樹下だより
博物館協議会
昨夕、北信越博物館協議会が上越市であった。仕事の都合などで残念ながら記念講演、シンポに参加できなかったが、夕刻からの情報交換会に出席できた。
協議会の協会は日本博物館協会の北信越支部にあたる。福井、石川、富山、長野、新潟の5県の博物館・美術館が加盟していて名簿に187施設が載っていた。
当協会長の伊藤文吉氏(北方文化博物館館長)が挨拶された。文化施設を全うするということは「如何に皆さんに喜んでもらうか」であり、現実には「貯金が無くなることでもある」と強調された。身を投げる情熱と、もてなしの心のことだろう、と思った。先達の言葉として心強く、深く賛同出来た。
日本の美術館は国の認めで約1800カ所。先進国では決して少ない方ではないようだ。国・地域の文化の質は、施設の内容や数とともにどれだけ多くの人が足を運ぶかが課題だといわれている。小館ならばこそエバグリーンを胸に歩んで行きたいと思った。
診療所の庭にもバラが咲き始めた
音楽の力,立花千春さん
大潟区のコミュニティープラザで樹下美術館主催の音楽会が無事に終わった。まちづくり大潟と大潟音楽協会のご後援を得て良い音楽会になった。華麗なフルートの歌姫、立花千春さんには、豊かな音楽の力を会場一杯に満たして頂いた。渾身の演奏だった。ピアノ伴奏の宇枝優見さんもナイスコンビネーションだった。
ご来場頂いた皆様、演奏のお二人様、本当に有り難うございました。
齋藤さんと我が家 6 別れ
前回の齋藤さん(陶齋)と我が家5で、父が齋藤さんの作品蒐集を急に止めてしまった所まで進んだ。父の陶齋熱は昭和23年頃から30年代後半までおよそ15年ほどだった。
昭和50年6月、私は父の仕事を継ぐため帰郷した。すでに父にはパーキンソン病が進行していた。帰郷後、何度か齋藤さんの窯を見に行こうと父を誘った。しかし動作や言語などが乏しくなった父に色良い返事はなかった。それがある日、行ってみると言った。
私にとって初めての齋藤さんの展示室は、民芸調で雅味溢れるものだった。長くお目にかからなかった齋藤さんにお年を感じた。齋藤さんも父の変貌を驚かれた事だろう。互いのあいさつの後、父はほとんど言葉もなく背を丸めて佇むだけだった。あれだけ夢中になった人の前なのに、、、。
「年を取ったら華やかな色が好きになりました」、と齋藤さんが話した。父が微かな笑みを返した。
この日、私は牡丹が描かれた辰砂の偏壺を取らせてもらった。やっと父の真似ができて嬉しかった。帰りの車中父と壺を乗せて、父達に過ぎた時間のことをぼんやり考えていた。
仕事に忙殺されて何年か経った。昭和56年7月、齋藤さんが亡くなった。そして翌年は父も。齋藤さん68才、父78だった。68才はいかにももったいない年だ。齋藤さんはみんなに愛されすぎた希な人だったと思う。
最後に陶齋に会った日の牡丹紋辰砂偏壺(ぼたんもんしんしゃへんこ)
今回、樹下美術館の開館まで行くつもりでしたが、うまく出来ませんでした。次回はすんな終わりたいと思います
お茶碗そして上越の雪月花
本日午後、貴重な抹茶茶碗に出会えた。齋藤三郎の高田における若い時代の作品である。弥彦神社の宝物・大鉄鉢(重文)をならって作られた器、と古い包みに書かれている。やや小ぶりで素直な姿。黒と茶に意図された鉄釉が絶妙な案配に焼成されている。
わざわざ遠方から運んで下さった方は、戦後上越で堀口大学、濱谷浩、小田嶽夫、市川信次氏らを身近にして育たれた。茶碗は当時の文化の賑わいから自然に生み出されたであろう何とも言えない品格を漂わせている。
