齋藤三郎(陶齋)

陶齋親子展にちなんだお茶席 一昨日期日前投票をした。

2019年7月20日(土曜日)

雨の予報が曇りになり、いっときだけ霧雨が通過した土曜日。
陶齋親子展の催しに関連して隣接の茶室で呈茶を行った。客様は若い女性お二人で、私も末席に座り、妻が点前を、お友達が支援をして下さった。

 

 

 

床は小林古径筆「壽」が掛かり、ムクゲやヤハズススキなど庭の花が宗全籠に入っている。

 

香合は初代陶齋の緑地金彩秋草文。

 

 

窯は西村道也、薄茶器は初代陶齋、水指は二代陶齋を用いた。

 

すらりとして絶妙のフォルムは二代陶齋尚明氏の辰砂細水指。

 

初代陶齋三郎氏のどくだみ小壺に柿蓋を付けた薄茶器。

 

煙草盆の火入れは初代作、染附湯飲みを見立てで用いている。

 

お出ししたお茶碗。左に陶齋「弥彦鉄鉢茶碗」、中央阿牛「掛分釉幾何学茶碗」
右鈴木秀昭「色絵金銀彩綺羅星茶碗」

台風が近づいているらしく、蒸し暑かった本日。軽めにクーラーを点けた茶室に清々しい時間が流れた。
本日はお二人のお客様でしたが、たとえお一人でもお点前を致しますので、ご希望の方はご遠慮なく樹下美術館の窓口やお電話025-530-4155で申し込み下さい。

 

参院選挙の運動期間が本日で終了、明日投票日となりました。
「比較的近くにある恐ろしい柏崎原発を止めて欲しい」、「精神の拠り所である憲法を大切に守って欲しい」、「安心して自らの信条に従える社会であって欲しい」、と心から願っています。それで一昨日、期日前投票に行き、これらに叶う人がいましたので投票してきました。

後半が始まった樹下美術館館内。

2019年7月18日(木曜日)

本日7月18日は、陶芸の齋藤三郎・尚明、親子展の初日、そして上越小林古径記念美術館からお世話頂いている倉石隆作品の最終展示の初日。
当館の展示イベントは大抵静かに始まる。
本日も例に漏れず普段と変わりなく淡々と過ぎた。淡々としたなか、ご覧になった方から倉石隆の油彩の迫力、陶齋親子の白磁の世界の清々しさなど、良い反応を頂戴して手応えを感じた。

 

本日の絵画ホール。それにしても2メートル近い「さとうひさこの肖像」は迫力がある。

陶芸ホールに尚明さんの大きな鎬(しのぎ)壺を置いてみた。
絵画と陶芸作品が互いに引き立て合っているように感じられる。

以下は本日の陶芸ホール。
梅雨の候、館内の清々しさからあらためて白磁メインにして良かったと思った。

 

 

 

本日午後、在館中に古径記念美術館から宮崎館長さんがお見えになった。このたびの倉石作品貸借を通して館長さんにはとてもお世話になっている。また自己流を否めない私たちは、美術の専門職の氏に接するだけで色々勉強をになる。さらに氏の地域を耕そうとされる明るい姿を見るにつけ、元気を頂戴している。今後とも仲良くさせて頂ければ大変有り難い。

また本日10年ぶりの懐かしい人が見えた。昭和62年からともにお茶の稽古に通った亡き渡辺宗好先生門下のNさんだ。お話ししながら習いたてで、うぶうぶしかった頃の稽古、さらに庭の雨やお茶室を通った風の気配までふと蘇るように感じた。

 

カフェの向こうに女王カシワバアジサイ。
雨の中、臣下にキキョウ、さらに黄金オニユリが加わった。

昼は晴れ間もあったが夕刻からしとしとと雨になった。こんなによく降る梅雨も珍しい。

明日からの展示替えが終了した。

2019年7月17日(水曜日)

明日から樹下美術館では以下のように新たな二つの展示が始まります。本日休館日の水曜は明日からの準備に追われました。

●●●7月18日から8月27日まで、陶芸ホールは夏の特別展「齋藤三郎・尚明  陶齋親子展」です。
“麗しの白磁、親子の格調”と謳ったサブタイトル通り、端として爽やかな白磁作品が並びます。
亡き父三郎氏とその子息尚明氏という明らかな血統が、同一の芸術なかんずく同一の陶技「白磁」で饗宴する試みはとても貴重なことではないかと期待しているところです。

