強面のシメ 愛らしい樹下美術館の桜 花のような雲 春よ急がないで。

2017年4月13日(木曜日)

3月下旬頃だったか、時々シメが来ていますね、とお客
様から聞いていた。
変わった名の鳥シメは自分が子供のころ父が往診先か
ら拾ってきた(貰ってきたのかもしれない)。
本日カフェ前の芝生に来たシメは、スズメより一回り半
ほど大きくころころとして可愛く見えた。
だが写真を拡大すると、こんな怖い顔だったかな、という
面構えだった。

しかし見方によってはリンカーンやゲバラあるいはドビュ
ッシーなどのように見えなくもなく、一種威厳がある。
また胸や腹のち密なう毛の色はとても優雅だ。
この場所が気に入っているならまた来てもらいたい。

1

2

ところで昨夜埼玉の縁者と高田公園の夜桜を見に行った。
昨年もそうだったが、あまりの花の迫力と夜店の多さに再度
唖然呆然とさせられた。

そこへいくと我が樹下美術館の桜は愛らしくほっとする。

3

4
現在若い東海桜とソメイヨシノが咲いている。
この後、以前から自生していた山桜が咲いてくる。

雑草取りをした今夕、帰ろうと立ち上がって見た空に優しい
桜色の雲。

5

地上は一気に春の盛りに入った。
急がないで、ゆっくりゆっくり、徐々にお願いしたい。

茶道裏千家・坐忘斎お家元にお茶を差し上げた日。

2017年4月11日(火曜日)

去る4月9日夕刻新潟市内で、ある例会が
持たれ茶道裏千家、坐忘斎お家元のご講
話があった。
先立つ午後、旧齋藤家別邸のお茶室「松
鼓庵・しょうこあん」でお呈茶が予定され、
お家元をお正客に迎えて15:30から不肖私
が薄茶を差し上げる役となっていた。

今冬来ほぼ毎日稽古をし、妻の茶道師範の
元へ伺ってお点前を見てもらい、イメージトレ
ーニングや問答も仮想して練習を試みた。

当初80%もの降水確率だったお天気は日が
近づくにつれ下がってきて雨は避けられた。

当日朝8時、茶道具類のほか布類、着物履き
物、水、筆記用具、昼食など車を一杯にして
120キロ先の新潟市へ向かった。

1
新潟市は結城宗由先生のお社中の方たちが
すでに茶室内外のお掃除を始められていた。

茶室は広大な築山の高所にある。踏み石を伝
い流れの音を聴き、椿の落花を横目に皆で道
具を運び上げた。

道具の器は樹下美術館常設展示の陶芸家、
故齋藤三郎(陶齋)の作品を出来るだけ用い
た。
昨年逝去された会員への追悼でもあり趣旨を
生かせれば、と配慮も試みた。。

2
上越市から有澤宗香先生のお社中も加わり
仕度を進めて行く。八畳間に総勢14名のお
客様の予定。

間もなく京都の裏千家本部から業躰(ぎょう
てい:茶道全般にわたり仕度、所作作法、流れ
など助言指導される方)さんの幹部が来邸され
た。
水屋の配置、掛け軸の高さ、床のあしらい、炉
縁(ろぶち)とお釜の高さ、水指の水位の調整、
御菓子の盛り方ほか沢山のことで確認とご助
言を頂いた。
(例えばそれまでの水指の水位が低く、柄杓で
水を掬う場合、角度がつき過ぎ杓の尻が棚の
天板に当たりそうになり不自然な動きを免れな
かった等々)

これらの是正は一見窮屈なことに思われるが、
実は正反対、物や動作が少しでも自然で美しく
あり、しかも真に開放された時間を過ごすため
に要所に原理的な寸法とその応用がが存在す
るらしいということの現れだった。
さらにそれらを知らしめた茶の祖利休について、
あらためて凄さを思った。
(この部分10行は4月15日に追加致しました)

ダークスーツできびきびと動かれる二人の業
躾さんはTVの茶道番組で拝見している方々。.
本席が始まった後も裏方として私たちのスタッ
フと一緒に水屋仕事や進行を守備して下さった。

