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銀座の夜 神田の昼。

2015年9月20日(日曜日)

医局を共にした同級生三人による年一回の会食が、ふとしたことから20数年続いている。
当然三者三様で、何が共通しているのか良く分からないがずっと夫婦で集まっている。
東京の夫婦の出身地は高知県、浜松の男の両親は熊本県、そして私の半分の血は佐賀県。
もしかすると密かな南国の血が懐かしがるのか、、、。

それにしてもみな70才を越えて少なくとも病を一つずつ所有した。
人柄は共に薄味にはなったがそれでも個性のともし火は燃えている。
奥さんたちがそろって元気なのも頼もしいことだ。

昨日の食事は吉野建(ヨシノタテル)氏の店だった。
目にすると絵画、口にすると音楽のような優しい食べ物をゆっくり味わった。

1食事次第に子どもの集まりのような感じになってきた。

 

2挨拶に来られたオーナーシェフ。

 

3ぎんざぼんぼんで銀座シャンソンバー「ボンボン」
月にまつわる特別な日だったようで、元SKD(松竹歌劇団)の皆さんが出演された。
往時のプロフェッションたちが元気な声で楽しませてくれる。

 

5並木通りで 帰路の並木通り。

 

4ガード下の飲食街有楽町のガード下はまるで映画か舞台のセット。
翌日の昼食はここでする予定だったが、早く帰る私の用事で中止になってしまった。

 

6神保町で本日午前に神保町へ行った。
10数年ぶりで寄った古レコード屋さん「フジレコード」で気に入った盤があった。
店が続いているのは本当に貴重なことだと思う。

 東京も、帰って来た上越も晴れて気持ち良い日だった。

樹下美術館の秋の音楽会。

2015年9月14日(月曜日)

中高校生時代によく日記を付けた。
内容はおいつも天気から始まったが、年を取った今ブログも大抵お天気から。

その昔、どうして両親は出かけもしないのに、天気予報ばかり見るのだろうと思っていた。
いま自分が確実にそうなっていることに気づく。
良くても悪くても予報はまず身近な明日の希望、次ぎに行事や予定を案じるためか。
気象や自然の気宇に触れるのも心身に良いかもしれない。

それにしても本日は曇り空で、予報のように晴れなかった。
昨日は気象庁を褒めすぎたかもしれない。
明日は今度こそしっかり晴れるようだが当たってもらいたい。

さて今秋の樹下美術館は以下の音楽イベントがあります。

10月17日(土曜日)は「三人の大学院生さんによる美術館コンサート」
1510院生さんコンサートバナー
次第に夜が長くなりました。
若い音楽家たちの溌剌たる演奏にご期待ください。

・入場料大人お一人1200円、中学高校生800円です。
・お申し込みはお樹下美術館電話025-530-4155へどうぞ。

10月17日の音楽会の演奏者さんはこんな方たちです。

2015年9月3日(木曜日)

来る10月17日(土曜日)の「三人の大学院生による秋の美術館コンサート」の演奏者さんについてお知らせいたします。

お三人とも今年3月に入学された上越教育大学の大学院生さん。
そろって23才と、とてもお若く伸び盛りなのです。

当日はバッハから現代曲、そして日本の歌までどなたにも楽しめることでしょう。
皆さんの音楽歴は十分で、演奏が心待ちされます。

出演者さん左からアルトサックス田村亮太さん、ピアノ鈴木啓斗さん、ヴァイオリン茗荷智光さん。
当日のピアノは電子ピアノを用います。

【三人のプロフィール】
田村亮太:新潟市出身、洗足学園音楽大学管弦楽科でサクソフォーンのほか室内楽および指揮法を学ぶ。第50回新潟県音楽コンクール管楽器部門において優秀賞を受賞。
鈴木啓斗:北海道中標津町出身、北海道教育大学釧路校芸術グループ音楽研究室卒業。NHK 全国学校音楽コンクール北海道ブロック釧路地区大会ほかで入賞。
茗荷智光横浜市出身、東京音楽大学ヴァイオリン科を卒業。リスト音楽院マスタークラスオーディションに合格し選抜演奏会に出演。卒業後1年間フリーの音楽家としてソロ、オーケストラ、室内楽、ミュージカル公演で活動。

【演奏会】
日時:10月17日(土曜日) 午後6時半開演
会場:樹下美術館
入場料:大人お一人1200円、中学高校生お一人800円
お申し込み方法:樹下美術館の窓口かお電話025-530-4155でお申し込みください。
※入場料は当日窓口でお受けいたします。

September In the Rain(9月の雨)を二つ。

2015年9月2日(水曜日)

昨日はしっかり降り、今日は朝から風が強く、それが弱まると夕刻は少し降った。
夏の猛暑を挟んで梅雨と秋雨があり、この先の予報もしばらく曇ったり降ったりするようだ。

さて連日ユー・チューブからで大変恐縮ですが、「September In the Rain(9月の雨)」を付けさせて頂きました。
はじめは1959年、19才の時のスー・レイニー。
次が1962年のザ・ビートルズです。

春がきたというのに、前年9月の失恋から抜け出せない心境が歌われているようです。
両者の趣は大変異なりますが、歌わんとする所はちゃんと伝わりますね。

 


1959年録音の若きスー・レイニーが歌う「September In the Rain」
モダンジャズ隆盛の当時、ジャズヴォーカリスト(特に女性)はひねりにひねって歌っていました。
しかし声の良い彼女は技巧をこらさず丁寧に歌い、とても聞きやいです。
ビリー・メイの編曲、伴奏も半世紀前とは思われないほど洗練されていてさすがです。

