五重塔を愛読した母は板倉の絵などを残して逝きました。
この絵はかって母がショートステイでお世話になったいたくら桜園の部屋からの眺めです。カレンダーの裏に描かれていますが、なんとも愛らしくて気に入っていました。
去る8月10日午前8時55分、その母が自宅で永眠致しました。享年96才、私たちに見守られた最後はあっけなくかつ安らかでした。
前後しますが、7月末から反応が低下し、8月2日に脳梗塞を併発。波はありましたが昏睡を続けていました。前回のノートに月を書きました9日深夜、いっときうっすらと眼を開けました。分かる?と問うと虚空を見る目に涙が浮びました。
別れが告げられた瞬間だったかもしれません。 その後また深い眠りに戻り10日の朝を迎えました。
かって板倉区「ゑしんの里」を訪ねた時の写真を遺影に用いました。
五重塔(幸田露伴著・岩波文庫)
幼少に台風で失った職人の父を懐かしむように、座右に置き愛読していました。
色々お付き合い頂いた皆様、ご心配くださった方々、(株)リボーンのケアマネさん、ヘルパーの皆さん、訪問入浴のスタッフさん、真に有り難うございました。
老いた母と暮らせたことを感謝しています。
草取り 草むしり 月を観る
今日は一段と気温が上がった。母は昏睡を続けているが幸い肺炎を免れている。夕刻の仕事を終えると庭仕事に樹下美術館へ行った。
妻が先に来ていて、水を遣ったり草を取ったりしている。バトンタッチという顔は汗まみれで、髪や泥や葉っぱの切れ端がくっ付いていた。
さて、草取りは一本でも余計に取らずには居られない。そう言えば病院時代の高知の同僚は草取りといわずに草むしりと言ってたな、と思い出した。
一時間するかしないかで日が落ちかかり月が出ていた。上弦のうちは早い時間が見頃だという。吉田拓郎の旅の宿の二人は明るみの残るうちから飲んでいたのか。またその方が歌の風情も上がりそうだ。
草取り終えて手なぐさみにと地面にポケットカメラを置いて自分を撮ってみた。
雲の一日
母のケアや、若者、子供の来訪で忙しかったが、雲が楽しい一日だった。
たまたま撮った雲がサッカーの最中で、ゴール前のきわどい場面が写っていた。
鳥がアシストしたボールを馬がヘディング。
ワニのフォローも猛烈だ。
大男の雲キーパーはセーブできたのか?
湖国のお菓子 埋もれ木
妻の知人から頂いた彦根のお菓子でお茶を服した。お菓子の御銘は「埋もれ木」。いと重(いとじゅう)菓舗の御製と聞いた。
お茶碗はせっかくの夏なので昔求めた加藤土師萌(はじめ)の平茶碗で頂いた。
手芒豆(てぼうまめ・白インゲン)の飴を求肥(ぎゅうひ)で包み、和三盆(わさんぼん)糖と抹茶でまぶしたというお菓子、埋もれ木。
もっちりほろりの甘味の後、お茶がさわやかだった。
埋もれ木は徳川幕府大老の大茶人・井伊直弼が若年を過ごした館・埋れ木の舎から採られた銘ということだった。
彦根はとてもいい町らしい。その昔、息子が卒業旅行で友人達と彦根などを訪ねると聞いたことがあった。えっ、彦根、地味だなあと思った。しかし当時私が知らないだけで、若者達の選択は良かったのだ。
湖国・滋賀県は籠もり身の私にとって憧れの場所の一つ。秋田県、岩手県、三重県、山口、広島、佐賀、、、そう言えば日本中どの県もみな行ってみたい。
世の中をよそに見つつも埋もれ木の 埋もれておらむ心なき身は 井伊直弼
心なき身にもあはれは知られけり 鴫立つ沢の秋の夕暮れ 西行法師
最後は夏侘び?となってしまいました。
樹下の花 夏を彩る
花数少なくなる夏の庭。いま濃い緑の中でちゃんと目だって咲いているのは、花の心得通りだ。
キキョウ
暑さ気にせずいつも賑やか

ムクゲ
沢山の蕾を付けて秋に向かってスタートした。

カノコユリ
最も遅く咲く百合の可憐。

カシワバアジサイ
