樹下だより

準備

2010年2月25日(木曜日)

 4,5日も続いた好天。大雪を嘆いた冬も、過ぎてみればあっという間だった(もう降らないと仮定して,,,)。

 午後は本業の休み日。3月1日の開館準備に美術館へ。駐車場に雪は無くなったが庭やカフェの窓辺にはまだ相当な雪だ。

 

 買い物に出ると近くの頸城区榎の井付近の水田で沢山の白鳥が食餌をしていた。コウコウと鳴きクチャクチャと旺盛な食餌の音が聞こえた。

 

 きびしい冬をどう過ごしたのだろうか、野性を間近にすると力づけられる。

 

白鳥 
暮れても続く食餌。渡りが近づいているのかもしれない。

浅田真央選手が振り返る

2010年2月24日(水曜日)

  練習まではとても緊張し、競技が近づくにつれて集中してきて、演技中は喜びを感じていた。夕刻のニュースで浅田真央選手がこんな風に振り返っていた。

 

 テレビを見ているだけで緊張してしまう競技で、彼女の競技者としての完成度に驚かされる。上位の選手たちはきっと同じ心境なのだろう。

 

 いいニュースが無い中で気の毒なほどメディアに晒される選手たち。オリンピックが終わったら何が日本を明るくするのだろう。当美術館も地域のささやかな一灯たりうるよう頑張ろう。

 

草萌えの椿 
草萌えに一椿。

 

今日の日長、間もなく開館

2010年2月21日(日曜日)

雪雲のひらけて今日の日長かな       sousi

 

駐車場 

  晴れ上がった日曜日、気温が上がっているので雪は溶けてきた。樹下美術館の駐車場はスタッフによってあらかた除雪された。今年の開館まであと10日、どうか雪はあわ雪程度にしてください。

 頸城野の雪解けの田んぼで白鳥が食餌していた。何かの根を食べているようで、さかんに泥の中をあさる。

 そして樹下美術館の南側の土手にはふきのとう。日が長くなって春に手が届いてきた。

驚くからす 
 農道の脇で白鳥の飛来にあわてるからす
フキノトウ
美術館南の土手と小さな流れ

椿の蕾のボタニカルアートを終了にしました。

2010年2月16日(火曜日)

 

椿のつぼみ 

B4muse S 1mm厚ケント紙を半分にカットしたボードに描きました(B5サイズ)。

 

1月25日から描き始めた椿の蕾完成としました。まだ手を加えたいところもありましたが収拾が付かなくなりそうなので終了というわけです。恥ずかしながら同業の会報3月号表紙になります。

 

 分量の少ない絵でしたが、雨雪を貫こうとする蕾の形状に植物の洗練を感じました。

 

 昨年は白花デンドロビュウムでした。白い花は引き立ちますが、描くとなると大変でした。白花には容易に描かせまいとする気高さのようなものがあるように感じられました。

 椿の蕾は額装して樹下美術館のトイレに架ける予定です。

樹下美術館/今年の予定のお知らせ 

2010年2月11日(木曜日)

 3月1日月曜日、樹下美術館の今年の開館が近づきました。その日の窓辺はまだ雪景色かもしれません。

 お陰様で当館は今年6月10日に満三周年を迎えます。一区切りを記念してささやかですが以下のような行事を計画致しました。どうかお楽しみに。

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【カフェ】

 

3月1日から今年一年のカフェはアンティーク食器(アールデコなど)でサービス致します。

 

ご希望の方のあと口に齋藤三郎(陶齋)の湯飲みでお番茶をお出しします。

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【4月1日~12月28日までの展示】

 

齋藤三郎:染め付けと色絵展

 

倉石隆:「15少年漂流記」および「金色のあしあと」原画展

※3月中は昨年の展示を続けています。

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【講演会および演奏会】

 

立花千春さんフルートコンサート:5月16日(日曜日)18時30分開演/上越市大潟区コミュニティープラザホール。ピアノは山田武彦氏です!ぜひお楽しみに。

エッセイスト堀口すみれ子さんの講演会:6月19日(土曜日)14時から/樹下美術館 陶芸ホール。上越にゆかりある詩人・フランス文学者の父・堀口大学を語ります。

プロダクトデザイナー山中阿美子さんの講演会:11月6日(土曜日)午後2時から/樹下美術館/学生時代に仲間と共に名作チェアー「マッシュルームスツール」をデザインした阿美子氏が樹下美術館展示作家の父倉石隆氏の思い出と、マッシュルームの物語をお話しされます。

 

