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二代陶齋 齋藤尚明氏を訪問 間もなく妙高市で作陶展。
昨日夕刻、上越市は高田寺町の齋藤尚明氏(二代
陶齋)をお訪ねした。
不思議な事に訪問は寒い時期ばかりで、いつもスト
ーブを囲んでお話する。
昨日は色々写真を撮らせて頂いた。
↑展示室と仕事場へ向かう通路。田舎風また大陸的
で非常にダイナミック。
↑仕事場(ろくろ場)。
向こうにあるのは酒瓶ではなく成形をする道具です。
↑素焼きの後乾燥中の作品。これからうわぐすりを掛け
たり、絵付けなどを施して再度焼いていく。
↑先代が築いた登り窯を説明する尚明氏。
最初の窯は昭和23年で当窯は昭和50年に完成。
火を入れ窯を乾かし温めてからの二晩は、不眠不
休で薪を焚き続け、窯全体を最大千数百度にも熱
して器を焼き上げた。
陶芸は格闘家の如き体力と、創造の感力知力の限
界に挑む総合芸術。
↑窯場に貼ってあった大原三千院のお札。
面白いが魔除けではないだろうか。
↑トイレの前に掛かるのれんは「此の男云々」の文
に椿が入った壺の絵がある。
氏は博識なので当館満十周年行事に関すること、
図録の事、焼き物の事、世間話などなど、必ず長
居になる。
夜ならば日をまたぐこともしばしば、本日は美味し
い珈琲とお菓子を頂きながら4時間過ごした。
今月、3月10日(金)~13日(月)まで妙高市西条
438-1「かんずり」本社2階で氏の作陶展が開催
される。
(有)「かんずり」のお電話 0255-72-3813
↑作陶展の案内。
唐辛子を網状に繋げた「色絵唐辛子繋文水指」(い
ろえとうがらしつなぎもんみずさし)のデザインは非
常に斬新で美しい。
この様に精緻な仕事が出来るのは尚明氏くらいで
あろう。
寒さ緩みお天気は回復に向かうようです、多くの方
に足をお運び頂きたいと思っております。
新潟市西大畑界隈
昨日午後所用で新潟市は西大畑界隈を訪ねた。
↑新潟市立美術館で同館発行「全所蔵品図録」を求めた。
外国作家ではボナール、クレー、レジェ、ピカソほか網羅
されているが、カリエールの充実は特に目を引く。
国内は新潟県出身者はじめ主要な画家が収蔵されている。
時代を築いた作家たちの基礎への傾注と新しさへの挑戦
の足跡が横溢する一冊。
↑1995年に開催された倉石隆展にちなみ、氏の作品19点
が収められている。ほしいなあ、と思うものが何点もある。
↑行形亭(いきなりや)と旧齋藤家別邸が続く一角は新たに
石畳が設えられ、さらに格調高くなっていた。
↑用が済み、近隣のイタリアンレストランでランチコースを
食した。
店の名は「ネルソンの庭」。イタリアンでネルソンは珍しい
ことだが、イギリスの人、ネルソン提督へのシンパシーか
ら名付けられたらしい。
いずれも美味しい前菜、パスタ、デザート&珈琲で1500
円はリーズナブル。
庭にイングリッシュローズが咲くという店は最大100人の
ゲストが可能だという。バラの季節にも来てみたい。
↑雛飾りの展示期間に入った新潟市。旧副知事公舎だっ
たというレストランの一角に和室が保存されている。
北洋漁業で財をなしたという田代家のおひな様が飾られて
いた。
海運、港湾、米で発展した新潟市は各所に往時の面影を
保存しようとする気運を感じる。
西大畑界隈には、會津八一終焉の地に建てられた北方
博物館の新潟分館、および旧日本吟行新潟支店長役宅
である美術館・砂丘館もあり、辺りは風致と歴史、文化が
結び付いた爽やかな一角になっている。
西日本の寒波 芸術のジャンルと時間要素。
