文化・美術・音楽・本・映画・スポーツ・テレビ
芝居の同窓会
今夕10年振りとなるある同窓会に出席しました。参加者は22才から70すぎの方まで大変多様です。ちょうど10年前、旧大潟町の素人劇団「潮騒」で「人魚塚」を公演した仲間です。10年たつと6年生だった子役さんはもう社会人になっていました。
11場の人魚塚は大潟町と頸城村で計3回公演され、いずれも大入りでした。経費も乏しく衣装・舞台みな手作り。仕事や学業の傍ら多くの方が役者、ナレーター、大小道具、衣装・メーク、照明、音響に参加されました。さらに本読みから最後の公演までの二年間、作家故石堂秀夫氏や舞台装置と詩人の大瀧満氏および高校演劇の指導者満田誠二氏には大変お世話になりました。そして暗転のなんたるかも知らずに台本を書き演出をしたのは不肖私でした。
何でもそうでしょうが、稽古から公演まで必死の演劇は素人であっても文字通り死ぬか、と思うほど消耗します。しかしその後10年、かつての努力と成果は、それぞれの人生に何かしら貴重な心の種として生き続けたように思われます。今夜は、当時の座長を中心に同窓会であり、叶うならば再び公演を、という会になりました。もしかしたら新たな芝居に向けてスタートしたのかもしれません。
医業の傍ら美術館を営むなど私の不遜は如何ともし難く思っています。患者さんと美術館を大切にして、さらに地域の皆さんと新たな必死が始まるのでしょうか。緊張感に包まれて何か「もののふ」めいた心境で帰路につきました。10年前の懐かしい写真を掲載しました。
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| 希望館の公演 | 人魚塚/おなみの告白 |
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| 磯吉とおなみ | 嘆くおみよと母 |
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| 捕り物 | 子役さんたち |
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| 照明・音響・スクリプターさん | 今夜の同窓会 |
先週末の展覧会
先週末、大学時代の三人の同級生で夫婦して東京に集まりました。毎年続けている年一回の会合です。今回は忙しくも楽しい美術館巡りが出来ました。遅ればせながらのレポートです。
4日土曜日、展覧会初日の訪問でした。夕刻、混雑が緩和されつつあるタイミングで運の良い入館ができました。ポートレートに絞ったピカソ展は希ということです。そのためでしょうか、展示の流れに従って観るうちに、偉大なピカソの魂が自然と心の奥深く染み込むのを覚えました。変化するテーマ・方法・色彩、そして高度な線。主題を絞り、かつすべての時代を網羅した試みはわかりやすさの点でも極めて貴重だと思いました。
ところでリーフレットにもなっている「自画像」の顔は能面のようです。そして面を付けている無言の人物こそがピカソ自身にも見えました。苦難の青の時代、重い謎を残した印象的な絵でした。
最後に、昨秋の博物館大会でお目に掛かった支配人から美術館のお茶室や多目的ホールなど素晴らしい施設全体をご案内いただきました。ご多忙の中、本当に有り難うございました。メセナに対するサントリー(株)のたゆまぬ取り組みに、さらに敬意が深まりました。
○フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち/ 東京都美術館
5日日曜、午前9時に訪ねました。17世紀に特異な光を放ったフェルメールはじめオランダ・デルフトの画家たち。身近な風景と人々を描いた作品には共通の静けさと丁寧さが認められました。比較的小さな画面の主人公たちは、衣擦れの音とともに私たちの前に現れたり、再び絵の中に戻ったりを繰り返す魔法が掛けられているようでした。わずかな厚みに閉じ込められ、運動も許されない絵画が時空を越えて生き続けるとは。絵画芸術の深奥を見る思いでした。
前日、ホテルのテレビで告知を見て訪問を決めました。5日午後、皆と別れた後、新幹線時刻までの幸運な1時間半でした。