真っ白に開化して二ヶ月、グラデーションを見せながらまだ粘る。
海水浴日和 頑張る鵜の浜温泉
気温は30度を超えたが、からっと晴れた。今頃のこんな日は海水浴場が賑わう。
近くの鵜の浜海水浴場の駐車場には県外の車がずらりと並んでいた。温泉ホテルにも沢山車が入っていて地元民としては嬉しい。
潮風の浜辺は楽しい叫び声でいっぱいだった。
鵜の浜温泉は1956年の噴出ということ、帝国石油のガス試掘中の出来事だった。中学生だったらしい私は公開されたばかりの湯を見に行った。国道の海側の砂地に蛇口がしつらえられていた。湯がほとばしり出ていてわくわくした。
以来半世紀余、鵜の浜温泉の皆さんは本当に頑張っている。
色絵黄蜀葵(とろろあおい)文鉢 陶齋初期の欧風
父の蒐集をつなげて齋藤三郎を集め、2007年6月に樹下美術館へ到達しました。美術館を始めて良かったことの一つは、新たな作品や古い時代の作品に出会えるようになったことです。
齋藤三郎は戦前、近藤悠三と富本憲吉への師事を経て昭和23年高田に登り窯を築くと、本格的な作陶活動を始めました。
先月中旬、珍しい色絵黄蜀葵(いろえとろろあおい)文鉢が樹下美術館へ巡ってきました。箱書きにある“黄蜀葵”は読めませんでした。ネットで打ってびっくり、トロロアオイと読むのですね。
裏面の署名わきに初窯と記されていましたので、まさにS23年高田における開窯第1号作品群に相当します。
![]() 色絵黄蜀葵鉢 |
![]() 色絵柚子文鉢の裏面 |
筆の穂先を生かした描画と異なり、一様な輪郭線で描かれた黄色の花に細い葉が配されています。九谷風かつデザイン性の強い当作品に一種欧風の印象を受けます。
欧風なものとして同時代の色絵柚子文鉢の裏面があります。色とりどりの美しい三角模様が輪として楽しく描かれ、大変エキゾチックです。
これらヨーロッパ風な紋様は、師である富本憲吉が渡英までして心酔したイギリス人ウイリア・ムモリスの影響が陶齋にも及んでいるのではないかと考えられます。モリスは19世紀のアーツアンドクラフト運動を牽引するモダンデザインの第一人者として旺盛な活動をしました。
黄蜀葵の器は残念ながら顔料の剥落がかなり見られます。同じ初窯作品でも以下の鉄絵や染附(そめつけ)は見事に仕上がっています。黄蜀葵は、二度焼きを必要とする色絵磁器焼成の試行錯誤を物語る貴重な資料としても大切にしたいと思っています。
![]() 鉄絵葉文鉢 |
![]() 染附繪変わり皿 |
※ちなみ黄蜀葵はオクラと近い植物で夏の一日花。和紙をすく時に繊維のつなぎとして用いられてきた、と言うことです。
人の行き交い 明日から8月 夏の思い出
夏がくれば思い出す はるかな樹下美術館
緑の中にうかびくる 館つつまし野の小径
桔梗と木槿の花が咲いている
夢見て咲いている木もれ陽の庭
野バラの色にたそがれるはるかな樹下美術館
(名曲夏の思い出を拙い替え歌にしました。夏の思い出は、わが新潟県高田市・現上越市がお生まれという江間章子さんの作詞です。江間章子さんゴメンナサイ)
明日はもう8月。本日新潟市からお見えのお客様はこれから長野県へ向かうと仰いました。昨日は長野市からと、人の行き交う夏本番。晴れれば雲高く、どこかに秋の気配も感じられます。
スタッフによれば7月のお客様は昨年のちょうど倍だったそうです。皆様には心から感謝致してます。アッシュさん、ジャックランドさんご紹介あり難うございました。
雨がようやく止んで
ひどい水害をもたらして数日来の雨は止んだ。滅多に水につからない上越市大潟区の田畑も水びたしだった。
新潟県では中越地方を中心に、上越市でも吉川区や保倉川水系などで甚大な水害となった。今年は特に自然の猛威を知らされる。
午前、往診帰りの田畑 大潟区里鵜島

ようやく雨が上がり、鳥たちが活発になった

