メグスリノ木、マユミ、ニシキギ。

2020年11月16日(月曜日)

このところ何度か庭の紅葉を挙げさせて頂きました。
去る日、メグスリノキを載せましたが、名前からして変わっていますので、その紅葉の経過とともに名の由来などを少々記したいと思います。

平成7年の造園の際、庭師さんが紅葉が綺麗ですよ、と仰って植栽されました。以来砂地にも拘わらず、夏の暑さにも耐えて辛抱強く成長しました。

メグスリノキと目薬の関係は、戦国時代に樹皮や木部を砕いて煎じたものが眼病に効くという民間療法に由来していると書かれています。成分分析など一定の科学的検討がされ、疲れ目などに対して煎じ薬やお茶パックなどの形で販売されているようです。

新緑もいいのですが、見所は何といっても最も美しい紅葉の木の一つと言われる点です。
確かに多様な色合いに分かれて始まり、全体が赤くなっていく様子は一見に値します。

以下約10日間の紅葉の様子を並べてみました。

 

11月8日。

11月12日

本日11月16日

カフェの前にもう一本あります(本日11月16日)。

 

一枝とってテーブルに置きました。枝先に三枚ずつ葉がついています。

 

話題をもう一つ。
美術館の右前の庭にニシキギとマユミのよく似た木があります。1,5~2メートル少々の低木ながら、両者とも一生懸命に紅葉します。

 

本日のニシキギ。

 

本日のマユミ。

両方とも葉は小さいのですが、ニシキギの方がマユミよりも一回り大きいです。
良く似た木は、幹にはっきりした違いがあります。

 

 ニシキギは幹に沿って平たい翼のようなコルク質の突起が連なっている。

 

マユミの幹はつるりとしています。
紅葉ではマユミはニシキギ以上に赤くなります。

駐車場で降りて美術館に向かって右側に数本ずつありますので、よろしければご覧下さい。
ニシキギギの翼風の突起は変わっていて面白いと思います。

1年8ヶ月振りのお二人 和装、過去もまた希望。

2020年11月15日(日曜日)

本日日中は爽やかに晴れ、風も無くまことに穏やかだった。
ブログを見る限り12日から本日まで、およそ4日間晴れていることになる。11月半ばにこれだけ晴れるのは珍しく、幸運だ。

そんな日の昼近く、遠方から懐かしいご夫婦がやって来られた。18年3月に送別の食事をして以来1年8ヶ月振り。お二人とも当時よりさらに穏やかで何かお若くなられた感じ。
農芸科学がご専門の丸い人柄がさらに丸くなられ、美味しい水のような親しみを覚え、嬉しかった。お昼をご一緒し旧交を温め、再会を告げ合ってお別れした。

「お元気で」と言ったものの、お二人はまだお若い。元気でいなければならないのは明らかに私の方である。
このような場面に際して、年々ある種覚悟のようなものがよぎる。
まさに重ねている年令のせいであり、微妙なスリルと言えなくもない。
科学者の厳しさを秘め、かつ柔和で人情の機微にこまやかな方。コロナが邪魔をするが、いつかまたご一緒したい。

さて晩秋の好日、美術館はいつもより賑わった。
例より10脚近く椅子を減らしているので、順番がつかえたようだったが、皆様で融通し合い、コロナに用心しながら楽しんで頂いた。

 

 本日お似合いの和装で来館されたお二人。
大正昭和のシーンのようで胸がじーんとした。
希望は未来ばかりでなく、過去にもあるのではないかと思ったほどだった。

 

夕刻の上下浜はマリンホテルハマナス。

 

明日は曇り一時雨の模様。ただし暖かいらしい。

大潟区の野を歩き、頸城区のさくら会館へ伺った。

2020年11月14日(土曜日)

このところ晴れ間が続き、冬支度に時間がさけ、心にもなにがしか覚悟の余裕が去来する。
晴れ間はもう数日は続く模様で思わぬプレゼントだが、雪国の性で、その後が少々怖い。

