明け暮れ 我が家 お出かけ
あっという間の半日 宇喜世の茶会と戸野目の保阪邸
昨日は二日続きの穏やかな一日。昼過ぎに髙田仲町・宇喜世(うきよ)であった越後城下町髙田茶会に行った。大先輩の薄茶席と先輩奥様の濃茶席に座らせていただいた。
薄茶席の待合、本席とも掛け物は良寛の賛だった。懐かしいお茶碗は相馬御風が筆を執った若き日の荒川豊蔵の志野。水指の浜田庄司は薄青色を漂わせ昨日の空を写す趣だった。
お濃茶席の花入れは金森宗和の竹一重切で重厚。オトコヨウゾメの照り葉とつつましやかな白椿の蕾が生けられ、秋冬の移ろいを現していた。オトコヨウゾメは樹下美術館隣接の庭にもあり、嬉しかった。
宇喜世待合の丸枠飾り障子
待合別室で長瀬幸夫氏による齋藤三郎作品のコレクションが展示されていた。代表作が網羅され長瀬氏にもお会いでき、熱意に感銘を受けた。和ガラスのコレクション図録も見たが、華やかさと親しさに目を奪われた。
秋の午後は早い。公開中の戸野目の旧保阪邸も急いでお訪ねした。観光バスが来ていて大変賑わっていた。頸城一の大地主の建物と庭は壮大で豪奢、時代の意気と文化が濃縮されていた。音楽が流れ、コーヒー、御抹茶のもてなしもあった。
旧保阪邸:怡顔亭(いがんてい)の和風シャンデリア
今秋最後の週末の半日は濃厚で、あっという間に過ぎた。
長い執筆の始まり 気になっていた建物を見に。
勤労感謝の日の日中、寝たり起きたりして体を休めた。
ところで来年から新潟市のある文化団体の機関誌に記事を書くことになっている。当ノートをご覧になっていたと仰って、7月に編集者ご夫妻がわざわざ樹下美術館をお尋ね下さった。
機関誌は月刊で新潟市、長岡市、県央の県内を中心に長野県ほか一部四国などの県外を含めて2000人ほど読者がいるとお聞きした。
樹下美術館にまつわることなどを毎月3-5ページで、少なくとも二年間をということだった。かなりタフだが全くもって光栄な話であろう。写真を多く入れてというお話で幾分気を楽にしてお引き受けをしていた。
初回となる来年一月号の締め切りが忍び寄るように近づいていて本日少々慌てて書き始めた。
夕刻になって美術館のカフェに寄り、先日書いた小さな建物を見に行った。案の定寂しい所にあった。工場敷地と思われる場所でフェンスに囲まれていた。
一帯は昔から茅が茂り、その間を小さな川が流れているはずだった。それで建物のことを川に沿ったポンプ小屋かな、と勝手に思っていた。
こちらから見ると向こうに前回写真を撮った国道に沿って建物が見える。小屋の手前はやはり茅場のようで広く刈られていた。近づくと一羽の鷺がゆっくり横切った。
寂しい場所に孤立するものには引力がある。ある種秘密のように単純に人を惹きつける。今夕何かが分かったわけではなかったが、裏側から小屋を見ることが出来てほっとした。
旧友と食べ、そして観た週末
昨日午後上京し二組の同級生夫婦と会って食事をし、翌日は11時からゴヤ展を見た。学生時代と医局時代をともにし、毎年一度こんなことをするようになって10数年が経った。
食事をした店でアンドリュー・ワイエスの絵に出会うとは(ワイエスの画集は樹下美術館のカフェに出ています)。
おごると言ってkが10分近くソムリエとやりとりしてワインを選んだ。その味わいは初冬の蘆原の香りがする詩的な一本だった。
厚岸(あっけし)の牡蛎は抜群で、肉や果物もよく選ばれていた。親の介護、自分たちの健康、昔話などをぐるぐる回しあい、3時間はやはりあっという間だった。
ウエイティングルームの本:死ぬ前に飲むべき1001のワイン。
「ゴヤ 光と影」展 チケット
ゴヤ(フランシスコ・デ・ゴヤ)展は賑わった。お目当てはカラフルな着衣のマハだが、素描と版画の小品によるモノクロがむしろ強烈な印象だった。これら100点近い作品には、人の欲望や戦争の際限ない愚かさと残虐さが徹底して描かれていた。痛烈な批判は、彼が最初の近代の画家と呼ばれる所以にちがいない。
