庚申塔その5、ヒヤリとした雪の山道、光明真言。

2018年11月23日(金曜日)

今冬一番の冷えだったと思われる日。
三条市から折々来館されるご夫婦が午後お見えになっ
た。
舞子高原から山越えで十日町、松代経由で上越に出た
と仰った。
先般、私たちが魚沼行きで走った同じルートをこられた
ようだ。
途中の山越えは雪道で、怖い思いをして抜けて来たと
仰った。
スタッドレスタイヤにしたばかりで助かった、とも。

ご夫婦とご一緒の後、吉川区は尾神集落まで行き、源
地区などを回って帰るつもりで車を走らせた。
午後3時半近くの雨まじる中、道すがら庚申塔に出逢え
れば、晴れた機会に写真を撮ろうという目論見だった。
しかし目星を付けた場所に目指す石塔が無く、尾神集
落を右折し、村屋→国田を回って帰ることにした。

平場と違い、目指した場所は雪が積もっている。
集落に初冬の風情を見る余裕があった。

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帰路、普通なら川谷、石谷、名木山、などと通過するはず
だった。
それがどうしたことか、いきなり大賀(おおが)への標識
が出てきた。
大賀?ここ出身の方と昔お合いしたことがあった、と思い
ながら進むと、名木山に出た。
名木山はこんなに近かったか?
何かおかしい、疑問がよぎったが石谷→川谷と現れる。
知っている方ならお分かりだと思うが、村屋の手前の直進
すべき三叉路を、下りに導かれて左折し、帰路ではなく山
に入って行く状況が生じていたのだった(後で分かったこ
とです)。

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↑この辺りまでは雪景色の写真を撮る気になっていた。

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最後に見た集落は川谷だったのか?。

細い山道に入ってマイクロバスと出合う。おっかなびっく
りバックしてすれ違ったものの、かなり怖かった。それが
最後の対向車となった。

 

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誰も来ない道が続く。ナビから集落らしきマークは消え、
道は一本だけになっている。何度か引き返そうとしたが、
自宅へのナビはそれと違う方向を示すようになった。
下るはずの道は上りが続き、いつしかかなり高い山道に入
り込んでいた。
スリップが怖くじわじわと極めてゆっくり走ったが、時折
後輪が振られる。
日は暮れ、見当が付かない雪の山中に一人取り残されたよ
うだ。
そろりそろりと走る道は盛んにくねって心細い。転落、遭難、
不安がよぎる。

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雪が多くなり片側に深そうな谷が繰り返し現れる。

ハンドルの手に力が入り、動悸が止まらない。
“南無大師遍照金剛 (なむだいしへんじょうこんごう)“
弘法大師空海への帰依が口をついた。
唱えは35年前父の葬儀で繰り返された文言だった。

“おん、あぼきゃ、べいろしゃのう、まかぼだら、まに、は
んどま、じんばらはらばりたや、うん”
一人の車中、どうかしていると思ったが繰り返した。
これも父の時に覚えた光明真言で、何とか言えた。

間もなくナビが“8キロ先は雪のため通行止めです”と告げ、
画面を動かすとずっと遠くに柏崎市の集落が出る。
家とは真反対、尾神岳の西を迂回して高い峠道を走ってい
るらしい。

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遅きに失したが引き返す決心がついた。
自分のわだちを辿りながら、おっかなびっくり下っていく。

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雪の山中45分の迷走、ようやく巡り会った民家。窓明かり
が嬉しい。

振り返れば、
下りを見つけようとしながらどこまでも上ってしまう。
間違っていると思いながらナビに沿ってしまう。
引き返そうとしながら進む。
夜間新雪の山道を老人一人、危うく事故になりかねない状
況ではなかったのか。

午後お会いした三条の方たちも怖かったと仰った。
日が暮れていたのでこの度はそれ以上に危なかったかも知
れない。
私も昨日冬タイヤに替えたばかりだったのだが,,,。
“平地は雨、山沿いは雪”の予報とはこういうことだった。

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