陶齋の食器と陶芸 花のエッセンス。

2014年10月7日(火曜日)

前回の末尾に「良い食器を作る人は良い陶芸家」とつぶやきました。
本日は若干その説明を試みます。

さて食器を作ることにはおよそ以下の美点があります。
①概して小型で安価→多くの人が親しめる(そもそも芸術工芸の大切な点)。
②日常的に手に取り口を付ける→作品への濃厚な親しみ。
③威張らない作風→食べ物を活かし自らも生きる、草花のエッセンスに似る。
④用と美→使い勝手とデザイン性のバランスの配慮。
⑤急須における手間と技術力→胴、口、フタ、握り手、注ぎ口、穴の六つのパート形成と合成の技術。

以下は陶齋の食器のごく一部です。
氏は非常に多くの食器をつくり、急須も厭いませんでした。
作った湯呑みに至っては何万個のレベルではないかと言われています。
小さな食器にも常に心込められました。

梅文皿梅文の中皿染付の湯飲み染付(そめつけ)湯飲み各種染付椿文扇皿染付椿文の扇皿急須の各種白磁、白釉、鉄絵、染附などの急須 徳利と盃秋草文の徳利と盃各種鉄絵と辰砂の湯飲み辰砂(しんしゃ・左)と鉄絵の湯飲み辰砂のカップ&ソーサー辰砂のカップ&ソーサー急須と茶托白磁急須と茶托

以下は陶齋の比較的大きなざくろの壺と芍薬の鉢です。

掻落石榴文壺

 

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陶齋の大きな作品には食器と通底する上品な親しさが現れていて、
モチーフの背後には大自然の麗しさが漂います。

陶芸は描こうが描くまいが土と炎の芸術。
良い作品は確固たる感覚と技術のもと、天然宇宙の美と巧みへ誘うにちがいありません。
それらは上品で、エッセンスは意外にも身近な食器にあるのではと思うのです。

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