本阿弥光悦作「時雨」「乙御前」、さらに桃山期の志野「卯の花牆(うのはながき)」、そして同期の瀬戸黒「大原女」。書物か夢でしか見られないと思っていた茶碗をそろってこの目で見ることが出来ました。
展覧された何気ない小さな織部の香合や漆黒の薄茶器などが素晴らしく見えるのも、お茶の世界ならではの不思議かもしれません。茶人・如春庵(にょしゅんあん)を高く評価した先達の茶人・益田鈍翁(どんのう)は三井物産の創立者で新潟県佐渡の生まれでしたね。
○このほかに旧岩崎邸庭園と鳩山会館を見ました。湯島天神近くの旧岩崎邸は、驚いたことに明治まで越後高田藩、榊原家の江戸屋敷だったそうです。当時の広さは現在の2倍もあったようで、場所も一等地です。普段くわしくは知らなかった我らの殿様が、急に誇らしく思われました。書物「逝きし世の面影」に、江戸は大名たちの広大な屋敷によって市中全体が公園のようでもあったと書かれています。戦国の世を終えた武将、武士たちは、争いに代えて武芸や学問とともに庭造りにも励む(励まされた?)ようになったということです。両邸では風と共に去りぬなどハリウッド映画のシーンが、デジャヴのように舞っていました。
○忘れ物
4日深夜に訪れた初めてのシガーバー。こんな日の最後は葉巻、というKの案内でした。彼の選んだハバナの葉巻にボーイさんが丁寧に火を点けてくれます。普段はだれも喫煙しませんが、皆で一本の葉巻を一通り味わいました。
「篠崎正喜さんの個展」のお知らせ
樹下美術館カフェに架かる午睡(ひるね)の作者篠崎正喜さんが東京銀座で個展をされます。
9月1日(月)から6日(土)です。お母様を介護されながら生まれた美しい作品が並ぶことと思われます。
砂のお城
蒸し暑い日が続きます。このところ週末になると、夕方の海岸を散歩したり水田を見に行ったりしてリフレッシュしています。一昨日の海岸でなつかしい砂のお城に出会いました。木切れのあしらいからたぶん子どもたちが作ったものでしょう。波打ちぎわなのに、夕方までちゃんと残っていて少々感動しました。崩さないように波も気遣っているようで微笑ましかったです。
柏崎・二つの展覧会
去る15日、日曜午後、柏崎市内の展覧会を二つ回りました。
最初は柏崎市立博物館の「植物写真・スケッチ展」です。
筆者も植物画を描きますので、市民の皆様が多様に描かれた100点を越える作品を楽しみ、そして学ばせて頂きました。
次いで民間の文化施設・游文舎(ゆうぶんしゃ)のギャラリーへ菅創吉展を見に行きました。游文舎は市内の医師が篤志で場所を提供し、市民有志が運営している「文学と美術のライブラリー」です。地震によって壊滅寸前だった市内二カ所の貴重な個人文庫が游文舎の二階へと救出されて一般に公開されるよになりました。
菅創吉(すがそうきち・1905-1982)の抽象作品が展示された場内には、もてなしの雰囲気が漂っていてとても心地よい興奮を覚えました。作品提供は小田原の「すどう美術館」。幸運にも会場で館長の須藤一郎さんにお会いしました。サラリーマンだった氏は人生半ばで偶然に菅創吉の作品と出会って美術に目覚め、現代美術のコレクターとなられたそうです。後に自宅を開放してギャラリーに、後に銀座、さらに小田原へと展示拠点を移されています。一方、現代美術を中心にイベントプランナー、若い画家たちのチャンスメーカーとしても活躍中です。氏は抽象画の楽しさと良い絵を飾る幸福を熱く語られました。
あれから間もなく一年、柏崎市は懸命な復興努力によって活気を取り戻しつつあり、伝統の閻魔市も盛り上がっていると聞きました。
柏崎市立博物館・学芸の佐藤俊男さん、菅創吉展を企画された越後タイムスの編集発行人・柴野毅実さん、游文舎・霜田文子さん、みなさま有り難うございました。
- 菅創吉展:游文舎/電話0257-35-6881/6月14日(土)~6月29日(日)
- 植物写真・スケッチ展:柏崎市立博物館/電話0257-22-0567/ 6月8日(日)~22日(日)
柏崎市立博物館
植物写真・スケッチ展場内
游文舎
菅創吉「玄」
菅創吉「JOY」
東京芸術大学卒業記念・山下徳子SPRINGコンサート
