新潟市から茶道・石州流の皆様 そして陶齋の千字文(せんじもん)。

2012年9月8日(土曜日)

本日午前、美術館から以下のような電話がありました。

新潟市から茶道・石州流の皆様6人が来館されている。質問があって、陶齋の作品・色絵柿文鉢に書いてある文字の意味を教えて欲しいということ。
作品の見込み(内側)にある「秋収冬蔵(しゅうしゅうとうぞう)」のことでした。

秋収冬藏正面上から左まわりに秋・収・冬・蔵と書かれている色絵柿文鉢。

四文字の意味は、秋に収穫し冬に備える、と解釈されます。

同じように絵に文字が模様として配されている作品・色絵椿文鉢が展示されております。文字は「露結為霜(ろけついそう)」です。

霜結為露
正面上から左まわりに露・結・為・霜と書かれている色絵椿文鉢。

意味として 露が結ばれて霜柱となる、と解釈されます。

さて上掲の二つの四文字はいずれも中国の南朝時代の漢詩集「千字文」にある言葉です。
千文字は6世紀、梁の武帝が基礎的な漢字習得の教材(読本)として、文官の周興嗣に命じて作らせたものとされています。

体裁は、四字からなる250の短句を連ね、人知や森羅万象を全て異なる千字の長詩として完結させたものとなっています。
日本にも正倉院の御物として早くから伝えられ、あるいは最澄も唐からもち帰った言われています。

 

秋収冬蔵と露結為霜はともに6番目と10番目に次の様な対句の形で出てきます。

“寒來暑往 秋收冬藏“

“雲騰致雨 露結為霜”

 

教養の人、齋藤三郎(陶齋)は絵とともに書も能くし、千字文も詳しかったと聞いています。

遠くからお越し頂きご質問くださった石州流の皆様、まことに有り難うございました。

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