間もなくバレンタインデー、私を哀れんで義理(義務)チョコ
を下さる方がまだいらっしゃって喜んでいる次第です。
さて寒波が日本の西南をいたぶり、所によって一日の降雪
が7,80センチもあり、明日も同じように降るという。
内陸とはいえ広島県などの話であり、鹿児島でも積もったと
報じられていた。
鹿児島で雪にはしゃぐ学童たちがとても楽しそうだった。
そういえば5年前、九州を訪ねた折、ふと入った佐世保の外
人バーで「ここで雪が降ろうもんなら朝からみなハイテンショ
ン、一日大騒ぎになる」と聞いた。
この度は佐世保も降ったのだろうか。
それに引き替え、本日の当地は良く陽が射した。問題の寒波
は明日からだという。
昼に近隣の水田を走ったが、日射しに強さが感じられ雲白く、
良く澄んだ青空が見られた。
明日一転して荒天になるとは信じられないが、予報通り変
わるに違いない。
変わると言えば、音楽では時として穏やかな音調が一瞬の
間の後、突然ティンパニーの連打と共に大音量の荒々しさに
変わるのを不自然とも思わず聴き留める。
日頃、不当とも思われる突然の不運や災害を経験している
ので、音楽の大暗転でも違和を感じず付いて行けるのだろう。
(また名曲はその変化に違和を感じさせないよう巧みに作ら
れているともいえる)
これらの突然性は文学にもあるが、絵画では難しい。
表現に時間軸が入りにくいので画面を分割するか、重複など
を交えて描かせざるを得ない。ダリはそれらに挑戦していたし、
現代の表現芸術には時間を意識させる作品も少なくないが、
突然の暗転などは危険を伴いかねない。
一方絵画は途方も無い静止時間が可能だ。
音楽でも突然の中断の試みはあり、それによって音の断面を
表出させたり、無音に意味を持たせる試みもある。だが中止を
別にしてそうそう長い静止は出来ない。
何十年何百年も場面を静止させたまま、込めた思いを訴えたり、
愛されることが出来るのはやはり絵画ならではだろう。
だがそれだけの意味や価値を作品に持たせるのは容易でない
ことは想像に難くなく、画家の苦労や悩みも分かる。
それでも芸術のジャンルごとに表現と価値の違いを考えなが
ら観たり聴いたりするのは楽しいことだ。
互いの本質的な相違は明瞭だが、創造性のほか私たちの日
常や経験と応答し合える点で共通しているのも確かであろう。
(ちょっとチンブンカンブンなことを書いたかもしれません)
チェコ・フィル・ストリング・カルテットの演奏会 おかわりをしたエスプレッソ。
午後、上越文会館でチェコ・フィル・ストリング・カルテットの
演奏会があり孫も入れて5人で聴きに行った。
「これが効きたい!アンコール“超名曲”ベスト20」とストレー
トに銘打った楽しいコンサートで、お子さん連れの方達が大
勢来場されていた。
前半はトルコ行進曲、 エリーゼのために、 トロイメライ、
乙女の祈り、剣の舞ほか10曲、後半は天国と地獄、ドナウ
川のさざ波などのほか、ミッシェル、A列車で行こう、など10
曲、アンコールにウイリアムテル序曲ほか2曲、計22曲も
演奏された。
おなじみのプログラムだったが、名オーケストラの主要な団
員による心込められたアンサンブルはとても楽しめた。
なかでもミッシェルのきめこまやかな和声と揺らめくような旋
律がおしゃれで、酔い心地へといざなわれた。
チェコ・フィルは先日亡くなられた関根日出男さんをして、チェ
コの音楽と文学へと導いたオーケストラ。
人の死には不思議な符合や因縁が潜むことがある。
予め買っていた切符だったが、先生の逝去との因果を感じな
いわけにはいかなかった。