3’

3
↑待合床に掛けた棟方志功「米大舟頌べいだい
しゅうしょう」。棟方氏と陶齋は若い頃から親交が
あった。
江戸時代、私たちの地元を襲った大飢饉を米を
回して救ってくれた酒田の豪商の舟を喜び、始ま
ったという歌と踊りを今に伝える「米大舟」。
逝去された酒造会社社長であられた会員への
手向けとして米の舟歌の小品を掛けさせて頂いた。

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上床は文箱が普通だと思われるが、持ち会わせ
が無いので滝田項一作鳥の染め付けの陶箱を飾
った。
氏は富本憲吉門下で陶齋の兄弟弟子の一人に
当たる人。追悼の趣旨に沿い、去った人のイメー
ジを思い、鳥の図柄を選んだ。

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床に格調高く良寛の「かたみとて」が掛った本席。
お褒め頂いた陶齋の手桶花生けに利休梅、ヒメ
コブシとクリスマスローズが入った。

2.
↑陶齋の染め付け民家香合。

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↑水指は陶齋の掻き落とし牡丹文。薄器(薄茶を
入れる器)も陶齋の赤絵どくだみ文小壺を用い、風
炉先屏風は薬師寺、薬師三尊像の台座から取った
拓本龍の図、そして数少ない我が棚から方円卓を用
いた。

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裏千家淡交会から記者さん。

7
仕度が出来上がったお昼に妻が用意した奈良の
桜葉寿司といちご。

6
恥ずかしながら本番前のおさらい。
釜は治良兵衞の古い平丸釜。
蓋置きは竹で裏千家十三代お家元、円能齋の
お手作り、銘「春風」。

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↑茶道苦難の時代にご苦労された円能齋。
その人の春風にはひとしお励まされる。

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業躰さんのご指導で何とか席が整って集合写真。

9
↑席入りが近づく頃合いを計って美豆伎庵(みずき
あん)さんからお菓子「花吉野」が届く。
菓子と器との取り合わせを見ながら業躰さんに盛り
付けを教わる。
懐紙を置き、人数に合わせた楊枝が手品のように
さっと扇形に並ぶ。
春の野を彷彿とさせる御菓子は格段の優しさで好評
を博した。

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↑比較的地味色で始まっている道具類の色彩を強
めようと二つ目の菓子器に今年入ったばかりである
陶齋の色絵椿文の鉢を用いた。

仕度から5時間が過ぎた頃、お家元が待合に入ら
れたと知らされた。
練習どおり茶道口ふすま前に座して息をはき、呼吸
を整えて待った。
誰かが「さあ」と言って促した。
茶道口を開け茶巾と茶筅茶杓を仕組んだ主茶碗を
左手に乗せ右手を添えて手前座に進んだ。

上座に圧倒され緊張は隠せない。
お家元は点前の頃合いを見て、クリスマスローズの
事を口にされた。
こちらのクリスマスローズは京都のよりも大きいです
ね、京都のはこんなにちっちゃいですよ、と指で輪を
作って笑顔を見せられた。
難しい掛け軸やお道具類ではなく、まず花から切り出
され緊張の座をほぐして下さる。

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お家元に服して頂いた鈴木秀昭さんの「色絵金銀
彩幾何宇宙茶碗」.。
曼荼羅そのものでもあろう大きな器、精一杯大服に
して心込めて茶筅を振った。
何度も迷ったが、この茶碗に決めて良かった。
お家元が眼を丸くされ、場に光が射すようだった。
大きな音を鳴らされ見事に茶を吸い切られた。
後に茶碗についてオリエントの風合いを仰った。
不肖私も鈴木さんと出会った15年前に全く同じく感
じた。
オリエント学はお家元の義父・故三笠宮様のご専門
であり、何とも適った方からのご指摘に感銘を受け
た。

お次客、三客様はお家元のご親族が座られている。

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↑お次客様は甥御さんの伊住公一郎様。
塚本治彦さんの織部でお飲み頂き、とても良いお
茶碗でしたとお褒め頂いた。