皆様にお見せして、という言葉が有り難く、今秋にはぜひ展示したい。
さて昨夜は14夜で、今夜は15夜満月。お天気に恵まれ高田城趾の桜も一段と冴えていたにちがいない。冬から春へ巡る上越の雪月花、、、。
使用感
4月1日から陶芸ホールは齋藤三郎の食器を展示しています。18のケースに130点ほどの器でかなり賑やかになりました。ケースによっては茶碗屋さんの雰囲気です。
昨日お会いしたお客様が、ジョッキが良かったと仰いました。ジョッキのどこが良かったのでしょう、とお尋ねしますと「使用感が」というお答。
なるほど、展示作品はきれいばかりが良いのではないのですね。特に食器では使用された事が見どころの一つ、と改めて知らされました。ちゃんと生きたことの勲章?でしょうか。
展示のうちほかに使用感が多く見られるのは、急須と湯飲みです。家では欠けた陶齋の器をよくセメダインで接着して使いました。見えるかどうか、欠けやヒビ、茶渋で感じが出ているものを並べて撮ってみました。
来年は開館満三年となります。記念行事として、カフェでコーヒーなどの後に、宜しければ陶齋の湯飲みでお番茶をお出ししてみたいと考えています(こちらはなるべくきれいなもので)。
人間も長い間、自らを使ったり使われたりして傷つき汚れもします。年を経てそれらが魅力や味になるならばいいですね。
鉄絵の陶器ジョッキ(マグカップ)、名脇役でした。
湯飲み:痛々しいほど使い込まれたものもあります。
パーツが面倒な急須。磁器も陶器も陶齋は飽かず作り、そして使われました。
食器展のお知らせ
【齋藤三郎食器展】
○21年4月1日から8月31日までの陶芸ホールは、全て齋藤三郎(陶齋)の食器を賑やかに展示致します。
齋藤三郎(陶齋)は壺や飾り皿などの装飾的な作品のほか、熱心に食器を制作しました。皿、茶碗、湯飲み、急須、酒器、菓子器、ジョッキ(マグカップ)ほか器種は多彩です。技法も染め付けから鉄絵、色絵までまた多様でした。
作品は用を願って制作され、身近な草花を主なモチーフに、和やかにと心傾けました。
以下は展示品の一部と目録です、どうぞお気軽にご来館頂きお楽しみください。
染め付け絵変わり向こう付け
色絵窓字どくだみ紋湯飲み
急須各種
梅絵汲み出しセット
辰砂(しんしゃ)葉紋カップ&ソーサーセット
【展示目録】
・染付煎茶器セット(宝瓶1、茶碗5客)※
・赤絵番茶セット(急須1、茶碗6客)
・急須各種:掻き落とし牡丹紋・辰砂椿紋・鉄絵秋草紋・窓絵笹紋・白釉鉄斑紋・白磁・ 鉄絵木蓮紋・染め付け石榴紋など10客
・ジョッキ(マグカップ)辰砂6客セットほか各種8客
・青磁象眼椿紋皿2客
・絵唐津風皿5客揃え
・湯飲み各種24客
・色絵梅枝紋皿6客セット
・色絵窓字ドクダミ紋湯飲み7客
・盃各種15盃および鉄絵草紋銚子2本
・染め付け絵変わり向う付け6客セット
・灰釉蓋付き壺 ※
・鉄絵四季紋皿5客セット
・辰砂葉紋カップ&ソーサー6器セット
・梅絵汲み出し5客セット
・灰釉線紋カップ&ソーサー6客セット
・鉄絵葉紋菓子鉢
・鉄絵呉須湯冷まし1と煎茶器2客 以上約130点です。
※印は展示内容を変更致しました(4月1日)。
齋藤さんと我が家 5 エッグベーカー
筆者は年の近い5人兄弟姉妹の一人です。昭和30年代半ばから私たちは進学のために次々と上京しました。ところが平行して、あれだけ熱中し親しんだ父が突然のように齋藤さんから離れるようになった。不思議に思えて、何故と問うても父は言葉を濁すだけだった。
