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南アが優勝して良かったラグビー。

2019年11月2日(土曜日)

雲一つ無い晴天は誠に久し振り、美術館は忙しかったらしい。
遅い昼食後、柏崎市は谷根(たんね)と野田に石仏を見に行った。日は短いうえ5時からラグビーWC決勝を見なければならないので、急ぎ足。2時間半かけて回ってきた。この時の拙写真は後に掲載させて頂ければと思う。

さてイングランド対南ア(南アフリカ)のラグビーWC決勝戦。
南アは強く、本日も終始イングランドを相手に優勢に進め優勝した。
強いチームが勝ち、番狂わせが少ないのは、ラグビーのルールが上手く考えられているからであろう。さらに正確な審判とTMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル:ビデを判定)の導入、そして選手のルール遵守が徹底していることも大きいと思う。
そのことを考えると2015年のWC予選で日本が南アに逆転勝利し、スタジアムと世界を湧かせたのは本当の奇跡だったのだろう。

 

優勝した南アチームの主将は初めて黒人が担った。
私が物心ついて知った南アのアパルトヘイトは執拗だった。だがその後年月を掛けたマンデラ氏の解放と首相就任で平等政策は進んだものの、いまだ差別として人種問題が残っているという。
優勝インタビューで主将は“自分の国にはまだ多くの課題や人種問題があるが、皆で協力すれば克服出来る”という主旨の率直な話をした。このたびのどう猛なまでの強さには、厳しい軋轢を克服する「虹の国」づくりの過程で得られた本物感が滲んでいる。

その後の表彰式のテレビで微笑ましい情景をを目にした。

金メダルを掛けてもらった選手がこどものように嬉しそうにメダルを見るのである。
今ではその順位は落ちたが、南アは長く世界一の金産出国だった。穿ってみれば、美しい金メダルを手にして、話に聞いていたかっての自国の栄光を晴れて実感しているかのようで、なごまされた。

このたびなるほどな、と思った事がもう一つ。
決勝前日、日本を代表する選手三人が次ぎのようにテレビで予想した。
“決勝ともなると当たり合いが強く、恐らく日本が出来たような華やかなトライは少ないでしょう。代わりに密集や相手のペナルティで稼いで行くような一見地味、ある意味玄人好みの試合になると思う”と。
みなまでは分からなかったが、本日そのような流れとなり奥が深いものだ、と感心した。

関川大橋のコスモス畑 300年前のアンティークスプーン。

2019年10月28日(月曜日)

久し振りに晴天の本日午後、所用のあと関川大橋を通過した時、河原の右岸に一面コスモスが咲いているのが見えた。
左折して川沿いの小さな駐車場に止めて花畑を見に降りた。

このコスモス畑の事は毎年新聞に出るが、実際に現地で見るのは二度目
今年は台風の熱風や深刻な冠水被害に遭ったはずだが、見事に咲き誇っていてとても驚いた。回復に尽力された方々のご苦労に深い敬意を禁じ得ない。
花畑は地域の人々と対岸の新潟労災病院の皆様へ心の和みにと、リバーサイド夢物語(NPO法人徳合ふるさとの会)の方々が小学校の生徒さんの協力を得て植栽されている。
膨大な花の種は、秋に生徒さんたちが花殻から採取しているというので行事の連続が可能になっている。種蒔きは7月の梅雨開け時期に行われると言うが、ヤブ苅りや雑草取りの労力がしのばれる。

 

 

思えば久し振りの晴天。無数の花たちは晴れ晴れとした表情をしていた。
素晴らしい景観を作られる生徒さん、徳合ふるさとの会の皆様に感謝いたします。

 

話変わって昨日日曜日のこと、あるお客様がイギリス製になる銀のアンティークスプーンを持参され、拝見した。柄に打たれた刻印(ホールマーク)から1713年製だという。音楽好きのその方は「バッハ28才の時代」と、嬉しそうに仰り、誠に幸福そうだった。

 

