樹下だより

塩﨑展の新たな来館者様案内文

2018年4月29日(日曜日)

春の連休が始まり、昨日から好天に恵まれています。
18日からの「桜のレクイエム 塩﨑貞夫展」は、お陰様で常
より来館者様にお出で頂き美術館の楽しさを醸し出していま
す。

ところで来館の皆様へ塩﨑展の簡単な挨拶文をお配りして
いますが、開展10日余、時候のくだりなどが合わなくなっ
てきました。そこで以下のように改めて明日からお配りする
ことに致しました。

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大きくしてご覧下さい。

 

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懐かしいコムクドリがやってきました。

今年は野も庭も足が速い。

2018年4月26日(木曜日)

今冬、上越市北部の当地は何度もドカ雪に見舞われ、
豪雪の趣きだった。
それで3月15日の今年度開館には除雪作業を覚悟し
ていた。
しかるに3月上旬に大風が吹くと雪は手品の如く消え、
無雪で開館を迎える事が出来た。

以後、クリスマスローズで始まった庭は春の椿、イチ
ゲ、ヒトリシズカ、水仙、ハクモクレン、桜、チューリ
ップ、ジューンベリー、ミツバツツジと花が移り、現在
八重咲きイチリンソウ、アメリカハナミズキ、二種のス
ミレ、キバナホウチャクソウ、一部でクレマチス、エビ
ネ類が咲き、今やスズランまで始まろうとしている。

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もっと見ていたかった可憐な黄花カタクリ。

 

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慎ましいヤシオツツジの落花。
咲き残っている花たちもあるが、花の足はあたかもコマ落
としフィルムの如く早く、あまりのことにめまいがしそう
だ、かってこんなことがあっただろうか。

 

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本日ご近所の方から山菜を頂戴した。
例年ながら見事な山の幸。今年は一週間から十日ほど早い
と仰った。

日は長くなり、閉館して一時間余、ホームセンターで求めた
キキョウの苗を二つ植え、発育が停まっているクリスマスロ
ーズ6株を掘り、土を作った軟らかな場所に移植した。

これだけの事だがこの季節、野や田畑で仕事をする人が如
何に喜んで出向くか、分かるような気がする。
終われば腰は痛むが月が昇っているのである。

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いっとき賑わった午後の樹下美術館。

塩崎貞夫展の雰囲気。

2018年4月24日(火曜日)

去る4月19日から始まった春の特別展「桜のレクイ
エム 塩﨑貞夫展」はこれまでの樹下美術館の雰囲
気をずいぶん変えている。

作品は齋藤三郎の陶芸と倉石隆の常設展示作品と交じ
り合い、館内をより豊かな雰囲気にし、ぽつりぽつな
がら常より多くの方が場内を温めてくださっている。

既存の陶芸、絵画作品、あるいは家具・丁度品、さら
にカフェおよび庭と不思議と調和し、塩﨑作品は居住
性などと言えるかも知れない落ち着きと親しさを感じ
させている。

 

 

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手前に齋藤三郎の染め付け水指と向こうにカモグリの家
具。

 

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向こうに倉石作品の人物たち、手前に白テーブルと黒い椅
子。

 

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カフェに降りる階段に「弥彦山の磐座(いわくら)」。
この絵がお気に入りのお客様がいらっしゃった。
石積みのてっぺんに小さな鳥居が乗っている小品。
得に言われぬ清々しさが伝わる。

 

 

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カフェに2点の女性を描いた作品。
ここには「東塔」と「コスモス」も架かっている。

 

 

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上掲右の作品。タイトルは無いが、悲しんでいる風
に見る人もいるが私には恥ずかしがっている作品に
見える。
悲しんでいるとしても、作者はこの女性を愛している
ようにしか見えない。

 

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この作品もタイトルは無い。うっすらとした桜の地模
様の上に薄い着衣の細い女性が軽やかに浮かんでいる。
何とものどかで幸福感漂うこの絵が好き、とある女性が
仰った。

作者の深く澄んだ心と天真爛漫さが滲む一種不思議
な塩崎作品。
本日は東京からほくほく線で犀潟に降り立ち、来館さ
れた塩崎ファンの方がお見えになった。
あるいは少し腰が曲がったお年寄りご夫婦が、仲良く
山間から来て下さった。
ドナルド・キーンセンターを支援する柏崎市のボランテ
ィアさんが東京のお客様と熱心に話をされた。

 

新緑とお茶席の新潟県立大潟水と森公園。

2018年4月22日(日曜日)

