市村幸恵&シュターミッツ弦楽四重奏団、素晴らしかったの一言。

2022年11月4日(金曜日)

今夕上越市内オーレンプラザで開催された市村幸恵&シュターミッツ弦楽四重奏団は素晴らしかった。クラシックのコンサートは何時が最後だったか思い出せないくらい久し振りだった。

6時半開演、その前6時15分からのプレトークも聴くべく仕事を15分切り上げて終了、雨と駐車場の空きが気がかりでタクシーを使った。そのタクシーも久し振りで何故か気恥ずかしく終始黙って座った。

プレトークにやっと間に合う時刻の到着、ほぼ満席の入りでびっくり。これだけ入ると否応なく演奏への期待が高まる。全館自由席なので最前列近く右端に空いた席に座った。

プレトークでマイクを握った市村さんは、人生の半分以上をチェコで過ごした事になる。チェコの演奏家は素朴で温かい、と述べられ、弦楽四重奏は緻密さが求められ、寸暇を惜しんで練習しかつ挑戦を続けていると説明され、巻き舌を使う“ドヴォジャーク”の発音法をやって下さった。

演奏が始まるやピアニシモは静謐で甘美、フォルテシモは弦が切れはしないかと心配になるほど力強かった。プログラム1(p1)のシューベルト「四重奏断章」は緩急、陰影鮮やかに奏でられ、作曲者の悲喜に引き込まれる。
p2ドヴォジャークの代表曲の一つ「アメリカ」は米国にあって祖国を愛し慕って歌う牧歌として心に伝わった。
いずれの奏者もあざやかに歌い、アンサンブルは勿論、折々かすめるように入るソロも美しく音楽がゆらめき立ち上がる。詳しくはないが熱演を伝えるホールの響きも良かったのではないか、と思った。

あっというまに休憩。
靴の音がすると女性が来て、もう少し後ろに座りませんか、と言う。美術館のスタッフだった。隣に座ると目線が上がってとても見やすい。
休憩で席を立ち、ホワイエに出た。すると美術館のご常連、クラシックファンのお客様三人と次々に出会い、そろって素晴らしいと仰る。切符を買ってもらった後援者の一人として嬉しい笑顔だった。

後半のp3はやはりドヴォジャークで、ピアノ五重奏曲。市村さんが初めて加わる。
第1楽章半ばに可愛い旋律をピアノと弦楽器が優しく会話をするようなシーンがあった。リリカルで涙がにじんだ。市村さんのピアノは時に流麗時に勇壮、弦楽四重奏を鮮やかなオーケストレーションをもって支えきった。

最終p3のフィナーレ後、声が飛びスタンドする人がいた。館内いっぱいの拍手が続き、アンコールは初めて耳にする愛に関する穏やかな曲で終了した。
ホワイエでアンケートに「素晴らしいの一言 市村さんは晴れて大御所になられました」と記載した。

非常に良い一夜であり、弦楽四重奏、そしてピアノ五重奏は知的で格好良く、コロナと戦争にすさぶ心を深く癒やしてもらった。
次回、来日されたならば是非ともまた聴きたい。

タクシーが時間通り来てくれたのも有り難かった。

「アメリカ」のイントロがずっと耳に残って歌っている。

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