さて聴き終えてみなで食事。デザートでバチバチと灯が点い
たケーキプレートが出てきて、私の誕生日の祝いということ。
4日後の前祝いらしかったが、突然の事でびっくりした。
ここのキンボのエスプレッソは美味しいうえ、びっくりしたので、
ついおかわりをしてしまった。
孫たちが朝日池の白鳥を見たい、というので明日、日の出前
の雁のねぐら立ちも見てみようと約束した。
クリスマスイブの夕 ジャボニズムの器。
時折のみぞれをまじえて雨が止まなかった本
日はクリスマスイブの日だった。
子供時代や若き日はともかく、今それは特別な
日ではなくなった。
年を取ると何故か特別ということが面倒に感じ
られ、同じであることが有り難くなる。
それどころか変えない事を維持することには、
努力も価値も存在し、成長さえ期待出来ると思
うようになった。
今夜は聖夜、多くの人が祈っているに違いない、
夜には風雨が収まりとても静かになった。
↑今夕刻のカフェの絵「午睡」(篠崎正喜氏作)。
女性が居眠りし、外で男性が飛行機のおもちゃ
を持ちガラスの毬をついて待っている。
↑食後に食べたケーキ(お世話になっている
キャラメルさんの品)。
↑使った器は1880年頃の英国はアダレイ社の
もの。
壊れそうなほど軟らかで、時代の跡も見られる。
この器の年代は先日観たゴッホやゴーギャンが
が懸命に制作した時代であり、ヨーロッパは浮世
絵などのジャポニズム文化がブームだった。
上記のカップ&ソーサーとケーキ皿のセットにも
梅の枝や巻物のようなものが描かれていて、日本
趣味が窺われる。
↑「ゴッホとゴーギャン展」で購入したゴッホの
「グラスに生けた花咲くアーモンドの木枝」の絵
はがき。
1888年3月、アルルに移って間もなくの作品。
アルルを「ここはまるで日本のようだ」と喜び、
自然の隅々に眼をやる日本人の生活と精神に
思いを馳せ、感嘆している。
当作品は大好きな日本を想いながら描いたも
のと考えられ、春の陽光と花に幸福感が漂う。
いよいよ今年の樹下美術館も明日一日を残す
だけになりました。
「ゴッホとゴーギャン展」から。
今年の閉館まであと5日、ゴッホとゴーギャン展を
観てから5日が経った。
去る18日に終了した同展の東京都美術館へ、15
日午後急いで行ってきた。
偉大な芸術家について書くのは、気が引けるがなに
がしかは書かなければならない。
↑展覧会カタログ表紙はゴッホの「ゴーギャンの椅子」。
去って行ったゴーギャンが残した椅子を敬意と
愛おしみを込めて描いている。
強い個性の二人は1880年代に南仏アルルで共
同生活を送っている。
冒険的な試みは、3ヶ月経ずして終わるが、議論
を重ねた日々は1世紀も過ごしたように感じるとゴ
ッホが述べている。
展覧会では、決定的な別れをする二人の互いへ
の敬意が作品をもって示されていて、お土産のポ
ストカードなども買って、ほっとため息をついて美
術館を後にした。
資金難に苦しみながら描き続けてた二人の絵画
は、しかし素晴らしい魅力を放つ。
暗い館内で観た南仏のまばゆさ、迫り来る人物画、
可憐なアーモンドの花の一挿し、それらに見られた
ゴッホの心の波と情熱は忘れ難い。
ゴーギャンはゴッホより詩的であり、力強い平面と
赤が心地良く脳裏に残った。
二人は逃れがたいキャンバスの二次元の上に如
何に三次元の世界を、あるいは異次元の物語を載
せるかで悩む。
しかし自然の外気とジャポニズムあるいは同時代
の人々の手法を手がかりに苦闘しついに成功した
のではないだろうか。
わけても浮世絵版画の潔い二次元性は、平面表
現として少なからぬヒントになっていたと思われる。
