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19日の上京 展覧会 食事。

2016年11月20日(日曜日)

昨日11月19日土曜日は午後早く上京した。
20年ほど続けている二人の級友と夫婦で食事
をするためだった。

着いてすぐ国立新美術館の「ダリ展」に行った。
それが混雑していて30分待ちの行列だった。
幸い隣で「日展洋画部門」が開催されていたので
そちらに回った。

天下に名をとどろかす日展だが、実際入場する
のは初めて。
大きな作品が何室もある広大な展示場を埋め尽く
している。
一つの壁面に5,6点掛かっているが、妻と気に
入ったものを指さしながら回った。

以下はショップで求めた出品作品のポストカード
から。

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長野県中野市出身、三沢忠氏の「妙高山」

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東京都出身、石川實氏の「カサ松雪に立つ」

比較的親しみ易い作品が多かったが膨大な大作
に少々疲れて、カフェで一休みした。

夕刻の級友夫妻ら8人での会食は異なる味わい
の白ワイン二種で始まり、赤は野うづらのパイ包
み焼きに登場、一層料理を引き立てた。
チーズは出来るだけ匂いのきついものを5,6種
選んで、貴腐ワインで味わったが、どうしても駄目
なものが一つあった。

1年8ヶ月ぶりの酒なので体が驚かないようにゆ
っくり味わった。
セレクションはいつものようにKがソムリエとやりと
りしてリーズナブルかつ変化を楽しめるように決め
てくれる。

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どこかダリの作品を思わせる「野うづらのパイ包み焼き」

私の長男が以前からKに憧れていて、今回初め
て夫婦で特別参加した。
幾分緊張の面持ちだったが、終わって私たちの
ことを羨ましいと言ってくれた。

年取って胃もアルコール認容力も半減する。
それでも食べ物の事、ビートルズ来日の日の事、
志賀直哉、太宰治、シャルル・アズナブール、エ
ディット・ピアフ、互いの病、京都のことなどが語
られ、長男はインドでの失敗談を話した。

当日逸したダリ展は翌日20午前に変更する事に
した。

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2016年11月20日(日曜日)

昨日は国立新美術館のダリ展が混んでいたため、隣
の日展洋画部門を観たことを書かせて頂いた。
そこでダリ展の方を20日日曜日の午前、観に行った。

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「ポルト・ガドの聖母」の表看板。

幸いなことに行列せずに済んだが、館内は混んでい
て4重5重の列にまぎれて観た。

同時代の一般的な観点から出発し、激動の時代
に鋭敏に反応しながら変化していく仕事の流れが
よく分かる。

その結果作品は多岐で、穏やかな風景画、人物
への超接近、精神分析的な手法、大スペクタクル、
量子力学的な視点、商業デザイン、舞台、映像、
そして時代の寵児として自身が商品にまでなる。

ベラスケス、グレコ、ゴヤ、ピカソ、ミロ、などなどス
ペインは多くの画家を輩出しているが、個性的であ
る。
中でダリの乾燥した空と大地の透明な背景はカタル
ーニャの人ならではのものなのか。
これによって主要な部分が一層迫り出る。
だが注意深くしていないと、遠く小さく、あるいはすぐ
間近にテーマが補完されたり隠されているなど、一種
だまし絵の如く意図されていることもある。

意味と視点は重要だが、込められた記号や寓意を見
つけたり考える楽しさは一種エンターテイメントとして
も独特の魅力になっている。
難解としか言いようがないものも結構あったが、それ
らもダリ的と言えばいいのかもしれず、幸福な芸術家
ではないかと思った。

入館者の多くが若い人だったのも印象的だった。

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展覧会カタログ裏表紙のサルバトール・ダリ。
ぎょろりとした目とカイゼルひげ、見た目がまず
「芸術的」で、奇行やエピソードにこと欠かなかっ
た人は、実はとても繊細だったという。

見終えてカフェのテラス席で飲み物を飲んでいると
下にあるケヤキ落ち葉の道を思い思いに行き交う人
が見えて心なごんだ。

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展覧会を後にして、過日樹下美術館のコンサートで素晴
らしい演奏をされたチェリストの竹花加奈子さんがセット
して下さった昼食をご一緒した。

虎ノ門にある超高層ビルは51Fの広々としたレストランだっ
た。

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レストランのアプローチにあった巻いた板と鋼鉄の網
による椅子のオブジェはちゃんと座れる。

