文化・美術・音楽・本・映画・スポーツ・テレビ

日本音楽コンクールに出場される少女。

2016年7月16日(土曜日)

本日夕刻外出から戻り車を降り立つと美術館からまことに妙なる
ヴァイオリンの音色が聞こえてきた。
樹下美術館の何処から聞こえるというのではなく、全体が鳴って
いる音だった。

普段カフェのBGMは小さいし、SP盤もこんなに鳴らない、音は
極めて本格的だった。

恐る恐るはいると、一人の少女が陶芸ホールでヴァイオリンを弾い
ている。
胸がすくような音がホールを自在に満たしている。
これはただ者ではない、一体誰なのだろう、そしてどうしたのだろう。

傍らにおられたご両親が、8月末の日本音楽コンクールに出場する、
弦楽器が良く鳴りそうな樹下美術館で一度弾かせてやりたかった、
と仰った。

IMG_4801
絵画ホールで、中学二年生のSさん。
陶芸ホールのパガニーニのあと絵画ホールでバッハを弾かれた。

確かに樹下美術館はコンクリート一体駆体で残響が良く(良すぎる?)、
弦楽器の演奏に向いている。
陶芸ホールは角張ってやや閉鎖的な形状だが、広めなので音楽会
はそこでさせてもらっている。
一方、絵画ホールは小さいながら天井が複雑で高く、カフェにも陶
芸ホールにも音が行き、多様なピッチをこなし、もっと良いかもしれ
ない。

Sさんに絵画ホールで弾いてみたらと勧めると、バッハを弾かれた。
思う存分に歌い素晴らしかった。
絵画ホールの方が良かった、とご自分で仰った。
響き渡る自らの音のすみずみを究極まで聞き取られたにちがいな
い。

3才からというヴァイオリン、どんなに練習されたことだろう。
どうかコンクールではがんばって、と心から祈った。

演奏のあと、高鳴りを静められるように三人で夕刻の水田が見える
テラスに向かわれた。

ああ先人、佐渡に骨を埋めた都会の女医さん。

2016年7月3日(日曜日)

先日、佐渡へ向かう汽船待ちという東京のご家族が当館にお
寄り
になった。
お孫さんご夫婦と一緒の高齢のご夫婦、93才の老紳士は可
愛い犬を連れ、庭を巡られた奥様には、羨ましいと仰って頂い
た。

別れ際にお会いしただけだったが、ご自分の早稲田中学時代、
會津八一の講義を聴いたことがあると仰った。
カフェに會津八一の本があったことからそんな話になった。

それから一週間ほど経って、思いも掛けず會津八一の本が8
冊送られて来た。

同封のお手紙からご本人は長年地域に尽くされた大正生まれ
の産婦人科医だった。
激変する経済と社会、大陸進出、太平洋戦争、戦後の大混乱。

荒波に翻弄される進学事情、兵役、仕事、家庭の様子が垣間
見られる。

大正生まれの方達は苦労されている、とはかってある僧侶がし
みじみ語った言葉だ。

恵送本
↑我ら新潟県民の誇りの一人、會津八一の関連書物。
幾冊かの本から八一が如何に教え子たちから敬愛されたか、が
分かる。
書物は適時カフェの図書に入れさせて頂くことにしました。

お手紙に、自らの出兵を前に訪ねた奈良薬師寺のことと、八一の
短歌がしたためられていた。

末尾に、時代の波に押される如く昭和15年に東京から佐渡に渡
り、僻地医療に携わり平成14年89才で同地に骨を埋めた女医
である姉の記載が見えた。

この度の佐渡行きは彼女が眠る羽茂の祭と墓参りが目的だったと
いう。
戦時下の医師達は次々軍医として出征したため、地域は極端な医
師不足に見舞われたはずである。
姉君は帰郷の機会を失いながら、無医村化した佐渡で60余年間、
最後まで献身的な医療を遂行、昭和52年に勲五等宝冠章の叙勲
を受けられている。
傍ら手紙主の学費も支え、恩人に値する存在だった。

ハイヒールで颯爽と都会を歩いた女医さんは、羽茂において袴に
下駄の往診姿で納棺されたという。

思いもよらぬ先人の足跡を読み目頭が熱くなった。

蓄音機で聴くクラシックSP盤の至福。

2016年7月1日(金曜日)

