2014年11月10日
「青い鳥」その2 主として第10場・未来の王国。
本日は昨日の続きの「青い鳥」その2です。
大人が童話の感想を書くのは気後れしますが、
おじいさんならそこそこ許されるかもしれないということでご勘弁下さい。
さて貧しい木こりの子チルチルとミチル(映画ではティルティルとミティル)の近所に病気の女の子がいました。
ある晩、現れた妖女がその子を救える幸せの「青い鳥」を探すように告げると、2人は案内役の「光」はじめお供の犬や猫を連れて
幻想と真実の世界へ旅立ちます。
第3場〝思い出の国〟で亡き懐かしい祖父母に会い、第4場〝夜の御殿〟で様々な夜のシンボルたちを知ります。中でも扉の向こうにいた「戦争」は全力を尽くして防がなければなりませんでした。
続いて訪れた第5場〝森〟は木々と動物の国であり、彼らにさんざん恨みを言われたチルチルたちは捕らえられます。
ツタに縛られあわや殺されかかった時、「光」が現れて彼らを消しますが、〝自然の本音や怖さも覚えなさい〟と「光」が言います。
恐ろしげな第7場〝墓地〟は朝日とともにさわやかな情景となり、目ざめた小鳥たちは太陽と命の歌を歌いました。
その後一同は昨日の第9場〝幸福の花園〟を訪れ、本日はその続き第10場〝未来の王国〟です。
まもなく旅は終わるのですが、王国は誕生を待つ子供たちの国です。
未来であると同時に、かって私たちが居た所でありますので、私たちの過去の国と考えていいかもしれません。
未来の王国では、この世が終わるまでの子供達が生まれるのを待っている。
手前が「ルチル」と「光」。皆が、生きている人だ、と言ってびっくりする。
誕生が迫ると本では船に乗りますが、映画では白くて大きなつぼみのようなものに入る。
この章のテーマは「運命」と「時間」で、なかなか厳しいのです。
生まれる前の子供たちにはそれぞれ役割や運命が授けられていたり、役割を自ら考えるように促されます。
中に第九惑星(後の冥王星)の王となる赤ちゃんや、長寿の薬、未発見の光、翼を持たない飛行体、巨大な果物、純粋の喜び、
死の征服などを持っている子などさまざまです。
いよいよ夜明けが近づくと長いひげを生やした「時」が現れます。
「時」は本日生まれる子供を選んで送りだす絶対的な存在です。
出て行く子供の一人一人を見て
「また医者だって?もう沢山なのに地上は医者でいっぱいなんだ。正直な子供がほしいんだ。」
「何かを用意してこなきゃいかん。病気でも、大きな罪でも、しかたがない」
などとせわしなくせかします。
抱き合って離れない「恋人」の二人の子供の番がきました。
まず男の子の番ですが、〝行きたくない〟といいます。
女の子が、自分が生まれる時すでにあなたは死んでいる運命だから、離れたくないというのです。
「死にに行くんじゃない、生まれに行くんだ」
「時」が二人を引き離します。
「どうやってあなたを見つけたらいいの」
「ぼくはいつだってきみを愛してるよ」(本のせりふ)
「一番悲しい顔をしているのがぼくだよ」(映画のせりふ)
このように悲喜こもごもの出発の中で
〝時間に勝るものはない、運命はさからえない、とにかく信じて進むのだ〟と「時」は言うのです。
映画で誕生を迎える子供たちを包んだつぼみが閉じる直前、小さな青い鳥がすっと中に入るのが見えました。
(皆様は見えるでしょうか)
出発に際し、本には「深淵の底からわきあがるような喜びと希望の歌が、遠い遠いかなたから聞こえてくる」と書かれます。
この場の最後で、かげにいた「チルチル」と「光」は「時」に見つかります。
「光」はチルチルに向かって〝何も言ってはいけまんせん。私は青い鳥をつかまえました。ここを逃げましょう〟とやや謎めいたことを言って終わります。
後は第11場「お別れ」と最終第12場「めざめ」ですが、次回恐縮ながら少々の感想を追加させてください。
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