スペインで充実した音楽留学をされている竹花さん
の世界は豊かで、2時間の昼食を楽しませて頂いた。
午前はダリ、昼食は竹花さん、スペインゆかりの昼で
した。

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51階はさすがに高く、自分が知っている都心部は
すっかり様変わりしたが、まだ変わるのだろうか。

現在東京で建築中の建物はすべてオリンピックまでに
終わらせなければならない、という。

北陸新幹線のお陰で上京は便利になり、行きに寄った
西口の駅駐車場はこの度も満車だった。

二日にわたり長くなりました。

10月8日のプログラム 秋の日射しと空。

2016年10月1日(土曜日)

次週土曜日10月8日のコンサート「チェロとギターの夕べ
のプログラムが演奏者さんから届きました。

チェロ:竹花加奈子さん、ギター:蓮見昭夫さんのデュオ。
虫の音聞こえる秋の宵にふさわしいロマンティックなプロ
グラムです。

チェロギタープログ
スペインで学ばれた竹花さん、ドイツで学ばれた蓮見さん
の息の合った一種エキゾチックなデュオは樹下美術館のホ
ールを心地良く振るわせることでしょう。
個性にじむお二人のオリジナル曲も大変楽しみです。

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さて雨降り9月でしたが、この数日は日射しが戻っています。
夕刻のいっとき、秋の芝生に木漏れ日が落ちる時間の静けさ
に心休まります。

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↑今夏の日照りで苦労した芝生がやや落ち着きを取り戻した。 
これから肥料と土をくれる秋の作業が待っている。

近づく「チェロとギターの夕べ」  本日お彼岸のSPレコード。

2016年9月22日(木曜日)

本日秋分の日は終日小雨が降ったり止んだりしました。
毎日梅雨のようですが、週末には晴れ間がある模様です。

さて10月8日(土曜日)のチェロとギターの夕べトが近づ
きました。
小さなホールで心と耳はおろか肌まで振るわせる二つの
楽器の演奏にご期待ください。

お陰様で現在30名様を越えましたが、いま少々の余裕が
ありますので、皆様ふるってご参加下さい。

先日、富山市からお申し込みがあり、びっくりしています。

 

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本日SPレコードを持参された方と蓄音機を回して聴き
ました。
ショパンのワルツ10番(P/リパッティ)やバッハの音楽
の捧げ物(イタリアントリオ)ほかがかかりました。
特に絶品とされるリパッティのショパンのワルツには皆
で深いため息をつきました。

電気を用いず、盤の振動波形から直接取り出される音
楽ですが、不思議と雨の日が合っているように感じられ
ます。
針からサウンドボックスを経てホーンへ、そして耳へ。
自然な音の伝導に、雨の日の湿度が優しく作用してい
るのか。
あるいは、しっとりした雨の日は心を鋭敏にする何かが
あるのもしれません。

カフェの図書の入れ替え その1。

2016年9月21日(水曜日)

カフェの図書を十冊ほど入れ替える予定ですので、何回かに
分けてご案内致します。

以下は明日から置かれる本です。

 

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↑「写真ものがたり 昭和の暮らし1 農村」
著者須藤功 農山漁村文化協会 2004年3月10日発行。

草の道、藁葺きの家、一家総出の手仕事、働いて働いて働く
一年、子は親の傍らで手伝い遊び育ち、近隣縁者が助け合い
祝いあった農村。
一部は昭和50年代中頃まで続いたこうした姿は“貧しくとも
豊か”と言われるように、あるいはそれ以上貴重な異文化の
如く記録されている。
私たちは、日頃忘れ物をしては探したり取りに戻る。
克明に撮影された昔の農村の一枚一枚の写真には数え切
れないくらいの忘れ物が写っている。

 

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↑「写真ものがたり 昭和の暮らし2 山村」
著者須藤功 農山漁村文化協会 2004年6月15日発行。

山村は農村よりも暮らしが複合的である。山村とは言え一部
に棚田を有し、山の木を切り運び植林し、獣や川魚を獲り、
炭を焼き、焼き畑を行い、ヒエやソバを栽培し、山ほど山菜を
採り険しい山坂を歩く。
いつ何処で何が採れるか、子供もよく知っていて、山に入ると
「これは来年の分」と言って取り残しをするのも山村の智恵だ。
危険が多いため農業よりも役割分担などに厳しさが見られる
が、神への祈りと感謝そして祝いごとは農村と良く似ている。