特筆すべきは二人の異国への強いあこがれであり、
ゴッホの日本に対するリスペクトは尋常でなく、同
一化を願うほどであり、ゴーギャンのそれは南国の
原始性なかんずくタヒチだった。
芸術家の探求にとって新鮮さと刺激、そして憧れは
どんなに貴重だったか、ことごとく知らされる一方、
何処へでも行けて何でも触れ得る現代の画家たち
は何に動機づけられ、熱中するのだろう、と考えさ
せられた。
↑二人の絵はがき。
上はゴッホ「泥炭船と二人の人物」で暗いがと
ても安定感があり、下のゴーギャン「ブドウの
収穫、人間の悲惨」は不思議でかつ魅力的な
作品。
(恥ずかしながら私の唯一の海外旅行は40年
前、ゴーギャンへの憧れによって、タヒチでした)
ゴッホと言えば「わだばゴッホになる」と述べた
とされる棟方志功が浮かぶ。
時代は異なるが、棟方はゴッホが憧れて止ま
なかった日本人のしかも版画家であり、運命的
な関係を感じる。
ゴッホは心を、棟方は眼を病んでいるが、時間
の位相は異なれ、ともに芸術家として成功して
いる。
二人に共通していることの一つに手紙がある。
ゴッホは、弟テオやゴーギャン、そして周囲に常
に詳細な手紙を書いている。
それは芸術や医学においても貴重な資料であ
ろう。
棟方も熱心に手紙を書き、上京後の赤貧生活に
於いても切手とハガキだけは必ず手許にあった、
という。
手紙、日記、研究、心の平衡、書くことには何らか
意義があり、次元は低いが拙ブログもなるべく続け
たいと願っている。
展覧会を熱心に勧めて下さった方に感謝していま
す。
午後の半日をゴッホとゴーギャン展の上野へ。
午後休診の木曜日、過日の上京で時間が足りず
見逃した「ゴッホとゴーギャン展」を見るため東京
都美術館へ行った。
本日遅くなったので行き帰りに撮った写真だけ揚
げさせて頂きました。
(カメラはキャノンパワーショットSX710HSでした)
↑長野駅にあった金沢医科大学の大きな紹介看板。
長野県には信州大学医学部があるが、他県の医大
の紹介に寛容なのは学問の県、長野だけの事があ
る。
より金沢に近い上越妙高駅にもあってしかるべきも
のだと思うが、宛にされていないのか残念。
↑昭和33年の上野駅開設75周年記念に設置さ
れた構内の彫刻「三相 智情意」像。
彫刻家、朝倉文夫の作品で氏の生誕が同じだった
ことなどから置かれたという。
数え切れないくらいこの像の脇を通ったはずだが、
本日初めてまじまじと観た。
強く大らかでバランスが良く、自由と希望の昭和の
気風を静かに放っていた。
先回、加齢のぼやきを書いたばかりだが、この像に
眼が行ったのは年を重ねた賜物かもしれない。
展覧会を見終わって歩いたお花見で賑わう通りのイ
ルミネーションがきれいだった。
アメ横の賑わい。アジア系の旅行者が半分はいるの
ではないだろうか、すっかり外国のようだ。それがまた
いい雰囲気になっていた。
東京駅八重洲口の100メートルはあろうかと
いう巨大なスクリーンに投影されているおとぎ
話のような映像の一部。
今月18日に終わる都美術館の展覧会は賑わ
っていて20分ほどの行列に並んだ。
ゴッホとゴーギャンは印象派→後期印象派の
大うずの時代にあって、劇的なまで命を削って
自己の絵を追求している。
特にゴッホにこそ憧れて止まなかった当時の
日本に来てもらいたかった。
そうすれば耳も切らず、ピストル自殺もせず、
どんなに幸せだったかと、無理を承知で空想
した。
後日展覧会のことを少し書いてみるつもりです。
素人の域を超えるお蕎麦 五智三重の塔に彫られた中国二十四孝。
ご近所の蕎麦打ちが上手な方から毎年逸品を頂戴
