樹下だより
博物館の現状(文化変調)
皆様のお陰で、樹下美術館は今年6月に開設三周年を迎えようとしている。そんな折りの4月18日、当地の朝日新聞一面トップに「博物館休業の波」が載った。
博物館法でいう施設は博物館のほか、美術館、水族館、動物園なども含んでいる。記事ではいわゆる博物館に見られる困難のきざしを文化変調として取り上げていた。
戦後一貫して増え続けた施設。それが日本博物館協会の調べで2008年末に初めて実働数が減少したという。全国で4041カ所の実働で前年より21館の減少だった。 運営を支える作品・資料の購入費ゼロが57%もあり、予算減額の館が50%という惨状だった。
特に全国で三分の二を占める公立館における状況に厳しさが見られるようだ。
そもそも長期の施設乱立から合併へ。自治体博物館における収蔵量の膨大化と埋没する個性の困難は、想像に難くない。
また昨今、テレビとウェブの進化によって居ながらにして高質な画像・映像が提供され、自在なテーマ検索が可能になった。博物館に足が遠のく誘因の一つかもしれない。
美術館も安閑としていられない。 「この時代ほんとうに美術館ですか?」、三年前の樹下美術館の開設の際に言われた。その通りだと思ったが、皆様に支えられて今日まで来た。今後も小館ながら、小館ゆえにこだわりとエヴァーグリーンを胸に歩みを進めたい。
ささやかであっても文化の非日常が日常の中にあることの楽しさ。樹下美術館はそのようなことを思っています。
馬子にも衣装、拙絵に金縁
2月16日に完了していた椿の蕾の絵を額装しました。ボタニカルアートを始めていつの頃からかマットを楕円に切るようになりました。植物画の多くが下から枝、葉、そして花へ全体が楕円に類する形状になっていたからです。
さらに楕円は四角よりも柔らかな雰囲気になりますので植物に合っているように思います。切った楕円に沿って金のふちをあしらうこともします。金ぶちの善し悪しはいつも迷いますが、今回は装飾を加味して付けました。金はもう少し細いほうがいいのですが、これで限界だったようです。
拙絵は館内のお手洗いの鏡脇にかけさせて頂いています。よろしければご覧下さい。
モネ人形やフリオの歌
明るく晴れた昼、美術館へ寄った。
カフェに置いたモネの人形が背中に春陽を受けて気持ち良さそうだった。昨年秋、佐伯祐三展の新潟県立万代美術館へ行ってショップで買ってきた。右手にちゃんと筆をもった可愛いモネだ。ヒゲや髪の毛は違うがベレー帽といいメガネといい、どこか亡き父に似ていてる。
筆を持ったモネさん。
お客様にフリオ・イグレシャスのCDをお買いになった方がお見えになった。先日当ノートに載せた動画のフリオが気に入って、すぐアマゾンで求められたという。ポルトガルの四月は入っていなかったがとてもいいと仰った。ネットのスピード感に驚かされた。
展示のお知らせ:2 齋藤三郎(陶齋)の染め付けと色絵展
今年の陶芸ホールにおける齋藤三郎(陶齋)の展示は染め付け(染め付)と色絵の二系統に分けました。場内の向かって左半分に染め付けを、右半分に色絵を配しました。今年度いっぱい同展示を継続致します。
染め付けは藍色に発色する呉須(ごす)というコバルトを主成分とする顔料で絵付けされた焼き物です。色絵は多色を用いて絵付けします。染め付けは清潔、さわやかな印象で、色絵は華やかな雰囲気となります。
多彩な陶齋は染め付け・色絵とも理解熟達し、モチーフや用途に応じて活発に制作しました。この度の試みで場内にぱっとしたコントラストが生まれ、楽しい展示となりました。
色絵の華やかさに花を添えて陶齋の金彩作品を一部配しました。
染め付け展示の部分 |
色絵展示部分 |
染め付け瓢形瓶と盃各種 |
寸雪庵好雪花文金彩屏風香合 |
染め付け辛夷紋瓶(個人蔵) |
色絵更紗(さらさ)紋水指 |
染め付け四季丸紋水指(個人蔵) |
色絵椿文鉢 |
【以上のほかの染め付け作品】:ざくろ紋湯飲み(6客)、椿紋宝瓶と四季紋煎茶碗揃え(5客)、ざくろ刻紋さら(二枚)、竹林菓子器、椿紋扇面皿(8枚)、山家紋扇面皿(4枚)、辛夷紋面取り壺、かれい紋皿。
【以上のほかの色絵作品】:梅紋汲み出し(5客)、茶器揃え(急須と茶碗5客)、色紙芍薬紋鉢、ゆず紋皿、蓋物3器(これは金彩です)、椿紋香合、更紗紋湯飲み(6客)、文房具(椿紋と春蘭紋の筆管2器、硯屏、水滴)。