※山中阿美子さんの講演会のお尋ねお申し込みは樹下美術館(025-530-4155)へお問い合わせ下さいホームページやブログでも順次お知らせ致します。

 

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3月1日からカフェでお出しする食器のご紹介です。

どうぞお気軽に手にとってお楽しみください。

樹下美術館を決めた10年ほど前から集めました。

今はもう収集の余裕はありませんが、お使い頂ければ嬉しく思います。

                                         

 

シェリー
【1930年頃のシェリー、リージェントシェイプなどのトリオ。英国】

 

オールドノリタケ

 

【1910年代オールドノリタケ、フラワーハンドルのトリオ。欧米へ輸出の里帰り】

ロイヤルドルトン
【1930年頃のロイヤルドルトン、タンゴシリーズのトリオ。英国】

以上3点はアールデコ様式の器(およそ1910~30年代に流行した様式)です。

アールデコは円と直線の取り合わせが独特です。

ワイルマン
【1890年頃のワイルマン、フラワーバスケットのトリオ。英国】

ワイルマンは最上段のシェリーの前身です。

ミントンのシノワズリ

【1800年代後半のミントン、シノワズリのカップ&ソーサー。英国】

シノワズリは中国風というような意味です。

 

ジャコメッティの細い「歩く男」が。

2010年2月7日(日曜日)

たとえばAという人のAらしさを表現してみる。これは様々なジャンルとレベルで可能だ。およそ子どもの時から私たちもこのようなことに親しんできたように思う。

ではAに見られる人間らしさを表現するのはどうだろう。前者の裏腹でもあろうが命題は突然地味に変化し、困難の予感がしてくる。こちらの人間観まで問われるからだろう。

これらの事を生涯痛々しいほど追求した一人がアルベルト・ジャコメッティ(1901年~1966年)ではないだろうか。彼の作業には陣痛を伴う出産(誕生)のイメージが浮かぶ。
いつしか彼の人間についての彫像は台座の上に小さな棒のようなものとして現れる。それがさらに細くと望んで次第に背が高くなっていった。

我が心の芸術家より
妻が見ている細い人間を作り始めた頃のジャコメッティ(我が心の芸術家たち:著者/ブラッサイ 翻訳/岩佐鉄男/ 1987年12月24日(株)リブロポート発行より)。自らの作品を触る彼はうっとりとして幸せそうです。この本は樹下美術館のカフェにあります

 哲学でなく実体への固執。同じ場所に住み、晩年は手術と苦悩とタバコによって衰弱し、服の中に浮いているようだったと目撃されたジャコメッティ。ピカソやサルトルなど多くの人が彼を愛した。

そんな彼の細いブロンズ作品「歩く男」が先日ピカソを抜いて芸術作品の彫刻分野で競売史上最高額をつけた。3日、ロンドンはサザビーズでの出来事だった。この時代、一つの作品が1億430万ドル(約94億円)で落札されるとは驚くべきことだ。彼は同じものを6体制作したらしい。芸術(また芸術家)の深淵と壮大を思った。

 

樹下美術館の展示作家、故倉石隆氏はジャコメッティを愛し影響を受けた一人でした。氏の人物もしばしば細く描かれますが、作者に感応した独特の存在として魅力的です。


倉石隆作裸婦
 
倉石隆作「男(O氏の像)」

二人の杉 堀口大學と倉石隆

2010年1月22日(金曜日)

 以前倉石隆氏の油絵「杉林」を書かせていただいた。その後、昨年暮れに倉石氏の奥様とお話しする機会があった。そこでまた杉のことが出た。

 

 隆氏はこんな風に話されたことがあったという。「詩人はいいなあ、堀口大學さんのように杉は寂しいと言えて。おれたち画家が杉は寂しいと言ったらキザにしか聞こえない」、と。 倉石氏のぼやきには詩人と画家の感覚の共通とともに、方法の違いが語られていて興味深かかった。

 

 ところで、大學の「杉は寂しい」という言葉は詩集「雪国にて」にあった。昭和21年1月~7月末の作品による小冊の中にわずか二行の詩。戦争に負けて半年、火も湯も乏しい冬の叙情だった。

※ちなみにこの頃、4才前後の私は引き上げ船を待って惨めな家族とともに旧満州(現中国東北部)にいました。薄暗い大きなテントとぬかるみの日の配食が脳裏にあります。皆様はどうしておれらましたか、私事で恐縮でした。

 

 「杉の森」

  たださへさびしい杉の森

  まして山里 雪の中

 

