2016年3月14日

今年度の展示ご案内その2 陶芸 齋藤三郎。

2016年3月14日(月曜日)

今年度の展示ご案内  その2 陶芸 齋藤三郎

【陶芸 齋藤三郎(陶齋)】
陶齋は「絵描きになりたかった」と述べた事がありました。大正2年、新潟県栃尾町(現
長岡市)に生まれ、18才で入門した富本憲吉と近藤悠三は絵付け陶芸で後に人間国
宝になっています。
草花を愛し、それらは様々な器に描かれました。伸びのびした形と洒脱な絵付けは見る
人の心を和ませ、使う人を楽しませました。昭和56年7月17日惜しまれながら68才で
没しました。

【展示のテーマ】  ー陶齋の
作品から赤系の色彩がほどこされた作品を選びました。その色は雪国の炭火のように
暖かくまた優しく心打ちます。この度は辰砂(しんしゃ・銅による発色)の桃紅色も混ぜ
ました。

【展示作品の概要】
 色絵唐辛子文大皿 幅30センチを越えるいわゆる大皿です。赤い唐辛子は白い雪
とともに越後の冬の色ではないでしょうか。
 赤絵金彩椿詩文文壺 白椿と金彩の詩文(陶齋を詠った詩)が赤地に映えます。
 赤地金彩羊歯文陶箱 やや晩年の作ですが、鮮やかさと強さを感じさせます。
  色絵更紗文湯呑 更紗文は同じパターンを繰り返す模様。ドクダミがよく描かれました。
色絵更紗丸文水指: 水指は茶道で用いられる器。ドクダミ更紗の中に水仙、萩、
セキチクなど四季の花が描かれています。
  赤絵金彩牡丹文壺 金は焼く温度に敏感ですが、和の趣で鮮やかに焼成されてい
ます。
  辰砂葉文ジョッキ
8  辰砂葉文珈琲碗皿 作品7,8ともに桃紅色の辰砂の地に葉が一枚。素朴で心癒や
されます。陶齋の食器は1セット6客がよく見られます。食器は用いられる事を願い心
込めて作られました。
  色絵椿文鉢  鮮やかな赤い椿は陶齋のシンボルです。骨董屋さんでこの作品に出
会い、迷っていた美術館を決心しました。「露結為霜」は露が結ばれ霜になる初冬の現
象を表し、努力によって結実する、の意味があるようにも思われるのですが。
10  赤絵金彩酒器セット 赤に金色の梅。めでたさあふれる酒器です。
11  赤絵銀彩石榴文茶器セット
12  色絵番茶器セット 作品11,12ともに赤を使った茶器セット。陶齋には早い時期
は地味め、晩年は鮮やか、という傾向が感じられます。
13  寸雪庵好雪花文金彩屏風香合 香合は茶道でお香を入れる器。寸雪庵は写真
家濱谷浩の夫人が営んだ茶室の庵号です。夫人のお好みだった雪の結晶が描かれ
た屏風を模した器と考えられます。
14  色絵蕪文皿 赤いかぶの背景の大きな白地は訪れる雪のイメージでしょうか。
15  赤絵金彩秋草文陶箱  作品6と同じ様式の華やかな器です。錦秋が伝わります。
16  赤絵金彩のばら文壺  作品6に似ていますが、文様の味わいは洋風です。
17  赤絵どくだみ文小壺  昭和20年代、陶齋の初めての弟子の独立に際して贈られ
た器です。18 赤絵搔落石榴文壺
19  赤絵搔落石榴文壺 作品18とともに赤い地の表面を削いでざくろを描き出してい
ます。褐色に近い赤が秋の深まりを伝えます。

 

1

齋藤三郎写真柏崎昭和26 - コピー
ありし日の齋藤三郎
高い教養と美意識の陶齋は多くの人に人気がありました。

2016年3月 樹下美術館

2016年3月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

▲ このページのTOPへ