日射しに誘われて近くの雑木林を歩いた。

 

まだ枯葉をまとう木々も多く、青々とした草道を歩いた。

 

明るい場所へ出るとモズやってきてギイギイッと鋭く高鳴きをした。

 

歩く先々でパッパッと動いたのはカシラダカの一群だった。
冬鳥にとって本日の暖かさは辛かったのでは。

 

野歩きの後、先日開場したばかりの地域の茶の間「さくら会館」で妻と合流した。
頸城区の大池湖畔に隣接する施設は、福祉事業の(株)さくらメディカルの30周年記念事業で、会長の武藤敬一さんが展開されている。
本日お目に掛かりお話をお聴きし施設を案内して頂いた。

 

パンフレット表紙。

 

 

 

座り心地の良い椅子の休憩・団らんの場。
私がよく歩く湖畔の森林が対岸に見える。
広い窓によって清浄な外気に溶け込むのを覚える。

二階は書画の展示場に続き、奥に諸仏が安置されていた。

 

慈悲によおりあまねく衆生を救う十一面千手観音。
許可を得て特別に撮影させて頂いた。

 

和室になんと花頭窓。お茶会ができるのでは。

かってのレストランを全面改装して成った施設は、地域の茶の間。市内有数の風致を我がものにできる誠に贅沢な環境に佇んでいる。凝った設えや調度品にも目を奪われる。

顧みるに心身状況と在宅および施設など介護と予防には様々な段階と場面がある。いずれに於いても、本人・介護者はともすれば閉鎖的な状況を免れない。
一方健常であっても長い人生の後半を如何に過ごすか、大きな課題にちがいない。
一生一度、大切な時間の中で安息を願い息を抜き、心なごむ場所が欲しい。
加えて外気の大切さはいっそう望まれる。

本日午後のひととき、お話を聴きつぶさに内部を案内して頂いた。
同施設には、長年福祉事業に没頭されたオーナ心からの願いと恩返しの念が籠もっていた。

当施設は会員制(年会費1000円、初年度無料)。一回の施設利用費はワン・ドリンク付き200円。11時~14時のランチタイムはオムライスなど昭和時代の懐かしいメニューがリーズナブルに設定されている。
※当面利用には予約が必要ということ、電話は025-530-3838です。

本日妻と会員にさせてもらい会員証を頂いた。
近々晩秋の湖畔を歩くつもりだったので、お腹を空かせてお邪魔したい。

紅葉の庭とメグスリノキ カザルス・トリオなどのベートーヴェンを聴いた。

2020年11月12日(木曜日)

良く晴れ渡った木曜日は午後仕事休み。美術館の庭の木々は色づき、澄んだ日射しに映えていた。

庭はヤマザクラ、松、ハンノキ、コナラなど元から自生していた木々に、25年前から植栽を続けたものが混然一体になっている。植栽したものの多くは落葉広葉樹の雑木のためとても成長が早く、当初のものは下に立つと見上げるほどになった。
大きくなった分、一段と彩りが目を引くように思われる。好天の本日、二三の角度からの写真を載せてみました。

 

西側の庭。カエデのほか中央にメグスリノキが色づいている。
末尾にメグスリノキを近くから撮ったものを載せました。

 

上の写真を撮った美術館裏の場所。
皆様には今春入れたこの椅子テーブルに座って頂きました。

 

黄色が美しいカフェ前のモミジ(左)とイタヤカエデ。
イタヤカエデは植えて25年、モミジは8年ほどが経ちました。

 

玄関左から、右に株立ちのアオハダ、向こうにマユミやニシキギの低木。

 

前述したメグスリノキです。
この木の紅葉は陽の当たる所からグラデーションになります。
赤、ピンク、オレンジ、黄色、うす緑など、とても上品です。
※ご覧になりたい方には、スタッフがご案内致します。