する。
注文が入るほどの腕前で、私たちも毎年申し込む。
今年はいつもよりやや太めにしたというが、さすがだ
った。
さて昨日土曜日午後、五智国分寺三重の塔を
再訪した。
前週に出かけたものの時間切れ日没になったた
め、今回塔に施された干支の彫刻の残りと第2
層にある中国二十四孝の彫刻を撮った。
二十四孝は儒教で説かれる二十四の孝行物語
であるが、塔には一方3作、合計12の彫刻が施
されている。
いずれの作品も涙ぐましいほど努力をして行わ
れる親孝行の説話の場面が彫られている。
遠目にははっきりしないが、撮ってみると高田の
名工石倉正義の彫刻は表情豊かで、木目を美し
く活かした繊細な彫りは秀逸。
以下に24話の中から幾つかを掲載してみた。
↑母に死なれた黄香(おうこう)は夏になると父の
枕を冷やし扇であおぎ、冬は布団に入って温めて
やる。
↑山中空腹の虎に出会った揚香(ようこう)は、自ら
の身を差し出して親を助けようとし、心打たれた虎は
引き返す。
↑貧しい郭巨(きょかく)に子が出来ると祖母は自分
の食事あたえてまで可愛がった。
これでは祖母は死んでしまう、子はまた作ればいい、
と言って泣く妻を説得すると、子を埋めてしまおうと穴
を掘る。
すると金の釜が出てきて夫婦は子を抱いて家に帰る。
↑舜の一家はひねくれ者や頑固者や怠け者ばかり
だったが、一生懸命働いて親孝行をした。
ある日田を耕しに行くと象が現れて手伝い、鳥が田の
草を取って助けてくれた。
これを聴いた天使は自らの位を舜に譲る。
↑江戸時代末期の版画家・歌川国芳の「二十四孝童子鑑」
から舜の親孝行(ウィキペティアより)。
さて私は知らなかった二十四孝にはほかに、魚が
食べたいという母のため氷った川に裸で身を伏せ、
氷を解かして魚を捕る話、蚊に悩まされる親を救う
ため、裸の体に酒をかけて蚊を集め、自ら血を吸
わせ親を守るなど、現実離れした孝行話が集めら
れている。
説話は中国はおろか儒学が盛んだった江戸期の
日本においても絵図とともに教材的に教えられた
ようだ。
国分寺三重の塔建立の江戸末期ではまだ一般に
馴染みの寓話だったと考えられるが、明治に入る
や文明開化と学問の人福澤諭吉は、例を挙げて道
理に合わないばかげた話と批判している。
二十四孝は極端だが、育て育てられた者同士の情
の通いは、支障を越えようとする根源を有している
こともまた事実であろう。
“良いお年を”の季節 素晴らしかったオーケストラアンサンブル金沢の上越公演。
12月の足が進む。
本日、在宅の回診で「先生も良いお年を」と言われた。
暖かな気持ちを感じながら、あと少し、今年も大禍なく
過ぎて、とかえって気持ちが引き締まる。
仕事が終わって慌てて上越文化会館へ向かった。
18:30からオーケストラアンサンブル金沢の公演がある。
1988年創設当時、日本初のプロによる室内オーケストラ
としていっそう金沢市と石川県の名を全国に知らしめた。
創設間もない頃一度聴いたことがあったが、当時より
団員数、音ともにスケールアップされたように写った。
1.歌劇「どろぼうかささぎ」序曲/ロッシーニ。
勇壮なマーチ風の序曲は左右の小太鼓の連打が本
日の開演をも高らかに告げる。
2.ピアノ協奏曲第26番ニ長調「戴冠式」/モーツア
ルト。
今日人気実力ともに日本を代表するピアニスト・菊池
洋子さんを迎えてのコンチェルト。
繋いでは離れ、離れては出会う両手、スケールを追っ
て鍵盤を走る指が流麗に音を紡ぎ、フィナーレまで耳
を捉えて放さない。
2’アンコール ワルツ/ブラームス
赤いドレスをまとったすらりとして美しい菊池さんは本
