2025年5月3日

『朧月夜(おぼろづきよ)の思い出。

2025年5月3日(土曜日)

菜の花畑に入り陽うすれ♪今ごろになると「朧月夜(おぼろづきよ)」の歌が浮かぶ。そもそも小学校の授業などみな忘れている中でこの歌の授業だけは時期、場所、雰囲気などを明瞭に覚えている。
一番だけ習った歌詞は以下だった。

菜の花畠に 入り日薄れ
見わたす山の端 霞ふかし
春風そよふく 空を見れば
夕月かかりて にほひ淡し

授業は初めての音楽室、初めての先生、初めて交わる生徒など初体験が幾つも重なっていたこととに加え歌うということが重なり、その緊張が鮮明な記憶に結び付いているように思われる。

そもそも校舎の都合などで私は三年生まで一キロ弱の分校へ、四年生から三キロ先の本校に通った。各学年とも分校は1クラス、本校3クラスだった。

「朧月夜」の授業が行われた音楽室には分校よりも立派なオルガンがあり、教室も立派だった。そもそも分校に音楽室などは無かったのでは。
勿論受け持ちの先生も初めてで、全く馴染みの無い本校の生徒とは交わったばかりだった。

そんなこんなで「おぼろ月夜」の授業が始まった。みなお利口さんになって一生懸命に歌った。

菜の花畠に 入り日薄れ
見わたす山の端 霞ふかし
春風そよふく 空を見れば
夕月かかりて にほひ淡し

どれほど意味を分かっていたのかは別にして、学校の行き帰りに菜の花がいっぱい咲いている畑を通ったし、春風は気持よかった。田舎とはいえもう四年生、山裾に霞がかかり、月が上っている情景も多分分かっていたことだろう。歌うたびに調子も声も出た。

ところで歌のあるカ所にくると皆私を見てクスクスと笑うのである。そのカ所は「霞ふかし」だった。
私の名が玄(ふかし)だから、「霞ふかし♪」で指まで射され、最後は教室中大爆笑になった。緊張して始まった授業ゆえこんな時の開放感は計り知れない。
皆大いに楽しそうだったが私はうつむくしかなった。特に本校生徒には初めて聞く変な名だからなおさらだったことだろう。

少し月日を経て「案山子」を習った。山田の中の1本足の案山子(かかし)♪は山田君を見ながら皆と一緒に笑った。しかし山田君の場合、爆笑ではなく微笑み程度だったように思う。


NHK児童合唱団「朧月夜」

「夕月かかりてにほい淡し」の「にほい淡し」は説明されたとしてもよく分からなかったに違い無い。
また二番もあるのに一番だけだったのは4年生では一般的ではなかっただろうか。

「朧月夜」を習っていて良かった。

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