去る4月20日日曜日の夕刻、若く美しきソプラノ声楽家山下徳子さんのコンサートが大潟区コミュニティプラザでありました。今春東京芸術大學を卒業された山下さんは新装なったホールで同期のピアニスト辻田祐希さん、ヴァイオリニスト千葉さくらさんとともに立たれ、超満員のお客さんを感動させました。
私が好きな「ジャンニ・スキッキ~私のお父さん」は心に染みました。またフランス語による「きらきら星変奏曲」では最高音域の見事な発声でホールを振るわせ、素晴らしかったです。
ところで演奏会で特筆すべきは、企画運営で大潟区ジュニアリーダークラブのOBたちが大きな役割を担っていた点ではないでしょうか。同クラブは子ども会の延長線上にあり、小学校高学年から中高生までの活動組織です。演奏者山下さんご自身もかってクラブに所属し活動されたそうです。良き助言者たちのもと、若者たちの脈々たる活動が生きて実を結んでいることはとても意義があると思いました。巣立つ者、残る者、それぞれ人を育てる環境こそ真の地域力にちがいありません。山下徳子さん、大潟区ジュニアリーダークラブのみなさんにもう一度拍手です。
仙台で高野長英の絵に出会う
先週末、身内の法要で仙台に出かけました。13日午後に仙台市博物館を訪ね、伊達家の文書・武具、支倉常長などの資料を見ました。そのおり館内の片隅で仙台支藩水沢出身の高野長英の絵を見つけました。渡辺崋山らとの「蛮社の獄」(天保10年・1839年)で入牢4年余。さらに脱獄後6年余りの苛烈な逃避行の開国論者・医師長英。事件以前の作でしょうか、なんとも愛くるしい目をした猫の絵でした。館員のお許しを得て撮影させて頂きました。
ところで長英は脱獄した最初の年に群馬県から清水峠を越えて新潟県に入ります。塩沢、松代などを経由、夏に直江津今町(現上越市)へ逃れました。そこで高名な和算家小林百哺の助けを借りて大肝煎(おおきもいり)・福永七兵衛の家にかくまわれます。前後して幕府の飛脚が到来し長英の手配書と人相書が藩下に配布されました。一帯はにわかに緊迫します。たたみかけるように早飛脚が再来し、携えた書面には「高田在杉田玄作と申す医生有之、兼而お尋ねの高野長英と別懇の由如何、厳重取調可申事」とありました。
長英の立ち回り先として名ざしされた玄作とは文政元年(1818年)生まれの筆者の曾々祖父です。玄作は長崎と江戸で蘭学を学び当地・高田藩主榊原政敬(まさたか)より証を与えられた医師でした。長英と面識があった可能性があり、長英が訳したオランダの産科書「産科提要」を筆写し、所有していたなどから強い嫌疑がかかったと考えられます。数日間入牢のうえ厳しい取り調べを経て恩師の援護もあり玄作は釈放されました。一方長英はその後密かに舟で出雲崎へと逃れます。以後、捕らえられて亡くなるまでの6年間、さらに厳しい逃避行が続くことになります。
ところで長英が養子として入った高野家は上越市・春日山城から米沢に移封された上杉家に仕えた武将の家柄であり、川中島の戦いでは謙信のもとで武勲を立てた名家ということです。またこのたび博物館の庭でかつて仙台に学んだ魯迅の胸像を見ました。魯迅は上越市出身の第3回芥川賞作家・小田獄夫の重要な研究対象です。ヒガンザクラ満開の仙台で長英、謙信、魯迅、小田、それに不肖筆者の祖先などわが上越市に縁ある先人たちと眼と心の出会いができて、胸いっぱいでした。
ちなみに玄作の二女トヨは「夏は来ぬ」の作曲者小山作之助の母です。上越市大潟区にある作之助の墓は立派ですが、玄作のは人がつまずくほど小さなものです。
(参照:「長英逃亡」吉村昭著 毎日新聞社1997年7月5日発行、「大潟町史」大潟町 昭和63年5月30日発行)
仙台のヒガンザクラ
高野長英の絵
魯迅胸像
長英逃亡
太田先生、有り難うございました
去る3月15日午後、上越教育大学で今期をもって退官される太田將勝教授(東洋芸術史,美術教育学,美術館教育)の盛大な最終講義を聴講しました。
