2013年1月13日

夕雲が巨人になった 倉石隆氏のモノトーン。

2013年1月13日(日曜日)

先日の夕刻、仕事の帰り道が西に向いた。曇り空におぼろげな陽が見えて、ジグザグの雲が掛かっていた。

倉石隆氏によく見られるモノトーンの調子に似ていると思った。縦横一枚ずつ撮影して帰り、写真の上下を変えてみると人が歩いているような姿となった。

夕暮れの空夕刻の陽と雲。

歩く人
逆さにすると夕陽を背に巨人が歩く姿、あるいは種をまく人のようでもある。

画室
とても気に入っている倉石氏の「画室」。油彩 99.0×99.0㎝

詩人
同じくモノトーンの「詩人」。油彩 89.9×73,0㎝

夕暮れの空の色から倉石氏のモノトーンの絵が繰り返し浮かぶようになった。そもそも氏の絵画は華やかな色相のそれではなく、陰影を重んじたモノトーン調で描かれるものが非常に多い。グレー系のほか朱色(バーミリオン)も好まれる。

 

倉石作品の制作年や氏の交友など溜め込んでいた宿題があったので本日昼、久しぶりに奥様にお電話した。とてもお元気なお声に安堵するとともに、モノトーンのことで以下の様な生前のご本人のお話が聞けた。

“南国的な絵への憧れはあるが、色彩に乏しい雪国で育ったためどうしてもモノトーンの傾向になる”

と仰っていたと云う。明快なお話だった。

全くの例外はあろうが、新潟県出身(雪国)の画家には内的で実直な傾向が共通するのだろうか。芸術を形成するいくつかの要素のなかで故郷の影響は重要なものの一つかもしれない。

そのほかにも興味深いお話を伺って有益だった。あと一息の図録、突破口になりそうな気がした。

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