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↑お従兄弟様の大谷裕巳様は新潟県の作家解良
正敏さんの黒釉面取り三彩茶碗で。
可愛く魅力的と好評され同県人として嬉しかった。

水屋から差し出される次客、三客様の茶碗は既に
茶が盛られしかも碗が温められていた。
私は湯を注いで茶筅を振るだけで良かった。
三手、四手と手間が省け、それだけお家元と相対
できる余裕が生まれる。裏方に回った業躰さんの
心遣いが沁みた。

古くて気がもめたが高木治良兵衞の釜をお褒め
頂き鐶衝きの型をお尋ねすると膝を進めて寄って
くださり、「遠山」ですね」と教えて頂いた。

漢字で書かれた良寛の和歌の読みをお尋ねされ
たので、精一杯声を張り上げてお答えした。
待合の棟方の米大舟もお尋ね頂いた。
描かれた若い女性は、棟方が1950年代当地で米
大舟の踊りを見た際、踊る娘さんの印象を描いた
ようですとご説明した。

上床の小襖を指して、トクサが描かれていますね。
と仰った。
私はその事に気づかず、はっとした。
上の甲板に鳥の陶箱に置かれていますが、その
鳥がトクサの上を飛んでいるようですよ、と仰った。
ああ樹下美術館にもトクサの道があり、春の鳥が
飛び交い始めた。
狭い茶室に居ながら自然界へとイマジネーション
を広げようとされる。

途中で一、二度夢心地になってしまったり、我に返
ったりした。
茶を点てながら、お茶を運び出される方達の足袋
のすれ音が聞こえ、みな一生懸命なのがひしひし
と伝わる。
お茶碗は家にあるもの皆お出しした。
お互いの器をやりとりしたり言葉を交わすのが聞こ
える。

席が終わりに掛かる頃、突然茶室が停電した。
たまたま母屋の方のブレーカーが落ちたらしい。
何という事か、暗い室内の二方の障子が夕暮れの
陽にうっすらと赤く染まっている。
「夜咄(よばなし)のようですね」
「というより夕ざりでしょうね、いいじゃないですか、
昔の茶室はこんな明るさだったんでしょうね」とお
家元がフォローされ、ざわついた座が和んだ。

考えもしなかったハップニングもあり、いつしか終
了が近づいた。
お仕舞いください、とお家元。
名残惜しゅうございますが、お仕舞いに致します、
とお応えした。

仕舞手順を終えて茶道口に戻り、挨拶すると胸が
熱くなりお家元に手を合わせたくなった。
終わって一同そろって集合写真。
「新鮮で大変楽しかった、それぞれ異なるお茶碗の
変化も良かったですね」とねぎらいを受けた。

短い時間の中、お正客様によって生み出された和
みの一体感、一座建立(いちざこんりゅう)。
それはまた時計などでは計り得ない貴重な一期一
会のひと時だったのだと実感した。

私の拙点前は論外であり、この日の機会を与えて下
さり諸般に心砕かれた幹事様、世話人様に深く感謝
し、親身になってご支援頂いたお二人の師範と一門
のお弟子さん達、松鼓庵の皆様、そして当日の土台
骨を固く組んで頂いたお二人の業躰さん幹部、暖かく
見守って頂いたお家元様はじめ裏千家本部の方々に
心からの感謝を禁じ得ません。

呈茶の後場所を移してお家元のご講話があった。
伝統とその有り難み、がテーマだった。
有り難さの明快な解釈とそれを受け止める感性を磨
くことの大切さを話された。
私たちだけで聴くのが勿体なく感じた。

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ご講話の後の懇親で柳都の芸妓衆による見事な相川
音頭。

泊まりのつもりだったが、明朝の仕事や気になる患者
さんがいたのでホテルで仮眠の後、夜中の北陸道で
帰った。
道中冷えて霧がかかり、何か別次元の世界に居る錯
覚を払拭出来なかった。

昭和62年から裏千家茶道をお導き頂き、常に励まして
頂いた亡き渡辺宗好先生を思わずにはいられない。

大変長くなりました。

洗いざらした布巾のような気持ちで見た新堀川の桜とハクモクレン。

2017年4月10日(月曜日)