 
以上は展示の一部です。実際の展示は24点34ピースで、ともに青磁が1点ずつ加わります。

驚くほど大きな作品から手のひらに乗るものまで、どうか白い器に込められた親子の魂と渾身の技をご覧下さい。

 

●●●3月の開館以来、絵画ホールでは今年の特別展「倉石隆の大型油彩」として上越市立小林古径記念美術館のご協力を得てホール中央に迫力ある大きな作品を展示しています。
期間は半年に亘り、2ヶ月ずつ3回の展示更新でした。
このたびは最終回で7月18日(木)~9月10日(火)まで以下の三点を中央に架けます。

このほか樹下美術館収蔵作品で、かって新潟日報の文芸欄に掲載された応募「コント」の倉石氏による挿絵原画を展示しています。

 

「Kの肖像」 1973年 154,4×112,6㎝
上京後24年、57才の倉石氏ご本人の肖像と考えられます。
真っ直ぐ前を見る肖像から力に満ちた真剣な表情が伝わります。
この頃から人物画への取り組みが本格化するようです。

 

「奇術師」 1981年 98,2×78,2㎝
盛んに裸婦像を描いていた時期です。
若い女性をシンメトリーを効かせてバランス良く描いています。
モノクローム作品は黒いバックによって身体の白さをより際立たせています。
薄いヴェールを手に、無垢な女性は自らの人生に魔法を掛けようとしているのでしょうか。

「さとうひさこの像」 1965年 193,0×135,9㎝
ホールに架けますと、下端が床に着きそうなほど非常に大きな作品です。
佐藤久子は家政婦さんだったと聞いたことがあります。
彼女をモデルとしてとても気に入り、知る限り3点の油彩を残しています。
丁寧に白の地色を重ね、黒の明解な線で輪郭を描き切っています。
斜め向きの位置が彼女をより立体的に、より具体的に見せていると思います。

以下二葉は本日の準備の様子です。

 

小さな美術館ですが、精一杯の準備をいたしました。
どうか真夏のひとときを樹下美術館でお楽しみください。
夏の庭を眺めるカフェも気軽にお使いください(カフェだけのご利用もできます)。

新たに加わった齋藤三郎(陶齋)の湯飲み茶碗と陶齋の美学。

2019年6月14日(金曜日)

最近道具屋さんから齋藤三郎(陶齋)の湯飲みが三点入った。
初めて見る新鮮な風情漂う絵付けが施され、如何にも美味しいお茶が飲めそうな器だった。

 

枝葉を描き、ほの赤い辰砂で背景を塗りつぶし、色彩配分も抜群。
三郎は花にこだわらず、よく葉だけを文様とした。
花は皆様と茶とお菓子、茶碗は脇役という美学が漂う。

 

鉄絵の麦藁手(むぎわらで)湯飲み。縦に線を画く手法を麦藁手と称している。
やはり渋い器は脇役に徹し、主役は茶菓子に加えお話ということでは。

 

蓮の葉が爽やかに画かれている。
ここでも花を画かない。陶齋なら葉に比べ、花はずっと簡単なはず。
どうぞ花は想像して下さい、というセンス。渋好み、通人らしい感覚。

蓮の葉の裏手に橋が描かれていた。
橋によって湯飲みに生活が入ってくる。
12もの面取りが施された力作。

 

お洒落で粋な三郎の器。壺や皿の大作から食器、茶道具まで何でも制作した陶齋。
湯飲み一つとっても何万個単位で作ったかも、と仰るのはご子息・二代陶齋尚明氏のお話。
樹下美術館にも5,60点はあろうと思われます。以下2017年発行の当館図録に収載した湯飲みの一部をご紹介しました。

 

 

 

 

 

樹下美術館のカフェではご注文が終わった後のお時間に陶齋、二代陶齋の湯飲みでお番茶をサービスさせて頂いています。

昨夜、陶齋の陶板額の詩歌が万葉集だと分かった。

2019年3月24日(日曜日)

長く樹下美術館にあって、現在展示中の齋藤三郎(陶齋)の辰砂陶板額。
民家ともくもくたる雲の空には詩が漢字で力強く書かれている。
鉄絵の具の焦げ茶、呉須の青、辰砂の赤い地色も良く、文字に力こもった陶齋の優品の一つであろう。
当館における氏の書に寒山詩、王維があり、焼き物に千字文が引用され、良寛の漢詩も数点見られるので、陶齋の文といえば漢詩しか浮かばなくなっていた。