上掲の二冊から、農村も山村も化学とガソリンと電気の導入
で、仕事は様変わりし、生活様式や交通手段も変わった。
筋肉と智恵と忍耐で助け合いまた喜びあった一昔前までの農
山村の暮らし。
戦や学芸ばかりが歴史ではないことを深く知らされる。

 

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↑「文豪の家」
著者(監修)高橋敏夫、田村景子 エクスナレッジ2013年4月
30日発行。

昔の人は今より多く住処を変える。転勤族でもないのに作家た
ちは次々よく替えている。
本書には生家をはじめ最も愛した家を中心についの住処まで、
太宰治から若山牧水まで36人の文学者の家と室内の写真が、
時に本人自身とともに並ぶ。
しもた屋から豪邸まで様々で、純和風と和洋折衷が多い。
故郷でも仮住まいであっても、家は作品にこまやかな影響を及
ぼしている事が分かる。

 

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↑「文士の時代」
朝日新聞社 1986年4月25日発行。

作家を撮影した写真集で、接近したポートレートもあるが、
多くは書斎や庭や、何かの風景などと共に撮影されている。
ゴルフ場の石川達三、油絵を描く田村泰次郎、破れ障子の
前の檀一雄、大きなライオンに餌をやる火野葦平、郊外で子
供に囲まれる坪田譲治、枯れ野でヤギを散歩させる伊藤整、
競馬場の舟橋聖一、着物姿が似合っている吉行淳之介、
大岡昇平、大佛次郎、亀井勝一郎そして高見順、私も一応
座ってみた銀座のバー「ルパン」のカウンターの太宰治。
83人もの文士たちが有する、時代と生い立ちに翻弄されつつ
ペンを執り続けた気骨と、確固たる個性に加えて滲む独特の
エレガントさは一体なんだろう。

昭和時代、テレビやジャーナルにはしばしば作家が登場し、
その人の本を読んでいなくても名前と顔くらいは皆知っ
ていた。
彼らには一種の迫力があり、着物や帽子が似合い、酒場
、野末あるいは銀座などお好みの場所を有し、作品と共に
個人的な話題も賑やかだった。
私だけの見解かもしれないが、今や文士は死語になりつつ
あり、まず文豪を聞く事も無い。

この30年足らず、平成はそれ以前の長い時代とは異国のよ
うに変った。
すみずみまで「便利で美味しく」なったが、病む人も多いこと
から、果たして幸福かと言えば、それだけは一概に言えない。

蓄音機でSPレコード 皆様のお陰で庭が辛い夏を越た。

2016年9月8日(木曜日)

予報通りに雨降った本日木曜日、水曜日に替っ
て本日午後、特別養護老人ホームの出務があっ
た。
一昨日は一時間もかかる歯科検診、昨日は公的
な産業保険の仕事が入ったりで珍しく連日午後が
忙しかった。

その本日特養を終えた美術館にSPレコードを携え
て友人夫婦が来られた。
カフェの蓄音機を回して古き上質な音楽に包まれる
うち、いつしか2時間半が経った。

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モネ人形も雨も、窓に付いた虫も、やって来たハ
クセキレイもみなで聴いたSPレコード。

雨の庭を見ながら、メンデルスゾーンの無言歌か
ら二曲、若きメニューインによるバッハのヴァイオ
リンソナタなど全部で7,8曲を心ゆくまで聴かせて
もらった。
最後にはなんと1945~50年頃のフランクシナトラ
の「デイ・バイ・デイ」ほかがかかって心弾んだ。
当時のシナトラは声が甘く柔らかで女性に大変な
人気があった。
当然モテモテで、エヴァ・ガードナーとの結婚も
まったく致し方ない事だった。

庭のお手伝いをして下さるお客様のお陰で辛い夏を
無事越えるめどが付いた。
また男性スタッフの芝刈りで最後の美しさの時期を
迎えることも出来る。

間もなく秋の庭仕事の時期になる。

目頭が熱くなったルノワール展。

2016年8月22日(月曜日)

去る20日土曜日午後から日帰りで上京し、国立新美術
館で「ルノワール展」を観てきた。
8月の金、土曜日は20時まで時間が延長されていて、
会期終了も近く混雑はしていたがゆっくり観ることが出
来た。

この度はルノワールの記念碑的傑作「ムーラン・ド・ラ・
ギャレットの舞踏会」の初来日、「都会のダンス」と「田舎
のダンス」の45年ぶりほか、多くの代表作が架けられな
どで、8月16日で60万人の入館者という人気がうなず
けた。

