2018年9月17日

健康寿命と笑み、外気やマスクのこと。

2018年9月17日(月曜日)

本日は敬老の日の振り替え休日だった。遅めに目ざめ
慌てたが、妻に祝日と聞かされ胸をなで下ろした。
“もう少し寝ていてもいいんだ”
こんな時、最も祝日の有り難みを感じる。

本日午後90代半ばのおばあさんがご家族とともに来
館された。耳が遠い方だったため筆談でお話した。
目が良く漢字もしっかり読まれる。
私が自分の事を書くと、「お医者さんですか、宜しくお
願いしますね」と目を細められた。
かろうじて歩けるんです、と娘さん。
かろうじてでもいい、外へ連れ出してもらえるのは他に
代えがたく素晴らしいことだ。
外気に当たることや地に立つあるいは歩くことは、それ
だけで新たな生気をその人に与える。

以下の写真は生前の拙母の一コマです。
80代後半から90代半ばまで、よく戸外に誘い、池の
ほとりや農道を歩いてもらい、時に持参したお茶を飲ん
だ。最後は車椅子になったが、移動や休憩は母子ともに
楽しかった。
当初連れ出してみて、正直こんなに元気や笑顔が残って
いたのか、と驚いた。

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歩き始めたころ。

 

030321母坂田ココア楕円~1
どんなに年を取った老人でも、心からの笑みは観る者をも
幸せにするし、赤ちゃんのそれと同じく、何かをしてやり
たくなる、という不思議な力を持っている。
何も試さずに、沈黙や険悪の日常を過ごす事は真にもった
いない事だと思われる。

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老後、良い介護者に恵まれれば在宅が勧められるのは、外
気接触への気配りが可能な点も大きい。
一方多くの老人介護施設には優れた点もあるが、いまだ外
出機会が極めて乏しく、課題のままになっている。

もう一点、現状では入所者さんと介護職員とのコミュニケー
ションが深まらないことも問題であろう。
原因の一つがマスク。
大きなマスクを着けた介護者がどんなに笑顔をみせても満
足な表情にはならず、相手の心に深くは触れ得ない。
表情はスキンシップと同様に素晴らしいコミュニケーション
法であるのに残念だ。
そのスキンシップさえ感染予防の観点からか、施設では控
えられてはいないだろうか。
およそ入所者さんの笑顔が乏しい事に、これらの複合による
影響を無視できまい。

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2007年92才、開館直前の樹下美術館で。

かって区内に私などとても叶わないほど熱心に外出介護を
される方がいて大変感心させられた。
当時医師会長職や樹下美術館建設に忙殺されたが、母を構
うとストレスが解消され、また少しく幸福でもあった。
在宅介護は色々と困惑も多く、決して夢のようなものではな
い。
しかし終われば後悔よりも満足が残るという世界に思われる。

今後、人間に必要な笑みも「健康寿命」の指標として加えら
れる事を願っている。

忙しかった日曜日,長野から茶道裏千家の皆様、遠方から陶齋のご関係者様。

2018年9月17日(月曜日)

昨日雨上がりの午前10時から二組34人様の団体さん
が来館された。
長野市、北信の裏千家茶道の皆様と齋藤三郎(陶齋)さ
んの関係者の皆様だった。

茶道の方たちに恥ずかしながら薄茶の点前を差し上げた。

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午前の混雑時、お嬢さんたちには一時陶芸ホールで待って
いただいた。

 

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床。掛け物は伝良寛草書詩「秋夜月を弄す」。花は陶齋
の手付花器に南天萩、白花秋海棠、カラスタデ、オケラ、
カルカヤなど7種が入った。香合も陶齋で緑地金彩は秋
草の文様があしらわれている。
床の詩の後段に“果てしない碧空を月が飛ぶ もともと光
は照らさず物も照らされず 光も物も忘じた者は一体誰
ぞ”という読みがウェブサイトにあった。難解な一節だが、
無についての壮大な気宇に驚かざるを得ない。

 

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気づくと、風炉窯と棚は円と四方が順に並び、陰陽が連続
していた。三十数年前のころ、新潟三越で薬師寺展があっ
た。当時薬師寺は塔頭再建の途に就き、熱心に資金集めが
された。展示会の折、薬師三尊像台座の龍紋から取った拓
本が風炉先屏風として売られていた。運良く求め大切にし
ている。水指も陶齋の灰釉秋草文を用いた。

 

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懐かしい根本曠子さんの野ぶどう切貝蒔絵の薄器。

 

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水屋を手伝って下さったTさん。主茶碗と替は双方思い切
って鈴木秀昭さんの色絵金銀彩の器を用いた。
主茶碗は昨春、光栄にも坐忘斎裏千家お家元に服して頂い
た宇宙曼荼羅文を使わせて頂いた。

午後から長男夫婦が来て夕刻は大潟区の都寿司で食事をし
た。

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長野県のお茶の皆様は爽やかで奥ゆかしく、非常に感銘を
受けた。
当館は二度目という方もおられ、いっそう親しみを覚えた。
遠路誠に有り難うございました。無事お帰りでしたか。イ
カヤさんの食事そして水族館など上越は如何でしたか。

東京など遠方からの陶齋ご関係者の皆様、出ませんで失
礼を致しました。また沢山作品図録を買って頂き感謝に堪
えません。

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