樹下だより

晩秋の木村茶道美術館

2009年11月17日(火曜日)



紅葉もお終い。しぐれる中、落ち葉の掃除が進められていました。


 


 今月から樹下美術館ではお抹茶をお出ししています。今日火曜日は休館日、昼休みにスタッフと木村茶道美術館を訪ねてお抹茶を頂きました。


 


 茶室では、出されたお茶碗を左のお客さんの間に置いて「お先に」、右のお客さんには「お相伴します」。それから手のひらに乗せ、押し頂いて少し茶碗を回す。飲んだ後は茶碗を戻し飲み口を清める。少し予習をして揃って美味しく飲んだ。


 


 本日お点前された方は、初めて訪れた25年前当時の人だった。しばらくお目に掛かってなかったので、とても懐かしかった。久しぶりに同じ場所で同じように同じ人に出会うのは、めでたいことだと思った。

堀口大學のマッチ箱

2009年11月12日(木曜日)

昨日ある捜し物の折りにマッチ箱が二つ出てきた。当館の開館前夜に齋藤三郎氏の最初のお弟子さん、志賀重人氏から送られた資料の一つだった。恥ずかしいことに当時のあわただしさにかまけてマッチは書棚で眠ったままだった。

 

あらためてラベルを見ると詩人・フランス文学者堀口大學の詩だった。疎開で妙高へ来越された大學ご一家は戦後昭和25年まで高田市(現上越市)に住まわれた。この詩は堀口すみれ子さんの著書「虹の館」にもあり、マッチには大学の筆で以下が印刷されていた。

寸雪庵の冬囲ひ まがりなりにも仕上たか 三郎さの登り窯 火は今日あたりはいったか 時雨の音をきヽながら まくらの上におもふこと 堀口大學

寸雪庵は後に写真家・故濱谷浩氏の奥様となる朝(あさ)さんが高田で営まれた茶室だ。朝さんは魅力的な人だったらしい。ちなみに文藝春秋2007年の創刊85周年記念号で「昭和の美女」ベスト50に選ばれている。外交ジャーナリストで作家の手嶋龍一氏が推薦された。

そして詩文中の「三郎さ」は当館展示の陶芸家・齋藤三郎氏だ。時雨れる夜、朝さんの雪囲いと三郎氏の窯を案じる詩人。その日、大學が床についたのはほぼ60年前の、厳しい冬へと向かう高田だった。

後に文化勲章を受ける先人が残した素朴なマッチ箱。新しいマッチ棒で擦ったら明るい火が灯った。

カフェでお抹茶

2009年10月22日(木曜日)

  山、雲、里に秋のたけなわです。

 樹下美術館のカフェでは、前々からお抹茶のメニューを考えていました。このたび支度が出来ましたので11月からお出し出来るようになりました。

 

Img_9949

御菓子付き500円です、どうかお楽しみ下さい。

お声と庭など

2009年10月7日(水曜日)

  しっかりとこちらを向いた台風が心配されます。

 

 さて、このたび館内のノートに記された6月以後の来館者様からのコメントをホームページ「お声」に追加させて頂きました。貴重なコメントに接しますと「これからも頑張るぞ」という気持ちが沸いてきます。

 

 

 お声の中にはカフェや庭の感想が沢山あります。庭は肩の凝らない自然な雰囲気を目指しています。芝生は大変ですが、スタッフが一生懸命管理しています。

 

 

 コーヒーや御菓子・トーストも誉めて頂き喜んでいます。来月からお抹茶をお出しする予定です。作品やお茶・庭で、ホットする憩の場をといつも想っています。

 

   

 お気軽に。

白磁の壺

2009年10月2日(金曜日)

 樹下美術館の陶芸作品は故齋藤三郎氏です。生前、父は熱心に齋藤作品を集め、時には人にも上げていました。

 器を見て「いいですね」と目を輝かす人がいると、「分かるかね」と言って上げてしまうことがあったのです。

 

 ところで先日ある店でたっぷりした大きさの三郎氏の白磁壺と出会いました。昔、長く家にあって見慣れた壺によく似ていました。いつしかそれが家から無くなったのも、父が人に上げたのかも知れません。李朝を思わせる柔らかな化粧の壺。懐かしさと共に選びました。

 

 

 ある方が美術館にアケビとツルウメモドキを届けて下さいました。いい加減ながら生けると壺はいっそう生き生きとしました。当作品は来春に展示したいと思います。

 

 

裏のサイン。筆が走り、高田における比較的早い時期の作と考えられました。

絵の養父母さん

2009年9月9日(水曜日)

 午後、美術館のカフェでMさんご夫妻にお目に掛かった。実は昨年の秋、お二人から倉石隆の油絵三点を託されていた

 

 戦後間もない高田時代の貴重な油絵だった。このたび描かれたままの絵を額装して9月から展示した。本日、展示の作品をご覧になって、本当に嬉しい、とMさんは目を潤ませておられた。

 

 およそ良い絵はしっかり額装すると初々しい花嫁のような生気を現す。倉石氏のお母さまから長く作品を預かったMさんご夫妻。花嫁となった娘を見る養父母のような気持ちかな、と思った。

 

作品は旅をする。まして人に於いておや。

 

Img_0334   

 

2009年秋の展示替え

2009年9月2日(水曜日)

秋の展示替え

      2009年9月2日から樹下美術館はあらたな試みを行っています。

1,2月の冬期休館を挟んで現在の展示を来年3月まで続けます。

 