図録
展覧会図録の「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」
の部分。

以下に感想などをしるしてみました。

●ルノワールは“幸福こそ描くにふさわしいもの”と明言し
て止まなかった画家であり、このようなことは分野を問わ
ずまず他に類を見ない姿勢であろう。
価値観が複雑曖昧な今日、この明快さはますます貴重
であり、幸福を考えるとき、彼の作品に何らかヒントがあ
るようにさえ思われる。

●幸福な絵であるが、作品にはコツ、コツ、コツ、といっ
た親しみやすい時間が流れ、あたりの色や光が如実に
反映され、折々に風が吹いていたり、気温や湿度が感
じられ、モデルの人柄が想像できるほか、画家の機嫌
や眼差し、時にはフーという呼吸も感じられる。
それで、ゆうに100年以上経っているはずの作品が描か
れたばかりのように新鮮で豊かに感じることが出来る。
たった1枚の平面の上にである、、、。

●画家の作品には狙いや気負った作意など余計な雑
音は少なく、特に画風確立して以最後までの情熱と没
頭の作品は暖かく楽しく、見事というほかない。

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当日午後3時半の入場行列。

●今どきこんなに、と思うほど若者の姿が多かった。
印象派の明快さ、特にルノワールの幸福感と心地良さ
が脱現代および手仕事や風合いへの率直な回帰を促し
ているとすれば、それもよく分かる気がした。

●印象派の時代に確立して行ったと考えられる写真が当
時の画家を強く刺激したと考えらる。
画家達は写真で得られない表現、それを越える表現に
迫られ、かつ一層の自己確立へと没頭したにちがいない。

●すでに展覧会は終了し、パリはオルセー美術館とオラ
ンジェリー美術館へ行かなければ作品と再会できない。
年取って貧乏暇なしの自分には無理であり、これでお別
れ、と思うと途中で目頭が熱くなった。

“ルノワールに始まりルノワールに終わる”は自分にあり
そうなことで、その画集に関係した遠くほろ苦いな思い出も
あるため、余計そんな風に感じる.

この度の展覧会行きを促してくださった方に心か感謝し
ています。

午後、急いで行ったルノワール展の東京 オリンピックの女子ゴルフ。

2016年8月20日(土曜日)

ルノワール展が良かったので是非見てというお客様の話。
もう会期終了が迫っていたため、診療を終えた午後急い
で上京し、展覧会だけ見て帰った。

ルノワールに始まりルノワールに終わる。
こんな言葉があるのかな、と思うほど人気の会場だった。
本日の閉館が20時という土曜の特異日だったため日帰り
でも観ることが出来た。

貴重な展覧会のことは後で記載することにして、久々の東
京は台風の影響でめまぐるしいお天気、本日ばかりは傘
を持参して助かった。

 

1
↑出発前、上越妙高駅で。

 

2
東京駅と雲。

 

3
急速に広がる雲、日傘を差す人。

 

4
たけし氏の大きな写真が六本木の街角を見ている。

 

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会場の国立新美術館にも雲と日傘。

 

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観終えて休んでいると驟雨、満席のテラスから一斉に人が消える。

 

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帰りの東京駅南口で見たビルが印象的。

 

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ビルの基部に残された旧館がシックで魅力的。
特に時計が効いていた(昭和の建物は人なつこい)。

 

さて以下は本日の美術館(国立新美術館)の入場行列。

10
混んでいたが20分待って入れた。
あと二日、もう一度観たい名残惜しさがつのる。

妻ではありませんが、日帰りの割にゆっくり出来ました。
これも北陸新幹線のお陰でしょう。
ルノワール展につきましては次回記載の予定です。

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昨日記載のオリンピック女子ゴルフは本日最終日。
アジア勢、ことのほか韓国の強さが際だっていました。
メダルを逸したアメリカ選手の涙が印象的でしたが、現
在のゴルフ界を象徴するシーンだったと思いました。

日本の野村敏京(はるきょう)選手は最終組の最終ホ
ールで抜かれましたが、4位に入賞し健闘しました。

また昨日何気なく記載しましたロシアの選手は、本日
ホールインワンを記録するなど62のコースレコードを
打ち建てました。
4年間は破られない保証付きの記録、オリンピックな
らでは、ですね。

