2014年11月9日

「青い鳥」その1 主として第4場夜の御殿と第9場幸福の花園。

2014年11月9日(日曜日)

さる10月27日の孫の一言「ああ、早く明日がこないかなあ」から始まった私の「青い鳥」探しの短い旅。
歯科医院の待合室で絵本「青い鳥」から始まり通販の絵本「青い鳥」へ、その後堀口大學訳の「青い鳥」を取り寄た。
途中清里区のプラネタリウムで「銀河鉄道の夜」を観て、やはり取り寄せのDVD「青い鳥」を観終えた。

その結果、言われるように〝幸福は探すものではなく、すでに身の回りの日常にある〟と具体的に教えられるのだった。

読み物としては大學が訳されたメーテルリンクの原典である6幕12場の戯曲が読み応えがあった。
DVDはかなり原作に沿っていて舞台劇を思わせる一種ミューカル風の仕立てだった。

以下長くて恐縮ですが読書メモとして翻訳本を追い、場面は映画の中からお借りしました。

さて青い鳥探しの旅はいずれも案内役の「光」(映画ではエリザベス・テーラー)が導きます。
「チルチル」と「ミチル」には「パン」、「イヌ」、「ネコ」、「牛乳」」、「火」、「水」がお供として続きます。

興味深かったのは第4場の夜の御殿と、第9、10場の幸福の花園と未来の王国でした。

008夜の御殿で、「戦争」が入っている扉を開くと武器を持った人間達が威嚇しながら出てくる。
御殿のあるじ「夜」(映画ではジェーン・フォンダ)が
〝一つでも出てきたら最後どんなことになるかわかりやしない〟
〝みんな総がかりで扉を押さえなければ〟と訴える。

夜の御殿には「戦争」のほかに「幽霊」「恐れ」「病気」「鼻風邪」「陰」「沈黙」などがいた。
一方で「星」「かおり」「鬼火」「ほたる」「夜露」「ナイチンゲールの歌」など愛らしい一群にも出会う。
最後はたとえようもなく美しい花園が出現し数え切れないほど青い鳥がいるが、捕まえるとみな死んでしうのだった。

036第9場の幸福の花園の「一番ふとりかえった幸福」たちが饗宴の果てに12回目の食事をする。
「光」は〝みんな愛想がよく、この人達にはちょっとのあいだ青い鳥が紛れ込むことがあるかもしれない〟
しかし〝危険で、あなたの意志をくじく恐れがある〟とチルチル達に告げる。

第9場の扉の中で先ず「お金持ちである幸福」「地所持ちである幸福」「虚栄に満ち足りた幸福」「渇かないのに飲む幸福」「ひもじくないのに食べる幸福」「なにも知らない幸福」「もののわからない幸福」「なにもしない幸福」「眠りすぎる幸福」「ふとった大笑いの幸福」などと出会う。彼らは〝我々はなにもしないことで始終忙しい〟と言う。
幸福と不幸の境目は曖昧で不幸に落ちていく幸福もいるということだった。

狂気の饗宴に危険を感じた「光」はチルチルの帽子に付いている真実が見える魔法のダイヤを回させる。
すると饗宴の場面が消え「めざめのばら」「水のほほえみ」「あけぼのの空の色」「こはくの露」「子供たちの幸福」「あなたのおうちの幸福」が現れる。

続けてキラキラした光ととも大勢の「子供たちの幸福」と出会う。
〝この世でも天国でもみな最も美しく装われていて、お金持ちより貧乏な人に「子供の幸福」が多い〟
〝あの子たちは急いでいる。子供の時間はごく短いからね〟という「光」と述べられる言葉が印象的だ。
私の孫の一言「ああ、早くあしたが来ないかなあ」の心情は、まさに急いで成長する子供たちのものなのだろう。

次いで「あなたのおうちの幸福」「健康である幸福」「清い空気の幸福」「両親を愛する幸福」「青空の幸福」「昼間の幸福」「春の幸福」「夕日の幸福」「蛍の光り出すの見る幸福」「冬の火の幸福」「雨の日の幸福」「無邪気な考えの幸福」が次々に出てくる。いずれも私たちの近くにあるものばかりだ。

その後で「露の中を素足で駆ける幸福が」連れてきたのは以下の「おおきな喜び」たちだった。
「正義である喜び」「善良である喜び」「仕事を仕上げた喜び」「ものを考える喜び」「もののわかる喜び」「美しいものを見る喜び」「ものを愛する喜び」が現れ、遠くに「人間がまだ知らない幸福」が見えるのだった。
「光」は言う、〝人が一番幸福なのは笑っている時ではないのよ〟と。

最後に「くらべものにならない母の愛の喜び」が〝金持ちも貧乏も関係ない、いつだって一番美しい喜び〟としてチルチルとミチルの母が現れる。
家で見なれた母よりずっと美しい人だった。
光との別れの時間が近づき「大きな喜び」達は「光」に感謝し涙する。

二枚の掲載写真は以下のDVDの場面から引用しました。

512bTrWWZ8L1976年米ソ合作映画、ジョンキューカー監督「青い鳥」

次回は第10場・未来の国に触れさせてください。

 

 

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