樹下だより

須坂市の田中本家博物館、脈々たる意識。

2024年6月4日(火曜日)

一昨日「緑陰茶会」が開催された須坂市。本日は前回の続きとして同市の田中本家博物館の展示について掲載させて頂きます。

かっての長大な蔵が素晴らしい展示室になっている。次々現れる貴重な美術品および生活用品は非常に見応えがあった。
一般に博物館といえば文書資料や説明が多くて疲れる。しかし同館は極力そうしたものが抑えられ「兎に角観てもらう」に徹し、成功していると思う。

刀剣をこれほど魅力的だと思った事がなかった。江戸時代は武士のほかにも一定の人々は帯刀を許されていたという。

九谷、伊万里、明時代の赤絵や呉須など、田中家の磨かれた美意識と鑑識眼はさずが。

以下は子供たちの為に揃えられた品々。

武者人形は端午の節句用。
他にもたくさんありました。

玩具。

いずれも夢のような高級玩具。
完璧な保存。

ままごと用の品々。子ども達は幸せだったろう。

着せ替え人形の数!

着物。

何故か男児ものの方が
女児より上等に感じられた。

大人の着物。

一目見て気に入った帯。

お揃いの真綿入れの半襦袢、長襦袢(最後方)、艶やかな帯、息を飲むような水仙と藪柑子(やぶこうじ)柄の留袖ひと揃え。

最後に展示場を出た庭の一角にあった納屋のような場所。

高い棚に積まれていた鳥籠、虫籠。自然豊かな信州の春秋、入れ替わり立ち替わりの鳥や虫に籠は休む暇が無かったのでは。

さて沢山載せましたが、この何倍も展示されていて美しい書画もあった。客観の徹底、多岐で豊かな品々と原状管理の努力など田中本家の人々の意識の高さに尊崇を禁じ得なかった。
長き亘り質素倹約を家訓とし、ものと人を大切にして藩を支えきる。そうで無ければこれほど良い品は集まらず維持も叶わなかったことだろう。

子供たちの玩具や着物を見ているうちに目頭が熱くなり、同家の亡き人々のことを思わずにはいられなかった。

何か落ち込むようなことがあったら、あるいはそうでなくても、また来てみたいと思った。

同館は維持管理に費用が掛かりクラウドファンディングまで企画している。規模に雲泥の差はあるけれど、樹下美術館も決して楽ではない。12代御当主にはその点でもシンパシーを覚える。

お菓子が無くても美味しく飲める紅茶。

2024年5月31日(金曜日)

皆さまには日頃何かとお世話になるばかりか頂き物などをしてかたじけなく思っています。

本日夕食は服を汚しながらカレーうどんを食べました。
食べ終えてからお世話になっているお茶人から頂いた紅茶を飲みました。

布のティーパック。
マリアージュフレールの
「マルコポーロ」という紅茶。

パッケージを空けて良い香りに驚き、

鈴木秀昭さん(右)とババリアのカップ。
ババリアにはマルコと記されていた。

ひとくち口にした妻がアッと声を出し、この紅茶は美味しくてお菓子が要らないと言いました。
皆さまには色々頂き、勉強させてもらい、常に恐縮しております。

若き日、よくラジオなどから流れていた「岬めぐり」。旅情があって良い曲だった。

昔は美しく安定した山河を前にすると、何かと戸迷う不安定な自分がいて、しっくりしない感覚を覚えていた。しかるに50年60年が経ち、いつしかそれが薄まり、漠然とではあるが自然や風景に自分が無理なく取り込まれているような感じなっている。

年は単に取るばかりでなく感覚や反応に知らず大きな変化を生じていることがあるようだ。
鈍感になったとも言えるし、加齢の恩恵かもしれない。

出来不出来は別にして今月はよくブログを更新できた。

眼科受診 北条の方 切り無き草取り。

2024年5月30日(木曜日)

小生の白内障手術の日程が決まり、既に先日胸部X線や心電図、血液など主要な検査を終えていた。そして本日13:30より手術法や具体的段取りについての説明と詳細検査があった。

70才後半まで入院も手術も未経験であることを密かに自慢していたのが、2021年7月の夕刻心筋梗塞を発症して救急搬送、初めて入院医療を受けた。2回目の入院は一昨年9月、挿入されているステントの状況と心臓の状態チェックのため短期入院だった。
そしてこのたびの白内障。医療機関によって入院せず日帰り手術もあるが、私の場合循環器科でお世話になったためそこの眼科でお願いすることにした。