だが件の作品の文字(詩文)はどうしても読み下せない。
作品のテーマゆえ、分からなければ持ち主として、館主として失格であろう。
その昔ある骨董店主に読みを尋ねたが、読めません、と言われたままになっていた。

このたび熱心なK夫婦に促され、展示中の陶板額の前で、あらためて一緒に読んでみた。
どう眺めても、読めるのはせいぜい天、近、光、響、見、恐、不などで、他に者?悲?がせいぜい。
特に天、響 悲に続く文字が分からず、恐には不可が続くのか?など判然とせず、結局ギブアップだった。
読める字だけ拾っているとぼんやり意味が浮かび、読めなかった字が埋まることがある。
結局それも叶わなかった。

奥様の父上は古文書が読める。それで作品を撮って父に聴いてみる、と仰って携帯を向けられた。
あるいは、幾つかの文字を並べて該当する漢詩が出るか、ネット検索してみたいとも仰った。

昨夜のこと、お別れの食事会から帰ると詩文のことを思い出し、パソコンを点け、「漢詩 天、光、響」を打ったり「詩 天 光 響 恐」を試した。
頭は冴えていたが、いずれも期待した応答はない。
待てよ、者→「は」あるいは「ば」で、助詞では?
これは漢詩ではないかもしれない。
ためしに「天 光 響 恐」だけで打ってみた。
すると驚いた事に、この文字を含んだ万葉集が一首、すらりと現れた!

 

辰砂陶板額。

「天雲 近光而 響神之 見者恐 不見者悲毛」 が原典で、詠み人知らずだった。
“天雲(あまぐも)に 近く光りて 鳴る神の 見れば恐し(畏し) 見ねば悲しも”
五七五七七のちゃんとした短歌だ。

意味として、
天空の雲に光る稲妻は、見るのは恐ろしい鳴る神か、と言って見なければまたせつない

恋の歌として、
高みにおられるあなた様は天雲で鳴る雷光のようで、逢うには畏れ多く 逢わなければ悲しいのです。

陶板を原典に照らせば、「天(あま)」の下の字は“雲”であり、「光」の後に“りて”と充て、「響」は鳴ると読み、「神」が続いていたことになる。
原典に「神之(かみの)」とあるが、陶板に之が見当たらない。
「見者恐」は“見るはおそろし”で、以下「不見者悲毛」と続き、“見ねば悲しも”と読み下すことが分かった。
「悲」の下には雲の輪郭線に紛れて「毛(も)」が書かれていたことになる。
言われればそうかな、と思うものの、原典を知らなければお手上げで、このたびはインターネット様々だった。

昭和30年前後に我が家にやって来た陶板は、ちゃんと読まれる事も無く、布にくるまれるなどしてどこかの隅で窮屈に過ごしてきた。
それが立派な万葉集を戴いていたとは、本当に気の毒をしたと思う。
調べを進めると、棟方志功の扇面に鷺(さぎ)の絵とともにこの一首が書かれていることも分かった。

詠み人知らずとはいえ、何と気宇の大きい恋歌だろう。
万葉集とは、陶齋や志功の何という教養。
昔人の創造性と感性、知識と表現に比して、今日自分の非力と貧しさは如何ともしがたい。

それらは今後の課題として、館内で鳩首し作品を判じてみたK夫妻はどのような結論に達しただろう。
近日中にお会い出来るようだが、万葉集でしたね、と仰るにちがいなく、楽しみだ。

読みをプリントして、作品に添えようと考えています。

2019年3月14日、仕度整った日。

2019年3月14日(木曜日)

樹下美術館が80日の冬期休館を終えて、明日13年目の開館日を迎える。小規模な個人施設なので華やかなことは無理だが、今年は上越市立小林古径記念美術館のご協力を得て同館が収蔵する倉石隆の油彩を特別展「倉石隆 油彩&挿絵小品」としてご供覧出来る幸運に恵まれた。
もとより狭小なスペースのため、油彩は二ヶ月毎に三回展示替えを行い、計8点を架けることになった。公私の施設が協力し合い、互いの作品を活かすことは地域にとって意義深いことであり、古径記念美術館には感謝を禁じ得ない。機会に恵まれた折には、是非とも当館収蔵品の貸し出しに協力したい。