 世界を駈け、スペインでマリー・ローランサンに恋した裕質の詩人はいまや雪の越後の山里に。細る体を雪よりつらい寂しさが襲う。しかし苦境に光明を見ようとする大學の意識は本書の後書きにも現れる。

 

雪国にて
雪国:昭和22年7月7日 柏書院発行。

あとがきの中段に次の文があった。「終戦後、詩興しきりに動き、わたくしは珍しく多作だった。外は雪、家は煤(スス)からなるこの白と黒との牢獄は、わたくしの肉体をさいなんだが、詩興をたすけるよすがとなった。」 妙高山麓関川の仮寓にて  堀口大学。

父を偲んで 藤巻瓔子さんの作品展

2010年1月18日(月曜日)

 昨日は雪も上がり、上越市立高田図書館で藤巻瓔子さんの作品展の最終日を見ました。瓔子さんは斎藤三郎氏(陶齋)のご長女です。お忙しい日常の中で制作され、心込められた多くの作品が展示されていました。

 

 作品は水彩、パステル、日本画、木彫りと、とても多彩でした。 中でも特に気に入ったのは珠沙華。花と背景の深さに強く惹かれました。作品のモチーフに陶齋が好んだ草花が随所に見られ、お父様への熱い思いが伝わりました。


籠に蕨文木彫り(瓔子さん作)

色絵籠に蕨文(陶齋作)

染め付け窓絵水指 

おおらかで気品あふれる染め付け窓絵四季文水指(陶齋作)

 

 作品展のサブタイトルに「父を偲んで」とある通り、会場には陶齋作品も数多く展示されていました。樹下美術館は陶齋の常設展示をしています。しかしこの日の会場で初めて目にする様式の優品も多く、あらためて才能の大きさに驚かされ、勉強になりました。

図書館へ 
雪の図書館 

 

早いもので陶齋が亡くなって30年が経とうとしています。雪国の優れた芸術家であった父への思いあふれる作品展。見終わって外へ出ると、雪の匂いが胸いっぱいに広がりました。

雪中の樹下美術館

2010年1月10日(日曜日)

 樹下美術館が冬期休館に入っておよそ二週間になります。3月開館まではあっという間にちがいありません。今年は当館の満三周年、ささやかな記念行事と大切な図録の刊行に向けて気ぜわしくしています。

雪の美術館   雪のクリスマスローズ 

 

 ひとしきりの荒天が一段落してほっとしています。庭で数株のクリスマスローズが開花していました。多くが早春の開花を待って冬をこらえていました。見ていただける春を心待ちしているようでした。

 

チョコレートとコーヒー 

 お茶の話題ばかりで恐縮ですが、今夜はコーヒーを。仕舞ったままだったロイヤルドルトンのアールデコで飲みました。アールデコのトリオによるコーヒーにはオリエント急行のイメージが浮かびました。
 

 お茶の時のTVで石川遼、辻井伸行両氏とお母さんのことを見ました。洞察と優しさの母性の力。こうした根源的なことから新しい時代が開かれるのかもしれません。先は長くとも将来に希望を感じました。

世界は日の出を待っている

2010年1月1日(金曜日)

あけましてお目出度うございます。
お陰様で今年6月、樹下美術館は開館満3周年を迎えます。

 駆け足の3年を文字通り皆様に支えられて歩んできました。これからも楽しい場所となりますよう、スタッフ一同心を込めて参りたいと思います。

 

 さて昔の話ばかりで恐縮ですが、若い頃のお正月によくラジオから聞こえてきた曲がありました。「The World Is Waiting For The Sunrise/世界は日の出を待っている」です。軽快なテンポと明るい曲調はお正月の定番でした。 

 

 もとは1919年、第一次世界大戦直後に作られたというデキシーランド曲。疲弊した当時の社会を大いに元気づけたそうです。 この年はまたスペイン風邪の世界的流行が2年目になった年でもありました。 

 

 ユーチューブの「The World Is Waitig For The Sunrise」 

 さて映像の演奏はギターがレス・ポール、歌がメリー・フォードの夫妻です。レス・ポールは同名の楽器でおなじみのギターの名手ですね。映像の音源は1951年、洗練された多重録音のはしりとしても有名でした。
 二人によるレコードが流行ったのも第二次大戦からの復興期でした。その後、成長の長いテンションが切れてしまった今日、新型インフルエンザまでも現れました。時代は巡るのでしょうか、ふと「世界は日の出を待っている」を聴いてみたくなりました。
世界は日の出を待っている

上の写真は学生時代に買った二人のLP。一曲目に映像と同じ演奏が入っています。赤く透けるレコード盤が新鮮で、取り出すとわくわくしました。

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