一泊入院による手術だが主たる臓器の検査、眼科単体の検査と手術方法の説明、術後検査など丁寧な手順を踏む。二回に分け両眼を行うので先ず6回の通入院を行う予定となった。
心臓は突然発症の救急搬送だったのである意味ぶっつけ本番(当然ですが妻に検査、処置の場面場面で説明と理解、承諾が求められていた)。それに比しこのたびのような予定手術には一泊ながら徹底したインフォームドコンセントがなされるむことを、身を以て知らされた。

そんな訳で昨日から緊張しながら早寝した。幸い当日木曜日は休診日ため午前は気晴らしを兼ねて美術館で例の芝生の雑草取りを行い、ゴルフボールを打ち、来館者さんが見えるころ、持参した朝昼兼用の小さなホットドッグとノンカフェインのコーヒーを美術館で摂った。

一時間少々の成果。

 アプローチ。

 清々しい午前の庭。カエデの幹が美しい。
設立のころは精一杯の幼木だった。

朝昼兼用食。
笑われるほど小食。

食事すると本日最初のお客さんがお一人見えた。柏崎市からJRで二つめの北条から犀潟まで電車、駅から歩いてこられたと仰る女性のご老人だった。途中田んぼへ出て妙高山を眺めてから来られたということ、とてもお元気(意欲体力とも私よりずっと)とお見受けした。

他と同じ過疎が進む北条のあれこれをお聞きしているうち、北条を訪ねてみたくなった。当館は何度か来られたと仰り、もしかしたらいつも早い時間と決めておられるのかもしれない。“ここの庭は手入れされる人の気持ちが伝わる。木々のそよぎが良く、癒やされる“と褒めて頂いた。

正午を過ぎ受診の時間が迫ったので一旦家に戻り仕度して病院に向かった。
午後の診察は手術(白内障)を受ける6名の患者に向けた検査と説明の時間。眼圧、詳細な視力、眼球サイズ、眼底、角膜撮影などの検査が続く。待ち時間が長く、本かスマホを持参すれば良かったと後悔した。

最後に受診者全員が集まり、医師と看護師から術前後の段取りと注意事項の説明を受けた。
初めて受ける眼科手術。少しずつ緊張が増すのを覚え、皆さんも同じだろうと実感する。

16時をかなり過ぎて美術館に帰ると急にお腹が空きお茶とケーキを注文して一息ついた。17時閉館と同時に再び「草むしり」に精を出した。もう6回目、どれだけやれば気が済むのかと言われそうだが、せっせとむしりながら「草とり爺さん」でいい、ムチの罰さえなければ「草とり奴隷」でもいい、と思った。

本日2回目の成果。
親指と人差し指の爪の角が痛い。

ところでこの冬から風景や写真、絵画などが黄ばんで見えるようになり進行していた。特に写真がそうで、カメラの故障かと本気で疑い、買い換えも考えるほど切迫していた。本日検査を受けながら白内障のせいではと気がつき、医師に尋ねると多分手術すれば戻りますよと言わた。そうであれば本当に有り難い。

本日はドイツのお二人 カフェ丸テーブルの小さなスケッチ帳から。

2024年5月28日(火曜日)

いっときも止むこと無くシトシトビチャビチャと降り続く雨は明日まで続くらしい。そんな本日長野市のご夫婦がドイツ人のご夫婦をお連れして寄って頂いた。去る土曜日、外国人向けに展示内容を示すカードを作ったばかり。カードはとても喜ばれたと聞いたが、日本の同伴者さんがいて随分助かった次第。
カフェでお茶とホットサンドを食べ、齋藤三郎の図録をお求めになったという。

ところでカフェの丸テーブルに小さなスケッチブックを置いている。コロナの間止めていたのを今年から復活したところ再び皆さまにお描きいただくようになったのでご紹介させてもらいました。

 

 

 

 

 

 

思い思いの気持がこもった絵ばかりでした。皆さまの視線と幸せが伝わりとても楽しく拝見しました。またどうかお描き下さい。
プロのような方がいらしてびっくりしました。
油性の色鉛筆も置きたいと思いました。

外国人旅行者に簡単なカードを 木陰のベンチでランチ。

2024年5月25日(土曜日)

今年になって数は多くはないが外国人の旅行者さんがちらほらお寄りになって下さるようになった。これまでは外国人でも主に当地に縁のある方たちだったのが、今年は少し異なるように思われる。