さて午後、A氏がベートーヴェンのSPレコードを持参されました。
実は12月12日{土曜日)に恒例のSPレコードを聴く会が予定されています。今年はベートーヴェン生誕250周年のメモリアルに当っていますので、特集としてそれに沿ったレコードを掛けることになっています。
本日A氏はその試聴に、何枚かレコードを持参されたという訳です。

 

ピアノ三重奏曲第7番「大公」のレコードアルバム。
1905年から約30年間続いた歴史的なカザルス・トリオによる演奏。
コルトー(ピアノ)、ティボー(ヴァイオリン)、カザルス(チェロ)による
迫力と気品にあふれる演奏が臨場感をもって再現されました。

 

上掲した1927~28年録音のレコードラベル。
主人の声を聴くニッパーは時代と共にいっそう貴重になったようです。

心配していたコロナの流行期に入りましたので、開催の詳細は状況を見ながら検討することに致しました。

ああ柿崎自動車学校。 

2020年11月11日(水曜日)

はっきり晴れと、昨日書いたのに殆ど晴れなかった本日水曜日。

隣の柿崎区は柿崎自動車学校で運転免許更新のために高齢者講習を受けた。午前の仕事をキャンセルして9時前に受け付けを済ませた。
前半は事故を起こしやすい状況のビデオ学習と眼の検査。後半は教官同乗で運転の実技があった。
年取るとともにこのようなことに対して、いっそう真剣に取り組まなければならない。

実技ではゆっくり走ること、早めの一時停止、順手ハンドルを心がけた。
大方問題は無かったが動体視力と暗順応に衰えがあった。これを補うには全てにおいてスピードを落とす、この一点しか無いと思った。

早めに終わったため、帰宅して20分ほど皆様を診た。

 

講習を終えて眺めた自動車学校。

20才の春休みに免許を取ったのが柿崎自動車学校。
バスで通ったが、時には父が車に乗せて運んでくれた。教官は土底浜のKさんで終始優しくしてもらった。

それから58年、おずおずと路上運転に出た人間がいま高齢者講習を受けている。
まことにあっという間である。
この間一体何をしていたのだろう、これには常にいぶかしさが付いて回る。

ひたすら皆様に根気よくお付き合いして頂き、支えられ、今では励まされている。
免許取得から58年、開業して45年、ある意味それだけだ。
良い記憶は薄く苦い記憶は鮮明なのは仕方がない。
いずれにせよ「陳謝」と「感謝」の二文字が日増しに浮ぶのは本当だ。

この先できるだけ陳謝を少なく、精一杯健康に気を付けてみよう。

そもそもかつて春の路上運転に出たのは、本当に私だったのかという問題もある。
本日二人の教官は大変丁寧で紳士的だった。
明日こそ晴れますように。

樹下美術館でも紅葉が見頃になっている 明日は高齢者講習。

2020年11月10日(火曜日)

本日もかなりの風に吹かれた。
様々形の雲が風に煽られて、駆け足で来ては慌てて移動していく。そのたびに陽が射したり、曇ったり降ったり。気象はめまぐるしい。

本日昼の庭は、いっとき刺した陽を受けて短時間鮮やかな色に映えた。

黄色に染まった向こうの木はイタヤカエデ。
カフェの正面にあってこれからますます美しい黄色に染まる。
この紅葉を見ると、ああ秋だなとしんみりする。

明日は好天が期待できるらしい。
免許証の高齢者講習がある日でもある。座学60分、実車60分が予定されている。9月に済ませた認知症検査は95/100点だった(ちなみに前々回は100点でした←自慢です)。
仕事がら運転がまだ必要なので、安全に続けたいと願っています。

黒く垂れ込める雲 今冬はどうかお手柔らかにお願いしたい。

2020年11月9日(月曜日)

午後から夕刻へ、ぐぐっと気温が下がり、負けずに雨も激しく降った月曜日。

 

午後1時半ころの水田の雲。
重そうに垂れ込めた雲の下に何すじも降水雲が見られた。

 