昨日日曜日午後、新潟市でお茶を点てた。

恐れ多くも普段お会いすることも叶わない方への呈茶を終え、
あまりの出来事に心身が殻になり、一晩経った本日は何か
洗いざらした布巾のような心境で午前の患者さんを診た。

そして昼、青空と新堀川堤に咲き初めた桜と満開の白木蓮を
きれいだなあ、と眺めてから美術館へ行った。

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新潟市でのお茶のことは明日しるしてみたい。

風もなく霧雨が優しかった日。

2017年4月7日(金曜日)

昨日今日と予報よりも天気が優れない。
本日日中は細かな雨が静かに降り続いた。

雨はそっと降り風も無いので草花は傷むこともなく濡れ
るに任せていた。

庭の何カ所かで椿の落花、それも一輪。

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花やこずえはまつわるようなしずくで濡れている。

1

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モミジの水滴、細かい雨が写っている。

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4,5年前福島県から来たショウジョウバカマ。

風雨はいつもこのように優しいわけではないが、今日は良かった
にちがいない。

空はすぐれなかったが鳥も花も忙しかった。

2017年4月6日(木曜日)

4月になってから美術館の庭にジョウビタキのオスがしばしば
やって来る。

すると本日、メスの姿が見られた。
オスメスは一羽が来てはいなくなり、今度はもう片方がやって
くる事を繰り返しているように見えた。

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↑可愛い子だったなー、とオスのジョウビタキ。

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何処へ行ったのだろう。

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↑あの人、私に気があるのかしら、とメスのジョウビタキ。

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でもすぐに居なくなっちゃう。

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↑探しに行こうっと。

時折小雨が当たる庭のジョウビタキはちゃんとツガイになるので
しょうか。
春の歩みは応援しているにちがいありませんが。

 そして辺りの花は鳥のことなど知らぬげに次々と開いていく。

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ついにハクモクレンが開花。

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東海桜というのだろうか、ほうき状に縦に枝が伸び小型の花を
沢山つける。。
10年前に移植して以来小さくなってしまったが、この数年踏ん
張り始めた。

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賑やかに咲き始めたコブシ。

空はすぐれなかったが鳥も花も忙しくそうだった。

本日の昼食と庭に来たジョウビタキ。

2017年4月5日(水曜日)

最高気温が上越市高田で23度にもなった水曜日の昼食はカ
フェでホットサンイッチを食べた。

通常は4きれですが、私は前夜の夕食の加減で時々2きれに
してもらいます。

3
1,7カップ分のポット珈琲がついて750円。
(通常の4きれの場合980円です)。
今日のカップは今年から入った英国のシェリーはクインアンタイプ
の器でした。

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食事中向かいの庭にきたジョウビタキ(オス)。メスは頭
部がベージュ色だという。
止まっているアジサイの枝から新芽が開き始めています。

気象と自然は行きつ戻りつしながら春へと私たちを誘導し
てくれているようです。

絵画や陶芸の展示を楽しみ、春めく庭を見ながら英国の
食器でお茶を飲む。
忙しい日常の中でこのような時間に身を任せるのも良いの
ではないでしょうか。
展示を観ず入館料(200円)無しでカフェだけのご利用も出
来ます。

午後突然のように襲った「春嵐」。

2017年4月3日(月曜日)

本日午前はまあまあだったお天気が午後から崩れた。
昼休み時間にぽつりとお見えになった方とお話して、用事で来館された
方にお会いした。

午後の在宅訪問の時間が過ぎていて急いで出た。
その道中急に空が暗くなり小船津浜のほくほく線跨線橋で眼前にひど
い雲が見えた。

嵐になる、、、時間が無かったが急いでカメラを手にした。

1
西北方面。暖気と寒気か、白黒二色の雲が激しくせめぎ合っている。
写真の右下に紫色の部分があり、後でトリミングして拡大した。

 

2
雷(落雷?)が写っていた。落雷は普段撮ろうとしても中々撮れない。

 

3
同じ場所から北東方向、黒い雲が広がっていく。J瞬く間に視界の180度
以上にわたって暗雲に覆われる。

雲はあっという間に頭上に達し、夜のように暗くなり、煽るように風が吹いた。
午後3時半を回った時刻だったが、国道8号線の車はほぼ全てライトを点け
ていた。

 

