箱根の人 小学時代にキャディさん。

2012年11月18日(日曜日)

87才のAおばあさんはいつもにこにこしている。お家から当院までは、幾つかゆるい坂のある2キロの道のりだ。先日、どうやって来られましたか、とお尋ねした。

 

「三輪自転車をこいで来ましたよ」
自転車とはお年を考えれば驚くべき脚力だ。実はAさんは私が知っている当地で唯一の箱根出身者である。

 

「山で鍛えた脚なんですね」

「はい、小学校でキャディもやりましたから」

「えっ」

自転車のあとはキャディさん、二度びっくりだった。 

「仙石原、仙石原のゴルフ場ですよ。私は小柄だったのでみんなより一年遅れましたけどね」

 

 ああ、嘗て神戸だったか黎明期のゴルフ場の写真で、着物を着た子どものキャディ姿を見たことがある。Aさんはそれを箱根で経験されたんだ、なんて貴重な人だろう。

子守、奉公、昔の田舎の子どもたちは早くから家を助け、社会と交わった。なるほど箱根にキャディさんか、しかも人気だったらしい。

 

開場まもないころの仙石ゴルフ場Aさんがキャディをした日本で最も古いコースの一つ富士屋ホテル仙石ゴルフコース。大正6年、開場当時の写真。確かにキャディさんは子どもたちだ。
富士屋ホテル、仙石ゴルフコース開場95周年ホームページより©) 

 

写真は研修だろうか、大人に混じる子どもたちは愛らしく、真剣だ。仙石原でキャディを経験し、後に自らゴルフを楽しんだ人達は少なくなかったという。

 

ところでその昔、私は家族と箱根で正月を過ごしたことがある。雪国と違い連日の好天で日差しは眩しいほどだった。

後年越後へ嫁いだAさん、雪と田仕事の辛さは想像以上だったらしい。

 

「一生懸命やりましたよ」 

Aさんがいつもにこにこされるのは、かつて浴びた箱根の日差しのせいですか。

 

間もなく駅伝が始まりますね。

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