近くの潟川の揚水ポンプ小屋に桜の木があり、そこに雀たちがよく集まる。
今日もジュ~と木全体が鳴っているように賑やかだった。
一部は下の庭に降りて草の種を食べている様子。

さていよいよ今年の雪が気になる。
今の所、皆様口を揃えて、今年は大雪ではと仰る。昨年が余りに楽だったので、遠慮されている節も窺われるが、妙高山の早い冠雪などから漠然と大雪の雰囲気が漂っている。

本日在宅回りの車は思いっきり雨に叩かれ、いっとき細かなミゾレが車窓を伝った。
私どもや鳥たちのために、とにかくお手柔らかに、お手柔らかに、お願いしたい。

風の日、白鳥(コハクチョウ)の初見 夕刻のカフェ。

2020年11月8日(日曜日)

昨日小島正芳先生の講演会が無事に終わり、ほっとした本日日曜日。
午前は書類書き、午後飛来しているという白鳥を探しに新柿線を走ってみた。走る間もなく長沢付近の田にマガンとともに3,40羽の群がいた。

 

 

水鳥たちは時々羽ばたきをする。
こんな時白鳥はとても大きく見え、よくも空を飛べるものだと感心する。

 

一羽が風で羽がまくり上げられたようになった。
こんな姿の白鳥を初めてみた。

 

 

強風によって中々元に戻らないようであり、
右側の一羽が声を出して何か言っていた。
この後両翼を広げて元に戻った。

 

そのうち左側の一群が賑やかに鳴きだした。

 

白鳥によく見られる鳴き合わせであろう。

 

コウコウと翼を広げ羽ばたきながら鳴く。

 

そのまた左の一群も鳴き初めた。
仲間や家族の無事を確認し合っている雰囲気がある。
しかし一種興奮した様子でもあり、時に中から逃げ出す者もいる。本当はどんな意味があるのかさっぱり分からない。

さて風によって落ち葉激しい美術館。紅葉はケヤキからカエデに移り始めた。閉館間近の夕刻に寄ったが、落ち葉の庭は独特のしみじみした季節感がある。モミジの落葉を楽しみにしたい。

間もなく本格的なミゾレが窓を叩くに違い無い。

夕刻、若いご夫婦が三人の可愛い女の子さんを挟んで、カフェのカウンターに並ばれた。幸福そうなシーンに心温められた。

小島正芳先生の講演会が盛会裡に終わった。

2020年11月7日(土曜日)

本日午前曇っていた空が午後から愚図つきがちなお天気となった。
そんな午後、新潟市から全国良寛会会長・小島正芳先生をお迎えして「齋藤三郎と良寛さん」の講演会があった。
40人のお客様をお迎えし、館内の気流確保と椅子ディスタンスの配慮、およびお客様検温と全員マスク着用で始めた。

講演は書道を学んだ髙田の新潟大学附属芸能科の思い出、受講した齋藤三郎との出会い、自然と一体化する良寛と三郎の共通したエッセンスが、ご持参された齋藤作品を示しながら説明された。

良寛ご専門の先生が、焼き物や三郎の系譜について非常に詳しいことに驚かされた。
齋藤作品について民芸の素地、白磁の温かみ、辰砂への愛情、ドクダミへの挑戦から椿への流れ、それぞれの器への繊細な心づかいなど詳細に語られ、それらから三郎が在野を貫き、民衆とともに生きた良寛の姿と重なることをお示しされた。

終わって、来年もまた是非ここでお話ください、とお願いした。
どんな内容が良いでしょうか、と先生。
「先生に全てお任せいたします」とお答えすると、「それが一番嬉しいです」と仰った。

本日は、学者特有の厳しさと、良寛と同じ論語の「思い邪(よこしま)無し」を貫かれる清々しい先生と半日ご一緒した。希なご縁を続けさせて頂き、来年もまたお話が聴けるよう心から願っています。

小島先生、ご来場の皆様、本日は誠に有り難うございました。

今ごろの落ち葉。

2020年11月6日(金曜日)