何とも愛らしい図録表紙(着衣のマハも選べるがこちらにした)
スペイン王子フランシスコ・デ・パウラ・アントニオの肖像
当肖像画の王子はあまりにも魅力的で、悲しいほどなのです。
今年の秋は 雪国にも赤い冬
昨夜から雨が続く。例年ならば木枯らしも吹く頃だが妙に静かだ。
落ち葉の片付けが厄介なケヤキはまだ本格的な落葉をしてない。ある方からせっかくの干柿をカビさせてしまった、とも聞いた。
始まりは南天の赤い実、紅の椿が咲く頃に冬は終わる
無為に春を待つだけでなく
心に赤い灯をともして一日ずつの冬を過ごそう。
いただいたお菓子は上越高田の伝統菓子で、いつかどこかで食べたことがある夜光パンだ。しかし今日の品には別名が付いていたような気がする。明日になったら分かるかもしれない。
週末、貴重な場所で
インフルエンザワクチンの接種はピークが続いている。今年からお子さんたちの接種量が増量された。
これまで高額な費用を支払い痛みをこらえて受けても、40度もの熱で発症するお子さんが少なくなかった予防接種。このたびの増量による効果はどう判断されるか、目が離せない。
高田、アートサロン遊心堂さんで15日までの齋藤尚明氏の作陶展を見た。
樹下美術館でお出しする銘々皿セット、ほかに美しい茗荷の小品を求めた。
幼少を知る尚明さんとは雑談が尽きない。間もなく美術協会のIさん、エレクトロニクスのUさん、陶芸家のTさんが次々お見えになり、お話をご一緒して光栄だった。
皆様と別れて大島画廊へ寄り、額装を終えた倉石隆の「秋」を受け取った。店内でばったりIさんと出会った。「今日、友人を連れて樹下美術館へ行きましたよ」と、美しい人のもったいないお言葉。
リー・ワイリーのヴォーカルがかかる「びんのかけら」の店内。そこで美味しいピザとコーヒー、それにケーキを食べた。センサブルに選ばれた過去にはときめきと安心がある。今後「びんのかけら」はますます貴重だろうと思った。
秋バラの庭、奥にはバレースタジオ、、、おとぎ話のような場所だった。
いただいたチョコレート メルバの食器ドリー・バーデン
新米を送った東京の親戚からゴディバのチョコレートが届きました。夕食後にコーヒーを出して食べましたが、とても濃厚でした。
コーヒーは今年求めた1943年製、英国メルバ社のトリオで飲みました。トリオ(カップ&ソーサーとケーキ皿)は、絵がらの女性の名からドリー・バーデンと呼ばれるようです。
ドリーは英国の偉大な小説家チャールズ・ディケンズ(1812年~1870年)の作品の一つ「パーナビー・ラッジ」に登場する明るく魅力的な女性と、説明書きにありました。
当食器は来年三月、樹下美術館の開館からカフェでお出しする予定です。写真はわずかな損傷があるカップを用い、カフェ向けの4セットは現在大切に保管しています。
ドリーが出てくるパーナビー・ラッジを読んでみたいと思いました。
ディケンズと言えば忘れもしません、数えてみると57年も前、中学校へ入学して初めての国語の時間だったと思います。先生は今までに読んだ中で最も印象に残る本を生徒に尋ねました。
「大いなる遺産」、K君が答えました。
「エッ、おいなりさん?」
「大いなる遺産!」
「おいなりさん?」
先生との間でやりとりが何度もありました。K君は顔を真っ赤にして大声で答えました。みな笑いだし、K君はついに肩を落として座ってしまいました。しかし問答は明らかにK君の勝利だったのです。
母の命日 沢山良いことが
去る11月7日のノートに母の夢を見たことを書いた。ハモニカを吹くのは如何にも母らしいと思ったが、正直、叱られての曲目がやや寂しさを残していた。
今日昼、三回目の月命日でご住職に読経していただき、一生懸命祈った。
そのせいか午後から以下のように良いことが7つ起こった。
1.美術館にお客様が次々と見えられた。