100年以上という長いブランクを経て再開されたゴル
フ。
女子で30数カ国も参加があったということですから、今
後さらに人気になるのではないでしょうか。

10月8日(土曜日)はチェロとギターの美術館コンサート。

2016年8月17日(水曜日)

今秋10月8日(土曜日)の夕刻に音楽会
「チェロとギターの夕べ」を開催致します。

スイスとスペインで研鑽されたチェロの竹花加奈子さん、
ドイツとイタリアで研鑽されたギターの蓮見昭夫さん。

秋の夕べのひと時
心打つデュオを存分にお楽しみください。

場所:樹下美術館
時間:18時30分開演 

 

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2012および13年のお二人の演奏会は大きな好評を博しました。

 

今夕の月
夕刻日没のころ、明日満月を迎える月が穏やかに昇っていました。

釜蓋遺跡の出土品を見る 巡業中の力士と会う。

2016年8月7日(日曜日)

昨年3月に開業した北陸新幹線の新駅「上越妙高」
周辺の関連工事における2005年の調査時、弥生
時代~古墳時代の大規模な遺跡、遺構が発見され、
2008年度の国史跡に指定された。

遺跡は埋め戻されているが案内施設(ガイダンス)
に出土品や説明物が展示されている。
上越妙高駅の目の前であるが訪れたことが無く、本日
お近くの方の案内で念願が叶った。

どんなものでも身近なものは詳しく見たくなるし、
知り合いの音楽や絵画などに特有の親しみを
感じるのは自然であろう。

展示物は決して多く無かったが照明がほどよく、
土器類の質感や文様が良く見え興味深かった。

 

2
↑展示の弥生土器から明るい印象を受ける。
縄文土器のおどろおどろしさ、須恵器の暗さ
からみると単純だが、当時の生活感も伝わる。

端正な器には一部でロクロ技術が用い
られていたのかと思うほどのものがある。
九州から始まったとされるクシ目模様もしっかり
施され、文化度の高さも十分ではないだろうか。

今後も周辺の発掘は続けられるが、いっそう
ダイナミックな展示が期待されるし、市県とも
もっともっとこの方面への注力を望みたい。

 

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↑口作りにへらで模様を点けている。
肩の線も滑らかで美しい。

 

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↑5,6本の歯からなるクシ目で波形に模様を点けてある。

 

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↑10数本の細い歯のクシで円周に沿って複数ケ所模様を
施している。
ロクロが無かったとすると、一人で器を回して彫ったか、
もう一人の回す人と共同作業で櫛目を付けたのか。

 

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↑何重もの同心円を重複させて描いている。
クシを使ってコンパス式に回して彫り模様を付けたようにも
思われるが、フリーハンドで同心円を彫ったようにも見える。

 

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↑体験学習あるいは同好者が作成した弥生土器。
説明者が「どうやっても出土する土器のように薄
く作ることが出来ない」と仰った。
生活者の探求と技術は簡単に追従を許さない。

展示室にさらに南に下った吹上(ふきあげ)遺跡
で多く出土したヒスイの装身具が展示されていた。

ヒスイは日本海の糸魚川から、黒曜石は長野県
から運ばれたのであろう。

物物交換の原始経済であれば、当遺跡が属す
る妙高市の斐f太(ひだ)遺跡群の一つとして、当時ど
んな品(産物)が当地の交易材料だったのだろう。
主たるものは米だったにしても。

遺跡はいずれも山裾の扇状地に見られている。
低地の関川流域では洪水ばかりで稲作どころでは
なく、比較的高い土地の方が安定した農耕が出来たの
かもしれない。

弥生時代は争いが多かったとも言われるが、本日
見た土器の明るい生活感から、裕福では無かった
かもしれないが、平和な場所だったのではと思った。

さて本日上越市リージョンプラザで大相撲上越
妙高場所があり、ある力士にお会いした。

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終了直後にお会いした篠原関。
三段目全勝優勝の経歴を有し、
現在幕下で頑張っていらっしゃる。

学生時代に体操、テニス、ゴルフなどで極めて高
い身体能力を有し優れた成績を残した先輩がいた。

その先輩(医師)と仲良くされている篠原関。
このたび是非合ってみてと先輩から電話があった。

「結び」が終わった広い会場で主催の方にお
尋ねすると、清々しい笑顔で出て来てくださった。
ご挨拶をして一緒に写真を撮らせていただいた。
柔軟で賢そうな力士だった。

大相撲が楽しみになった。

 

中島幸子さんの追悼文集から。

2016年7月23日(土曜日)