ある方のご好意で樹下美術館のカフェにコンソール
タイプの大きな蓄音機が置いてある。

時々持ち主がレコードを持参して来館され、一緒に聴く。
たびたび聴くうち、クラシックSPを聴くのは特別な時間だ
ということが分かるようになった。

昨日木曜日は午後休診の日、有志が5人カフェに集った。

 

IMG_4568

 

IMG_4559
↑窓辺のレコード盤。
(ほかに組みアルバムも聴きました)

SP盤の音楽は優しく哀しく、あるいはふつふつと喜びを
伝える。
往時の名手の演奏が箱から私たちに向かって再現され、
カフェは良き音楽の時代そのままの空気に包まれる。

以下は昨日かかったレコードです。
「幻想曲(K475)とソナタ(K457)」(モーツアルト)
/ ピアノ:リリー・クラウス
・「弦楽四重奏曲(死と乙女)」(シューベルト)
/ ブッシュクヮルテット
・「エレジー」(フォーレ) /チェロ:ピエール・フルニエ
・「愛の喜び」「愛の悲しみ」(クライスラー)
/ヴァイオリン:フリッツ・クライスラー
・「ワルツ(No11、12)」(ショパン)
/ ピアノ:ディヌ・リパッティ
・「アヴェマリア」(シューベルト)
/ヴィオラ:ウィリアム・プリムローズ
・「歌の翼に」(メンデルスゾーン)
/ヴァイオリン:ヤッシャ・ハイフェッツ

ほかに3人のお客様がおられましたが、皆さん喜んで加
わってくださり、最後まで楽しまれました。

庭の花たちも耳をそばだてて聴いている風情、コーヒーが
一段と美味しく感じられました。

IMG_4591
テッポウユリも、

 

IMG_4579
今年初めて植えたリアトリスも、

 

IMG_45886
ナツツバキも、

花や草が一緒に聴いていたようなひと時でした。

「紅(くれない)」アジサイ ルビー ジャッキー・グリーソン。

2016年6月16日(木曜日)

薄いピンクで始まるアジサイ「紅(くれない)」がますます濃くなった。

 

5-7
6月7日の紅。

 

6-9
6月9日。

 

紅アジサイ
↑昨日の様子、赤い額として花の周りを可憐に囲んでいる。
このような色になると毎年ルビーのような花、という印象を持つ。
これからさらに紅色を濃くしていく。

昔の曲にルビーというのがあった。
学生時代の初めころ、ザ・プラターズの歌がラジオから流れた。

今ユーチューブにジャッキー・グリーソン楽団のルビーがある。
彼の音楽はいつも懐かし気で私のような人間には聞きやすい。

 


ジャッキー・グリーソン楽団の「ルビー」
本職の俳優としてジャッキー・グリーソンは映画ハスラーで、
ポール・ニューマンとビリヤードの真剣勝負を演じる役どころ
で出演している。

方や自分の楽団はロマンティックな音楽を得意としていた。
編曲もこなし、50~60年代にかけ1億数千万枚のレコード
セールスの実績があるらしい。

もう一つルビーに関して、自分の子供時代に母と次のような
話をした覚えがある。
「うちに宝石ってあるの」
「いーや、何も無いの。昔ルビーの指輪をお父さんに買って
もらったことがあるけど、引き揚げの時に取られちゃった」

私が晩年の母を好きになったのは、清潔以外装飾というも
のに興味が無かったような人だったせいもある。

瞽女ミュージアム高田 鵜の浜温泉の夕陽。

2016年6月12日(日曜日)

昨日土曜日午後は長く間懸案だった場所を訪ねた。
瞽女ミュージアム高田(麻屋高野 上越市東本町1-2-33)」へ行った。
懐かしげな旅情を漂わせる一角で、すっかり楽しませてもらった。

 

1
雰囲気良く活かされている町並み。

 

2

3
瞽女ミュージアム高田」はかって染物屋さんのだった町屋が
巧みに利用されている。

IMG_3763

4
先人たちの生活感が伝わる。

 

5
杉本キクイさん(館内の紹介映像から)。
この人がいなかったら文化としての「高田瞽女」の名実は
残らなかったかもしれない。
最後の瞽女(ごぜ)の覚悟を胸に昇華した美しい人だと思った。
とても強靱で聡明な印象を受ける。

瞽女さんには厳しいハンディキャップと芸が深く一体化されている

 

6
↑齋藤真一氏の装丁による本の数々。
(齋藤画伯の油絵を観たかったのだが)

7
↑館内のしつらえ。

 