次第に夏らしい空に
午後から晴れてきて、樹下美術館の裏手の田んぼではツバメが休みなくヒナに餌を運んでいた。豪雨続きで親子ともお腹が空いていたにちがいない。
夕刻近く、長野県から可愛い赤ちゃんをベビーカーに乗せた若いご夫婦がいらしてた。上越市へ海を見に来られたということ。たまたま食事をした店に置かれたジャックランドで当館を知り、寄ってくださったと。
可愛いお嬢ちゃまが一緒のナイスファミリー
またいらしてください、ありがとうございました。
雪は降ってない
隣室から母の呼ぶ声がした。畳の部屋で大きな卓を前に母が座っている。
卓上に白い紙が置かれ、母は黙って筆を執っていた。
庭にに囲まれた部屋の戸は開け放たれて緑の光の中に母の影が浮かぶ。
何か用、と訊いたが返事はなかった。
黙っているなんてあり得ない、どうしたの変だよ、と不安にかられて私は言う。
問いは無視され母の姿がだんだんと薄くなっていく。
私は人を呼びに隣室へ飛び出したが、すぐに引き返した。
そこに人の姿はなく卓上に数珠が一つ置かれていた。
いたたまれずに庭に出ると曇り空が木々を見下ろしていた。
そう言えば父も妹も近しい者たちもみな急に消えた。
いずれも別離というより失踪ではないのか。
母もまた訳と行方を探さなければならない。
さて、以上は数日前の明け方に見た夢です。
7月3日に外出をした母。しかしこのところ反応が落ち、点滴一本で何も食べず、はー、と言っては目覚めてまた眠るようになりました。昨日、隣の部屋の窓を開けると少しだけ表が見えました。
「雪、降ってないの」
「大丈夫降ってない」
聞いた母が安心したようにまた目をつむりました。
佐賀県古枝村の南国から越後に一人来て、ある種よそ者として生きた65年。短い言葉に母の心情がにじんでいました。
幸せな若夫婦 渋柿浜の花火
昨夜は直江津祇園祭の花火大会。 花火大好きという妻と海へ見に行った。少しでも会場近くとて大潟区渋柿浜の漁港へ。
花火は正面に上がった。ぱーっと開いて随分経ってからドーンと聞こえる。車のエンジンを切り両窓を開けると気持ちのいい風が通る。ちょうど一時間の花火も良かったが、窓からお隣の車の若いご夫婦の声がよく聞こえて楽しかった。
ああダメダメダメ、間に合わないよ。押してから2,5秒でガシャとシャッターが切れるんだから。
シュルシュルと上がったら見当つけてシャッター押すの、遅い遅い。
画面見てたら遅くなるんだから、目でも花火を見ながら押すの、ああダメダメダメ。
ご主人はケータイの写真に不慣れらしい。小さなお子さんは眠ってしまったようだ。おうちでは何かと奥さんがリードされるのだろう、いい感じのご夫婦だった。
大好きと言っていたのに花火が上がって間もなく妻はすやすやと眠ってしまった。
倉石隆のカット絵 知足美術館さん
この前の日曜日(24日)に新潟市の知足美術館・副館長の佐藤和正さんが樹下美術館を訪ねてくださった。
今年2月中旬からおよそ40日にわたって拙ボタニカルアート展が知足美術館で催された。館長の(株)キタック社長・中山輝也さん、佐藤さん、ほか社員の方々にとてもお世話になった。
その佐藤さんがこのたび当館常設展示作家・倉石隆氏のスクラッチボード作品を持参してくださった。1980年代を中心に倉石氏はある新聞の文芸欄で小説やショートショートに挿絵・カットの筆を執られていた。
お持ちいただいた貴重な原画5作品は小品ながら心こもり、物語性十分で胸動かされる。今後は展示させて頂き、図録にも載せたい。
※スクラッチボード:白色の厚地の上に黒がカバーされている絵画材料。黒い表面を鉄筆や刃物などを操作して白地とのコントラストを得て制作する。
※妙高市ご出身の佐藤和正さんは小生の中高の少し後輩で、亡きお兄様と小生は同級だった。このたびは大変有り難うございました。