当に優雅で滑らか、ステージにふわりとワルツを浮遊
させる見事な演奏だった。
3.歌劇「ウイリアム・テル」序曲/ロッシーニ
チェロのソロから6人のチェロパートへ、低音部が朝を
告げて始まる序曲は、嵐、牧歌を経て勇壮なギャロッ
プへと高らかに入って行く。
各部は映画、ドラマ、アニメ、コマーシャルなどを通し
てさまざまに耳にしていたが叙事詩的序曲を全て聴く
のは初めてであり、とても幸運だった。
4.交響曲第36番ハ長調「リンツ」K425/モーツアルト
結婚の報告で故郷ザルツブルグに滞在の帰路、リンツ
の伯爵家の歓待に応え、わずか5,6日で仕上げたとい
う交響曲。
金の波銀の波、金の渦銀の渦、寄せては返す音の芳
醇さに圧倒される。
ビロードの音と称されるオーケストラアンサンブル金沢。
年の終わりにふさわしい豊かな音楽で心満たされた。
40人もの演奏家が来越して披露した素晴らしい演奏、
もう少しお客様が入っていればと、いささかの残念を禁
じ得ない。
切符を世話して下さったKご夫妻、本当に有り難うござ
いました。
19日の上京 展覧会 食事。
昨日11月19日土曜日は午後早く上京した。
20年ほど続けている二人の級友と夫婦で食事
をするためだった。
着いてすぐ国立新美術館の「ダリ展」に行った。
それが混雑していて30分待ちの行列だった。
幸い隣で「日展洋画部門」が開催されていたので
そちらに回った。
天下に名をとどろかす日展だが、実際入場する
のは初めて。
大きな作品が何室もある広大な展示場を埋め尽く
している。
一つの壁面に5,6点掛かっているが、妻と気に
入ったものを指さしながら回った。
以下はショップで求めた出品作品のポストカード
から。
比較的親しみ易い作品が多かったが膨大な大作
に少々疲れて、カフェで一休みした。
夕刻の級友夫妻ら8人での会食は異なる味わい
の白ワイン二種で始まり、赤は野うづらのパイ包
み焼きに登場、一層料理を引き立てた。
チーズは出来るだけ匂いのきついものを5,6種
選んで、貴腐ワインで味わったが、どうしても駄目
なものが一つあった。
1年8ヶ月ぶりの酒なので体が驚かないようにゆ
っくり味わった。
セレクションはいつものようにKがソムリエとやりと
りしてリーズナブルかつ変化を楽しめるように決め
てくれる。
私の長男が以前からKに憧れていて、今回初め
て夫婦で特別参加した。
幾分緊張の面持ちだったが、終わって私たちの
ことを羨ましいと言ってくれた。
年取って胃もアルコール認容力も半減する。
それでも食べ物の事、ビートルズ来日の日の事、
志賀直哉、太宰治、シャルル・アズナブール、エ
ディット・ピアフ、互いの病、京都のことなどが語
られ、長男はインドでの失敗談を話した。
当日逸したダリ展は翌日20午前に変更する事に
した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2016年11月20日(日曜日)
昨日は国立新美術館のダリ展が混んでいたため、隣
の日展洋画部門を観たことを書かせて頂いた。
そこでダリ展の方を20日日曜日の午前、観に行った。
幸いなことに行列せずに済んだが、館内は混んでい
て4重5重の列にまぎれて観た。
同時代の一般的な観点から出発し、激動の時代
に鋭敏に反応しながら変化していく仕事の流れが
よく分かる。
その結果作品は多岐で、穏やかな風景画、人物
への超接近、精神分析的な手法、大スペクタクル、
量子力学的な視点、商業デザイン、舞台、映像、
そして時代の寵児として自身が商品にまでなる。
