樹下だより
倉石隆のカット絵 知足美術館さん
この前の日曜日(24日)に新潟市の知足美術館・副館長の佐藤和正さんが樹下美術館を訪ねてくださった。
今年2月中旬からおよそ40日にわたって拙ボタニカルアート展が知足美術館で催された。館長の(株)キタック社長・中山輝也さん、佐藤さん、ほか社員の方々にとてもお世話になった。
その佐藤さんがこのたび当館常設展示作家・倉石隆氏のスクラッチボード作品を持参してくださった。1980年代を中心に倉石氏はある新聞の文芸欄で小説やショートショートに挿絵・カットの筆を執られていた。
お持ちいただいた貴重な原画5作品は小品ながら心こもり、物語性十分で胸動かされる。今後は展示させて頂き、図録にも載せたい。
※スクラッチボード:白色の厚地の上に黒がカバーされている絵画材料。黒い表面を鉄筆や刃物などを操作して白地とのコントラストを得て制作する。
※妙高市ご出身の佐藤和正さんは小生の中高の少し後輩で、亡きお兄様と小生は同級だった。このたびは大変有り難うございました。
皆様の「お声」 病院船時代の倉石隆 母の外出
樹下美術館ホームページのコンテンツ「お声」に館内のノートに記された皆様のコメントを追加させて頂きました。3月から6月まで沢山お書き下さり有り難うございました。
“祖父が戦争中倉石氏と同じ船にのっていて、苦楽をともにしたとのことで、今日ようやく美術館に来れて喜んでいました”という書き込みを拝見致しました。
倉石氏は昭和18年から20年の終戦まで、舞鶴の海兵師団で看護兵として病院船に乗船されていました。病院船とは実際どんな様子だったのでしょう、画伯は優しい兵だったのでは、、、。お爺さまは貴重な経験をお持ちなのですね、有り難うございました。
海兵師団当時の倉石隆
(写真:郷土作家シリーズ 倉石隆展 新潟市美術館©1995年)
“この地に、樹下美術館あり、上越の誇りです” “ここが自宅ならもうどこへもいかない”
ほかノートに頂いたご感想は全て樹下美術館の大きな励みになりました。紙面をお借りして心から御礼申し上げます。
樹下美術館は、お陰様で5月中ころからお客様が増えました。さらにASSHの「居心地のいい場所へ」で紹介され、6月は前年より3割も多くお越し頂き(コサートを除いて)深く感謝致してます。
去る5月27日に倒れて以来初めて母を戸外に連れ出した
午前中、20分ほど押して保育園の所まで散歩した。
【追加です:病院船を少し調べてみました】
○倉石隆氏は、あるいは終戦直後に舞鶴で自沈処分の運命を辿った第二氷川丸に乗り組まれていたのでしょうか。
テッポウユリが咲き始めた
もう4日目でしょうか、日中は梅雨の晴れ間が続いています。最高気温も30度前後の推移、まあまあしのぎやすく助かります。
この好天を見計らったようにテッポウユリが一斉に咲き始めました。ますます濃くなる緑を背景に正に目がさめるばかりの白さです。
そもそもユリは野のもので十分に美しかったため、他の花よりも園芸種が少なかったと言われています。
この赤系はテッポウユリの園芸種です
ほかに黄色系があります。
現在開花して僅か一日二日、花粉の付着もほとんど見られず、純潔の花にふさわしい清らかさです。
美術館隣接の庭の7、8カ所で咲き始めました。
若き倉石隆氏のデッサンと詩文
梅雨の中休みが三日続きました。今日は現在展示中の倉石隆のデッサン画から詩文のついた2作品を紹介致します。
いずれも第二次大戦後、高田市(現新潟県上越市)本町の生家に戻っていた昭和20年~25年(29~34才)の制作です。
リアルなクルミのデッサンに“技術は手段であって目的ではない”の詩文
高田で氏の骨格は決まっていた。
線は駆使するものであってもてあそぶものではない
色は美しく附ければよいのではない 色は目的(感激)に対する効果である
