明け暮れ 我が家 お出かけ
旅情の日曜日
夕刻、直江津のセンチュリーイカヤさんの音楽会へ行った。
前半は五郎部俊明さんのテノールで大須賀恵理さんのピアノ伴奏。食後のN響奏者による弦楽5重奏はコントラバスが入っていた。
五郎部さんはイタリア歌曲を中心に美声と溢れる声量で場内を圧倒した。
弦楽アンサンブルによるウインナーワルツは春を伝えてこまやか、かつ重厚だった。礼装した奏者は格好もよく、19世紀かくやありなん、旅情満点の熱演だった。帰るとテレビにN響オーケストラ、今見たばかりのお顔が見えていた。
午後、最近では貴重となったチョコレートが届いた。ルブランの画像の前で記念撮影を。
さんざんな予報が出ていた週末、寒かったがさほど降らなかった。
久しぶりの青空に雲 拙誕生日と旧奉天市(現瀋陽市)
正月にわずか穏やかな日があったが、晴天を思い出せないほど悪天候の1月。今朝の新潟日報紙で上越市の1月の日照時間合計が1922年以来の統計史上、最低と報じられていた。歴史的暗さの1月が終わった。
その空が本日小生の誕生日に、久しぶりの晴れ間を見せた。青空に軽々と浮ぶ雲などどれほど見てなかったことだろう。2月は荒天に混じって、うっとりするような良いお天気が現れる。あす日中は今日より晴れるらしい。
恥ずかしながら私が生まれたのは1942年。場所は旧満州奉天市(現中国瀋陽市)だった。父が満鉄病院の医師だったこともあって写真の病院で生まれたらしい。
絵葉書「南満洲鉄道株式会社地方営造物絵葉書帖」より『奉天医院』
(「植鉄 失われた時を求めて」より)
当地は大陸性気候のため冬は寒いがよく晴れるという。手足の細い私はあっという間に生まれたと聞いた。その日もきっと良いお天気だったのだろう。病院の産科は素晴らしかった、と看護師だった母が言っていた。
ところで父は満州を語りたがらなかった。父とは別に、自分も年とるにつれ生誕地への郷愁は薄らいだ。お互いの国が仲良くできればといつも思っている。
湯気 そして冬の下宿のやかん
お風呂、吐く息、台所,,,それらの湯気。雪を心配する毎日の中で湯気は心温まる。
その昔の中学の一部と高校時代は高田(現上越市)に下宿をした。寺町にある小さなお宅の二階の6畳間、弟と一緒の時期もあった。昭和30年代前半の下宿の冬は、コタツも無く火鉢一つだった。しかし吐く息が真っ白になる冷え切った部屋でも炭をおこすと温かくなった。
その部屋の火鉢にやかんを掛けるか、どうかで弟と争ったことがある。弟は掛けないほうが暖まると言い、わたしはどちらも同じだから掛けたいと言った。
正直今でもどちらなのかよくわからない。しかし喉や肺が弱かった私は少しでも蒸気が欲しくて、生半可な物理の法則まで持ち出してやかんを掛けた。
冬になると懐かしい下宿の火鉢とやかんを思い出す。毎年夏にやって来る弟は覚えているだろうか。今度会ったら聞いてみよう。今では微妙に弟の言うとおりだったような気がしないでもない。
こころのすがた 自然 そして波間に宝珠?
