藍染かつら 時代とは何と大きな流れなのだろう

2012年2月5日(日曜日)

豪雪続きの空が、昨日の立春に続いて今日も穏やかに暮れて行った。

 

いつしか日曜日の夜は妻が見ているテレビ映画を途中から見ることが続いている。今夜のNHKは愛染かつら総集編(昭和13年・1938年:松竹大船制作)だった。

昭和17年生まれの自分には、映画の名や主題歌をどれほど耳にしたか分からない。しかし途中から(後半を三分の一ほどですが)ながら実際に見たのは今日が初めてだった。

 

小生の父母も同時代の主人公たちと同じ医師と看護婦(看護師)であり、短い時間だったが映画には他人事とは思われない不思議な気持ちがした。以下若干の雑感です。

 

●白衣:妻の指摘だったが、主人公の医師の白衣が現在と全く同じなのに驚かされる。白衣は進化なき服装の代表格かもしれない。

 

白衣70年前の映画でも全く同じ、医師の白衣。

 

●アールデコ調:映画の時代はアールデコ席捲の時代。日本もしっかり洗礼を受けている。女の児の極端なおかっぱから女性の着物に見られる大きな幾何学模様までも潮流のうちであろう。

 

アールデコ調椅子、女性の服装、暖炉、楕円の壁飾りなどアールデコ調満載の場面。

 

●婦長・寮長の絶対:母が学んだ九大の看護学校の寮生活において、寮長である婦長(師長)は絶対者だったという。就寝時の長の巡回では5,6人の同室者は全員正座して待ち、伏して「何事も変わりございません」と言ったと聞いた。

晩年まで母は婦長の姓名をよく覚えていて、くすくす笑いながらよく巡回の話をした。
本日の映画の婦長も大げさに胸を反らし、看護婦(看護師)達はただひれ伏すばかりだった。

 

●時代と主人公:医師である主人公と看護婦だったヒロインの病院が閉鎖を迎えようとしている。時代は「大学を出たけれど」の歌が流行る絶不況。
私事ながら、小生の父は祖父の借金、母は看護師の就職難によって新潟と佐賀からそれぞれ満州に渡っている。満州の多義性と失敗は数え切れない現実ドラマを生んだことだろう。

 

父と母満州で出会った当時の父母。映画の1年後くらいではないだろうか。
温室のような場所で、母の着物の柄の大きいこと。

 時代とは何と大きな流れなのだろう。
映画の登場人物たちはみな懸命に発言し説明しあう。
間もなく始まる戦争、進む統制を考えると痛々しい。

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