また今夏には二代陶齋、齋藤尚明氏のご協力で、約一ヶ月半の「陶齋親子展」が開催の運びとなった。白磁、青磁メインの涼やかな展示が期待される。

本日絵画および陶芸ホールは以下のように仕度が出来ました。

絵画ホールの「倉石隆の油彩&挿絵小品」。正面の三点が小林古径記念美術館収蔵作品。

以下にその三点を大きくしました。

スペースの関係で肩を寄せ合うように架けさせて頂いてます。いずれも倉石隆の各年代を代表する力作。
これらを囲むように同氏によるスクラッチボードの小さな挿絵原画6点を架けました。

陶芸ホールは「陶齋の辰砂」です。

入ってすぐ正面のケースに「辰砂掻き落とし牡丹文大皿」を展示しました。


幅37センチの大皿。昭和50年陶齋は二回目の登り窯を築きましたが、その時の初窯作品です、

 

正面のテーブルは暖かな色調の鎬(しのぎ)文水指と壺(むこう)。

 

ほの赤く、磨かれた形の水指。
樹下美術館収蔵の作品から辰砂を18作品、29ピースを展示しました。

 

 以下は入館者様にお出しする予定の展示案内です。

午後陽が射した樹下美術館。

 

 

 

三月になって続いた暖かかった陽気が一転、この数日非常に強い寒さが戻りました。昨日などは猛烈な風とともにみぞれが降りました。
本日夕刻はさすがに風が止み、きれいな夕焼け雲がみられ、明日は晴れる予報です。

今年も皆様には年末までお世話になりますが、どうか宜しくお願い申し上げます。
このように開館できますことを一同喜び、この先を励みたいと思います。

今夏の陶芸特別展は「三郎・尚明 陶齋親子展」

2019年3月5日(火曜日)

今年7月18日(木曜日)~8月27日(火曜日)は陶芸特別展で、齋藤三郎と齋藤尚明の陶齋親子展を開催致します。

※開始日が一週間早まり7月18日になりました。絵画の搬出搬入と重なるため、変更いたしました。

樹下美術館初めての親子展は白磁をメインに青磁をを交えて展示致します。
先代陶齋(齋藤三郎)は絵付けの人のイメージがありますが、白磁と青磁にも優れた作品を残されました。さらに尚明氏(二代陶齋)は長年それらと熱心に取り組まれています。鉄釉の高温還元焼成は決して容易な技ではありません。どうか親子ともどもの懸命かつ爽やかな作品をご高覧下さい。

以下は展示予定の一部です。お二人併せて25~30点ほどになろうと考えています。

夏の陶芸ホールは、きっと涼やかな眺めになることでしょう。
親子お二人の作品を二つ一緒に並べるケースも用意する予定です。

今年の陶芸展示は「陶齋の辰砂(しんしゃ)」。

2019年3月1日(金曜日)

今年の陶芸「陶齋の辰砂」のご紹介です。
辰砂は銅を主原料にした釉薬(うわぐすり)で赤色系の発色をします。但し焼く温度や窯の酸素の管理で容易に黒色や緑色に変化し、あるいは飛んで行ってしまうなど、大変難しい技法といわれています。

一般的に濃厚な色として用いられていますが、陶齋の辰砂はやや淡く、時には濃淡があり、穏やかな表情をしています。
辰砂に限った展示は今回が初めてで、作品数が足りるようになりましたので、今年は常設展示として取り上げました。

以下その一部をご紹介致します。

 

 辰砂壺。おっとりとした構えに癒やされます。

 

辰砂陶板額(しんしゃとうばんがく)。亡き父が残しました。
雲が湧く空に詩文が書かれていますが、いまだに読めません。

 

辰砂彫椿文花瓶(しんしゃほりぼたんもんつぼ)。
妹の形見です。

 

 

辰砂彫露草文(しんしゃほりつゆくさもん)花瓶。

 

辰砂窓絵椿文壺(しんしゃまどえつばきもんつぼ)。
美術館に来て三年目ほど。思い切った窓にゆったりと雪椿です。
地模様にも力がこもった大らかな作品です。

辰砂葉文マグカップ。亡きコレクターさんからの品です。

 

 