柄の先端が折り上げられ、手が掛かるようになっている。

ボール(カップの部分)は大きい。その裏側に柄から続く細長い三角形の部分が見られる。
ボールが折れないように強度を強めるための設えだという。
形が鼠の尻尾に似ていることから「ラットテイル」と呼ばれているらしい。

1713年、、、、世に出て300年は経っているスプーン。今日それを手に入れて幸せそうな人。バッハを聴きながら程よい加減のスープを飲む、、、さぞかし美味しかろう。
かように1つのスプーンがどれほど多くの人を幸福にしたことだろう(一方で辛い出来事のため泣きながらスープを飲んだ人がいたかも知れない)。
人から人へ世から世へ。普段倹約しながらアンティークに親しむことは、かって同じ品を手にした見知らぬ過去の人たちへの親しみ、あるいは品物が通過した時代への共感など、特有の世界にひたることが出来る。そのうえ実用することも出来るので、とても良い趣味だと思う。銀製の食器類は人気のコレクターズアイテムの1つに違い無い。

素晴らしかったヴィクトル・マザーチェク氏と市村幸恵さんの演奏会。

2019年10月26日(土曜日)

本日午後、上越市吉川区出身のピアニスト市村幸恵さんとチェコ・フィルの第一ヴァイオリン奏者ヴィクトル・マザーチェク氏によるコンサートが大潟区のコミュニティプラザで行われた。

現在、NHKおよびサントリーホールに於ける東京公演はじめ横浜など日本各地をツアー中のチェコ・フィル。お忙しい第一ヴァイオリン奏者と市川さんの演奏は大変貴重で、心ゆくまで楽しませて頂いた。

 

ぴったり息が合ったお二人の演奏。
共催した樹下美術館からの花が見えた。

1部はモーツアルト:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 作品378、ドヴォージャーク:ソナチネ 作品100。
二部は日本の歌から「夏は来ぬ」「赤とんぼ」「里の秋」、マルティヌー:インテルメッツォからヴァイオリンとピアノのための4つの小品、スーク:4つの小品、スメタナ:我が故郷より が演奏された。

演奏は懐かしげな繊細さと圧倒的な力強さ、そしてモダンな旋律や心弾むリズムで私たちを虜にした。
アンサンブルはチェコ人の最も好むところ、と過日市村さんにお聞きしていた。ご本人たちが心から楽しみながら意気を合わせる演奏はとてもスリリング。互いに反応し合う様子から時に即興演奏の如くに聞こえたほどだった。

 

花束が贈られ笑顔を見せるお二人。

休憩を挟んで2時間、素晴らしい演奏会はあっという間でした。明後日は熊本で演奏するマザーチェク氏、充実の市村さんは昨年チェコ大使館で演奏されました。
このたび二人は福岡でもデュオの予定とお聞きし、益々のご活躍をお祈りしています。

 

コンサートが終わって見た美術館付近の夕暮れ。
良い音楽を聴くと風景がいっそう美しく感じられる。

上越市の長瀬邸に於ける素晴らしい「長瀬コレクション 齋藤三郎 内田邦夫 展」

2019年10月19日(土曜日)

本日から二日間、上越市は桜町の長瀬邸で「長瀬コレクション 齋藤三郎 内田邦夫 展」が開かれている。午後から妻と出かけた。

齋藤三郎の初期から晩年まで、十分に吟味された優品が四部屋を取り払って展示されていた。絵付けを主に器種は壺、絵皿、茶道具(煎茶道具も)、湯飲みから文房具まで満遍なく網羅され、青磁、白磁、色絵、染め付け、鉄絵と揃い、飛鉄から織部まであった。また随所に配された力作の書画にも目を奪われた。
さらに展示台やケースは自作を含め、蔵扉の見立てなど本当に良く工夫され、手作り感あふれる素晴らしい展覧会だった。

長瀬氏は長くウランガラスや漆器、古陶磁を蒐集されておられたが、10数年来齋藤三郎にしぼって集めていらっしゃる。集められた膨大な数からコレクションの夢中振りが手に取るように伝わる。齋藤三郎の作品には人を夢中にさせずにはいられない特別な力がある。
“まだ見ぬものがあるはず、次はどんなものと出合うだろう”というわくわく感は、私にも分かりすぎるほど良く分かる。