今週は二組の方が寄ってくださった。最初の方は欧米の親子さん。銀髪で上品な60代のお母様と息子さんお見受けした。時間が無く何処からとも尋ねず挨拶だけさせてもらった。後でスタッフから聞くと、息子さんが日本語を少し話され、上越は素晴らしいと仰り、齋藤三郎の図録と小生の写真を買っていただいたと聞いた。
もう一組は一昨日、若いカップルさんだった。女性は陶芸室で美味しいと仰りケーキでお茶をされ、男性は庭を歩かれたという。

こうなると少々焦りを感じる。少なくとも何を展示中かくらいは知って頂かないと手抜きであろう。
どんな動機で来館されたかなどは別にして、差し当たり最小限の展示案内をカードにしてお渡しするべくシンプルなものを作ってみた。

一枚のカードの裏表。

上は、-陶芸- 1916-1998の陶芸作家齋藤三郎による「文様展」、下は-絵画- 1916-1998の画家倉石隆による「日々を生きる展」と書いた。

スタッフには「フォトOK」と言いながら渡してと伝え、簡単な英会話集を作ることにした。

ホームページに英語を附記するなど考えないといけないが、旅行者さんたちはSNSで発信される傾向が窺えるので一先ずこれでやってみることにした。

さて本日も風薫る好天。昼下がりのベンチでランチをされる女性達を目にし、楽しそうなので一枚撮らせていただいた。

 木陰のベンチでランチをする三人の
女性。
Three female visitors taking lunches on a bench
.in  the shade of a tree。

庭の道の修理 前島密顕彰の方々 鵜の浜の夕焼け。

2024年5月23日(木曜日)

美術館庭の南側に枕木を用いた一応の小道がある。美術館以前に庭を造って以来30年ほど経過し傷みが目立っていた。危険へ備えて近隣の方に頼み造作し直してもらった。未だしゃんとして使えるものに加え石版や敷石を交えて工夫し三日かけて仕上がってきた。

 異なる資材の表面をお互い
水平にならしてある。 隙間の目地はコンクリートで埋める。
デザイン性が加わり楽しい小道が期待される。

昼過ぎて上越市が生んだ偉人前島密を顕彰されるグループからお二人が来館された。当家に伝わる前島密の扁額をご覧になることが一つ。扁額と我が家のことについてグループの皆さまが話を聞きたいというのがもう一つの用件だった。

日程をすりあわせ、近々10人ほどで来館されカフェで食事の後小生がお話をすることになった。扁額については拙ブログ記事がきっかけと仰った。お二方の熱意が伝わり当日は皆さまとご一緒して楽しみたいと思った。

本日少々混み合ったうえ、午後10名ほどの婦人グループが来館され、しばらく駐車場が一杯になった。

 今夕鵜の浜温泉付近の夕焼け。
幸福そうな釣り人。

このところ珍しく毎日掲載が続きました。お読みくだされば励みになります。

保育園の健診 児の成長と国の成長。

2024年5月21日(火曜日)

薄曇りでやや肌寒い本日火曜日、午後から区内の保育園で健診があった。春秋二回、昭和50年から携わっているので当初あどけない顔をしていた園児たちはもう50才を過ぎている。
早い遅いは別にして彼らの性格や境遇の変遷は如何ばかりだったのか、と思う。

本日はゼロ才児から5才児までを診た。0才児はみな保育士さんに抱っこされ、せいぜいつかまり立ちがやっとという幼さ、どこか鳥のヒナの面影を宿している。

二、三才児は顔の色つやよく目元くっきりとまことに美しく、一方個性は主に顔の造りだけに留まっている。それが5才児では急に大人びる。目に光りが表情に雰囲気が現れ、いわゆる個性が出てきて、どんな大人になるか何となく伝わるようで興味深い。

ある子に「楽しい?」と聞いてみた。すると「うん!」と答えた。傍らで記録を執っている園長さんが「担任冥利だね」と言い、付き添う保育士さんは「嬉しいです」と喜んだ。

わき水のように澄んで個性豊かな園児たち。大切に育てられるこの子らを、この先一色に染めたうえ戦争などで死なせるような事はあってはならない。
願わくばどの国も子らのように学習し成長し、トカゲの如き旧態から洗練へと変わる努力を続けなければならないのでは。

樹下美術館の芍薬。

元気すぎる芝生の雑草 若い来館者さん 水田と美術館。

2024年5月20日(月曜日)

