞者不肖 三番省略ー

「ゆかりの色」

雲井にかかる紫の

においゆかしき藤の花

深くねざしも言の葉の

ふみの林に見えにけり

 

心にかかる雲晴れて

法のみそらに澄みのぼる

石山寺の月影は

君の思いをます鏡

ー作詩:菊間義清ー

 

いま時代はメタリックに記号化され、乾きがちだ。明治の詩情と教養をあらためて眩しく感じた。

アンコールはアンドリュー・ロイド=ウェバーのレクイエムから「ピエ・イエス」だった。驚きかつ感動した。

苗木帰路、まちづくり大潟から配られた卯の花の苗木。樹下美術館でも増やしたい。

主催の卯の花音楽祭実行委員会と、共催の上越市およびまちづくり大潟さんに感謝致します。

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