4
在宅回りの途中でアラレが降ってきた。
車中後ろの看護師が春の嵐ですね、と言ったが正にその通りだった。
雷が鳴る中、止めた車から飛び出しては走り、三件の在宅を回った。
お寄りしたお宅の方が、天気予報通り凄いですね、竜巻があるかもと
言っていましたよ、と仰った。
私は全く予報を聞いていなかったので急変にとても驚いた。

 

5
仕事場へ戻る前に海へ寄った。奇妙な雲の西方遠くに青空が広がり明
るくなってきた。

夕刻のローカルニュースはいずれもこの嵐を取り上げた。
特に開花寸前と言われ、花見客が出始めた高田公園の状況をリポート
する局もあった。高田もかなりアラレに降られたようだった。

春は様々な嵐が襲う。
昨年4月、同業のゴルフコンペがあり、晴れていたが余りの強風で中止に
なった。
嵐は南風の熱風の時もある。これは始まったばかりの菜園や新緑の木の
芽に最悪で、苗や芽が枯れたりする。
嵐の後海難事故が報道されることもあって油断できない。

本日風やアラレなどは正味30分程度だったかもしれない。
一旦晴れたが、夜間ふたたび雨になり雷の音が聞こえている。
しかし明日から数日は晴れて暖かくなるらしい。

東京も今夜悪天候となり落雷があったようだ。

開花を待つハクモクレンやソメイヨシノ キジバトの吸水 大口満さんの作品展 儀明川のコヒガンザクラ。

2017年4月2日(日曜日)

日中よく晴れて頬に冷たい風が気持ち良かった日曜日。

1
樹下美術館の直近、犀潟は新堀川のハクモクレン。開花をまち
きれずそわそわしている風だった。

2
当館のソメイヨシノのもすっかり開花の準備が出来ている。

3'
カフェで今年からメニューに加わったピザトーストを食べた。
食べながら水盤に飛来したキジバトを見た。
つがいで行動することが多いキジバトだがこの鳥は独身の
ようだ。

3
一般に小鳥は水を飲む場合口にした水を上を向いて飲み込む。
しかしハトは水にくちばしをつけて下向きのまま直接飲める(吸
い込める)らしい。

4
午後、上越市は高田本町の大島画廊へ行った。
裏手を流れる儀明川の一角でコヒガンザクラが良い具合に
開花していた。
澄んだ雪解け水に青空が写り、ひとしお花を引き立ててい
る。

画廊で買い物をして大口満先生の作品展を観た。
乗鞍岳の山岳、花、果物、京都、紅葉、人物など多彩なモ
チーフに合わせ油彩水彩が自由に使い分けられている。
身近で繊細なものから自然や時間のダイナミズムまで楽し
めた。
正面の大作は雪の大潟区海岸に取り残された漁師小屋が
描かれていた。
私が頻繁に行く四ツ屋浜を西に下ったところにある数軒の
廃屋。
これが降る雪の中で崩れるように重なり合って描かれてい
る。
廃屋に降った雪は、かって賑わっていた浜への鎮魂のよう
に心に響いた。

会場でお元気な舟見検二先生と堀川紀夫先生にお目に掛
かって嬉しかった。

用事のあと美術館に戻り、柏崎市から来られた三人のお
客様と話をした。以前から当館を気に入って下さっている方
々で、今年もお会い出来て嬉しい。

本日も切れ目なくご来館頂き、有り難うございました。
やや寒かったが春の歩調がしっくり感じられた日でした。

芝生のスズメノカタビラ 床屋さんはちょっとした街の精神衛生士?