樹下美術館の1週間の忙と閑をみますと、以前から金曜日は閑な傾向がある。
週末前の金曜日は何かと皆様に用があるためなので、そうなるのでしょうか。

そんな本日金曜日は荒れもせず雲間から陽が射し、穏やかな日和だった。
11月上旬でヒマ、お天気はまあまあ。こんな日は落ち葉が気になる。

昼の庭でスタッフが二人、落ち葉掃きをしていた。

 

何カ所も葉を集めていく。

現在主にこのケヤキが葉を散らしている。

 

下から見るとまだ旺盛に葉を付けている。
見上げたスタッフがため息をついていた。

大風なら落ち葉はある場所に吹き寄せられたり、全体に吹き払われたりする。だが本日のように時折ふふと吹く風は、どこかで止めないと、掃いても掃いても落ちてきて切りがない。

 

スタッフさん、一生懸命掃いて下さり難うございました。

柿崎海岸の千鳥とカモメ。

2020年11月5日(木曜日)

午後休みの木曜日ながら仕事場に電話工事が入り、多くの時間を留守番として居残った。
途中携帯番号を業者の方に渡して短時間美術館へ顔を出した。
外は思ったよりも寒く、妙高山も根雪ではないかと思わせる白さになっていた。

先日柿崎海岸を歩いた時に出合った千鳥とカモメを載せました。

 

 

 

 

今年は千鳥を目にすることが少ない。前回見た時もこのたびも二羽だけ。かってしばしば十数羽を見ていたので、かなり寂しい。

ところで、他人と鳥自身がどう思っているか知るよしもないが、私は以前から柿崎の千鳥は母の化身ではないかと、勝手に思っている。近づくと逃げるが、完全に鳥になりきっているようで返って嬉しいのである。上掲の千鳥などそう思って見ると余計に愛らしい。

つぎはカモメです。
カモメは非常に強く、あのカラスさえ恐れるほどらしい。海岸にカラスが少ないのはそのせいだと、何かで見た事がある。

 

 

上掲のカモメは可愛い仕草をしていました。

以下はなにか男らしく見えましたが如何でしょうか。

オレが先に行くけどいいんだな。

 

な、いいんだな。

 

じゃあね。

海岸も色々想像して眺めると、時には退屈しません。
それにしても数を減らしたように見えた千鳥は大丈夫でしょうか。

小島正芳先生の講演会が近付いた 昨日文化の日の良寛の里行き。

2020年11月4日(水曜日)

当館で月1回最終日曜日に催していたお茶会。
コロナ禍の中、7月から始めましたが、10月で無事4回終え今月が最終月となりました。

ある月の会で床の間に掛けた伝良寛とされる漢詩をご覧になったお客様の機転から、全国良寛会会長・小島正芳先生とご縁が出来、その後のやり取りによって本書は、良寛五合庵時代初期の真蹟であることが判りました。

小島先生は新潟大学時代、髙田の芸能科で齋藤三郎の講義を受けて以来、氏に心酔されコレクションもされておられます。このたびのご縁により、来たる11月7日に「齋藤三郎と良寛さん」の講演をして頂くことになりました。
良寛を敬愛し、よくその話をしていたという齋藤三郎。長年におよぶ第一線の良寛研究者、小島先生。 当日どのような話を聴けるのか、とても楽しみです。

ところで、昨日文化の日のこと。
すっかり寝過ごしたと慌てて茶の間に出ると、今日は祝日と妻から告げられ、地獄で仏の心地がした。
この日は終日季節風が吹き荒れ、夜は雨も加わり、いよいよ今どきの空模様が続いた。

何も予定を決めてなかった祝日、午前は柿崎海岸を歩き、昼は本を読み軽い食事をした。その後思い立ち長岡市島崎の「良寛の里わしま」へ車を走らせた。
お目当ては良寛の里美術館。かって25年ほど前に初めて訪ねて以来何度か足を運んだ。
田園に囲まれた一帯の丘陵地は良寛の仮寓地国上山や最晩年の地島崎に近く、如何にも良寛の里の風情が漂う。

