幼少のカルテにとても驚かれたお父さん。

2019年5月27日(月曜日)

先日40代のお父さんが来院された。
診察室に入ってこられると、
「あー、びっくりした。私のカルテがあるですか、びっくりしたー」と盛んに目をまるくされている。
出ていたカルテを見ると、初診が昭和52年11月と記入されている。
生後9ヶ月で初診されたことになり、当時いわばまだ赤ちゃんである。

「ばあちゃんによく連れられて来ましたよ」と仰る。
後でカルテの中身をみると最期の受診は昭和59年10月、7年間に64回受診されていた。
ほとんどが日常的な疾患で、確かによくこられている。
私は当時のお顔など思い出せないが、ご本人はおばあちゃんとの来院をぼんやり覚えておられるらしい。

初診年月日を見て、
「9ヶ月か、、、」と遠くをみるような表情をされている。
「うちでは昔のカルテも出るようにしています」
「そうですか、ああ、びっくりした-」

診察を終えて、処置に回り、そこで看護師さんにも、びっくりした、と仰っている。
幼少のカルテに出会い、これほど驚かれる方も珍しい。
最期に「先生は変わりないですね」と仰った。
昔の私はどんな風だったのか思い出せないが、このような一言は何より嬉しい。

 

初診が生後9ヶ月、終診が7才の35年前のカルテ。
この方の初診当時私は35才だった。そのことに気がつき、今度は私が驚いた。

今や多くが電子媒体になった診療記録。
書物やお金、あるいは書類などは次第に電子化され、現物が希少になってくる。そのような中で、自分の幼少に関する古ぼけた突然のカルテは情感を揺さぶるのだろう。

 

昨日の上越市大潟区は土底浜の夕暮れ。

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