樹下だより

秋のコンサートのお知らせ

2008年9月12日(金曜日)

チェンバロとバロックヴァイオリンのコンサート

 

チェンバロ

 

樹下美術館では今年も秋のコンサートを催します。今回はチェンバロにバロックヴァイオリンが加わりました。一回50席を二回、小規模ですので全席ご予約にさせて頂きました。ご希望の方は、普段のご来館の際にどうぞお申し込み下さい。秋の日、館内に響くバロックの音色をお楽しみ下さい。

♪日時・会場・会費♪
 ○日時:平成20年10月20日(月)午後6時半開場7時開演
  および平成20年10月21日(火)午後2時開場 3時開演
  ※二日で二回の開催です。満席になりましたら締め切らせていただきます。
 ○会費:お一人様3000円(当日受付で)
 ○樹下美術館電話025-530-4155

♪演奏者♪
○チェンバロ:加久間朋子Tomoko KAKUMA
   洗足学園大学音楽学部卒。在学時より「古楽研究会オリゴ・エト・プラクテ
   ィカ」にて、チェンバロと通奏低音奏法を故鍋島元子に師事。イタリア、ド
   イツでソロ公演、アンサンブル「音楽三昧」メンバーとしてアメリカ公演、
   現在、「音楽三昧」メンバー、「古楽研究会」代表および講師。
○バロックヴァイオリン:本多洋子Youko HONDA
   桐朋学園大学音楽学部ヴァイオリン科卒業。パリ国立音楽院、ブリュッセ
   ル王立音楽院バロックヴァイオリン科ディプロマ過程卒業。バロックヴァイ
   オリンを寺神戸亮、F.フェルナンデス、S.クイケンの各氏に師事。,Les Arts                                       
   Flossantsなどのバロックオペラ専門オーケストラでの公演・録音に参加。

♪プログラム:フランスとドイツのバロック音楽♪
   ・フランソワ・クープラン:王宮のコンセール第1番
   ・ビーバー:「ロザリオ・ソナタ」よりパッサカリア(ヴァイオリンソロ)
   ・ J.S.バッハ:ヴァイオリンとチェンバロの為のソナタ第3番ホ長調BWV
             1016
   ・ ダングルベール:プレリュード・ノン・ムジュレ、パッサカリア(チェンバロ
            ソロ) ほか

ブログ

2008年9月2日(火曜日)

 9月1日から樹下美術館・「館長のブログ」の公開を始めました。タイトルは「日頃草子」にしました。タイトルの背景写真は上越市板倉区の水田とほこらです。ここは母が毎月2泊3日のショートステイで利用する「いたくら桜園」のすぐそばの風景ですが、なぜかとても気に入っています。
ブログのきっかけはホームページの「周辺の四季」「話題」、一部「お知らせ」がブログによく似ていたことでした。そこで秋を機にまとめてブログにすることになりました。ホームページの調整やブログの基本作業などオージャス(株)さんには大変お世話になりました。
普段、遠出が少ないので内容は身近なことばかりと予想されます。ホームページと行き来しながら樹下美術館が親しまれますよう続けたいと思います。
 さっそくですが一昨夜、皆さんと秋の展示替え作業をしました。新鮮な展示に向けてレイアウトや照明を考える楽しい作業でした。ところが途中大切な作品が1点、ゆくえ不明になっていることが分かって慌てました。私が思わぬ所に置き忘れていたのです。遅くなって妻が気付いて胸を撫で下ろしましたが、夜の駐車場という突飛な出どころに二人で笑いました。
これから秋晴れ、秋冷、時雨、小春日和。秋なりの良い季節が始まります。お気軽に樹下美術館をお訪ね下さい。

 

 

写真はいずれも当館今月のゆかり「倉石隆の挿絵本」の様子です。

9月1日作品入れ替えのご案内

2008年8月26日(火曜日)

 9月1日より11月30日までの間、秋向きに半数の作品を入れ替えて展示致します。新たな作品の一部は樹下美術館のホームページ「作品」欄でご覧いただけます。陶芸ホールでは色絵、染め付け類のほかに色濃い鉄釉の器が3点加わりますので、調和の良い展示が期待されます。

  倉石作品の絵画は新たに「詩人」と「人生」が中央に架かります。グレーのモノトーンとオレンジ系の二枚の油彩は白壁に映えて見応えがあろうと思われます。さらに両脇の中世風な「ベラスケス回想」と倉石独特の細い「裸婦像」は場を和ませてくれることでしょう。