潟町にチョウトンボ 樹下美術館にはアマガエル
今日の上越市は涼しく、晴れ間の見える昼過ぎでも28度前後だった。その晴れの庭にチョウトンボ。池の周囲に多く見かけるが庭で見るのは珍しい。二羽で来て15分くらい飛ぶとそれぞれ休み、一度はお洒落なカサブランカに止まった。
涼しくとも美術館の庭はぐったりしている花がある。予報は降りだったが外れもあろう、と夕刻に撒水を始めた。すると間もなくざーと夕立が来て、間髪を入れずあちこちでアマガエルが鳴き出した。
昨日は鉱物今日は小動物、なんでも少しずつだ。
潟町の自宅の庭にチョウトンボ トクサでうっとりしている |
カサブランカに止まるなんて ![]() 田んぼを見下ろすデッキにも |
糸魚川 ジオの静謐は大いなる魅力
昨日に続いて曇り空のまま気温も上がらない一日。涼しいうちに、ということで午後糸魚川へ行った。
目的地はフォッサマグナミュージアムと谷村美術館。フォッサマグナミュージアムは数回見ているが、世界ジオパーク認定後は初めて。谷村美術館も何度も訪ねていたが、数年前に閉鎖された。しかし幸運なことに再開されたと聞いて本当に嬉しかった。
最初に訪ねたのはフォッサマグナミュージアム。隕石からのスタートで、魅力的な化石、宝石、貴石、資源・地質資料、ナウマン博士の事、など興味尽きなかった。
![]() 展示スペースの全景 ![]() キラキラした巨大なアンモナイト ![]() 虹彩を放つ斜長岩(スペクトロライト) ![]() オパールの原石 ![]() ヒスイは涼しい ![]() |
![]() 重い鉄隕石、妻は片手で持てなかった ![]() くっきりした紋様は人気がある ![]() 小生の好きなラピスラズリ- ![]() 糸魚川一帯に分布する珊瑚化石 ![]() 直角化石も糸魚川産
|
2009年8月22日、ユネスコが関係する世界ジオパークネットワーク(GGN)の会議で糸魚川は洞爺湖有珠山、島原半島とともに世界認定された。
地質学的な世界遺産ともいうべき認定は貴重だ。恥ずかしながら私も糸魚川・青海一帯が好きで30年来、思いついては訪ねた。清々した石灰岩の山々、おびただしい珊瑚化石の露頭、多様な石ころの浜辺は見て触れて格別だった。
今日訪ねてあらためて印象的な事柄に出会った。
●糸魚川ヒスイの発見に関する不可解な経緯、なかでも相馬御風氏の謎めいた関わり。
●フォッサマグナを提唱したナウマン博士と森鴎外のドイツに於ける日本論争。
●ショップで化石や鉱物標本の販売が中止された。世界認定以後、資源保護の意識表明。
●認定以後、お客さんの数が違う印象(以前は自分一人のことも多かった→今日はかなり賑やか!)。
時間が無くなり谷村美術館は今度にした。それにしても再開は嬉しい。ジオパーク、御風邸、などとともに新潟県の西地域が文化でひき締まる印象を受ける。
糸魚川は他の二カ所のジオパークより格段にスケールが大きいと思う。一帯の自然は可能性に満ちている。こじんまりと音頭や看板から始まるのは仕方ない。今後何十年かかってもいい、着実に世界認定に恥じない質で充実発展することを切に期待したい。
何億年のジオの静謐、大いなる魅力、嬉しいことに博物館は撮影OKだった。
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- 新たな倉石隆作品「節句」。
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- 大雪のなか髙田大手町6「浮遊のいえ」に一泊した。
- 道路に出てくる野鳥。
- 早起きは何文の徳になったのか ザクロとハクガン。
- 長くなりそうな本物の大寒。
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