樹下美術館の作家・倉石隆氏のことがらが続く。

2014年5月8日(木曜日)

先月末、美術評論家の大御所林紀一郎氏からご自身の著書が届いた。
-美の領分・交遊録ーと副題が付いた「もの書き・恥かき・半世紀」。
著者、発行者とも氏ご本人で、去る4月28日第一刷の真新しい本だった。
70人近い作家達との交流やこれまでの評論が収められていて大変に興味深い。
またこの機会に120名に近い作家さんによる「林紀一郎 物書き半世紀を祝う仲間たち展」が
銀座で開催される。
素晴らしい事だと思う。

氏は新潟市美術館の初代館長として1985~1995年まで務められ、基を作られている。
そして小生が倉石隆と出会うきっかけとなった1995年の同館における倉石隆展の図録で「倉石隆断章」をお書きになった。
リハビリと闘病の中で製作した晩年の倉石隆への評論は重厚で心打たれた。
この度のご本にもそれが掲載されている。

林先生とは昨年秋の主体展レセプションで初めてお会いしてご挨拶しただけなのに、樹下美術館のことを覚えていて下さった。
生半可な拙生に貴重なご本と一筆を賜りひたすら痛み入るばかりだ。

 

059自画像と思われる表紙はとても良く、氏のサインと1982年の制作年が読み取れた。

0571995年新潟市美術館発行の郷土作家シリーズ「倉石隆展」図録。

 

話変わって去る5月4日、東京からある方が倉石隆の絵を携えて来られた。
取り出された絵を一目見て非常に驚かされた。
初めて見るブルーの倉石隆だった。
モノクロームの氏であるが色調は所謂白黒か朱色系で、当館の作品もおよそその範疇にある。
そこへ突然現れたブルーには極めて強いインパクトがあった。

 

012基調の青が冷たい分、女性の肌の赤みが体温や生命力を浮かび上らせる。
胸、腹部、腰の豊かさには畏怖さえ込められているようだ。
ぜひ来年の展示に加えさせて頂きたいと思います。

さて最後に、来る18日日曜日午後は新潟市美術館で同館友の会の方々に倉石氏について語ることになっている。
もとよりお話できる技量はないが、自らの勉強に資することにしたい。

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