2017年3月31日(金曜日)

暖かい日が出てくるようになり、家庭菜園を楽しむ方達は畑
の雑草取りから鍬打ちへと仕事が始まっていた。

本日は山では雪も予報されるなど寒い日となった。
ところでまだ暖かかった昨日昼、芝生の雑草が目立つところ
を草むしりした。

殆どがスズメノカタビラで今後ドンドン増え、巨大化する。

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日陰ぎみの部分に余計に生えるスズメノカタビラ。回りの
芝は枯れているのに、自分は青々としているのですぐに区
別できる。

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よく見ると既に種が付いている。まだ春が始まったばかりな
のに種とは!
いまのうちに取らないと、種を飛ばして再び沢山生えてくる。

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30分ほどで取った雑草、この三倍は取りました。
枯芝の中に指を入れて摘まむが、しっかり根を張っている
ものは摘まみにくく、指先や爪が痛くなる。

話変わって、
私たちの髪には雑草など生えないが、頃合いを見て散髪に
行く。不思議なことにむさ苦しく感じた顔と気分が髪をいじる
だけでしゃんとしてくる。

店主は差し障りない世間話をしてくれるし、私にも話をする
よう話題を振る。
私の場合は小一時間、そこには一種精神科か心理カウン
セラーの所に行くのと似たような作用があるように感じる。

利用する理容、美容室室はまず行きつけの馴染みの店であ
ろう。
そのことも安心な場所として鎮静作用を及ぼす事だろう。
精神科というほど堅苦しくないが、遠からず近からず、ほど良
い距離でおしゃべりし、髪をいじり、ひげを当たり、マッサージ
までされる。
リフレッシュ出来るわけである。
街の店はなにげなく見えるが、私たちの心の平衡のため、身
近な所で貢献ているのではないだろうか。

先日の散髪の折、泣きながら小さなお子さんが入って来た。
それが間もなく静かになった。
鏡の前に座ると緊張して余計に泣くので、待合の椅子に座っ
たまま散髪が始まっている、という。
この人達は色々な面でプロフェッションだ。

穏やかだった水曜日 砂丘館館長 ベニマシコ。

2017年3月29日(水曜日)

当地高田の最高気温は12度、風も無く穏やかな水
曜日だった。
晴れの日が賑わうとは限らない樹下美術館、本日晴れ
て、一組また一組とご来館頂いた。

今年は例年以上に展示物をご覧になる方が多い。
「カリカチュア風な倉石隆」と「陶齋の色絵と鉄絵」が見や
すいのではないだろうか。
説明書を手に顔を近づけてご覧になる様子はとても嬉し
い。
1年間、同じ展示なので何度も見られる方は少ないが、
その後カフェだけを利用され、庭を見ながらお茶を飲み
に来られる方もいらっしゃって有り難い。

本日は新潟市から砂丘館館長大倉宏氏が寄って下さっ
た。
このたび好評のうちに終了した同館の「塩崎貞夫展」作
品を戻しに出られた帰路ということ、沢山お話が出来て
幸運だった。
倉石隆と齋藤三郎、二人の作家の取り合わせがとても
良い、と褒めて頂いた。
地元以外の方でこんな風に仰る人は珍しく、光栄に感じ
た。

過日砂丘館を訪ねた折の事は当時図録制作などで忙殺
されていて、とうとう書けなかった。
本日少し振り返ってみたい。

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砂丘館の玄関を入ると目の前に塩﨑貞夫画伯の
「女人午睡」が静かに迎えてくれた。

展示された絵画は全て死と鎮魂がテーマ。手応えとし
て伝えにくい死者のイメージや儀式の象徴性など極め
て深い事象を、「生きる者を代表」して憑かれる如く描
かれた塩﨑画伯。
一点一点は詩の如く言語性を有し、また音楽のようで
もあり、作者が如何に深く死に関わったかを物語ってい
た。

ところで砂丘館は羨ましい。芸大ご出身の館長の優れた
専門性と展開力、充実したスタッフと熱心なボランティア
による組織的な運営、そして旧家屋の魅力を最大限に活
かした展示と催事の企画。
同館が一体となって運営する「絵屋」も見たが、全体は
生き生きとしてフットワークが良く、私たちに無いものば
かりで、驚きかつ有益だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

本日午後施設巡回に出て美術館に寄ったが、途中の雑木
林で赤い鳥が前を横切った。
車を停めて見ると遠くでじっとしている。
慌てて写真を撮った。上手くは写せなかったが「ベニマシコ」
だった。