昨日日曜日、お茶会にお邪魔した後美術館に戻り夕刻から芝生の雑草取りをした。芝生は一見きれいに見えるが、そうは行っていない。今冬は温かく、冬期間あるいは雪の下で雑草が我が世の春とばかり旺盛に増え一種群となって芝に混じっている。畑をしている人達も、今年の雑草は異常だと口々に仰っている。

遠目にはきれいだが。

芝生の雑草は2種類あり、スズメのカタビラとツメクサ。

近くで見た様子。
白い頭は全てツメクサのつぼみ。
地面に貼り付いているので厄介。

先が二股になっている道具を刺し、
一度草を起こしてからむしる。

小一時間の成果はこれっぽっち。

本日も仕事の後取ってみた。
主にスズメノカタビラを取った。
まだ十分の一も処理できていない。

裏の水田の代掻きが終わり一部では田植えも終わっている。あぜ道にお邪魔して樹下美術館の写真を撮った。

本日の田と樹下美術館。
樹木の生長が見て取れる。

2010年5月の田と樹下美術館。
田の大きさが変わり、
美術館も初々しい。

本日のお客様。
熱心に観て下さった。

以前に比べて若い来館者さんが増えていると思う。館内のメモからカフェともども本当に様々な動機でお出で頂いていて張り合いを感じる。

去る18日、「にいがた観光ナビ」の「たびきち」に当館が掲載されました。熱心に取材されたスタッフお二人に厚く御礼申し上げます。
“まことに有り難うございました”

近く40名様の団体さんが作品鑑賞に来られると知らされました。

仕事場の金柑に蝶 美術館に金柑を植えた。

2024年5月15日(水曜日)

去る4月28日の当欄に金柑の花のことを書かせて頂いた。青々とした木に咲く白い花の清潔な美しさは格別だった。

花が終わったその木に本日クロアゲハが取りついているのを見た。

4月22日掲載の潟町の金柑の花。

以下2枚は本日やってきた蝶。詳しくはないがクロアゲハではと思われた。

こんなに傷んでいるので越冬をした個体ではなかろうかと思った。それでも飛翔は不自由なさそうに思われ、何処かへ行っては戻ってまた木の回りを忙しそうに飛ぶ。産卵している風な場面も見られた。

アゲハに欠かせない柑橘類。だが長く鋭いトゲを無数につけている。木はトゲで蝶への防御としているのだろうが、このイバラをくぐって産卵する蝶も命がけかもしれない。

ところで4月に見た美しい白い花が気に入り、美術館にも欲しくなりネットで苗を求めた。植えたばかりだが仕事場のよりも大きな実が二つついた60センチ少々の大きさ。
葉数も多く頼もしい苗だが、いずれアゲハ蝶がやって来て産卵し幼虫に食害されることだろう。
一年目はある程度卵の処理をし成長を促した方が良いと思うが、悩ましいところだ。

今夕の餃子はご近所のA氏作の皮で、先日に続いて2回目。氏は蕎麦、ラーメンが素晴らしく、近時餃子が始まった。

大型連休最終日 手作り絵本 書類作成。

2024年5月6日(月曜日)

ほぼ好天に恵まれていた大型連休。今日月曜日は振替休日だった。空は日本海沖の低気圧に影響され終日曇り、熱風が吹き付けた。

ところで連休中、美術館で販売している小生の手作り絵本「森のトマト畑」の最後の数冊が売れて無くなってしまった。それでプリンターにパソコンの原稿を刷らせ、その間近隣のスーパーセンターへ芝生の目土用土を買いに出かけた。ところが珍しいことに欠品しているという。
品揃えの良い店で切れているとは。今期一帯で如何に多くの人が芝生管理に精出しているかを物語っているのではと思った。

帰って美術館によるとカフェにお馴染みの方。ご自分も芝を管理されていて、お話を聞いて色々為になった。用土は姉妹店に尋ねてみればと仰り、電話で在庫が確認出来、明日出かけるつもり。

帰宅して刷り終えた森のトマト畑をホッチキス止めし、製本テープを施し20冊仕上げた。

手作り絵本「森のトマト畑」
本文24ページ一冊700円です。

今年は扉を追加してみました。

そもそもは昭和58年制作。

業者さんに頼んで製本という方法もありますが、手作りの味もまた良いという意見を頼りに楽しみながら作っている次第です。
拙紙は窓口にありますので宜しければお手に取ってみて下さい。

明日からの仕事に備え午後は溜まっていた意見書や紹介状などに費やしました。

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