以下は昨夕出会った鵜の浜温泉の夕景です。

IMG_3798

 

IMG_3814
夕陽を眺めていた若者達。

雨に咲く花 芝の雨太宰案じてめくる本。

2016年6月9日(木曜日)

午後から雨降りとなり気温が下がった。
昨日半袖になったばかりのところでまた長袖に後戻り。

午後は休診の木曜日午後、樹下美術館の庭はヒメタイ
サンボクが香り、アジサイまで匂う気配だった。

 

IMG_3644
↑雨で重そうなヒメタイサンボク。

 

IMG_3447
↑濃い青のアジサイ。

 

IMG_3577
近頃愛読の太宰治の本、繰り返し読んでも飽きない。

芝の雨太宰案じてめくる本

可哀想な氏の命日が近づいている。

楽しかった蓄音機でSPレコードを聴く会。

2016年5月14日(土曜日)

裏手の水田にすっかり水が入った穏やかな土曜日。
一昨年から数えて第三回目のSPレコードコンサートが終わった。
広い告知をしなかったが,ほどよく50名様の来場者さんをお迎え
できた。

前半7曲のクラシック、後半にポピュラー、歌謡曲と童謡で7曲。
3回目だったのでお陰様でリラックスして主催できました。

1
アヤメが咲いていた本日日中の樹下美術館。

 

【プログラム前半の部】
アンダンテ・カンタービレ(チャイコフスキー)
「弦楽四重奏曲第一番より」  フリッツ・クライスラー(Vn)
エチュードOp10 No3(ショパン) アルフレッド・コルトー(Pf)
プレリュードOp28 No15(ショパン) イグナツィ・パデレフスキー(Pf)
菩提樹「冬の旅」より(シューベルト) リヒャルト・タウバー(Tn)
“恋とはどんなものかしら“「フィガロの結婚」より(モーツァルト)
エリザベート・シューマン(Sp)
楽興の時 Op94 No1(シューベルト)   エトヴィン・フィッシャー(Pf)
鳥の歌(カタロニア地方のキャロル)  パブロ・カザルス(Vc)
  【後半の部】
映画「道」のテーマ スリー・サンズ
映画「汚れ無き悪戯」のテーマ  サウンドトラック
「キェン・セラ」  フランシスコ・チャヴェス
「リンゴ追分」   美空ひばり
「青いカナリア」   雪村いづみ
「テネシーワルツ」  江利チエミ
「月の沙漠」 川田孝子/安西愛子

ご協力頂いているA氏に心から感謝申し上げます。
ご来場の皆様、楽しい時間にして頂き誠に有り難
うございました。

 

3
いつも頑張るスタッフによって準備整った会場。


4
お話をしながら。

5
休憩時間。

いずれ4回目を致したいと考えています。

雨の午後のSPレコード プログラムが決まってきた。

2016年4月21日(木曜日)

予報通りに午後しばらくして雨になった木曜日。
来る5月14日の「蓄音機でSPレコードを聴く会」でご協力頂いている方が
来館され、ご持参のクラシックレコードからプログラムの一部を聴いてみました。

_MG_9381

加工の無いSPレコードの音は森の泉のように優しく心に響きました。

 

 当日クラシック音楽のプログラムです。

アンダンテ・カンタービレ(チャイコフスキー)
「弦楽四重奏曲第一番より」  フリッツ・クライスラー(Vn)

エチュードOp10 No3(ショパン) アルフレッド・コルトー(Pf)

プレリュードOp28 No15(ショパン) イグナツィ・パデレフスキー(Pf)

菩提樹「冬の旅」より(シューベルト) リヒャルト・タウバー(Tn)

“恋とはどんなものかしら“「フィガロの結婚」より(モーツァルト)
エリザベート・シューマン(Sp)

楽興の時 Op94 No1(シューベルト)   エトヴィン・フィッシャー(Pf)

鳥の歌(カタロニア地方のキャロル)  パブロ・カザルス(Vc)

 

IMG_9125 本日午後の雨降りのカフェ。

 

以下は小生のレコードから2部のポピュラー、歌謡曲です。

映画「道」のテーマ

映画「汚れ無き悪戯」のテーマ

・美空ひばり「越後獅子」

雪村いづみ「青いカナリア」

江利チエミ「テネシーワルツ」

ビリー・メイ楽団「オール オブ ミー」
ほか

※誠に申し分けありませんが1,2部ともに当日一部変更があるかもしれません。

期日は来る5月14日(土曜日)午後6時30分はじまり

場所は樹下美術館、陶芸ホール

参加費:大人お一人500円、中高生お一人300円

お申し込み樹下美術館窓口、あるいは
お電話025-530-4155でどうぞ。
(現在30名様を少し過ぎました、あと10席ほど余裕があります)