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私もカメラもいまいち腕力が足りず、歯がゆい思いを禁じ得ない。

春秋は小鳥たちが活発な季節。
樹下美術館の水盤の鳥はかなり近い。
これからどんな鳥が来るか、カメラ片手に楽しみに待ちたい。

ヤブツバキの古木は踏ん張っていた。

2017年3月27日(月曜日)

一昨日、近隣の浜線(旧国道)にあるヤブツバキの大木の
ことを
書かせて頂いた。
その椿については、風に晒されるようになって以来気の毒で、
長年木の脇を通ってもできれば見ないようにしていた。

それが本欄に書いたこともあり急に気になって、本日行って
みた。

1
昔と変わらぬ美しい花が。

2
見上げるとかなりの数が咲いている。

3
道の反対側からみるとこんな風だ。
一時貧弱になり、消えてしまうのかもしれない、と心配した。
しかし本日木は要所を繁らせて頑張っていた。
往時ほど格好は良くないが、想像を超える元気な姿を見て
とても驚いた。

4
持参のメジャーで幹の周囲を測ってみたところ、143㎝。
手にメジャーを持ってほぼひと抱えあった。
(持ち主の方、好き勝手にして申し分けありません)。

最初の写真のようにこの花はやや暗色をしていて、しか
もツヤがある。
ほど良い大きさで満開の半分ほどの開き方も慎ましい。
あまりに良い椿なので、30年も前だろうかお宅の方に話
して一枝頂いたこともあった。

海風にさらされてご覧のようにすっかり枝葉が減った。
だが本日全体として元気を取り戻しているように見える。
先端をみな切り詰められているが、一種古武士のような
風格さえ感じられる。
よく見ると切った先から若枝も伸びていて、この木はまだ
成長している。

人もまた晩年でも成長すると聞いたことがある。
木は何も語らないが見に来て本当に良かった。
落花が始まっているが、また来よう。

それにしてもどんな人がいつ頃植えたのだろう。

大きなヤブツバキの垣根、園芸種の椿は成長が早い。

2017年3月26日(日曜日)

本日椿を見に行く予定だったがまだ花盛りには早かった。
それでもご近所にある垣根は見頃と迎えようとしていた。

1
ここのお宅のヤブツバキは垣根仕立てになっている。
私の背の2,5倍にはなっていよう、とても堂々としている。

ヤブツバキの生長が遅いのはが自生種だからであろう。
その点、人手を加えて美しくした園芸種は多様で成長も早い。

2
樹下美術館入り口のヤブツバキはようやく2㍍を越えつつ
ある。


3
美術館の南隅にあるいわゆる侘び助に類するツバキ。
ピンク系の小さな花を沢山つける。
恐らく園芸種的な品種であり、成長はとても旺盛だ。

本日は寒く、明日は雪が降るかもしれない予報。

ヤブツバキの大木。

2017年3月26日(日曜日)

椿の季節となり樹下美術館の庭もそこかしこ
で咲きほころんでいる。

椿、特にヤブツバキは生長が遅いため、わが
美術館の10年の歳月では大木を望むべくも
ないが、少しずつ土地に馴染んで育ち始めた。

地域には何カ所か二階の屋根を越えそうなほ
ど大きなヤブツバキがあった。
それらの色濃く引き締まった一重の花盛りはま
ことに見事で、外出の帰りにその木の下へ寄り
道をした。
落花もまた素晴らしく、あるお宅のは毎年旧国
道一面を真っ赤に染めた。

一本は苦手な海が近いのに大木に育っていた。
おそらく風上にあった家屋が季節風から木を守
ってきたのだろう。
ところがかなり前に場所を移動して新宅が建てら
れると海風が直接当たり、樹勢が衰えてとても小
さくなってしまった。

そもそも二階屋根を越えようとするようなヤブツ
バキを育てるには100年、あるいはそれ以上掛
かるのではないだろうか、とても一代では難しい。
苗が植えられたのは明治時代、もしかしたら幕
末など江戸期かもしれない。