終日暖かく晴れた日曜日、美術館でお客様に“大潟水と森公
園のお茶席に行ってきた。良かったですよ”と勧められた。

公園は美術館から車で10分少々で行ける。
出かけてみると園内は瑞々しい新緑に一変していた。

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園内の木道から、群生する水生植物「ミツガシワ」の白い花
が涼しく眺められる。今年の花はいっそう見事。

 

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お茶席は江戸千家社中による薄茶の立礼だった。ぼんぼり水指、
木村秋雨の「花」一文字の短冊、屏風にかかった桜の扇など、
春を惜しむ良いお茶席だった。潟町の歌代菓子店のお菓子とま
ろやかなお抹茶の相性も良く美味しく頂いた。

 

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春風に吹かれて読書をする人。

公園一帯は縄文、弥生、古代と古い先人達が住んだ場所。
そのせいか水辺の野はどこかゆかしく、安心で心なごむ。

新緑の趣きの樹下美術館で。

2018年4月21日(土曜日)

雪消えの開館から一ケ月と一週間、この所の暖かさで庭は一
気に新緑の趣きとなった。

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一斉に緑が萌え始めた庭。

 

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山桜の花びらが浮かぶ水盤で雀が水浴び。

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雀の後にすぐウグイスが来たが浴びなかった。
藪と日陰が好きなウグイスが日向の水盤に来るのは珍しい。

 

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午後遅くのお客様を上越タイムスの記者さんが取材。

うららかな春の日、閉館の夕刻からあるグループが貸し切り
でティーパーティーをされました。“良い夕べでしたね、有り
難うございました”

春陽の塩﨑作品展。

2018年4月19日(木曜日)

清々しく晴れた本日、塩﨑貞夫展が始まった。
昼に出向くとJCVのスタッフが取材をされ、十日町
や鎌倉など遠路の方たちもお見えになっていた。

差し込む春陽の中で、設計家大橋秀三氏の白い壁面
に齋藤三郎の青い陶磁器と静かに調和し、塩﨑作品
は本日一層生き生きとして魅力を放っていた。

 

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最初に出合う「滄溟を爽やかに飛べ」。

清々しく命萌える季節の塩﨑作品、皆様に観られ、ま
すます豊かに育てられて行く予感がします。

 

明日から「桜のレクイエム 塩﨑貞夫展」が始まる。

2018年4月18日(水曜日)

建って12年目の樹下美術館。これまでずっと上越ゆ
かりの陶芸家・齋藤三郎と画家・倉石隆の作品を常設
展示してきました。

そんな当館の昨年秋、あるお二方のご協力で初めてほ
かの作家さんの展示が浮上し、このたび実現しました。

糸魚川で生まれ、東京を本拠にされ、2014年2月に
80才で亡くなられた画家、塩﨑貞夫さんの作品展です。

小ぶりな美術館ゆえ陶芸ホールとカフェを使い15点が
収まりました。

以下は本日展示作業を終えた塩崎作品の一コマです。

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「樹下午睡」

 

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「海」

 

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「女人午睡」を引いて観る。

 


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「蓄音機の上の「コスモス」

 

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「カフェの「東塔」

倉石隆作品の絵画をそのままにして、齋藤三郎の染め付けの
陶芸展示を一部アレンジし、ほどよく塩﨑作品が架かりまし
た。

ガブリエル・フォーレの鎮魂歌に深く惹かれた塩﨑氏の絵画
は、想像以上に展示場、さらにカフェや庭とも良く調和しま
した。
作品からは時空を越えて、今に生きる者に対しても氏による
幸福と鎮魂の願いや祈りが伝わるように感じられます。

 

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照明の調整。

 

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「桜のレクイエム 塩崎貞夫展」の通り美術館は、遅い山
桜が満開、チューリップもミツバツツジも精一杯咲きまし
た。

来月13日までの会期、入場料はいつもの200円です。
良い季節になりました、お訪ね頂き,不思議と心安らぐ
作品をお楽しみください。

今年から毎水曜日が休館になっています。

特別美しく囀る今年のウグイスの胸元の模様は免状の印?

2018年4月11日(水曜日)

10日ほど前から潟町の仕事場の庭でウグイスが鳴き
始めた。
毎年4月になるとやってきて鳴くが、今年のは特に鳴き
声が冴えている。
鋭くきれいに「ホーホケキョ ケキョケキョ」と鳴き、
あたかも鳴き声の先生かインストラクターのように滑ら
か。

 

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ど元に波状あるいは縞状の模様が見える。
ウグイスは雌雄同体ということで、模様はオスだからという
訳ではなさそう。

下は2015年のウグイス。
胸元に模様などはなく、一般的だと思われる。

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やはり今年のウグイスは、美しく鳴く何か特別な免状で
も持っていて、胸元の模様はその印?それとも単なる羽
毛の影?