ビンの群
左すみに蓋付きのビンが3つ描かれて右に以下の詩文が見える。
黒々と毒汁はのどにからみ
しわがれた欲望に
光は失せたれど
しかも鋭く光るガラスの目
このガラスビンは何だったのでしょう、お酒でしょうか。高田で苦悩する倉石隆の視界に突き刺さる閃光。追い詰められるのか、若き芸術家の鋭敏な感受性が伝わります。
どうぞご来館頂き作品をご覧下さい。戦後品物の不自由な時代、書類の裏に書かれた当時の画家の心情が手応えをもって伝わります。
上越市大潟区・中谷内池の杉林 臨時の開館で
昨日まで十分過ぎる雨が続きましたが、今日は降りそうで降りませんでした。しかし灰色の雲が一様に空を覆い、いつもは田んぼからよく見える妙高連山や南葉山、さらに春日山一帯の山々も見えませんでした。
今日の中谷内池(なかやちいけ)、池の向こうに高速道路が見える
ぼんやりとした風景のなかで上越市大潟区にある中谷内池の真っ直ぐな杉林は、くっきりとして印象的でした。若い林は道路端の一角にありまして、池も小さいのですが、普段からここを通るたびに一瞬清々した気持ちになります。
ところで毎週火曜日は樹下美術館の定休日です。今日はある婦人会の方たちが鵜の浜温泉の帰りに寄りたいということで、臨時に開けました。この方たちが出られると、こんどは定休日と知らなかったというお客様たちが入れ違いに見えて忙しい昼だったそうです。
絵葉書が30枚、オリジナルのシーグラスチョーカーが三個売れたそうです。本当に有り難うございました。
小室等&佐久間順平コンサートの模様
前後してしまいましたが、昨日の小室さん、佐久間さんのコンサートの模様です。到着後一息ついて始まったリハーサルは非常に丁寧に時間をかけて行われた。
音響は付きっきりでビッグサウンドさんがコントロールされた。
本番の二人は反応しあって音楽が増幅された。
音楽、大人っぷりともに素晴らしかった。
今年音楽活動50周年の小室さんは声量があり、感情起伏が豊かに波打つ。佐久間さんはギターのほかにヴァイオリン、マンドリンを奏で、歌声に優しいペーソスがにじんだ。
詩は谷川俊太郎、金子光晴、別役実、及川恒平氏などで、心に浸みる。小室さんによるベラルーシの少女はチェルノブイリの原発被害を受けた痛ましい子どものことが歌われた。
音は樹下美術館のホールによく響き、お二人の音楽力に満たされた2時間余だった。
小室等さん佐久間順平さんのコンサートが終わった
昨夜、樹下美術館で行われた小室等さんと佐久間順平さんの熱いコンサートが終わった。お二人とも熱心で、大人っぷりも素晴らしく、ミュージシャンとはこのような人なのでは、と心から思った。
無事に終わって、演奏者のお二人とスタッフ
(ほか駐車場、カフェなどでも大勢様のお世話になりました)
打ち上げのお二人、ピンぼけを許して
演奏者は真心込めて歌い、楽器は麗しく奏でられ、私たちも歌った2時間。人生70年を前にしてこんな貴重な時間に巡り会えるとは。
お集まりくださった皆様には感謝に堪えません。もしかしたら樹下美術館はこれからが本番なのかもしれません。
今後ともどうかどうか宜しくお願い致します。
手前ごとですが、当演奏会は南三陸町の拙弟の世話になりました。次回のノートにコンサートのお二人の写真を載せたいと思います、至極感謝。
街の夕焼け ネマガリタケ 深雪花の新作ロゼ
今夕齋藤尚明(二代陶齋)さんとお会いするのに高田へ行った。駅が見える通りでちょうど夕焼け雲がかかった。
海の夕焼け、山の夕焼け、里の夕焼け、そして街の夕焼けもいいな、と思った。
尚明氏に陶齋の図録初稿を監修して預いてからもう一度印刷屋さんに回す。ようやく一冊目の陶齋がゴールへ向かうことになる。
