恵方巻きと兵隊さん。

2014年2月3日(月曜日)

本日節分の日も暖かく、しとしとと春雨のような雨が降った。暦に頼れば明日は立春であり、今冬は表向き暦に沿っているようで非常に珍しいと思う。

さて夕食に太巻き寿司がこっそりと出た。東北東に向かって黙って食べれば恵方巻きということになる。
我が家から東北東は宮城、福島の被災地に当たる。そちらに向かって自らの縁起のためにむしゃむしゃ太巻きを食べるなんてとても出来なかった。

10年くらい前だったろうか、このことをテレビでみた時には変わった習慣だなあ、と思った。
関西の習慣ということだったが、今やあっという間に全国的な行事かつ商戦になっている。

恵方巻きニュース

 

夕刻のニュースは人で混雑する東京タワーの展望台を写していた。そこで大勢の人が黙って同じ方向を向いて立ち、太巻き寿司を咥えていた。
家庭で和やかにするものかと思っていたが、東京タワーで一斉に行われた光景は一種異様だった。

この程度のことで何か言うつもりはなかったが、それでも次のようなことが頭をよぎる。
先の戦争で何十万、いやそれ以上の兵隊さんたちが、食べ物もないまま飢えと病に、そして銃弾に倒れた。遠く故国を離れた若者や父達のひもじさと死は如何ばかりだったろう。

その人たちが本日の東京タワーの光景をみたら、「自分たちはこのような将来のために死んだのか」と、唖然とするにちがいない。

一種奇妙な飽食に出会うたびに、年のせいかこんなことを思ってしまう。

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