 

 

 

 

これがお店なら持って帰りたい作品が沢山あり、そのうちから以下数点を掲載しました。

 

お得意のドクダミ更紗文の中に椿の窓絵。
肩から胴まで張った形が穏やか。黄釉の窓地も効いている。

 

 

上掲の2器とも口が開いた大らかな花器。
呉須アザミ文(上)、鉄釉草文(下)ともに素早く彫られた線が非常に素晴らしい。
磁器と陶器双方の味わいも見事に表現された名器だと思った。

蓋付の鉄絵飯椀。セットで揃った貴重な作品。
高い高台は手が入りやすく、蓋は逆さにして菜皿にすべく高いつまみが付いている。
ざっくりした鉄の風合い、葉文窓絵など民芸調が誠に和やか。

奥の間に7,80点の内田作品。こんなに沢山見たのは初めて。
輝かしい受賞歴の氏は上越市出身。
後年日用される器を目指してクラフト運動を推進。
クラフト全体の質の向上に深く寄与された。

長瀬さん、有り難うございました。手に取り、写真まで撮らせて頂き失礼致しました。
こんなに開示され、素晴らしいことだと思いました。
大勢の方がこられていて良かったですね。

どうか健康に気を付けて、この先も共に楽しみながら頑張りましょう。
会場でお呈茶など催事に協力されている皆様、本日は誠に有り難うございました。

稲垣選手の素晴らしい表情 ラグビーは赤ちゃんを手荒に奪い合う競技?

2019年10月16日(水曜日)

大盛り上がりのラグビーワールドカップ。スコットランド戦で新潟県出身の稲垣啓太選手が大会初めてとなるトライを決めた。

縁の下の力持ちと呼ばれ、最前列で犠牲的な力勝負に専念する稲垣選手にとって、走ってパスを受けトライする場面はまず無い。
それが代表入り7年目、10月13日に突然訪れた。

前半、タックルを受けながら選手が次々にパスを繋いでゴールに向かう。ゴール目前で最後の選手が振り回されるように倒され、駄目かという瞬間左から走りこんで来たのが稲垣選手だった。
超巨躯の選手があたかも霧の中から幻(神)の如く忽然と現れ、パスを受け取るとゴールに倒れ込み逆転トライを決めた。
練習はしていたかもしれないプレー。
だが本番のきわどい場面でまさかドンピシャの成功だった。

 

パスを受け取る稲垣選手。
眼と口元、そして手に極限の緊張が現れた素晴らしい表情。
あの稲垣選手がこんな顔をしていたなんて。

選手として全てが掛かった一瞬だったと思う。あたかも子こどもが試練を達成しようとする瞬間のように見える。

 

そしてトライ。
今度は必死で幼な子を守った母を思わせる表情。
(写真はいずれもYouTubeのキャプチャーです)

学生時代によく集まった家の級友がラグビーをしていた。ある日曜日にライン審判をやってと言われ一緒に出かけた。埃まみれになってぶつかり合う選手たちを追いながら、これは自分にはとても出来ないと思った。
それが2015年ワールドカップの対南アフリカ戦をネットで見て、体を張るスケールの大きなゲーム性に興味を覚えた。

そしてこのたび、いかつい選手たちが、しかとボールを抱え必死にゴール(家?)に向かって走るのを見て、彼らが追い、あるいは抱いているのは赤ちゃんではないのか、とふと思った(形も似ている?)。
いずれ王となる大事な赤ちゃんを奪い合い、城あるいは家に運ぶゲーム。追い詰められると渾身のパスとして仲間に出して繋ぎ、ついには蹴ったり、転がしたり、かぶさったりして手荒に守りあるいは運ぶ。

 

同じ試合の後半、密集からトライに漕ぎ着けたスコットランド選手。
ひしとボール(赤ちゃん)を抱いて同じく母のような表情。

アニマ?(女性ではアニムス)
精神・心理学者ユングによる男の意識下に潜むという女の資質や母性。
荒ぶる侍のような稲垣選手は、目の前に投げ出された赤ちゃんを緊張する少年のように受け取ると、母の如く抱いてゴールに倒れ込み、すぐまた侍にもどった。