9月1日からの「今月のゆかり」は12月いっぱいまで「倉石隆の挿絵本」です。挿絵は倉石のもう一つの重要な仕事です。少年少女小説や絵本のために描かれた挿絵にはあどけなさ、情愛や悲喜、驚きなど読者を引きつけて止まない場面表現が見られます。「金色のあしあと」には原画も飾りました。子どもたちへの深い愛情がこもった倉石挿絵をどうかご覧ください。
最後に6月から続いた今月のゆかり「陶齋とサントリーの人々」が終了します。多くのご来館者様ならびに出展にご協力下さった方々に深く御礼申し上げます。

 

 

   
陶芸「鉄釉蝋抜き辰砂差し草紋花瓶」と油彩「ベラスケス回想」 

 

 
「 しあわせなおうじ」の挿絵

暑中のお見舞い、そして小さな旅人たち

2008年7月19日(土曜日)

小さな旅人たち:小石とシーグラス

暑中お見舞い申し上げます
先日の夕刻、大潟の浜を散歩しました
大きな海が作り出した可愛いものたちを拾って帰りました
キズつけ合わないようにみな丸く小さくなっています
夏が終わりましたらまた海へ返しに行ってみます
そしたら今度はどこへ行くのでしょう
長い旅をしているのですね

7月の花嫁

2008年7月10日(木曜日)

 7月9日水曜日、朝を中心に上越地方は豪雨に見舞われました。一部で道路や住宅に冠水があったそうです。そしてこのことが伏線になって、午前の仕事中に「樹下美術館でブライダル雑誌の撮影をさせて欲しい」という突然の電話がありました。咄嗟でしかもこんな雨降りになぜ?と思いましたが休館日でもありましたので、どうぞとお受けしてみました。経緯が分かったのは後からでした。予定していた高田公園の野外撮影が雨で不能、困った地元スタッフの一人が樹下美術館を提案したそうです。その方はかって当館を訪れたことがあり、印象から館内撮影がひらめいたということでした。
午後に上越、東京、新潟のスタッフ8人で撮影が始まりました。昼休み中、若い人たちの生き生きとした仕事振りを興味深く見ることができました。光が柔らかくて良かった、というカメラマンさんの言葉を嬉しく思いました。
雨はすっかり上がり、外の撮影が追加されました。緑きわまる7月の庭に突然降り立った花嫁、なんとも素晴らしかったです。樹下美術館はこうして思わぬことにも出会いつつ成長するのかなと思いました。

 

 

 

ターシャ・テューダーさんが亡くなりました

2008年6月22日(日曜日)

 遠くから敬愛していたターシャ・テューダーさんが、去る6月18日亡くなりました。近親者に囲まれての最後だったようです。近時、映像や本で見るたびお年を感じていました。当ホームページの本コンテンツで「いつまでも元気でいて欲しい」と書いたばかりでしたが、とても残念です。
無駄のないつぶやくようなターシャの声がよみがえります。
ターシャが捧げた庭造りは、どこかで永遠や生死を意識する営みです。死についてターシャはアインシュタインの言葉を引用しながら、自分の観点を述べています。これを読むと、彼女は科学とその心についても深く理解している頭のいい人だと感心せざるを得ません。
ところで彼女が選んだ土地ヴァーモント州は私たちの上越地方と同じく雪が降る土地です。また名曲「ムーンライト・イン・ヴァーモント」はスタンダード曲の中で唯一恋歌でなく、土地の美しさだけを歌ったものだ、と学生時代に知りました。私がターシャを好きになったのも土地と歌が少し関係していたかもしれません。分身のようだったコーギー犬はどうしているのでしょう。

【以下はターシャが死に関して語った言葉です】
Einstein said that time is like a river, it flows in bends. If we could only step back
around the turns, we could travel in either direction. I’m sure it’s possible. When
I die, I’m going right back to the 1830s. I’m not even afraid of dying. I think it must
be quite exciting. ーTasha Tudorー

(アインシュタインは、時間とは折れ曲がって流れる川のようなものだと言った。私たちは川の曲がり角にきても、向きを変えれば今度は反対向きに旅することが出来る。私はそのことを心から信じている。もし私が死んだら自分は1830年代を目指して歩いて行きたい。私は少しも死を恐れていない。むしろ死はとてもエキサイティングなものだと考えている。ターシャ・テューダー)

※訳には自信がありません(館長)

 

一年が経ちました

2008年6月10日(火曜日)

 昨年6月10日開館からお陰様で一年が経ちました。無事であったこと、少しずつ来館者様が増えていること、ともに心から皆様に感謝申し上げます。一周年と申しましても特別な催事はございませんが、以下若干の工夫を致すことにしました。今後ともゆっくりですが歩みを続けて参りたいと思います。