 

良寛の代表作やゆかり深い親族や親交者の作品が
静かなたたずまいの中で澄んだ気品を漂わせている。
(当然ながら展示室は撮影出来ません)

秋の足は速い。この地への訪問の目的はもう一つ、旧和島村篭田の「椿の森」熊野神社に寄ることだった。当地は古くは水運の要地で、境内の見事な椿林によって「椿の森」と呼ばれていたらしい。

良寛の姪が神社の神官家に嫁いでいて、良寛はたびたび家を訪ねている。
祭では白塗りをして踊ったと伝えられている。
椿の森入り口近くに設置された「幾千の和」
過日柏崎市のドナルドキーンセンターで写真を見た実物。
今井翔太・今井駿哉兄弟作によるトレーラーに描かれた壁画。
社殿と良寛、貞心尼の座像に椿が散らされている。

 

暮れかかる一帯の風景。

良寛さんには、子供たちとの野遊びなどに関した詩文やのどかなエピソードが多数残っている。ただ上掲のような風景を見ると、1日の乞食托鉢を終え、暮れるなか一人山へ家路を急ぐ禅師の姿がぼんやり浮かぶ。

昔から私にはこの眼で見てみたい人が二人いる。会いたいのではなく、一人歩いているのを遠くから見てみたいのである。
二人のうちの一人はキリスト、もう一人は良寛だった。
実際には会えないのは分かっているので勝手にイメージするしかない。
粗末ななりをして一人夕暮れを歩く姿を、ぼんやりした光が包んでいる、そんな様子が浮かぶのである。
もう一人、これは実際に会って話を聞きたい人が居て、1818年生まれの高祖父・玄作爺さんです。
どんな顔をしていたの?父母はどんな人でしたか?どうやって医者になったの?本当に高野長英を匿ったの?本当にドンドの池の洗濯女を妻にしたの?旅した当時の京都は?信州でどんな人達と合っていたの?

出来ればこの眼で見てみたい、あるいは会って見たい人。
皆さんはどんな人でしょうか。

以下はわずかですが、所蔵する良寛様関連の本です。

 上下の写真のそれぞれ一番上に、小島先生の近著を載せました。

中に齋藤三郎の兄・齋藤泰全和尚の著「良寛の生涯」(編者齋藤謹也 昭和63年洞門教材社発行)があります。
多くは読んでいた頃から2,30年ほど経ちました。この機会を得て、再読すべき年になったと思っています。

●コロナ禍で講演会の参加数を減らしましたため、申し込みが予定いっぱいになりました。
小島先生にはお聴きしたいお話が沢山ありますので、来年もと念願しています。
実現出来た時は皆様にもどうか宜しくお願い申し上げます。

大潟水と森公園のリンドウ (農)大潟ナショナルカントリー周辺のスズメの群。

2020年11月2日(月曜日)

昨日日曜日は新潟県立大潟水と森公園へ行った。前日の頸城区大池いこいの森のビオトープと同じく、リンドウが見られればと思って出かけた。

何度も訪れている公園だがリンドウを見た事が無かった。それが今春歴史ゾーンで一株見つけたので、咲いているのではと出かけた次第。

 

園内歴史ゾーンの古墳への道。
花は写真の道の右側で、少し入った草地で見られた。

一本でもと期待したところ、歴史ゾーンの園路に沿って西側の草地でかなり沢山花が見られた。
リンドウはしばしば茎の長さが数十センチ、あるいはそれ以上のものも見る。しかし公園のは背丈が低く、花数も一輪が多く、まことに楚々とした印象だった。
これらは多分夏草刈りのせいではないかと考えられる。刈ることで姿が小振りになったり、丈夫に育つなどの効果がある。

 

 

 

 

他に替えがたい美しい色をしているリンドウ。

一本どころか沢山あり嬉しかった。
自生していたものが手入れによって増えているに違い無い。同園の秋の楽しみになった。

 