最後は拙い空想になってしまいました。
たぶん人間は子どもになったり大人になったり、いわゆる男になったり女になったり、普段からとても忙しいのだと思う。

稲垣選手トライおめでとうございました.。
応援しています、どうか体をいたわり長くご活躍ください。

11月24日のお茶会 会場100年料亭「宇喜世」の多彩な窓。

2019年10月15日(火曜日)

何かと催事が多い今秋、来る11月24日(日曜日)は、上越市仲町3丁目の宇喜世(うきよ)で茶道の席持ちが予定されている。
当日は二席で、一席は山口宗好先生のお濃茶。他を小生宗玄が薄茶を差し上げることになっている。

大きな会場のため、昨日の祝日に主催のフカミ美術店主とともに床の間の掛け物を持参して具合を確かめ、待合や本席、そして水屋の様子などを下見させて頂いた。

 

 

当日の「越後 城下町髙田茶会」のちらし。

以下当日の案内です。
●会場:宇喜世(うきよ) 電話 025-524-2217
●期日時間:11月24日(日曜日)
●時間は午前9時20分~14時まで50分~60分おきに6席が設けられる。
●参加費用お一人6000千円  濃茶、薄茶2席の席料およびお食事券付き
●お問い合わせ:フカミ美術 電話 025-522-1815
長野県からのお客様の予定もあり緊張を禁じ得ません。

江戸末期に創建され、100年料亭と言われる国登録有形文化財「宇喜世」。今日見られる主な様式に明治大正時代の贅が尽くされている。

 

この広間を仕切って薄茶席を設けます。

 

 

向かって左の脇床に立派な花頭窓があった。

 

右にも脇床があり幅の広い花頭窓が設えられていた。

 

 

さらに拡げたような広間の窓。

 

 

案内して頂いた離れの一室に丸枠の飾り障子。
流れの上に蔦が下りている意匠。
以前この部屋に入ったことがある。

東側に庭を見る花頭窓。

 

 

ある部屋で見た繊細な細工が施された障子窓。

 

 

この部屋の天井にカゴ目を瓢箪形?に縁取った大きな明かり障子があった。
畳の一角に炉が切られているので茶室であろう、何とも手の混んだ設え。

部屋ごとに異なった灯り採りや窓が見られ、いずれも極めて贅沢に作ってある。入ったのは一部だけだったが、ほかの部屋でも面白い窓をみることができるにちがいない。機会があればまた見たいと思う。

主として禅寺から広まった花頭窓は宗派を越えて広がり、茶室や城郭、神社あるいは書院、さらに料理屋や住宅などへと一般化したという。宇喜世は何度も来ているが、花頭窓には気がつかなかった。年取って新たに見えるものがあるのは、嬉しいことだ。

下見を終えてフカミ美術さんで茶を飲みながら懐かしい写真を見せて頂き、くったくない話に興じた。
宜しければどうか晩秋の城下町茶会にお越し下さい、心よりお待ち致してます。

東京から塩﨑貞夫氏のお茶碗をご持参されたお客様 SPレコードを聞かせて頂いたお客様。

2019年10月11日(金曜日)

超が付く大型の台風接近をニュースが繰り返し伝えている。明後日12日および13日の列島は大変なことになりそうだ。
ラグビーワールドカップに加え、吉野彰さんのノーベル賞受賞で盛り上がっているところへ強烈な一撃が加えられる気配が広がり案じられる。

皮肉なもので、お化けのような台風の到来を前に、“さあどうぞ、お掃除をしておきました”とばかり本日の空は雲一つ無く晴れた。
午後休診のそんな昼、東京からお客様が来られた。昨年春、当館で塩﨑貞夫展を催し、その折見えられた塩﨑氏のファンという方だ。その後縁あって本日三度目のご来館になった。

