昨日のオーケストラアンサンブル上越公演 ピアノとティンパニーのスリリングな即興演奏。

2025年9月27日(土曜日)

昨夕6時30分開演、オーケストラアンサンブル金沢の今年度の上越定期公演を聴きに行った。会場は上越文化会館で二曲のプログラムはいずれもベートーヴェンだった。

ピアノ協奏曲「皇帝」に於ける若きトム・ボローの演奏は圧倒的で人間の感情の全てが重厚にあるいはビビッド極まりなく奏でられた。スマートな氏は人気者になる予感を覚え、演奏後のサイン会には長蛇の列が出来ていた。

「皇帝」の第二楽章だっか終盤に即興的なパートがあった。ピアノは優雅なメロディをシンプルに奏で唯一ティンパニーがそれに同調した。他は静まり返り二人の奏者による即興的なユニゾン?が突然のように展開された。スリリングな演奏は音量、リズム、音程においてもきれいに同調し進行した。

そもそも果たしてこの曲にこのような部分があったものだろうか。よく響くティンパニーだけに微妙なユニゾンを外さないか心配で手に汗して耳を澄ませた。36小節だかが続いたあと最後の一音まで完璧にシンクロして終わった。ジャズなら盛大な拍手が起こるシーンだがクラシック、それもベートーヴェンなら行儀良くしているほかない。

後半のプログラム「田園」を終えるとアンコールにビゼーのアルルの女から付随曲「アダージェット」が演奏され、後に拍手に応えて指揮の広上淳一氏が各パートをねぎらった。長いソロを繰り返したフルート、そして最後にティンパニー奏者が立った。ずっと我慢していたので真っ先に大きな拍手をした。ティンパニー氏の「田園」における雷の熱演も凄かったのである。

同オーケストラは黎明期1900年代の終わり頃にはじめて聴いた。何か地味で一生懸命な楽団というイメージを抱いていた。それが今やベートーヴェンを輝かしく演奏し、世界的に有望なピアニスト相手に私の思い違いでなければスリリングな即興パート(カデンツァ)も聴かせてくれる。
近いうちに会員になり富山や金沢へ通いたいと思った。

ちなみにアンコールのアダージェット。もとより詳しくないがマーラーのほかにビゼーのがあるとは知らなかった。
秋深まる夕べに心洗われる良い音楽会だった。

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