堀口すみれ子さんの講演会。

2022年7月11日(月曜日)

先週末9日午後3時から堀口すみれ子さんの講演会があった。2010年が1回目、2016年が4回目だった。これまで父であり詩人、フランス文学者、文化勲章の人堀口大學のひととなりと交友、上越市や葉山町の暮らしなど、時々でテーマを変えてお話し頂いた。

このたび樹下美術館開館15周年の記念講演の申し込みをお願いすると、5回目だから何を話したらよいやらと、すみれ子さんは逡巡された。
最後の講演から6年が経っています、初めての方も大勢さんいらっしゃいます。お話は繰り返し何度でもお聴きしたいと述べ、あらためて上越時代の堀口大學のこと、交友特に齋藤三郎とのことを折りまぜ「堀口大學と上越 そして齋藤三郎」の演題でお話頂くことになった。

当日みどり鮮やかなスーツで来館されたすみれ子さん。緑いっぱいの樹下美術館の庭に溶け込みながら、姿は美しく際立つ風にお見受けした。

45人の方が来場された当日の様子。
参加されたお客様が撮られたました。

これまではスライドをまじえての講演だったが、このたびは終始お話だけで進行した。静かに語られる妙高市のお母様のふる里から髙田へ。わずか1時間の講演だったが、雪国の疎開で激変する高潔な詩人の苦しい生活と心が、徐々に癒やされる様子が詩を交えながら語られた。
変えたものは上越の風土と人々の情けだったことが自然に浮かび立つ感動的な講演だった。

このたびすみれ子さんは以下2枚の大學先生自筆の貴重な書を持参され、私どもに与えてくださった。

母よ 僕は尋ねる 耳の奥に残る あなたの声を
あなたが世にあられた 最後の日 幼い僕を呼ばれたであろう
その最後の声を
三半規管よ 耳のおくに住む巻き貝よ 母のいまわの その声をかえせ
堀口大學 印

越にふる 雪の 深さか   越びとの あわれの 深さ  大學 印

 

一番目の詩「母の声」は詩集「人間の歌」に、二番目の詩「越びとに」は詩集「月かげの虹」に初出掲載されています。

「越びとに」は講演の最後に読まれ、お身内ならではの情愛がこもり、越びとの一人としてとても感動しました。
良い人の良い話は何度でも聴いてみたいし、聴く度に新たな発見があります。
文化や芸術は単に知ることではなく「感じること」だと、このたびも知らされました。

堀口すみれ子さん、ご来場の皆さま、本当に有り難うございました。
スタッフ共々感謝致しております。

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