つぎは倉石隆氏、こちらはかなり進んでいる。作品の時代も陶齋よりもはっきりしているのでその点楽だ。楽しんで取り組みたい。
ご近所から頂いたネマガリタケ(ヤマタケコノ)
妻は涙を溜めながら、タケノコの皮をむいていた。
さて、高田を辞して家に帰ると妻が開口一番、興奮した様子で以下の話をした。この春、ある方へ贈った岩の原葡萄園のワイン「深雪花」の新作ロゼが信じられないほど貴い人のお口に入ったという手紙を受け取った、と。妻は涙ぐんでいて、私は息を止めて驚くような書面を読んだ。
デミタスで珈琲を2 そしてオオヤマレンゲ 勝手な政治
昨日のデミタス紹介の続きです。
リモージュ(フランス)6客1960年頃とコールポート(イギリス)3客1930年頃。
いずれもすっきりした筒型の、CAN(キャン)タイプといわれるものです。
雨の庭でひっそり咲き始めたオオヤマレンゲ。
美しさは完成されているように見えます。
ところで、この花はかって進化の途上でどのような形状だったのでしょう。またこの先、何か問題があって新たなものへと変わるのでしょうか。
現実には、どの花もこれ以上ないと思われるほど微妙で独自の魅力を完成させているように見えます。
中立説などと、ただ聞いたことがあるだけの進化論ですが、目の前の自然を見るだけでは、その移ろいを実感しにくく、いつももやもやしています。例えば、80万年前の自然にあっても、おそらく生き物たちはそれぞれ一見完成されたように見えていたにちがいありません。
もしかしたらどの進化途上でも、生物はいつも一見完成されているように見える?そのことがとても不思議に思われるのです。
それともオオヤマレンゲでさえ本当は、かなり曖昧で、不完全で、それでけなげ、、、。それらが(もまた)魅力として見えているのでしょうか。
なんだか、訳の分からないことを書いてしまいました(汗)。
さて、今日一日医療の仕事は大変でした。被災地はさらに途方もなく大変な毎日でしょう。
こんな時に一体とならならず、ひどいゲームをしているような政治とは一体何なのでしょうか。日本のいくつかの地域を中心に被災者さんが移住して、地域と共に新たな町作りを独自に試みる動きがあるように聞いています。熱意がある分、よほどこちらを応援したくなります。
デミタスで珈琲を1
寒くて一枚余計にはおらざるをえなかった一日でした。
お陰様で、5月からの樹下美術館はお客様が少し増えているように感じられて、感謝致しております。
展示作品、カフェ、庭、自然、など視覚と少々の味覚をお楽しみ頂ければ、と思っています。
左:ローゼンタール(ババリア・ドイツ)1920年ころ
右:ロイヤルドルトン(イギリス)1920年ころ
器の裏、窯印もご覧下さい
さて、今年のカフェはドイツ食器を加えていましたが、6月12日(日曜日)からデミタスでのサービスも始めることに致しました。
デミタスはフランス語demitasseで→デミdemi(半分の)-タスtasse(カップ)ということのようです。
デミタスはミニチュア感やデリケート感があって、また楽しめます。カップをお選び頂きますと、およそ二杯分のポットでサービスをさせて頂きます(大きめのものでは一杯半ほどの時もありますが)。
また食事メインの場ではありませんのでエスプレッソでなく、一般の珈琲にさせてください。料金は略々デミタス2杯の珈琲で400円の予定です。
ハンドルを指先でつまみ、小ささをお楽しみ下さい。ひと味違った珈琲になろうかと思います。器の年代は19世紀後半から20世紀中ごろ(ミットセンチュリー)までです。およそ10年前から5年ほど集めました。当初、美術館のカフェで使うことなど思ってもみませんでした。
明日はほかのカップをもう少し掲載致します。
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