ヤブツバキは米山山系や西頸城の山に沢山自
生していて両者で色や形など幾分感じが異な
る。
大木の苗は山から採ったものか、当時の植木
屋さんから買ったものか傍目に知るよしもない。
いずれでも植えた人の優しい人柄を思ったり、
守ってこられた代々のご家族のことを考えるの
は楽しく心温まることだ。

風の強い浜すじで椿を育てるのは大変だが、田
園や山間の集落で、はっとするような大木を見る
事がある。

明日は日曜日なのでお天気なら車を走らせて
花を探しに行ってみたい。

IMG066.JPGやぶつばき
2001年に描いた拙ヤブツバキ(A3)。色々難点は
あるが、随分苦しんで描いた。
現在印刷屋さんに回っている当館の作品図録が
出来上がったら、再び何か絵を描いてみたい。

花鳥は仕方ないとして、人間は少し休んだ方が良いのでは。

2017年3月24日(金曜日)

本日は昨日に続いて肌寒く、午前中突然雷が鳴るとさーっと
雪が降りあたりは白くなった。
春の気象はモタついているが、ハクチョウやカモたちはとっくに
北へ帰ってしまい、朝日池は空っぽになっている。

寒くて風邪を引いたと何人もの人が言い、畑へ出る気もしない
とおばあさんたちが言っていた。
だが庭の水盤にスズメやシジュウカラがやって来て、固かっ
たハクモクレンの蕾が早く咲かせてと膨らんでいる。

IMG_3769

春よそんなに急がないで、と思っていた私は、辺りを白く染めた
今朝の雪をああ、いいいなあと思った。
でもそんな寒さの中、やはり椿は赤々と開きヒュウガミズキは黄
色の小花をいっぱいつける。

IMG_3779

そういえば世間まで追い立てられているように慌ただしくなって
いて、あちらで滑ったりこちらで転んだりしている。
花鳥は仕方無いとして、私もそうだが人間は一体何に追われて
慌てているのだろう、しかも何か世界中で。

このへんで一旦足を止め、ひと休みしてはどうなのか。

IMG_3774

樹下美術館の展示などを観て、雨の庭の窓を眺めながら
カフェで一息ついてみればいいのに、、、。

上越文化会館で辻井伸行さんのピアノを聴けた幸運。

2017年3月23日(木曜日)

寒かった日、夜は雪がふってもおかしくないほど
冷えた。

そんな夕刻から普段名を聞くばかりだった辻井伸
行さんのピアノコンサートに行った。
12月14日からはじまった全国20カ所を回る日本ツ
アーの18番目が本日の上越文化会館。

売り切れ必至という幸運なチケットは昨年クリスマス
に知人からもたらされていた。

img189

駐車の車が上越文化会館を何重にも取り囲み、
満席などまず珍しいホールは立錐の余地もなほ
どの入りだった。

演奏の前半は辻井氏初のバッハとなる「イタリア
協奏曲」とモーツアルトの「ピアノソナタ第17番」。
後半はベートーヴェンのピアノ・ソナタ「月光」と同
じく「情熱」、何ともスケールの大きなプログラムだ。

美しい抑制と若さ溢れるダイナミズム、ロマンティッ
クな短調と歯切れ良く弾む長調の素晴らしい抑揚。
TVで見慣れた通り、曲が終わるたびさっと立ち上
がって礼をされる辻井氏。
ブラボーが叫ばれ、一曲ごとに嵐のような拍手が
会場を包んだ。

弾き終えて鳴り止まぬ拍手に、3曲ものアンコール。
「別れの曲」が始まると目頭を押さえる女性が見られ、
穏やかなオリジナル「風の家」のプレゼントがあり、
フィナーレで「ラ・カンパネラ」が始まるや会場に一
瞬歓喜のどよめきが起こった。
アンコールの途中で、マイクを通して上越で演奏が
出来て嬉しいと述べられた。

辻井さんを聴くことは奇跡に出会うことでもある。
生きていれば上越でもこんな幸運に巡り会える。
これからもできるだけ体を大切にして暮らしたいと、
しみじみ思った。
10月には新潟市でロンドン・フィルとチャイコフスキ
ーのコンチェルト1番を演奏される。熱狂が目に浮
かび、願わくば聴いてみたい。

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