テレビを見るのはいつも偶然、しかしどこかで一つはいい番組をやっていて感心する。本日午後「こころのすがた」というのがあった。進行の宮崎哲弥氏に応えるゲストの養老孟司氏の話を興味深く聞いた。
番組の最後に「心とは」と訪ねられた養老氏が「自然に対して開くもの」と答えられた。あまりに明快、しかも驚いたことに人に対して開くとは仰らなかった。厳しい言葉だと思った。人も自然の如くあるなら、と含んでおられたのか。
当ノートのアバウト(プロフィール?)に自分のことを「山河は緑、人また山河」を思っています、と書いている。書いて以来、何かずっと気恥ずかしかった。しかし今日、養老氏の言葉を聞いて救われる思いがした。
沿岸の大潟区の雪はわずかとなった。午後からまた海へ。自分は海辺で育ったのでどんな海でも飽きない。ずっと昔、好きが高じて外洋ヨットで舳倉島(へぐらじま)往復や佐渡海峡横断、そして佐渡一周などのレースに参加させてもらった。クルーはみな超勇敢、個性十分でいい人達だった。
先日、葛飾北斎の波に影響を与えた宮彫り師・波の伊八を取り上げた番組があった。荒波の間に浮かぶ宝珠(宝・幸せ)を彫った作品は強いインパクトがあった。これは真実の表象だろう。しかし、いつしか自分も年寄りの冷や水を考える年になっているのも事実だ。
拙宅の夜間・時間外の電話対応 少々変かも
気温が上がって雨交じりのミゾレが続き、雪は一時の半分以下になった。しかし山間の生活地では2メートルを越えているという。高齢化と重なっていっそう深刻な状況が報道されていた。
ところで拙宅は数日前から妻が所用で遠方へ出掛けている。夜9時過ぎ、その妻から「○○さんが食後の痰で苦労している。連絡してみて」と携帯が入った。
我が家では夜間・時間外の電話は妻の携帯に自動転送される方法を続けている。掛かる電話の公私を仕分けして、医療(主として在宅)用件のみ私に伝えるやり方だ。35年たっても夜間の電話音は緊張するし、携帯は音も静かで相手も分かる。妻は大変だが一定のストレスを緩和できて感謝している。
昔こんなことがあった。
「Aさんが繰り返し吐いているそうです、どう返事しますか?」
「行くと伝えて、ところで今何処?」
「小樽です」
少々変かもしれないが、長く零細な仕事を続けられたのもこのような方法のお陰かもしれない。今日の電話も400キロ先からだった。
痰に困っているお宅に電話をした。吸引器はあるのですが、と遠慮の中に心細さが伝わる。日頃から農業を懸命に営むご一家を見ている。それで特に心動かされた(農業は政治に翻弄され続け、本当に大変だと思う。長い歴史も、手入れされた広大な風景も、文字通り日本の貴重な背景。良くて搾取のTPPなど何を考えているのだろう)。
お宅へ伺った。「思い切って」、とお嫁さん協同でむせる痰を吸引、ご本人は楽になられた。
帰宅してパックの紅茶にミルクと砂糖を入れ、千葉のピーナッツを食べた。すると余計お腹が空いてきた。それでつい明朝のサンドイッチを半分食べてしまった。コンビニのサンドはとても美味しい。
寒波がきた 少々不思議なハクチョウの行動
予報通り昨夜から強い寒波が来た。上越市大潟区も75センチほどの積雪となった。
こんな日はどうなのだろうと、午後から朝日池を見に行った。強い地吹雪が舞う湖面にコハクチョウがかたまっていた。みな伏してじっとしている。まさかこの寒波で落鳥?とドキッとした。
見ていると全く動きが無かったが、しばらくすると群から一羽が出てきた。群に向かって「さあ、でかけましょう」と誘うような動きをする。しかし残った鳥たちはほとんど無反応。
するとその鳥は一人で歩きはじめ、4,50メートルの所から突然群に向かって飛んだ。
全く動かず、心配な光景。
一羽が起きてきて、何か言っているようだ
歩き出した
群に向かって飛んだ
いっときざわついたが
またみな寝てしまった。
まるで「さあさあ、起きて!」と促すようにみえた。群は一旦目覚めてざわついたようだが、間もなくもとと同じに寝てしまった。
一体何があったのだろう。飛んだ鳥は帰らなかった。飛んだのがリーダーだったとすると、もっと敏感に反応しても良さそうなのに不思議なくらいの無視。こんな日はやはり動きたくないにちがいないが、それにしても空腹はどうするのだろう、本当に。
