2024年11月26日

柏崎、上越、晩秋の野道 斎京まさ子さんの本。

2024年11月26日(火曜日)

24日日曜日に訪ねた柏崎は木村茶道美術館。二服のお茶を美味しく飲んだあと同市米山台の西方面へと向かった。そこから県道鯨波宮川線に抜ける林道でかってエナガを撮影したことがあり、くねくねした道の春秋も気に入っているため寄り道をした次第。
残念ながら目指す鳥の姿は無かったが、落ち葉の道で赤い木の実などを観ながら車を降りては歩き、戻ってはまた走るを繰り返した。

熟れたガマズミの実。
鳥でなくても食べたくなる。

アケビ。

キヌガサソウに似たクルマバハグマ。
よく見るが名を覚えられない。

陽に映えるモミジ。

以下は樹下美術館付近の道で見た赤い実です。

ヒヨドリジョウゴ。

マユミ。
樹下美術館にも自生している。

ノイバラ。

この日の午前はかなり降った。午後は上がり時々明るい陽が射し赤い実や紅葉は晩秋の野に映えた。

ところで上掲のクルマバハグマの名が中々分からなかった。ネットや本で色々調べるが出てくるのはキヌガサソウばかり。検索を色々変え、偶々一つだけヒットたので助った。そんな中、ひょっこり本棚から現れた一冊の本があった。

著者は上越市のお茶人斎京まさ子さん。四季折々の野草の写真集だが、写真、文とも隅々神経が行き届いている。花は花器の風情と相俟ってまことに麗しく、これだけで茶のエッセンスに触れる事が出来そうだった。

「頸城野 雪が育む花」 著者斎京まさ子
新潟日報事業社2014年12月2日発行。

晩秋の部の最後に以下の俳句があり文が附記されていた。

めぐり来て また問答の 萩薄   まさ子

 紅葉の季節も過ぎ、晩秋ともなれば枯れ野に木の実、草の実が鮮やかである。色とりどりの木の実が点々と、葉の落ちた梢を彩る。実の形や色を頼りに、木の名前を思い出しながら歩く。冬を間近に控えた、華やぎと寂しさが同居する山も好きである。

美しいページをめくりながら四季移ろう自然への敬いにも似た愛しみを感じないわけにはいかない。厳しいお茶修行を積まれたお人柄が滲む素晴らしい一冊だと思った。

かってまさ子さんから以下の香合を頂いている。

齋藤三郎作 拍子木香合。

木村茶道美術館の貴重、庭園の紅葉ライトアップと駐車料金。

2024年11月26日(火曜日)

一昨日は柏崎市の木村茶道美術館を訪ねたことを書かせて頂いた。しかしまだまだ貴重なエッセンスがある。その一つが訪問者への気遣いだ。
同館茶室は最大20名の着席が可能で、いわば大寄せの会と言える。一般に大寄せのお茶碗は正客、次客、三客あたりまで特に選んだ碗が出され、多くの場合それ以下はいわゆる「数茶碗」と称される同じ形状のものが出されることが多い。
しかし同美術館では末客まで展示室に飾られる貴重な茶碗が供される。事実今年のある席で、15番目あたりのお客さんは人間国宝の田村耕一の味わい深い茶碗で飲まれ、傍目にも羨ましかった。

当日の席で、「皆さまから同じお金を頂いていますから、最後の人まで展示のお茶碗でお出ししています」と学芸の方が説明された。またお客様により希にお道具が傷つくことが起きるらしいが、「それもまたお道具の運命と考えています」と述べられた。いずれも同館創始者・木村翁のお考えと言うことで、何と心こもった言葉だろうと思った。

一昨日のお釜の鐶付き(かんつき)は
愛らしいトンボだった。

さて斯く木村茶道美術館は全国的にも貴重な施設だが、一昨日の駐車場にはいささか不満があった。駐車場は美術館の直近、赤坂山公園第4駐車場をいつも利用している。伺った時間は午後早い時間で30台のスペースはガラ空きだった。だが普段出入り自由なのに安全ベストを着けた係り員が大勢居て物々しい。小屋の窓口に寄ってと言われ1000円の料金を払った。松雲山荘の紅葉時期なので有料になっているらしかった。


同所はどう過ごしても1~2時間であろう、1000円は如何にも高いと実感する。但し書きにライトアップ駐車場運営協力金として、と書かれていた。時刻は午後1時頃でライトアップでもない。それに備えた協力金と理解するにしても、一般的に公共の駐車場は2時間居てもせいぜい200~300円程度ではないだろうか。

この日、お茶が終わりスタッフさんと言葉を交わしたときに“今年の紅葉は1000円も駐車料金を払った割りにいまいちですね”と述べた。すると彼女は慌てた風に“ここへ来るなら500円でいいはずです。お金をお返しするか、良ければ外のお茶席でもう一服どうぞ”と仰った。
別に入館料を払う美術館の利用者向けに500円の駐車券があるらしかった。だが現場では何も訊かれずに1000円を払っていた。美術館の応対が常に丁寧であるだけに何も説明しない駐車場はあまり良い印象とは言えなかった。

美術館を出てすぐのあずま屋に野点(のだて)席があり着物のスタッフさんおられた。美術館で勧められたように寄ってみた。

温かく美味しいお茶をまた頂いた。
お客さんの姿がなく寂しい。

次々の来園者さん。

陽が射してサザンカとともに
美しく映える場所もあった。

柏崎市は様々な宗教の寺があり木喰仏や庚申塔も多く、如何にも自由な気風と信心深さが垣間見られる。商人や文化人、茶人や工芸家、酒造家に趣味人などを輩出し多彩な文化を誇り、好きな街として暇を見ては通っている。

このたび1、2時間の駐車に1000円も取るなら、せめて東屋のお抹茶席で一服飲んで頂くなど「もてなし」を付けたらどうだろう。行列が出来るくらいでも良いではないか。あるいはライトアップに費用がかさむなら、30台の駐車場に5人6人のスタッフは要らないかもしれない。

お終いに、当欄にしては珍しく他所の不満を書き悪いことをしたように感じる。どうか世間知らずとしてお許しください。

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