二度目に塩崎氏作の半筒型の茶碗をご持参され、それで美味しいお抹茶を飲み楽しい時間を過ごした。本日は焼き締めに、李朝風、そして萩風の三碗をご持参された。穏やかな表情をした器は誠に口当たりが良く、茶の色を引き立て、美味しい一服を頂いた。慎ましくも絶妙な茶味を有する器を作った亡き画家の、感性と高い造形力に驚嘆するばかりだった。

そうこうするうち来月の蓄音機によるSPコンサートに向けてコレクターの友人が来館された。
このたびの催しは全て歌を掛け、メインをシャンソンでという予定になっている。本日ご持参のレコードからシャンソンはエディット・ピアフ「バラ色の人生」、歌曲はエンリコ・カルーソー「耳に残るは君の歌声(真珠採り)」、さらに日本人のシャンソンで高英男「枯葉」などを聴いた。レコードの状態はとても良く、カフェに6,70年前の麗しい歌声が響いた。

芸術系はなんでも詳しいお客様も加わり、黒沢作品とクラシック音楽、懐かしい池袋の名画座、挫折を救った肉体労働の話、塩﨑画伯のこと、山下達郎のコンサートや武相荘のことなど、ジャンルと時代を越えて話の輪が拡がった。

 


YouTubeにあった本日聴いたシャルル・トレネの「パリに帰りて」。
第二次大戦が終わり、母国に帰った本人自身の作詞作曲だという。喜びと希望の歌声はSPならではであり、時代と国を越えて心打つ。

ところで本日東京からご持参頂いたお茶碗は話に夢中になる余り、写真に撮るのをすっかり忘れてしまい悔やんでいます。
この方はまた拙ブログの雲やほくほく線電車、あるいは食べ物などを観ていて下さり、恥ずかしくも有り難い事だと思いました。

夜遅く本日の記事を書き始めると電話があり、ある方の急変が知らされて往診に出ました。それで日をまたいで残りを記した次第です。その後の動静から患者さんはなんとか助かったと思われます。

本日ご来館の皆様、本当に有り難うございました。

11月9日(土曜日)は蓄音機を回し、色々なジャンルの昔の歌を聴く日です。

2019年10月9日(水曜日)

秋になって大橋秀三さんの講演会とじゃんごっこさんの演奏家が終わりました。
約一ヶ月後の「蓄音機でSPレコードを聴く会」が当館主催の最後の催しになります。

この会は新潟県国民文化祭の参加行事の一つです。
例年SPレコードのコレクターさんA氏とお話しして選曲をしていますが、今年は歌にしましょう、ということになりました。

 

本日気温が下がり、秋らしくなりました。11月9日にはさらに秋が深まることでしょう。
当日はテレビもケータイも無かった時代の人々が楽しんだ歌に耳を傾け、昔の人の喜びや悲しみにに触れてみましょう。
電気無しの再生音によって、過ぎた時代のリアルな気分が蘇るにちがいありません。

もう少し先になりましたなら、プログラムの一部をご紹介出来ると思います。

本日、大橋秀三さんの講演会が盛況裏に終わった。

2019年9月28日(土曜日)

樹下美術館を設計された大橋秀三さんの講演会は、本日予定よりも多くの方にお集まり頂き、次々10数客の椅子を追加して終わった。

 

隣の予備駐車場も一杯。

高校時代から始まる氏の歩みは、東京の大手デパートの施設部、貴重な先輩社員の知遇と吉村順三への傾倒、建築家への目ざめ、大阪時代の不遇を経て地元の事務所開設へと進み、大きなコンペに於ける劇的な入選の逸話などが語られて前半が終わった。

 

 

模型を示してお話する大橋さん。

途中休憩を挟んで樹下美術館の建設過程に話を移し、一部私も加わらせていただきました。

 

途中、30メートルに及ぶ樹下美術の設計図面の巻物が拡げられた。
これを巻き取り送りながら観ていく。

巻物が現れた会場の様子(この写真はお客様からお借りしました)。

 

 

巻物の一部にあった館内3D図。

 

同じく外観図。

樹下美術館では建物に対する光と外気の応用、アンシンメトリーの豊かさ、カフェの付加で生まれた楽しい造形変化、最後に現れた想定外の過剰な残響の処理などが過程の写真スライドを見ながら語られた。
全体から、施主とともに究極まで追求されるコンセプトの重要性と、生き生きとした空間造形の重視が一貫して強調された。