まず浮かぶのは子どもの学費が嵩んで蒐集が続かなくなった、ということだ。ほかに齋藤さんへのひいきの自負などが折れたのか。なにしろ当時齋藤さんの人気は文化人、茶人、市中へとますます伸びていた。こうなるとかえって一途だった熱が冷めることもあるのだろうか。
以後、父は上京すると銀座にある民芸の店「たくみ」へ寄るようになった。時々同行したが、鳥取県「湯町窯」の素朴なエッグベーカーなどを選 んでは笑顔を浮かべていた。
※次に「6別れから開館へ」を記して陶齋と我が家を終わります。
湯町窯のエッグベーカー、随分使いました。
若いご夫婦。御館の乱。シーグラス。
日付をまたいでしまいました。さて昨日日曜は穏やかなお天気でした。午後から美術館に寄りましたら、這いはいを始めたという坊やを連れた若いご夫婦とお会いしました。このような方たちにもくつろいで頂くのはとても嬉しいです。
日曜夜は天地人です。今のところ兼続は皆の後追いが精一杯、今後どう成長するのでしょうか。それに比べて景虎、景勝の二人は形もよく、存在を際だたせて立派な主人公ぶりでした。このまま悲劇として終わってもいい、と思わせるほどです。しかし、かろうじてまだ互いを思いやっている二人が向かえる過酷な御館の乱の殲滅戦。少々気が重くなります。
晴れ間の午前、通い慣れた海へ行きました。そしてまさかと思った黄色のシーグラスに出会いました。子どものようにラッキーと叫びました。砂浜を歩くのに慣れましたし、おくりものにも出会えて、体に良い実感もします。
これまでの代表選手たちと
取材、そして西洋芍薬
本日午後、勝島経営研究所ビジネスカツシマさんから取材を受けました。ウェブで上越情報を伝える企画の取材でした。上越の知名を高めるために頑張るスタッフさんたちに頭が下がりました。樹下美術館はもてなしの心を込めて頑張りたいと思いました。
来る3月8日(日曜日)から4月5日(日曜日)まで柏崎市立博物館で植物写真・スケッチ展が開かれます。小生も描きためた中からボタニカルアートとして西洋芍薬を二点出させて頂きます。
ボードはいずれもA3で、2ミリ厚のケント紙。楕円に切った3ミリのマットを付けてます。マットのままスキャンしましたので地色や縁などに変化が出てしまいました。
開館と御館(おたて)の乱とトキ
3月1日、樹下美術館は今年の開館を致しました。今日は静かな初日でしたが、ご来館の方々には厚く御礼申し上げます。次第に暖かくなって美術館日よりへ向かいます。今年も何卒宜しくお願い致します。
さて大河ドラマ「天地人」は謙信亡きあと、景勝、景虎の養子の間で家督争いがはじまりました。次回はいよいよ前半の山場、御館の乱へと進むのでしょう。これまで二人は微妙ながら穏当だっただけに争いは悲劇的です。
それにしても家督の遺言がうそという説話では、謙信像が色あせて見えます。しかも嘘を使った側が勝つのですから、この物語の義は複雑です。争いでは根拠があいまいでも戦禍はいつも悲惨。関東管領と城主など、真剣な分別は本当の所どうだったのでしょう。厳しい場面で突然主人公となる兼続。果たして大丈夫でしょうか。
ところで、昨日トキがひょっこり上越市にやってきました。一羽で佐渡から本土に渡り、すでに数百キロは移動したはずです。厳しい冬だからこそ移動を繰り返したのかもしれません。トキの強靱さに感心します。
また飛来した場所は、御館の乱で一帯が焼き尽くされた国府でした。図ったようにぴったりなタイミングでした。以前上越に来ないかな、と書きましたがその通りになりました。ずっと居てくれればいいのに。
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