展示のおしらせ1:倉石隆の挿絵原画展
4月1日からの倉石隆作品の展示をお知らせ致します。展示は今年いっぱい継続致します。
倉石隆は人物油彩を中心に制作しましたが、挿絵にも熱心に関わりました。多数の挿絵本のうち半数以上は少年少女に向けた書物でした。描かれた場面の臨場感と豊かな情感は画学校時代からデッサンに優れた氏ならではものであろうと思われます。
作品は以下二冊の原画から38点を選びました。
●「金色のあしあと」椋鳩十著 1975年 ポプラ社 から17点 鉛筆画で一部に彩色。
●ベルヌ名作全集「十五少年漂流記」辻昶 訳 1986年 偕成社から21点 ペン画で口絵はカラー。
原画は前者の表紙がカラーで、内容の一部に薄い彩色がほどこされています。後者は口絵だけカラーでした。ボードサイズは前者がB3で後者はB4とB5です。
金色のあしあとには雪国出身の画家ならではの冬の情景が描かれています。
ご参考までに「金色のあしあと」の本を三冊見開きにして、相当する原画の手元に置きました。残念ながら「十五少年漂流記」は手を尽くして探索しましたが入手にいたっていません。
手ぜまですが胸躍る倉石隆の世界を目の当たりにしていただければ有り難く思います。
【金色(こんじき)のあしあとから】
金色のあしあと・口絵 |
金色のあしあとー父と犬 |
金色のあしあと・正太郎を襲う親ギツネ |
金色のあしあと・床下の親ギツネ |
【十五少年漂流記から】
島を脱出 |
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以前に人がいたらしい |
悪者から逃れてきた水夫 |
ひかるゝおもひうしろがみ、、、。堀口すみれ子さんの講演会。
「ひかるゝおもひうしろがみ、、、高田よさらば さきくあれ」
この言葉を残して上越市高田を後にした
詩人、フランス文学者・堀口大學。
ご長女すみれ子さんが父大學を語る
堀口すみれ子さん
大學ご一家は戦時下の昭和20年7月旧妙高村に疎開され、昭和21年から昭和25年まで上越市に住まわれました。氏と上越のふれあいのなかに樹下美術館ゆかりの陶芸家・齋藤三郎との交流があります。
かってのご縁からこの度のご講演の運びとなりました。高田との縁にはじまり、堀口大學の詩人の心や家族愛など、お身内ならではの話をお聞きできますことを幸運に思います。
【堀口すみれ子さんの講演会】
●日時:6月19日(土曜日) 午後2時から
●会場:樹下美術館 陶芸ホール(60席ほどの会場です)
●お申し込み:前もって樹下美術館の窓口か、またはお電話(025-530-4155)でお願い致します。4月1日から受け付けを致します。
●当日、会場整理費と致しましてお一人様500円をお願い申し上げます。
●すでに記念行事としまして、カフェはアンティーク食器でのサービスと斎藤三郎氏の湯飲みでお番茶のサービスを行っています。お陰様で好評です、どうかお楽しみください。
また現在5月16日(日曜日)の立花千春さんのコンサートを受け付け中です。聴く者を魅了してやまない渾身の演奏にご期待下さい。
楽しい立花千春フルートコンサートのお知らせ
♪♪楽しい立花千春フルートコンサートのお知らせ♪♪
ー 樹下美術館三周年記念 ー
昨年の圧倒的な演奏に続いて今年もフルートの歌姫立花千春さんをお迎えすることになりました。今年のピアノ伴奏は山田武彦氏です。氏はパリ国立高等音楽院のピアノ伴奏科を主席で卒業されたピアノ伴奏の名手です。
立花さんのダイナミックなフルートが豊かなピアノと響き合う素晴らしい演奏会になろうと思います。どうぞご期待下さい。
● 日時:5月16日(日曜日)・18時30分開演
● 会場:上越市大潟区四ツ屋浜「おおがたコミュニティープラザホー
ル」
● 入場料:一般3000円、小中高校生1500円
● お申し込み:樹下美術館の窓口で または電話025-530-4155で
お尋ね下さい。
【プログラムの一部です】
・クライスラー: 愛の喜び
・フォーレ:シシリエンヌ
・フォーレ:ファンタジー
・カミュ:シャンソンとバディヌリ
・ショパン:英雄ポロネーズ(ピアノソロ)・ドップラー:ヴァラキアの歌
会場の大潟コミュニティープラザホール:小ぶりながら円形ホール
アンティークも楽しんで
カフェではアンティーク食器を楽しんで頂けて喜んでいます。

春まだ浅き窓辺にて 古き器を手にとれば