前回7月21日に小山作之助のひ孫に当たる悲運のヴァイオリ
ニスト中島幸子さんについて書かせて頂きました。

彼女のバイオグラフィーはお母様の香織さんが1983年8月6日
に発行された幸子さんへの追悼文集「ヴァイオリンと共に」を主に
使わせて頂きました。

本書は幸子さんの恩師シャーンドル・ヴェーク氏、久保田良作、
板谷英紀の各氏、先輩の塩川悠子さん、ご友人たち、音楽関係
者など70人近い方々の寄稿によって構成されています。

 

ヴァイオリンと共に表紙
「ヴァイオリンと共に 中島幸子追悼文集」
画家・装丁家司修(つかさ おさむ)氏による表紙。
司氏は樹下美術館の常設展示画家・倉石隆の友人で、
倉石夫人・翆(みどり)さんは中島幸子さんの叔母です。

本日は書物から幸子さんの音楽と横顔についてかいつまん
で記させて頂き、最後に幾つかコメントを試みました。

【中島幸子さんの音楽】
ヴァイオリンは彼女の自然な生にの一部であり、楽器を完全
にしかも自然に自らの意のままに支配しきっていた/モーツ
アルト、シューベルト、ブラームス、バルトークはじめラベル
もものにしていた/モーツアルトに特別な親和力を有し、それ
は透明で清潔、軟らかく、生気に満ちた演奏だった/小柄だ
ったが楽器をとると数倍も大きく見え、信じられない迫力と大
きな音楽が湧き出した/音楽に対する自己規制の大きな力
を周囲に放っていた/厳しさとやわらかさのこもった演奏であ
り、伴奏をしながら心が震えるような感動を覚えた/優等生に
ありがちな偏った所がなかった/幼少から友人を大切にする
日常の中で完璧な基礎と専門性を身につけていたことが不思
議だった/神様がついているかのように成長し、才能を有した
者には人一倍の努力を行う義務がある事を具現していた/ブ
リリアントな音色、垢抜けしたリズ感覚/メンデルスゾーンの
ロマンを歌うに相応しく、パガニーニの閃光を自らのものとした
数少ないヴァイオリストだけに許された音楽/アンサンブルを
演奏していると桁が違いすぎると感じさせられた/最高のテ
クニック・深い精神生・音楽性・構成力・内的体験といったもの
の結合がみられた。/死はモーツアルトが神のもとへ連れ去っ
たと思うしか無い。

【幸子さんの人となり】
食通であり多彩な料理で人をもてなした/スキー、水泳から
野球、鉄棒、ボーリングをこなした/優しく、後輩をよく面倒み、
ザルツブルグでは日本の留学生の母のようだった/エキゾ
チックな風貌、キラキラ輝く大きな瞳/天真爛漫でお茶目だっ
たが、ヴァイオリンを手にすると別人のような鋭い眼差しに変
わり吸い込まれるような魅力を湛えていた/学ぶことも遊ぶこ
とも全力投球/物事の本質だけの世界に生き生きと生きる人
/筆まめ/みな内にしまって耐え、深い中心点から出てくる
恐るべき集中力/どんな時でも感情的にならなず、一言いう
と皆何も言えなくなった。

筆者からひと言。
早く父を亡くした幸子さんを音楽家として世界に輩出させた母
香織(かおり)さんの眼差しを思わない訳にはいかない。
幼少からの運動や遊び、学生時代の料理、円滑な友人間関
係などは、いずれも優れたヴァイオリニストへの全人的な養
育として意識されたものであろうと想像でき、大らかな中にも
厳しく困難な親子の日常が浮かぶ。
遠い目的地での成果の中で、突然訪れた幸子さんの急逝は
どんなに辛かったか、私などには想像もつかない。

それから30余年、失意に耐えられたお母様は数年前に亡くな
られた。
残されたお子、ヨナス・ルードナーさんはウイーンに於ける気鋭
のホルン奏者として活躍していることが伝わる。
またヨナスさんの父オラまたオーラ・ルードナー氏は、ウイーン
交響楽団のコンサートマスター,BBCほか交響楽団客員指揮
など活躍、経現在ウイーン・フォルクスオーパのヴァイオリン
奏者兼指揮者として活躍、度々来日されている。

長く仕舞っていた追悼本を取り出してこの度再読した。
作之助の音楽が死後90年近く経っても脈々と密かに、そして
輝かしく生きていることを喜び、この先へも希望を託したい。

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