Amazing!!!

2018年4月10日(火曜日)

京都に橘高等学校という元女子校、現共学の高校がある。
そこの吹奏楽部の生徒さんたちは驚くべき演奏をする。

カテゴリーはマーチングだが、見せるも含め楽しさにお
いてショーあるいはレヴューと言っても過言ではないほ
ど優れたエンターテイメント性を発揮している。
「退屈させない」はエンターテイメントの神髄。
彼女たちはそれを追求し、毎年わずか3年間でプロフェ
ッションの領域に到達しているから驚く。

曲目も一般的なマーチ曲でなく、基本ジャズ。それもス
イング主体、ほかディズニー音楽やポップス、ゲーム音
楽からガガまで演奏するらしい。

 

 


2014年台風被災地で行われたコンサートの後半部。
どうか迫力の演奏とフォーメーションを拡大してご覧下さ
い。
デューク・エリントン、ルイ・アームストロング、ベニ
ー・グッドマン、デイヴ・ブルーベックが演奏した名曲か
らフィナーレのロッド・スチュアートの「Salling」
と「蛍の光」までアマチュアとは思われない秀逸な演奏、
演出が続く。

「Take Five」の倍テンポ(6:35~)は本家
顔負けの圧巻。
「Sinng Sing Sing」ラスト(9:42~)
の迫力。
「Sailling:(航海)」(12;55~)に賑やか
なクルー達と佐渡や能登へ帆走した昔を思い出して涙が出
そうになった。

指導者の“単なる高校のクラブ活動”、
部員の演奏“演技”の謙虚な挨拶も素
晴らしい。

 




2018年正月、アメリカカリフォルニア州パサデナで1890
年から行われている正月伝統行事「ローズバレード」に招
聘され演奏する橘高校。
女生徒さん中心のバンドは沿道の大歓声の中で約9キロ、
2時間に亘り演奏とダンスを完璧に披露する。

溌剌として疲れた表情も見せず、過呼吸に陥ることもない。
途中水分の補給を受け、ずり下がるソックスを直しながら
頑張る彼女たちのパフォーマンスは独創的で、パレード参
加者の中で文字通りピカイチ、其の世界では「オレンジの悪
魔」と呼ばれているらしい。

成長した樹下美術館の桜 愛は主要なキーワード「桜のレクイエム 塩﨑貞夫展」

2018年4月6日(金曜日)

暖気のため例年よりも早く咲いた桜が、この数日の寒
気に逢い、満開のまましっかり花をとどめている。

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ドカ雪の冬を越えて吹き出すように花を付けた美術館の
ソメイヨシノ。

 

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その木の2011年、こんなに小さかった。

さて何度か記載している4月19日からの「桜のレクイ
ム 塩﨑貞夫展」。
この数日、氏のどこか不思議な絵の理解について、少々
先へ考えが進みましたので、書いてみました。

樹下美術館の倉石隆と同様人物を多く描いている糸魚川
出身で東京で活躍された塩崎氏。

古来の肖像画ならばポートレートあるいはモニュメントな
ど記録性主体である一方、両氏の人物はそれとは違う。

さらに二人の間でも全く様子が異なり、倉石氏は個々個人
の内面に迫り、多様な感情と物語を個人のものから普遍へ
と包括し、そもそも私たちとは?の問いに挑戦したように
映る。

それに対して塩﨑氏は同じ人物と取り組んでいる。
その人は花の下にあるいは土中や空に横たわる。

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樹下午睡

余計なものが一切ない細い身体に唯一込められたもの。
それは感謝とともに育まれた一心な愛情ではないのか。

優しく撫でるように描かれた女性から、得に言われぬ
作者の愛おしみの気持ちが伝わる。
愛は塩崎氏の重要なキーワード?遅きに失したがハッ
とした。

氏はガブリエル・フォーレのレクイエムに強く触発され
たという。
普通重厚であるはずの分野にあって、そのレクイエムは
安らかで軽やか、あるいは清澄で愛らく幸福である。

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麒麟山。

先に逝くつもりの画家が愛する人の究極の姿をどう願い、
どう描くか、先人や自分の魂は何処に眠り、どこに現れる
のか。

わずか十数点ですが、満開の桜、黙した山、そして岩積み
などの霊的な場所にも思いを馳せる「桜のレクイエム 塩﨑
貞夫展」に期待している所です。

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