2008年10月7日

先週末の展覧会

2008年10月7日(火曜日)

 

先週末、大学時代の三人の同級生で夫婦して東京に集まりました。毎年続けている年一回の会合です。今回は忙しくも楽しい美術館巡りが出来ました。遅ればせながらのレポートです。

 

○巨匠 ピカソ 魂のポートレート展/サントリー美術館

 4日土曜日、展覧会初日の訪問でした。夕刻、混雑が緩和されつつあるタイミングで運の良い入館ができました。ポートレートに絞ったピカソ展は希ということです。そのためでしょうか、展示の流れに従って観るうちに、偉大なピカソの魂が自然と心の奥深く染み込むのを覚えました。変化するテーマ・方法・色彩、そして高度な線。主題を絞り、かつすべての時代を網羅した試みはわかりやすさの点でも極めて貴重だと思いました。
ところでリーフレットにもなっている「自画像」の顔は能面のようです。そして面を付けている無言の人物こそがピカソ自身にも見えました。苦難の青の時代、重い謎を残した印象的
な絵でした。
最後に、昨秋の博物館大会でお目に掛かった支配人から美術館のお茶室や多目的ホールなど素晴らしい
施設全体をご案内いただきました。ご多忙の中、本当に有り難うございました。メセナに対するサントリー(株)のたゆまぬ取り組みに、さらに敬意が深まりました。 

 

 

 

 

○フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち/  東京都美術館

5日日曜、午前9時に訪ねました。17世紀に特異な光を放ったフェルメールはじめオランダ・デルフトの画家たち。身近な風景と人々を描いた作品には共通の静けさと丁寧さが認められました。比較的小さな画面の主人公たちは、衣擦れの音とともに私たちの前に現れたり、再び絵の中に戻ったりを繰り返す魔法が掛けられているようでした。わずかな厚みに閉じ込められ、運動も許されない絵画が時空を越えて生き続けるとは。絵画芸術の深奥を見る思いでした。

○森川如春庵の世界/三井記念美術館

前日、ホテルのテレビで告知を見て訪問を決めました。5日午後、皆と別れた後、新幹線時刻までの幸運な1時間半でした。
本阿弥光悦作「時雨」「乙御前」、さらに桃山期の志野「卯の花牆(うのはながき)」、そして同期の瀬戸黒「大原女」。書物か夢でしか見られないと思っていた茶碗をそろってこの目で見ることが出来ました。
展覧された何気ない小さな織部の香合や漆黒の薄茶器などが素晴らしく見えるのも、お茶の世界ならではの不思議かもしれません。茶人・如春庵(にょしゅんあん)を高く評価した先達の茶人・益田鈍翁(どんのう)は三井物産の創立者で新潟県佐渡の生まれでしたね。

○このほかに旧岩崎邸庭園鳩山会館を見ました。湯島天神近くの旧岩崎邸は、驚いたことに明治まで越後高田藩、榊原家の江戸屋敷だったそうです。当時の広さは現在の2倍もあったようで、場所も一等地です。普段くわしくは知らなかった我らの殿様が、急に誇らしく思われました。書物「逝きし世の面影」に、江戸は大名たちの広大な屋敷によって市中全体が公園のようでもあったと書かれています。戦国の世を終えた武将、武士たちは、争いに代えて武芸や学問とともに庭造りにも励む(励まされた?)ようになったということです。両邸では風と共に去りぬなどハリウッド映画のシーンが、デジャヴのように舞っていました。

○忘れ物
4日深夜に訪れた初めてのシガーバー。こんな日の最後は葉巻、というKの案内でした。彼の選んだハバナの葉巻にボーイさんが丁寧に火を点けてくれます。普段はだれも喫煙しませんが、皆で一本の葉巻を一通り味わいました。

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