ヤブツバキの大木。

2017年3月26日(日曜日)

椿の季節となり樹下美術館の庭もそこかしこ
で咲きほころんでいる。

椿、特にヤブツバキは生長が遅いため、わが
美術館の10年の歳月では大木を望むべくも
ないが、少しずつ土地に馴染んで育ち始めた。

地域には何カ所か二階の屋根を越えそうなほ
ど大きなヤブツバキがあった。
それらの色濃く引き締まった一重の花盛りはま
ことに見事で、外出の帰りにその木の下へ寄り
道をした。
落花もまた素晴らしく、あるお宅のは毎年旧国
道一面を真っ赤に染めた。

一本は苦手な海が近いのに大木に育っていた。
おそらく風上にあった家屋が季節風から木を守
ってきたのだろう。
ところがかなり前に場所を移動して新宅が建てら
れると海風が直接当たり、樹勢が衰えてとても小
さくなってしまった。

そもそも二階屋根を越えようとするようなヤブツ
バキを育てるには100年、あるいはそれ以上掛
かるのではないだろうか、とても一代では難しい。
苗が植えられたのは明治時代、もしかしたら幕
末など江戸期かもしれない。

ヤブツバキは米山山系や西頸城の山に沢山自
生していて両者で色や形など幾分感じが異な
る。
大木の苗は山から採ったものか、当時の植木
屋さんから買ったものか傍目に知るよしもない。
いずれでも植えた人の優しい人柄を思ったり、
守ってこられた代々のご家族のことを考えるの
は楽しく心温まることだ。

風の強い浜すじで椿を育てるのは大変だが、田
園や山間の集落で、はっとするような大木を見る
事がある。

明日は日曜日なのでお天気なら車を走らせて
花を探しに行ってみたい。

IMG066.JPGやぶつばき
2001年に描いた拙ヤブツバキ(A3)。色々難点は
あるが、随分苦しんで描いた。
現在印刷屋さんに回っている当館の作品図録が
出来上がったら、再び何か絵を描いてみたい。

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