講義では、ご自分の道程とその過程で影響を受けた主要な美術評論家について著書を示して概説されました。小生には難解な部分もありましたが最後に「争わないこと、比べないこと」と述べられ、美しい孔雀明王のスライドで終了されました。「自らと他者との幸福に貢献する美術(造形)」への深い理解と謙遜の徳を備えられた先生らしい良い講義だったと思います。夕刻の賑やかなお別れ会も多彩な顔ぶれで始まり、席が先生のお隣りで大変光栄でした。
美術の詳細もさることながら先生にはそのたたずまいを通して人のありようを一貫して教えられました。貴重な教養人を失うことはとても残念ですが、多くの人が受けた薫陶を少しでも当地に生かすことで希望に繋げるほかありません。この先、穏やかな東風の日に仙台から発せられる先生のかすかな香を嗅ぎ分けてみたいと思っています。恥ずかしがり屋さんの先生、本当に有り難うございました。
○太田將勝:東京都銀座生まれ。東北大学大学院卒業。和歌山県立近代美術館主事学芸員、富山県立近代美術館主事学芸員、岡山大学助教授、上越教育大学教授などを歴任。
最終講義
孔雀明王像(東京国立博物館)
秋好日 歌舞伎を観に行く
私たちから見れば東京もわが周辺と言えなくもないということで、11月2、3日の上京を掲載しました。
荒川に遊ぶ水鳥

直江津の川に遊ぶ水鳥。橋のたもと、水鳥、そしてこれから向かう東京。さい先よく業平(なりひら)の風景が。
直江津駅構内の駅弁売り
はっぴに鳥打帽でレトロな風情。
歌舞伎座の提灯

夜、4演目の歌舞伎を見た。出そろった15人ほどの役者たちが無言でゆっくり舞台を動き回る不思議な演目「宮島のだんまり」は印象的だった。全体を通して菊之介は美しく、仁左衛門はきりりとして良かった。
クレープシュゼットの火

同夜の食事の最後は初めてのクレープシュゼットだった。 暗闇に炎が立ち上がって出来上がり。
銀座WAKOのウインドウ
翌日の銀座WAKOのウインドウは魅力的だった。午後は東京都美術館で印象派からピカソ、レジェまでみた。私が子供の頃、家で初めて飼った犬の名がレジェだった。父が付けた名だったが、胴長な犬なのでチュービズムと言われたレジェに符合していたのか、と急に思いついた。
去る6日(土曜)夕刻、チェンバロ演奏会を致しました
10月6日夕刻、樹下美術館陶芸ホールでチェンバロ演奏会が行われました。
大潟区の友人ご夫妻のご好意で企画され、お陰さまでささやかながら暖かな会となりました。
ホールが小さいので来年は2部でお知らせして出来ればと思いました。
東京から貴重なチェンバロをお運び頂いて演奏された加久間朋子様、梶山希代様、お客様、企画頂きましたお二人様、本当に有り難うございました。
- 仏像、社寺、二十三夜塔、庚申塔
- 樹下だより
- 齋藤三郎(陶齋)
- 倉石隆
- 小山作之助・夏は来ぬ
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- 文化・美術・音楽・本・映画・スポーツ・テレビ
- 食・飲・茶・器
- 拙(歌、句、文)
- こども
- 館長の作品。
- 本日樹下美術館の後片付けの日 ラヴェルの名曲がポピュラーやジャズに。
- 本日2025年度の最終日。
- 今年最終日曜日,午後のひと時。
- 「お婆さんのようなお爺さん」ズボン編 悪天を予告する雲。
- 頂いた椿を挿し木してみた。
- 「お婆さんの様なお爺さん」とは もらい物のセーター。
- 昨日今日の寒波は無事に過ぎた。
- 今冬最強寒波が来る 向こう側の季節から「楝(あふち)の花、いとをかし」。
- 堀口すみれ子さんから届いた詩集「月あかり」。
- 午前柿崎、午後大池 念願のエナガはピンぼけの1枚。
- 再度柿崎の海岸を歩いた 海のチョウゲンボウ 田んぼのマガン 低カフェイン抹茶。
- 暖かな日の朝日池、のんびり過ごす水鳥たち。
- 美味しいイチジクお菓子など、大潟区のマルト歌代商店は特別。
- 樹下美術館の紅葉 再度の木村茶道美術館 唐椿(からつばき)という花。
- 週末の種々。
- 盆と正月が一緒に来たようなお招き。
- 今夕も北海道の幸 懐かしい写真。
- 寒い日 思い出深い夕食と厚岸の牡蠣。
- 独居老人に便利なモニター 再度夕刻の朝日池。
- 昨日レコード、今日白鳥。
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