本日スタッフの通路と診療所駐車場の一部がすっぽり新雪に埋まっていた。一時間近くスノーダンプを使った。こんなにするのは何年ぶり、雪の一休みはあるのだろうか。
写真でスペースを沢山使った
二つのいよいよ
このところ気温が零度を下まわるようになり、午前の道はガリガリと氷った。夕刻からサラサラと降り始め、いよいよ雪本番の予感がする。昨年も同じ1月13日から本降りとなって久しぶりに大雪の冬だった。
ところで午前にこられた50代の方は熱が37,7度、喉の痛みもわずかだったが、だるさを強く訴えられた。例年より遅く、今年当院で初めてインフルエンザテストA型陽性だった。強いだるさはやはり要注意。
教育委員会の上越市学童のインフルエンザ状況および国立感染症情報センターによる全国の情報ではまだ本格的流行を示していない。しかし雪同様しばらく予断をゆるさない日が続く。
大晦日の蛍の光 Farewell Waltz ハンサムな先輩
2010年が間もなく終わります。少し緩んでいたお天気が再び荒れ始めました。来る2011年がどうか健やかな年でありますように。
映画「哀愁」の場面から“Farewell Waltz”
先日の“Till We Meet Again”は今年美術館終了のワルツに。連日you tubeで恐縮ですが大晦日は蛍の光“Farewell Waltz”を借りました。日本語タイトル蛍の光は古いスコットランド民謡で1780年頃バーンズによって詞を付けられ、同じ頃メロディも確立したようです。スコットランド語で、さあ友よ古き友情を暖めあおうと、いう意味が歌われているといいます。
掲載の蛍の光は、妻お勧めのビヴィアン・リーの代表作「哀愁」の一場面です。一生一回の人生、もちろん映画のようにはいきません。書きかけでもいい、自分なりの小さなドラマに憧れます。少なくとも一途さと良心だけは持っていようと思うのですが。
動画にダンスの場面を借りました。ダンスと言えばその昔、学生時代に複数の学生バンドが参加するダンスパーティがよくありました。私の学校のバンドにハンサムでピアノの上手い先輩がいました。
パーティでは前のバンドがラストにワルツを演奏します。そのワルツが後半になると次の出番の彼は前のピアニストの右側からそっと入って、腰をかがめて右手でメロディを弾き始めます。前の演奏者は左手を弾きながら静かに左に抜けて鮮やかに入れ替わるのを見ました。any number any key okでプロのようでした。
この先輩は絶えず挑戦を続けているように見えました。ピアノではどこへ出ても恥ずかしくないばかりか、ハワイで飛行機免許を取得すると、最後には合衆国の医師免許試験に合格して渡米しました。女性にモテて、まるで映画の中の人のようでした。
どうしてそんなに出来るのですか、と尋ねたことがありました。「ひたすら努力」が答でした。男前が並外れた努力をするのですから、もう異次元です。
雨の日の色
吹きたいだけ吹き、降りたいだけ降り、鳴りたいだけ鳴る荒天の祝日。美術館には友人夫妻が二組訪ねてくれた。こんな日だけに心温まる。
夕刻の帰り道。晴れた日には見られない信号の色が、吹き付ける雨の舗道に写っていた。車を横道に入れて写真を撮った。あるか無しかの旅情だった。
もうお一組、勇敢な三人のお客様がお見えになったと聞いた。その方たちは、前回、雪の冬期休館中に来館されて入れなかったが、今日はゆっくり見れたと仰ったという。もしかしたら雪や荒天は美術館日和なのでしょうか。押し詰まった大荒れの日、まことに有り難うございました。
後日追記:水たまりに写った信号を掲載しましたが、どこか似た情景の短歌があったと思っていました。赤い鼻緒が冷たい水溜まりに浮いている、というような感じで、、、。昔の本棚をみましたら石川啄木でした。時節、時刻、赤、などが少々似ていたようです。
水潦(みずたまり) 暮れゆく空とくれなゐの紐を浮かべぬ 秋雨の後(のち)
貴重な啄木、お恥ずかしいことですが記事のタイトルを少し変えました。12月26日の追加と修正でした。
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