  1. 休館日の変更:9月1日から毎週火曜日のみ休館にいたします(従来は火・水の二日でした。冬期の休館は今まで通りです)。
  2. 夏期の毎日開館:夏休みにちなみ7月20日~8月31日まで毎日開館致します。
  3. 12月全館に倉石作品を展示:この間陶芸ホールは要所に陶齋作品を配します。
    カフェの本:一部を入れ替え、以下8冊を追加致します。
    「麻生三郎 全油彩」「森芳雄画集」「the audrey hepburn treasure(オードリーヘップバーンの宝物)」「Beautiful Wemen in Kyoto:ほんやら洞・八文字屋の美女たち」「ターシャの庭づくり」「Patterns in Design,Art and Archtecture」「東京ディズニーシー」

受賞しました

2008年5月26日(月曜日)

 既に報道されましたように、今年4月24日、関東甲信越建築士会ブロック会において樹下美術館が平成19年度新潟県の優良建築物として選定されました。
 今回は加盟11都県から5件が選ばれ、当館は新潟県における三年ぶりの対象となったようでした。このたび5月24日、受賞された上越市の一級建築士・大橋秀三氏(大潟区出身)が表彰状を携えて来館されました。氏は計図面・スケッチ図を23メートルにおよぶ巻物にされ大変驚かされました。
 「童謡のごとく」と大橋氏が述べられましたが、樹下美術館はふるさとの野辺にふさわしい穏やかさをもって周囲と調和をしていると思います。筆者は施工中の建物に「あたかも動物が和んで横たわっているような」印象を受けていました。また内部は平屋の小館でありながら方向、形状、高低、空間分量に楽しい変化の工夫がなされています。このため来館者様には作品鑑賞とあいまって密かな興奮をもたらしていることが実感されます。皆様のこのような心地良い高まりは、こんどは自然の外気に直面するようなカフェや外のベンチでゆっくりクーリングダウンされる印象があります。
 完成までの作業を通して、建築が五感と目的機能を計る高尚できわめて総合的、ある意味大変な芸術であることがよくわかりました。これまでいくつも受賞されている大橋氏は、空間への直感や絵画センスに優れ、今後のさらなる活躍が期待されます。
 大橋秀三さんおめでとうございました。とても気に入っています、有り難うございました。

 

受賞記事080425

 

設計図面の巻物

 

表彰状

嬉しい訪れ

2008年3月14日(金曜日)

 3月半ばに入ってようやく春の訪れを感じます。隣接の庭で大小30株のクリスマスローズが少しずつ咲きはじめ、南側の土手にふきのとうが顔を出しました。
  ところで去る暖かな午後、駐車場にタクシーが止まっていました。庭を見るとご高齢の婦人が右手に杖を、左手を中年の女性に引かれてゆっくり歩いておられました。婦人は2回目の来訪と述べられ、手を貸していたのは制服姿のタクシーの運転手さんでした。お二人は館内を回ってからカフェに下りて行かれました。この方とは相性が合います、と嬉しそうに運転手さんと並んでミルクティーを飲まれる婦人は93才ということでした。ショートめの白髪に優しいなまなざし、花にもまさる嬉しいお訪ねでした。

 

 

倉石作品「M夫人像」の背景人物について分かったこと

2008年2月12日(火曜日)

1985年10月9日新潟日報の新聞記事から。

 

 当ホームページ2月6日掲載の作品紹介で倉石隆の作品「M夫人像」にコメントさせていただきました。そこで背景に掲げられた男性の肖像を「ドストエフスキーかもしれません」と記しました。
 これまで当肖像には深い意味が込められていると考えていましたが、不勉強のせいでそれが誰なのか実は謎でした。しかし昨日、たまたま倉石氏が残されたスクラップブックの中に当人物を言及した新聞記事が見つかりました。
 記事は1985年9月東京銀座・美術ジャーナル画廊における倉石氏の個展を紹介した新潟日報のもの。文中M婦人像の背景人物を画家ブリューゲルと記してありました。
 不勉強ながら当館長はブリューゲルについて「あたかも神のような視点で昆虫を観る如く人間を俯瞰した画家」という感想を持っていました。あらためてM婦人像を見ますと、ブリューゲルの旁らで婦人と作者が強い視線で見つめあっています。見る者は見られそれもまた見られている…。あなたと私と神的な存在の三角関係が象徴的に表現されたより厳しい絵ではないかと感じました。
 個展が紹介されて2年後、倉石は脳梗塞で失語症と右半身の完全麻痺に陥ります。あまりに過酷な運命ではないでしょうか。

 本末尾に記事「物語性を与えた絵画」のコピーを掲載致しました。折り挟んで一面がスクラップブックに残されていました。他の記事も読みましたが当時の新潟日報の学芸充実に驚かされました。

 

倉石の個展を紹介した新潟日報

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