さて公園の帰路大潟区潟田でスズメの群を見た。路上や脇に沢山いて、車で通過すると一斉に飛び立った。撮りやすい所へ、そーっと引き返し窓を開け車内からファインダーを覗いた。

 

 

 

 

9月のころに見ていた数十羽の群とは格段に数が違う。

 

 

 

 

茶とベージュと黒がシックなスズメ。
私の友人でお洒落な男がいるが、およそこのような色使いを好んでいる。

 

群は、車が来るたび近くの電線や屋根に飛び立ち、とても忙しい。
群はタカなど猛禽の襲撃に備え、
そばに樹木や建物など、
飛んで逃れるものがあるところで主に食餌するという。

場所は農業組合法人ナショナルカントリーの事務所と作業場の付近。
落ち穂があるのか、うってつけの場所に大きな群で来ていた。
最近見た群の中でもっとも数が多いかも知れない。

数で思い当たるとすれば、昨冬の暖かさだ。
先日書いたように北国のスズメは厳しさにより、ひと冬で数多くが失われるという。
その点、温暖で極端に雪が少なかった昨冬は、スズメにとって大変大きな恩恵だったはず。
例年よりも多くが冬を越えたとすると、今年の繁殖数も通常以上だったと考えられる。

数が減り続けていると言われているスズメ。
稲作の食害は負、害虫捕食は益と、農業と微妙な関係にある。
だが減り続けるだけでは余りに淋しい。昨年の暖冬を機に少しでも勢いを盛り返してくれればと思う。

昨日歩いた大池いこいの森のビオトープ、リンドウ、オヤマボクチ、カケス、ウグイスなど。

2020年11月1日(日曜日)

昨日土曜日の午後は柿崎海岸でハマゴウなどをいつもより熱心に眺めた。

まだ陽があるのでその後頸城区の自然実践センターへ行った。ここは今年4月、コロナ禍が深刻になるなか一度来ている。
その時、湿地環境の新緑がとても気持ちが良かった。
今回はリンドウと野鳥との出会いが目的と言えば目的。そもそも特別な目的など無くとも、季節を問わず自然は何かしらの面白みや独自の風情を楽しめるものだと思う。

場所はほくほく線「大池いこいの森 駅」からすぐで、車は駅駐車場に停めた。名称は学習実践センターといかめしいが、かなり大規模なビオトープである。恐らくもとからある湿地に周辺の丘陵の湧水を組み合わせて整備されていると考えられる。

 

園内に入ってすぐ物音に振り返ると、ほくほく線の電車が通過して行った。

 

 

まだしっかり穂が残っているガマの一種。

歩いて間もなく所どころでお目当てのリンドウと出合い、満足だった。

 

 

湿り気を好むので道の山側を主に花が見られた。

 

オヤマボクチもちゃんと咲いている。
大げさな咲きっぷりはどこか滑稽で親しめる。

 

ヤマユリの実ではないかと思った。

 

枯れ木の蔦が紅葉している。

 

周囲から盛んに「ジッジッツジッ」と鳥の鳴き声が聞こえるものの姿が見えない。
ほんの短い時間、眼前に現れたのはやはりウグイスだった。
樹下美術館脇の野ブドウの茂みでもウグイスが地鳴きをしている。
(なかなか姿を現しません)

 

ギャーギャー!と園内に響き渡る悲鳴のような鳴き声の主はこの鳥。
初めて見たカケスだった。大きさはヒヨドリ以上かもしれない。
鳴き声だけは何度も聞いていたが、外見がこんなに綺麗だとは。

 

道に沿って進んで行くと先が明るくなる。

 

ビジターセンターから橋を渡って入る湖畔のゾーンに出た。

 

見慣れた池の眺め。

ここで道を引き返した。

 

 

手入れされた気持ち良い眺め。

 