お話しする大橋氏は、本日何度か途中で言葉に詰まる瞬間があった。場面は過去のターニングポイントであり、そこには並々ならぬご苦労や感動が秘められているように想像された。
お話を聴きながら、これは単なる文化講演会ではない。夢と理想と現実を行き交う、情熱的で優れた建築家を応答を交えて鑑賞する貴重な会ではないか、とふと思った。

氏の話には時に突飛であるが、詩的なあるいはおとぎ話のような言葉や考えが出てくる。
それは氏に遠くから伝えられた深い造形センスと、願いと苦悩と喜びから絞り出された不意の呟きにも聞こえる。

建設過程に於いて細部で色々もめたが、思えば民間同士、共に大きな詩を紡いのか。
それが現実に樹下美術館の一つの価値として現れているようで、今更ながら感慨深い。
建物を褒められるたびに感謝を禁じ得ない大橋秀三さんに、更なるご活躍を心からお祈りしたい。

“お陰様で楽しい会にしていただきました。お集まり頂いた方々には深く御礼を申し上げます”

渋野と畑岡選手はレベチ 初牡蠣。

2019年9月23日(月曜日)

ゴルフの話です。

デサントレディース東海クラシックの昨日決勝。前日まで20位だった渋野選手が8バーディの爆発力を発揮。15番でトップに並ぶと16番でチップインバーディーを決めて単独首位に立ち、そのまま優勝する大逆転劇を演じた。

過去および最近の試合の畑岡奈沙選手と渋野日向子の両選手みて、同世代の選手が二人は「レベチ」とコメントしている。
「レベチ」とは“レベルがちがう”のことらしい。
調子の波はあろうが、たしかに肝心なところで見せるスコアと順位は図抜けていて、二人は一種異次元的なのだ。

 

大ギャラリーに囲まれて最終ホールに向かう渋野選手。

 

表彰式で。
この程度の賞金では少な過ぎるように思う。

優れた選手には、商品のイメージ戦略として様々なスポンサーが付き、収入は膨らむ。結果、選手は競技活動のほかに、広告塔や商品の一部としての運命を負わなければならい。
基本スポーツの世界である。選手の競技へのモチベーションの維持向上はベースであろう。そのためにスポンサーたちはもっと賞金に注力すべきだ。賞金規模の大きい大会は選手はおろか、集客や話題面でも大きな効果を生みジャンル拡大に寄与するだろう。

ところでレベチといえば、渋野選手の修正力がある。前回のトーナメントではラフの処理に問題があると指摘された。本人はショックだったに違いない。しかしこの度はラフからのアプローチをことごとく成功させ、回復したパットと相俟って好成績に結び付けた。
数日間の大会で後半に向かって伸びるスコア、あるいは1日の後半に於ける爆発力、ボギーホールの次をバーティーにする率の高さ。これらは不調や失敗に対する的確な分析力と精度の高い修正力の賜物であろう。これもレベチの要因の一つにちがいない。

近時、プロスーポーツ選手といえども、セクシー、可愛い、モデルのよう、と見た目を云々される。だが畑岡、渋野両選手とも服装はプレーン、その上謙虚で言動は自然、何よりプレーが素晴らしく成績は群を抜いている。このような選手がギャラリーを惹きつけ大会を盛り上げることを近時体現している。アスリートらしい価値、レベチと呼ばれる所以にちがいない。

もう一つレベチといえばアマチュアの安田佑香選手がいる。多くの大会でプロに混じって競技し、上位を守る。静かで細身だが正確に飛ばし、渋野選手も認める実力者だ。この人もレベチのようだ。
以上の二人ないし三人はいずれも20才以前の若者であることが共通している。今後のゴルフ界への期待は大きく、楽しみだ。

昨日午後、小学校6年生の孫が来た。レベチを知っているかと問うと、即座に正解した。

 

夕食はお客様から頂いた牡蠣がフライになって出た。
美味しく頂きました。

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