【絵画ホール】 

 これまで中々見ることがなかった戦後高田時代における倉石隆の油彩三点をホール中央に架けました。三点を囲んで、倉石氏自身やご家族を描いた油彩4点を配置しました。

全体に家庭的な雰囲気が漂っています。

二人の像も修復、額装されて中央に架けられました。

 

【陶芸ホール】 

  齋藤三郎作品を時代順に展示しています。18才、関西で近藤雄三から富本憲吉(いずれも後の人間国宝)へとおよそ5年の修行をした三郎。

 修行後の京都や神戸における初期の作品から、戦後新潟県上越市で始まった作陶活動を場内左から順を追って見やすく展示いたしました。

 

 端正で初々しい初期の染め付けの鉢。そして上越市寺町に転居して始まる色絵、鉄絵、辰砂への探求。作品には呼吸のようにゆっくりと繰り返される制作志向の変遷が見られます。

 

 ●順を追って壺、皿、鉢、水指など27点を展示しています。

 

昭和12年(24才)と15年(27才)頃の、関西における初期の作品・竹林菓子器

いずれも竹笹に雪がかぶっている文様

 

昭和45~50年前後、後期にかかる作品。

修行直後の作品から後期へ、どうぞ三郎(陶齋)の道程をご覧下さい。

 

●このたび、はじめて陶芸ホールにも倉石隆の油彩を架けました。三点ですが、陶磁器と大変よく映え合っています。今後もこの方法を続けようと思います。

●館内の倉石氏の油彩は、通路やカフェも入れて合計13点展示しています。

左の壁に架かった一枚です。

正面と右側にも一点ずつ架けて、場内の雰囲気が変わりました。

※写真はいずれも夜間に撮影しました。

  

    

未発表作品の額装

2009年8月28日(金曜日)

 先回、倉石隆氏の古い作品の出現について掲載致しました。そこでお示しした作品のうち夫人像と裸婦の二点の額装が出来てきました。

 

 額装の力と言いますか、やはり出来上がると作品がいっそう映えて見えます。

 

 残りの一点は今もキャンバスの直しをしてます。この度の掲載には間に合いませんでしたが、展示替えの9月2日には三点揃って展示の予定です。

 

 あらためて三作品は同じ作家?と思われるほど様式の異なりを感じます。このような異なりは多くの作家において希ならぬ道程と思われます。また、作品は画家の懸命な試行を見る上で興味深い資料でもあろうと思われました。

 

 9月からの展示は他の作品7点lとともに、このたびの初期に属する未発表三点を展示いたします。どうかご期待ください。

 

     
額装前の夫人像 額装の夫人像
   
        
額装前の裸婦像 額装の裸婦像
   

倉石隆の古い油彩

2009年8月20日(木曜日)

  昨年秋、上越市高田のM氏から倉石隆さんの古い絵があるから見て、というお話がありました。伺いますと油彩が三枚ありました。

 

 戦前東京で応召された倉石隆は、昭和20年秋、上越市高田の実家に復員します。その後、昭和22年から新潟県立高田北城高校の美術教師として勤務。昭和25年に再び上京しました。この約5年間、多くのスケッチ類が残されましたが、油絵は稀少で、中々見ることはできません。

 

 氏の上京後、長年お宅を守られた亡きお母様が、「押し入れの棚に積んであった作品です」と申されて、生前、ご近所のM氏にその作品を託されました。保管を続けられたM氏は、今後は樹下美術館でと申され、この度の話になりました。貴重な高田時代の油彩がほぼ60年を経て日の目を見ることになり、とても嬉しく思います。

 

 作品はF6~8号サイズの三枚の油絵でした。一枚がキャンバス、二枚は板に描かれています。長年、本などが上に乗っていたのでしょうか、キャンバス作品は陥没や絵の具の一部剥落が見られました。

 

 三点とも現在額装中で、きたる9月2日から樹下美術館で展示を予定しています。以下古い順と考えられる作品から並べてみました。 

 

静かな夫人像。未完成ながらオーソドックスな制作手順が見られる。右下に 
R Kurai のサイン。隆をリュウと読み倉石をクライにしている。

 サインは見えませんが倉石作品だと思いました。お嬢様と若き倉石画伯でしょうか。幾重にも重ねられて落ち着いた色彩はプロならのものと思われます。青はピカソを想起させ、また少女の衣服の黒がとても効いています。現在キャンバスを修理中です。 

暗色を重ねた迫力の裸婦像。吸い込まれる作用を感じる。裏面に倉石隆の
サイン。当時倉石が所属していた自由美術家協会の重鎮・麻生三郎の
影響を感じさせる。

カフェの本を追加しました

2009年8月7日(金曜日)

 樹下美術館カフェに新たに以下の13冊の本を追加いたしました

 

「少年民藝館」  「福縁随處の人びと」  「良寛入門 墨スペシャル第6号」  「レオナルド・ダビンチ」  「生きてることを楽しんで」  「没後50年 松本竣介」  「Bora Bora」  「アールデコ様式 朝香の宮がみたパリ」  「黒田辰秋 木工芸の匠」  「日本の美術館名品展」  「虹の館」  「没後80年記念 佐伯祐三展」  「世界の名画1000の偉業」

 

 何気なくページをめくる方、ドサッとおいてゆっくりご覧になる方、ただ置くだけの方etc,,,。カフェのお茶と本はよく似合っていますね。

 

どうかごゆっくりお過ごし下さい。

 

 

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