先週末の上京。

2022年11月14日(月曜日)

先週土曜日に上京し友人達と会食した。およそ25年、年末に3組の夫婦で集まっていたが今夏Aが亡くなった。コロナのため19 年11月以来ほぼ3年振りとなった食事は夫人にお声を掛けて偲ぶ会になった。

暮れてからの食事、気丈に振る舞われる夫人を交え昔話や近況を話したが、Aの姿が無いこと知っては愕然とした。

 

11月12日土曜日、久し振りの東京駅。

3時半ころチェックインしたホテルから日比谷公会堂が良く見えた。
公会堂は1969年オスカー・ピーターソントリオとエラ・フィッツジェラルドの公演を聴きに一度だけ入ったことがある場所。このたび食事前の散歩に寄ることにして、妻と日比谷公園を初めて歩いてみた。

今は廃墟?の日比谷公会堂。エラの時はここから入ったのか。
1947年の黒澤明監督映画「素晴らしき日曜日」で
貧乏な恋人二人は公会堂の入り口まで来てお金が足りず、
コンサートを聴くのを諦める。

 


お金の無い映画の二人は散々な日曜を過ごし、野外音楽堂で
“貧しい私達に拍手を励ましを”とスクリーンから訴える。
二人には「ヒアシンス」という名の喫茶店を開店する夢がある。

 

絵画的な先週末の公園。
黄色のツワブキの花と樹木の黄でいっぱい。

当公園は明治36年開業、日本初の洋風公演。
鶴の噴水は東京美術学校の二人の作家によって制作されたという。

公園の膨大さ、至る所のベンチ、多くの若者や家族連れ、随所のツワブキの植栽など驚くことが多かった。クリスマスローズが集められている場所も多々あったので来春の花期は再訪し樹下美術館のクリスマスローズと比べてみたい。

 

公園の帰りの交差点。

食事はKが選んだ三度目の有楽町のレストラン。

ウェイティングルームのグラス類と向こうにワイエスの絵。
店にはユトリロ、ブラジリエなどの本画が掛けられている。

 

キンキ、クエ、アオリイカと温菜のオードブル。

魚料理でオマール海老、を肉は鴨を選んだ。いずれも幹事をしたKが分量を少なくと伝えてあったため残すこと無くみな美味しく食べた。

半ばを過ぎてチーズのワゴン。
臭味の強いエポワスとTVで観ていたロックフォールを取った。
ワインは貴腐ワインに変わった。

デザートのケーキ。
果物のコンポートにしてエスプレッソを飲んだ。

食事を終えた後の支払いで、Kはスタッフたちに私達を紹介した。素晴らしいサービスを提供する彼らは、上越なら知っている、蔵めぐりで岩の原葡萄園へ行ったとにこやかに話した。

一年一度の貴重な食事のあと皆で少し歩きA夫人と別れた。年末で賑わう雑踏に消えた夫人の後ろ姿の突然の哀しさは筆舌に尽くしがたい。

 

翌13日日曜日、これまでしばしば美術館に行っていたのを、混雑を嫌って神宮外苑のイチョウ並木を歩くことにした。
初めて見る紅葉のイチョウ並木はとても混んでいた(仕方ありません)。

 

樹木も路上もイチョウで真っ黄色。
ヨーロッパ風の身なりを好むKはこのような風景が似合う。

 

風が吹くと盛大に葉が散る。

 

新国立競技場のそばでタクシーを拾いホテルに戻ってK夫婦と別れ、上野動物園に行った。

 

こどもたちで一杯。

 

何かをこらえているうちに頭がおかしくなってしまったような
シロクマ。
高い塀のあちらこちらに空いた小さなガラス窓から観る。

ツルが突然大声で鳴き出しケージ内を飛び回る。

 

まさにツルの一声、騒ぎに人が集まる。

いくつかのパートに別れていた園内のうち半分も回らなかった。
奥の方でひたすら行ったり来たりを繰り返すシロクマやトラ、落ち着かないタンチョウヅル、広くも無い檻でじっとしているだけの大型猛禽類などなど、、、。
楽しい動物園のイメージとは裏腹に、およそ狭いケージに閉じ込められている動物たちが可哀想で、妻と私は全てを観る事ができなかった。動物たちは毛並み色つやも悪くみな病んでいるような印象を受けた。

65才以上300円。小学生以下と都内中学生は無料と入園料は安いが、観るほどに心が重くなり、特にこどもたちにこのような形で動物を見せるのは良くないと、怒りさえ覚えた。動物を生き生きと見せる先進的な取り組みが見られる時代に、一体どうしたことだろう。

コロナの時代、動物園や公園にはより多くの人が集まろう。
動物園は世界に向けた都市の顔でもある。日比谷公園に比べて上野動物園ははるかに見劣りがする。オリンピックどころでは無かった、何を置いても1番に取り組む事業だった。

色々なことがあった24時間が過ぎ、K夫妻と来年夏の約束を一つして別れた。
私達は少なくとも一つ二つの病を抱えている。だから約束とは言え何となく心もと無さを禁じ得ない。

今週末、姿の無かったAは修業を終えた僧のようであり、Kは勉強をした詩人のようで、私はつまらない俗人だった。

 


マーラー「交響曲第五番よりアダージェット(第四楽章)」
Kが葬式に掛けてもらいたいというカラヤン指揮の音楽。

とても長くなりました。

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