明るく上がった辰砂の水指。左が牡丹文で、右は山帰来(さんきらい:さるとりいばら)文です。
明るくおっとりした形が親しめます。

食器などを含め20点の合計30ピースの展示を予定しています、どうかお楽しみください。

陶齋(齋藤三郎)は髙田開窯の当初、辰砂は難しいと漏らしていたといいます。そのため当時のお弟子だった志賀茂重氏を京都の河合寛次郎の許へ派遣し、研究の緒に就きました。志賀氏の旅費、滞在費は棟方志功の支援を頼んだと聞きました。

齋藤尚明さんの来訪 来夏は親子展。

2018年12月23日(日曜日)

昨日の晴天と打って変わり、本日終日風雨に見舞わ
れた日曜日。
過日の齋藤尚明展で求めた青磁の水指の箱が出来上
がり、作者ご本人が作品を持参された。

 

IMG_3621
青磁面取り水指。展示場にあった時よりもさらに生き生
きとして本日現れた。

IMG_3618
カフェの尚明氏(二代陶齋)。先代と同じく博覧強記の
人で、話はいくら時間があっても尽きない。

来年のことになりますが、夏に先代との親子展を行うこ
とになりました。
父上は辰砂(うす赤紫)、尚明氏は白磁と青磁にして、館
内スッキリと爽やかに展示したいと思います。

またその期間中の毎日曜日(例)、当館の茶室で本日の水
指と父上の花入れなどを用いたお茶席を設けることを予定
しています。

このようなことは私たちの楽しみであり励みでもあります。

展示中の齋藤三郎作品から竹の三作品。

2018年11月10日(土曜日)

樹下美術館今年の展示はあと一ヶ月半を残すばかり
となりました。
今年の展示を振り返りながらあらためて眺めてみた
いと思います。

今年の齋藤三郎(陶齋)展示は染附(そめつけ)で
す。
染附ですから作品は全て青(藍)で描かれています。
藍はコバルトを主成分とする呉須(ごす)という顔
料が用いられます。
焼きの温度、時間、送風などの条件によって風合い
が異なることも一つの見所ではないでしょうか。
齋藤三郎(陶齋)は中国産の唐呉須で描いたと聞き
ました。

去る日は齋藤三郎のごく初期作品である昭和12~
13年当時の二つの菓子器について以下のように記
しました。
齋藤三郎(陶齋)の二つの菓子器その1
齋藤三郎(陶齋)の二つの菓子器その2

二作品とも竹林文様でしたが、この度その続きとし
て以下いずれも竹に関する染附作品を記します。

 

1
染附(そめつけ)竹文徳利。(上越市髙田における
比較的日が浅い時期の作品。笹を大きくややラフに
描き、くつろいだ気配が感じられます。

 

2
↑染附竹文水指(そめつけたけもんみずさし)。
昭和30年代作。竹と笹の輪郭を最初に描き、余白を
くまなく塗りつぶしています。
陶芸では輪郭を描くことを骨書(こつがき)、その中
また周囲の地を塗りつぶすのをダミと言います。
この器は丁寧に描かれた笹と竹の幹を余白として残し、
空間(地)をダミとしてあまねく塗っています。
一般に骨描きは細く固い筆を、ダミは太く柔らかい筆が
用いられました。
当作品は骨書きダミともスピード感があり、筆跡(タッ
チ)が味として読み取れ、それは作品の動きや竹林の
風を感じさせています。
染附の藍が十分に生かされた上品な力作ではないでしょ
うか。
昨年2月に美術屋さんから来た作品でした。
没後36年、いまだに見た事もないような優れた作品と出
合えるとはつくづく驚かされます。

2.
4㎝四方の染附香合。共箱に昭和13年橡三郎作とありまし
た。文様は恩師・富本憲吉の代表的な図柄の一つである
「竹林月夜」を用いています。
三郎の生家、新潟県栃尾(現長岡市)は当時橡(とち)尾
と記していたようです。それで橡三郎と号したのでしょう。
昨年4月、新潟市に於ける裏千家お家元の茶席でこの香合
を使いまし
た折、お褒め頂きました。

さて先回から続いた作品はいずれも竹で、比較的若い時代
の作品によく見られるようでした。
これには多くの笹や竹林を描いた師の影響が濃く現れてい
るものと想像されます。

中国に於ける歳寒三友(松、竹、梅)、四君子(竹、梅、蘭、
菊)と古来から尊ばれ、寒さに負けず初々しく、強くしなや
かな竹そして竹林。
それはまた若き陶齋を鼓舞した大切なモチーフの一つだった
にちがいありません。

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