2.新潟、長岡、三条、柏崎、と県内遠方の方たちがお見えになった。
3.今月二つ目の団体さんの予約があった。
4.いもけんぴの絵を買いたいと、お客様が仰った。
5.球根類を植え、懸案のもみじの移植が出来た。
6.きれいな月だった。
7.お目に掛かりたかった人にお会い出来た。
およそ1,6メートルのもみじは、庭の奥の方、日当たりの悪い所から移した。当砂地の庭は夏には猛烈に灼けて花がつらい。少しでも日陰ができるよう最も日の当たる場所に植えた。一躍目立つ場所に出た木、やや心配だが実生なのでうまく育つことを期待したい。
「私がもみじの鉢を掘るから、あなたは月を撮っていて」と妻が言った。
三日前の母の夢と本日のお経、そして皆様のご理解によって良い日になった。体にも気を付けなければと思った。
母が初めて夢に現れた。
夕食後の眠気で一階の6畳間に横たわっていた。一時間ほど眠った頃ぼんやりと目が覚めた。近くでハモニカの音色がしていた。
音色は童謡「叱られて」だった。最後の節“コンときつねが鳴きゃせぬか~”を私も口ずさんだ。もしやハモニカは母ではないのか。身をのけぞらせて空いているふすまから隣の部屋を見た。
やはり母だった。白装束をまとって仰向けになった母は、わずか3,4センチの小さなハモニカを口に含んでいた。
ああ、やっぱり母さんだったんだね、と思う間もなく姿はすーと消えた。
私は二階の自分のベッドで目覚め、見たものは夢だった。
チェーホフの短編集「かわいい女/犬をつれた奥さん」のどこかで、“亡くなった人を忘れはじめる頃にその人の夢を見る”というような一節を読んだ気がする。
8月10日に母が亡くなって3ヶ月が経とうとしている。早いか遅いか自分には分からないが、今夜の夢はそう悪い感じはしなかった。
亡くなって30年近く経つ父は、数年に一回くらいの割合で元気に夢枕にたつ。出来れば今後、母も父などと和やかに現れてもらいたい。
夢の中で母が寝ていたところは、一晩遺体を安置した場所。そこで納棺の時、猛烈に私は泣いたのでした。
瑞泉寺の一期一会 樹下美術館もぽつんとした引力を
日中さして寒くない雨の日。上越市南本町瑞泉寺で「邦和会 茶会(第三回」があった。
このところ続けて茶会に伺っている。母が亡くなって間もなく三ヶ月、まだ部屋にいるような気がするが外出に少々安心を自覚するようになった。
瑞泉寺。なかば落葉した桜の陰で聖人像が冬を迎えようとしている。
薄茶席は点茶盤による立礼で、時雨にけむる庭が見える開放的なお席。濃茶席では八畳間で開かれたばかりの炉を囲んだ。
いずれも心こもりのお道具に接し、熱い茶に一期一会を胸深く吸い込んだ。
帰りはしょっちゅう通る国道8号線。直江津方面から来て黒井を過ぎる右側、遠くに白い小さな建物が見える。以前は木造だったように思われるが、ずっとある。
写真のさらに左には長い間、松が一本ぽつんとあった。松は切られて10年近くたったかな、やはりいつも目をやっていた。
松も家もぽつんとしたものにはある種引力がある。小さな樹下美術館もそのような力を有していたい。
甥の結婚式
昨日午後、甥の結婚式が軽井沢であった。披露宴はスピーチが一つ、謝辞が二つだけ、お色直しも騒ぎも無い簡素なものだった。
あんなにやんちゃだったのに、こんなに良いお嫁さんをもらうなんて。食事が美味しく、温かで良い結婚式だった。
![]() テーブルディスプレイ |
![]() バナナケース |
目の前の坊やがバナナケースというものを持っていた。開けると中に本物のバナナが入っていた。傷まずにバナナを携行できるというもので、大小構わず入るという。バナナの湾曲度がほぼ一定なために出来るらしい、初めて見た。
終わって式場を出るととっぷりと日が暮れていた。
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