駅駐車場に戻ると上り電車が入線してきた。

よほど広大な自然林ならともかく(たとえ国立公園でも)、住環境に近い自然は一定の手入れをしないと荒れる。リンドウやキキョウなども、かっての農業やカヤ刈りで行っていたように下草刈りをしないとヤブに埋没し消えてしまう。

春は奥まで進まずに引き返したビオトープ。
昨日は思ってもみなかったが大池の湖畔に出て、公園のスケールの大きさを垣間見た。同時に緊張感をもって一帯を維持管理されていることが伝わり、関係の方々に敬意を禁じ得ない。

話変わって本日11月1日、日曜日。
春の大潟水と森公園でリンドウを見ていたので、花はどうかなと出かけてみた。
すると歩道から一歩外れた刈った草地に沢山咲いているのを見て驚いた。

その様子と、田んぼで目にしたスズメの大群?を次回書かせて下さい。

10月最後の日の海岸植物。

2020年10月31日(土曜日)

快晴の土曜日、昼食に美術館に寄り軽い食事のあと午後から柿崎海岸へ行った。
昨日書いた通り昼間の植物、特にハマゴウの実をよく見たいために出かけた次第。

 

数日荒れ模様だった後の晴れ間。海も空も良い色だった。

さて海岸線を覆うハマゴウは大方優しい紫色の花を終えていた。
一端を載せてみます。

 

僅かながら花をつけるものがあり、葉は青い。

 

これは花後の実。実は赤味を帯び葉はわずかに青みを残している。

 

この一群は実が黄色になっている。葉の色は褪せている。

 

ここでは実が黒くなり、落葉している。

海岸線を覆う低木のハマゴウは夏~初秋に花をつける。久し振りの10月最後の海岸ではごく一部が僅かに花を残すだけだった。
多くの群落を作る野性植物は季節の進行とともに一斉に同じように振る舞う。しかし本日のハマゴウは花と実の時期状態にばらつきが目立ち、少々驚きかつ不思議だった。
また、ばらつきはてんでんばらばらでは無く、幾分小さな群でまとまりが見られ、それぞれの進行に何らかの要因が働いていることが窺われたが、それが何かよく分からなかった。

だがもしかしたら、しばしばかぶる波が場所によって異なり、それが死活サイクルにわずかなばらつきを生じさせ、結果生育進度にずれが見られるのかもしれない、と想像してみたが、どうだろう?

以上くどくどとハマゴウの現象を書いてみましたが、一方ご覧のように時期ごとの実と葉の色や形状がシックで、なかなかお洒落な植物だなと思いました。皆様は如何でしたか。

 

夏を中心に権勢を誇ったコウボウムギは殆ど姿を消している。
本日見たのはこれ一つ。

 

一面に白い花を咲かせたハマボウフウは、ビッシリ種を残して花を終えていた。

 

海岸線から5,60メートルで砂防柵が連なっている。
柵の海側、山側で植物の様子が全く異っていた。

海側にハマゴウ、ハマヒルガオ、ハマボウフウなどかなり限定された植物のみ群を作っている。一方山側は、わずかな隔たりにも拘わらず、ササをはじめ野の草花など大変多様だった。
以下そのごく一例です。

 

ノイバラ

 

アメリカネナシカズラ
絡んだ糸か網のようであるが、海岸などで見られるツル性の植物だという。

 

よくお目に掛かるアオツヅラフジ

 

さて帰ろうとする車のそばにスズメがいました。

ある意味不思議な鳥、スズメ。
これは数羽の小さなグループの一羽。
クチバシの根元の色が浅く、今年の若鳥のようだ。

大きな群から離れているのは、一帯をすみかに決めたためだろうか。
厳しい冬に向かってどうか頑張ってもらいたい。
本によるとかなり多くのスズメは冬に失われるらしい。

以上のようにハマゴウを中心に学童の戸外学習のような海でした。
目を凝らすと面白いことや不思議なこともありました。
この後、頸城区の自然学習実践センター(ビオトープ)へ行きましたので、そちらは明日などに掲載させて下さい。

2025年7月
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