浮かぶような入り陽 .陽は昇り陽は沈む。

2016年4月9日(土曜日)

本日穏やかに夕陽が沈んだ。
水平線のモヤに沈みながら球体のような影が付き
軽々と浮いてるようだった。

 

1本日入り陽のころ(四ツ屋浜で)。

 

2浮いてるような太陽

 

3
陽が沈み雲が茜に染まる。

 


ペリー・コモの「Sunrise Sunset」

Sunrise Sunset
Sunrise Sunset
おさな子たちに時が過ぎ
こんなに美しくなったり
いつの間にか大きくなっている
これが本当にあの子たちなのか
昨日まであんなに小さかったのに
Sunrise Sunset
Sunrise Sunset
歳月は飛ぶように移ろい
小苗は一夜にして花をつけ
みるみる開いていく
Sunrise Sunset
Sunrise Sunset
歳月は飛ぶにように移ろい
季節は追いかけっこをしながら
幸せと涙を運ぶ

季節は追いかけっこをしながら
幸せと涙を運ぶ
Sunrise Sunset
Sunrise Sunset

(拙い端折りの意訳です)

市村幸恵さんとペトル・ノウゾウフスキーさんの音楽会 ユーモア。

2016年4月3日(日曜日)

本日夜当市大潟区のコミュニティープラザで「魂の響き~チェコの哀愁を
音にのせて~」という音楽会があった。
ペテル・ノウゾウフスキー(チェロ)と市村幸恵(ピアノ)による音楽会で、
「夢をかなえる会」と「大潟音楽協会OB会」の共同主催だった。

ドヴォジャーク、ベートーベン、ヤナーチェク、ドビゥッシー、マルティヌー
と3人のチェコの作曲家をメインにドラマティックなプログラムだった。

繊細さと豪胆さを縦横に行き交うチェロ、織物のようにチェロと歌い合う
ピアノ。
感情と精神のほぼ全域が刺激され,胃腸まで活発に動きとてもおなかが
空いた。

img152

市川さんは上越市吉川区のご出身。1997年国際芸術連盟新人オー
ディションに合格。
1998年プラハ音楽院に留学された。

本日演奏後の見送りに立っておられた市村さんとお会いした。
「私の義兄の関根日出男先生が、、、」
とご挨拶しようとすると、、
「ああー覚えていますよ、佐藤さんのコンサートでしたね!」
と仰った。
1998年の市村さんのチェコ留学を前にして、柿崎区上下浜の佐藤
宅に100人近く集まって壮行リサイタルがあった。

私の義兄に耳鼻科医関根日出男氏がいる。
氏はチェコ文化研究家で音楽研究家、ヤナーチェク友の会顧問もされ、
日チェコ友好協会から表彰されている。
かって佐藤宅の壮行音楽会でお会いした時、市村さんは留学の助言を
受けるべく関根氏を訪ねたと仰った。
東京の親族と市村さんの間に接点があったことにその時驚いた。
そして今夜、18年前の壮行の場面を即座に思い出された音楽家の脳
に驚いた。

遠い国で学び今チェコを中心にヨーロッパで演奏活動されている。
どんなにご苦労されたことだろう、「よく頑張りましたね」、とお伝えする
と、少し目を潤ませられたように見えた。

今日のプログラムにヤナーチェクの「おとぎ話」というリリカルな演目が
あった。
彼女はヤナーチェクに影響を受けてチェコ留学を決めたと聞いている。
ヤナーチェク-市村さん-関根日出男氏がきれいな線で繋がっている。

IMG_20160403_203545
本日の会場。

ところでチェロのペトル氏は毎年150回ものコンサートをされ、ご自身の
「ヴィヴァ・タンゴ-チェロ」は2014年ニューヨークで最も人気のあるCDに選ばれ
ている。

本日チェコの国民性として“ユーモア”を挙げ、2部冒頭「だんだんどーも」と
言って登場された。
そういえば関根日出男氏の翻訳本にミラン・クンデラの「冗談」がある。
最近世間がとんどんきつくなり、ユーモアという言葉自身遠くへ行ってしまった。

2025年9月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

▲ このページのTOPへ