ベラスケス、グレコ、ゴヤ、ピカソ、ミロ、などなどス
ペインは多くの画家を輩出しているが、個性的であ
る。
中でダリの乾燥した空と大地の透明な背景はカタル
ーニャの人ならではのものなのか。
これによって主要な部分が一層迫り出る。
だが注意深くしていないと、遠く小さく、あるいはすぐ
間近にテーマが補完されたり隠されているなど、一種
だまし絵の如く意図されていることもある。
意味と視点は重要だが、込められた記号や寓意を見
つけたり考える楽しさは一種エンターテイメントとして
も独特の魅力になっている。
難解としか言いようがないものも結構あったが、それ
らもダリ的と言えばいいのかもしれず、幸福な芸術家
ではないかと思った。
入館者の多くが若い人だったのも印象的だった。
展覧会カタログ裏表紙のサルバトール・ダリ。
ぎょろりとした目とカイゼルひげ、見た目がまず
「芸術的」で、奇行やエピソードにこと欠かなかっ
た人は、実はとても繊細だったという。
見終えてカフェのテラス席で飲み物を飲んでいると
下にあるケヤキ落ち葉の道を思い思いに行き交う人
が見えて心なごんだ。
展覧会を後にして、過日樹下美術館のコンサートで素晴
らしい演奏をされたチェリストの竹花加奈子さんがセット
して下さった昼食をご一緒した。
虎ノ門にある超高層ビルは51Fの広々としたレストランだっ
た。
レストランのアプローチにあった巻いた板と鋼鉄の網
による椅子のオブジェはちゃんと座れる。
スペインで充実した音楽留学をされている竹花さん
の世界は豊かで、2時間の昼食を楽しませて頂いた。
午前はダリ、昼食は竹花さん、スペインゆかりの昼で
した。
51階はさすがに高く、自分が知っている都心部は
すっかり様変わりしたが、まだ変わるのだろうか。
現在東京で建築中の建物はすべてオリンピックまでに
終わらせなければならない、という。
北陸新幹線のお陰で上京は便利になり、行きに寄った
西口の駅駐車場はこの度も満車だった。
二日にわたり長くなりました。
- 仏像、社寺、二十三夜塔、庚申塔
- 樹下だより
- 齋藤三郎(陶齋)
- 倉石隆
- 小山作之助・夏は来ぬ
- 聴老(お年寄り&昔の話)
- 医療・保健・福祉・新型コロナウイルス
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- 食・飲・茶・器
- 拙(歌、句、文)
- こども
- 館長の作品。
- 暑かった本日、外来でお天気の話など。
- ゑしんの里茶会が終わった。
- 言い訳出来ないお茶の点前 懐かしい風 となりのトトロ。
- 暑い昼、会場の「ゑしんの里記念館」へ下見に。
- 穂高のオアシス「岳沢(だけさわ)小屋」の姪 山が好きなS氏 宮城県を経由した「お乳盲腸」。
- 野イチゴの赤い実 「ゑしんの里茶会」。
- 本日の蝶とカエルと雲そしてピアノ。
- 「お乳盲腸」とは何だったのか。
- 夏らしくなってきました。
- 36度にも届く暑さ アゲハと庭と薄茶で落ち着く。
- 保育園時代の記憶その1、巡幸列車のお迎え。
- 私の幼少 自他の個性が気になる。
- 糸魚川のゴルフ お孫さんの宿題から始まった花。
- 小津安二郎監督映画「麦秋」を観て。
- 開館の日 世界にまだまだある欠陥。
- 小津安二郎監督映画「晩春」を観て。
- 「名探偵ポアロ」のアール・デコ。
- フカミ美術主催、須坂市のお茶会へ。
- 5月、月末の空と時 独居老人の緊急入院。
- BSNテレビ「なじラテ」さんの取材。
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