来週の横浜行きを中止した 新型コロナウイルスは生活習慣も関係する少々変わった感染症なのか。

2020年2月15日(土曜日)

実は来週末横浜に泊まり、翌日は鎌倉で梅を見ることを1月に決め、新幹線とホテルを予約していた。
楽しみにしていたが新型肺炎の一件で急遽予定を全てキャンセルした。旅行は誠に残念だったが、どうしても足が向かなかった。

加うるに流行は市中に拡大する傾向を見せ、特に観光の動線にリスクを感じる動きになってきた。新潟県の報告は未だ無い。パニックほどではないが、医療関係者であるだけに万一発端になることだけは避けねばということがあり、中止して良かったと思っている。

ここに到り、海外ばかりではなく国内観光に二の足を踏む人も少なくないかもしれない。そもそもマスクをしてする観光は果たして楽しいだろうか、というのもある。その延長でいえば、この先何万というマスクをつけた観客が座るかもしれないオリンピックは、悪夢ではなければいいがと心配になる。

安易な見通しは厳に謹み、病態、疫学、診断、トリアージなどの精度を上げ、柔軟な受け入れ体勢を確立し、有効な薬剤とワクチンを急ぐほか道はない。未知の疾患だけに、大規模な知見を重ねている中国の真摯な取り組みと協力も不可欠であろう。

クルーズ船は果たしてどうすればいいのだろう。サーズとマーズにこの件はあったのだろうか、難しい問題である。
※ちなみに2003年6月9日更新として、以下の様にWHOから出された
国際クルーズ船における感染予防措置とSARS「可能性例」の管理 のページがありました。このたびの日本の措置の骨格はこれに基づいているのでしょうか。
http://idsc.nih.go.jp/disease/sars/update75-cruise.html

さて、言うまでも無く条件として密集と閉鎖環境は感染症にとって最悪であり、船そのものがそのままウイルスの培養環境にも変わり得る。新たな感染者と治癒者の平衡はどう推移するのだろう。水際をうたいながら感染者が増え続けているところをみると、防護マニュアルと実践テクニックの乖離が懸念される。検疫官や救急隊員の感染など、現場の疲労と汚染も想像され全く気の毒である。

一方で、繰り返される感染連鎖によってウイルス自身が変異強化されている懸念は払拭できない。当座多くを占める乗船者の引き取りに動きそうな米国の動向と日本の対応が一つの鍵になりそうだ。

それにしてもマスクは厄介な問題だ。感染者には吐き出すウイルスをとめると同時に、そこに蓄積させ濃縮させる装置に見える。一方予防者には空気中からウイルスを集め、局所の汚染を促す場所にも見えるのである。
特に慢性呼吸器疾患のある人にはマスクは苦しくてたまらないだろう。一般に呼吸の出納はかなりギリギリの平衡で成立しており、マスクによるわずかな制限が及ぼす心肺への影響は無視できない。高齢者に多い病態だけに感染の有無にかかわらず、このような人がいた場合、本当にマスクを付け続けることなどできるだろうか。

最後に、私は詳しくないが、船内の飲食と運動、あるいは喫煙などの感染症への影響は如何なるものであろう。これらの影響を受ける血糖の上昇機序ほか免疫能の動向もやはり気になる。
このことでいうとこのたびの武漢の正月大宴会、東京の屋形船での新年会はどうなのか。市中へ拡大した状況であれば、大勢の閉じられた密集空間における長時間の大声や飲食は、過労とともにいまやリスクかもしれず、配慮を要すべきものかもしれない。

サーズ、マーズとも私たちには経験が無い。いまのところこどもたちが免れていのは、疾患の一つの特異的側面であり、微妙な免疫の間隙を突いてきそうな点で、偶発的かつ大人中心の生活習慣が絡んだ感染症という、変わった病気でなければ良いがと、少し心配している。

落ち着いたなら是非とも横浜と鎌倉を満喫したい。

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