去る日曜日の美術館巡り。
先週末土曜日に会食した旧友夫婦4人と、翌日日曜は美
術館を二つ回った。年一度の美術館散歩のような慣行に
なっている。
学生時代の友人夫婦と始まった一泊の会合は二十年近く
続いた。
さて今期東京の美術館といえば、フェルメール展とムンク
展だが、以前両者の展覧会を観ているのと、混雑が予想
されるためそれを外した。
替わりに今年初めて丸の内の三菱一号館美術館と上野の
東京国立博物館に決めた。
三菱一号館は、フィリップスコレクションだった。
アングル、コロー、ドラクロワ等19世紀の巨匠から、ク
ールベ、近代絵画の父マネ、印象派のドガ、モネ、印象
派以降の絵画を牽引したセザンヌ、ゴーガン、クレー、
ピカソ、ブラックの、絵画ほかムーアやジャコメッティら
の彫刻を含めて秀作75点が展覧されている。
三菱一号館美術館、外観の一部。
展覧会は作家に偏りがなく、教科書を観ている如く観やす
く親しめた。
ニッサンショールーム「NISSAN CROSSING」(ニッサン
クロッシング)で。マット調の塗装が非常にユニークな車。
独創的なコンセプトを描いたニッサンが大変なことになっ
ていて誠に残念だ。
昼食の後、マルセル・デュシャン展の東京国立博物館(ト
ーハク)へ行った。
トーハク内に入る。高層ビルが無く歴史と教育・文化施設、
そして公園の上野は特別な場所。
現代美術が語られる時にまずその名が出るマルセル・デュ
シャン。
デュシャンは、今夏の樹下美術館を飾った掘川紀夫展で、し
ばしば同氏が話題にした現代美術の先駆的芸術家だ。
そのデュシャンで必ず語られる作品〈泉〉。
便器を前後逆ににして寝かせて置いただけのもの。
たしかに苦悩の痕跡もなく、あっけらかんとしていて、し
かも不思議とチャーミングだ。
同じくデュシャンと言えばこれ〈自転車の車輪〉。
白椅子に逆さまに設置されている。
二つの作品はレディーメードと範疇され、既製工業製品を
芸術視点で転用的に見立てるアートの先駆けとなった。
大量生産品の画一性とその完成度および認知度などがアイ
ディアの源だったのか。
会場への否定か何らかの付加価値か。このような試みも今
日へとつながっていよう。
色彩形象とも上手いなあと思わせ、欲しくなるものが何点
もあった。
いたずら、茶目っ気、ユーモア、エスプリ、、、。
いずれにしても作品は、抜群の探求と発想そして美的セン
スのたまものであろう。
成功は即座に到達できるものではないことを思った。
ところでデュシャン展第二部は“デュシャンの向こうに日本
がみえる”だった。
迂闊な私は企画の意味を知らずに進み、普段絶対に接する
ことができない歴史的な利休の茶道具に見入った。
企画の意図は“ありきたりのものを見立てみる”を共通項と
して利休を観てもらうつもりだったようだ。
後でそれを知ったが、“利休は利休”、それで良いのではと思
った。
それにしても撮影を許可しているこの美術館の太っ腹につ
くづく感心させられる。
しかしそのことがSNSなど介して大きな宣伝効果を生んでい
るのは間違い無い。
多くの若い人をはじめ想像以上の来場者に驚いた。
最後に東京国立博物館にある洋画黎明の偉人黒田清輝の記
念館に入った。
習作と小品はみな良く、熱心な研究の足跡に接し感動した。
〈雲〉。雲が好きな自分にとって、黒田清輝がそれを描い
ていたのはとても嬉しい。みな研究の一環だったのだろう。
予定の会場を全て観た後みなと別れた。
無事であればまた来年だ。
再び銀座に出て、若い作家のモダンな抹茶茶碗はないかと、
黒田陶苑へ寄った。
目指したものは無かったが、二階で古屋和也展を観た。
信楽の若い作家さんは伝統を理解し工夫し、センス良く器
を作っていた。
気に入った花入れがあったので求めた。
去る日曜日の夕暮れの銀座。
日が暮れると“小さいが田舎の樹下美術館は気が効いていて
どこにも負けてない”と思った。
黒田陶苑で求めた花入れに、本日マユミの枝と椿の蕾を
入れて茶室に掛けてみた。とても良い。
長々となりました。
- 花頭窓、二十三夜塔、庚申塔、社寺
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- ソメイヨシノからヤマザクラ、そして新緑の季節へ。
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- 昨日の休診日は公園と池を巡った。
- 桜の季節になって。
- 春めく大池憩いの森。
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- 2024年が開館 近隣の新しいフレンチで夕食。
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- 春雨とは遠い冷たい雨 齋藤三郎作品の展示準備。
- 厳しい寒さの日曜日。
- 「三月冬の尻尾」 ヴィヴァルディ「四季」の冬の楽章が3、2、1へ。
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