見知らぬ事も懐かしく 見知らぬ人までゆかしけれ sousi
「アンティークカップは今から10余年前、樹下美術館を決心した頃から集めました。そこで使いたかったからです。今はもう収集の余裕はありませんが、皆様にお使い頂ければ有り難く思います。」
「陶齋の湯飲みもこのような形で使って頂けること、集めた亡き父の願いかもしれません。」
こらあじゅの司修(つかさ おさむ)、そして倉石隆
昨日1日の開館は氷雨まじりの静かな一日だった。来館者は関係者ばかりとなり、お陰で人を頼んでの外構清掃やパソコンの修繕、間違ってた案内の直しなどそれはそれ有益に過ぎた。
ところで手元に1967年11月3日発行の「こらあじゅ」という画集がある。黒いカバーに黒文字のタイトル、しかも著者名は小さくてよく分からない。カバーを脱いだ表紙は図案のほかに何も記されていない。さらに本の見開きにタイトルと著者名があるがこれもあまりに小さくて見逃しそうだ。この遠慮がちでエスプリの効いた画集の著者・司修(つかさおさむ)氏は画家から川端康成文学賞、毎日芸術賞へと展開された異才の芸術家だ。
あらためて表紙カバーを見てみると黒の下地にタイトルと女性のカットが黒で印刷されている。黒ずくめであるが黒橡(くろつるばみ)色の地に漆黒の刷りは暗然たるコントラストの妙を表出させている。転じて表紙は真っ赤なビロードのハードカバー(堅さから板表紙かもしれない)。その真ん中には焼きごてで押したような図案があって、本を開ける前から色々と楽しい。
さて中身は版画集である。開くと右側のページだけ作品が刷られている。それぞれ手刷りの版画がいい匂いの紙に32枚。限定170部、著者(発行者)と印刷者だけによる私家本になるのだろう。なんともおしゃれで堅牢、意識が高い。
作者のあとがきを見ると、、、作品の半数は中央公論社刊「日本の文学」中の挿絵であること。また描くに至ったのは石原慎太郎氏の多分のご好意によったものだ、、、という一節があった。
昭和42年の発行だから司氏32才の作品集になる。物語あふれる作品の大成は若くしての偉業にちがいない。本の見開きに倉石隆 様という献本サインがあって、巻末の番号は0002/170だった。
司氏は1935年生まれ、当館常設展示の倉石氏は1916年だからふた世代の違いがある。しかし二人はともに主体美術協会の創始会員として、さらに同士や友として困苦の時代を励んだと聞く。
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表紙カバー。拡大して眼をよくご覧下さい。 |
表紙 |
館長とは名ばかり、もとより不勉強な筆者。次は倉石氏の個展図録に見られた司氏と倉石氏の親交へとなんとか進んでみたい。
今年の樹下美術館のカフェはアンティークカップや陶齋の湯飲みで
明後日3月1日(月曜日)から今年の開館です。3月いっぱいの展示は昨年の展示を継続、4月から更新致します。また5月に音楽会、6月、10月には講演会を致します。いずれも3周年記念の試みです。
早々に3月1日からのカフェでは、一年間西洋アンティーク食器でのサービスをさせて頂きます。またよろしければあとのおくつろぎに陶齋の湯飲みでお番茶をどうぞ。せっかくですから遠慮なさらず気軽にお使いください。
※陶齋とは当美術館の常設展示作家・故斎藤三郎氏の号です。 現在斎藤尚明氏が二代陶齋として上越市寺町の窯を継承し活躍されています。
今後、順次展示や音楽会、講演会のお知らせをさせて頂きます。
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| 出番を待つアールデコなどのカップたち | 陶齋の湯飲みでお番茶もどうぞ。 |
※ 器につきまして
アンティークカップは今から10余年前、樹下美術館を決心した頃から集めました。そこで使いたかったからです。今はもう収集の余裕はありませんが、皆様にお使い頂ければ有り難く思います。
陶齋の湯飲みもこのような形で使って頂けること、集めた亡き父の願いかもしれません。
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- 今年の陶芸展示は「現代茶碗展」です。
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