 


ザ・ビートルズの「September in the Rain」
(この時はまだザ・ビートルスを名乗っていませんでした)

ビートルズがスタンダード曲であるSeptember in the Rainを録音していたとはとても驚きました。
デビュー前のオーディションに用いた1962年1月のデモテープが音源だそうです。
この時は落ちたようですが、同年10月にめでたく正式デビューを果たしています。

エルヴィス・プレスリーばりに歌うのはポール・マッカートニー。
歌は魅力的でとても上手いですね。
ちなみにドラムスはまだリンゴ・スターではありません。
大げさなエンディングやもたつくリズムなど、少々慌てて作ったテープだったようですね。

雨がちの今夏最後の日、二つの出会い。

2015年8月31日(月曜日)

日中曇り時々雨だった8月最後の日、二つ出会いがあった。
一つは午前の診療で、お母さんに付いて顔をだされた帰省中の娘さん。
私が開業した昭和50年代はまだ小中学生だった。
本日母と一緒に行って小生に会ってみたいと仰ったらしい。

お母さんの診察が終わると、カーテンの陰から出てこられた。
すらりとして丸顔の美人さんは、子どもの頃と同じにこやかな目をしている。
品川区に住んでいて、私が通った大学と病院もよく知っていると仰った。
上越で暮らしているいま、若き日に15年間通った品川の話を聞くと懐かしさがこみ上げる。

変わらないですねと言っていただき、近頃自分はこの言葉に弱い。
話から立派な方と結婚し熱心な子育てをされ、幸せに暮らしているようだ。
私も頑張ろうという気持ちになった。

 
学生時代、しばしばラジオから流れていたビートルズの「And I Love Her」
アコースティックなサウンドが親しめ、歌詞もメロディも優しい。
比較的単調な曲は、間奏から半音高く転調して引き締まる。

 

次に午後から美術館で陶齋の作品を熱心にご覧になる若いカップルさんにお会いした。
色使いが九谷風ですね、男性がズバリと仰った。
詳しい訳で、石川県から来られたということだった。

陶齋の師・富本憲吉は昭和10年代、色絵磁器習得のため石川県へ、九谷焼の北出塔次郎の許へ通っている。
その時代を師とともにした陶齋は当然同道したと考えられ、強く九谷焼の影響を受けたはずである。

齋藤三郎作「色絵色紙芍薬文鉢(いろえしきししゃくやくもんばち)」現在展示中の、齋藤三郎作「色絵色紙芍薬文鉢(いろえしきししゃくやくもんばち)」
緑の地色、赤、黄色に九谷焼きの風合い。 昭和20年代後半 幅29,0㎝。

作品に字も入れてるのですね、と陶齋の文字にも興味を示された。
落ち着いた雰囲気から、もしかしたら九谷焼きの作家さんかなと思った。

先日自分は北陸を訪ね、九谷焼美術館を見てきたばかりです、とお話させて頂いた。
陶齋を飾れて幸せに感じた。

待ち遠しい雨は今夜降るのか 今秋11月14日(土曜)に第3回SPレコードコンサート 作之助の墓参り。 

2015年8月13日(木曜日)

なか三日お休みして更新したブログ。
その分を補って本日13日もう一記事を掲載致しました。

ようやく猛暑が一段落した盆入りの日、雲多き空から結局雨は降りませんでした。
もうどのくらい降っていないのか判然としません。
まずサルスベリとキョウチクトウだけが、我が世とばかり赤い花を勢いよく咲かせています。

サルスベリ診療所の近く、お地蔵様のサルスベリ。

午後美術館に寄りますと、当館のSPレコードコンサートで蓄音機と盤の厚い協力を頂いているS氏が来られました。

蓄音機夏の昼下がりのカフェでSPレコード。

お客様が帰られた後のしじま、聴きましょう、と持参された二枚のSPレコードを掛けました。
・最初はJ・Sバッハのやや珍しいリュート曲で、歴史的なギター奏者アンドレス・セゴビアの演奏でした。
・次がエルネスト・ブロッホ作曲のヴィオラとピアノの為の組曲からウイリアム・プリムローズのビオラによる一枚でした。

セゴビアが奏でるバッハはこよなくロマンティックに歌い、
プリムローズによるヴィオラは1900年前後のかぐわしさをカフェに響かせました。

今秋の「SPレコードを聴く会」を
11月14日〔土曜日) 18:00開演 に予定致しました。

クラシック、ポピュラー、日本歌謡の古き豊かなレコード音をどうかお楽しみください。
お申し込みは樹下美術館の窓口か、電話
025-530-4155で受付致します。 

本日聴きました二枚はとても良かったので、相談のうえ今度のプログラムに入れることに致しました。

 

作之助墓所当方で守らせて頂いている盆入りの日の小山作之助の墓。
我が家の墓所の隣にあり夕方お参りしました。

10月17日(土曜日)夕刻は三人の大学院生によるコンサート。

2015年8月4日(火曜日)

来る10月17日(土曜日)、樹下美術館において、
“三人の大学院生による秋の美術館コンサートを開催致します。

上越教育大学大学院の院生さんたちは23才、とてもフレッシュな三人です。
若者とはいえ十分な学びとキャリアを積んでおられ、演奏会が楽しみです。

 

コンサート告知どうぞ大きくしてご覧ください。

 

第一報ですが、いずれお三人のプロフィールやプログラムの概要などをお伝えしていこうと思います。

明日より受付を始めます、どうか振るってお申し込みください。

ああ小島真(おじま まこと)校長 58年後の有り難み。

2015年8月1日(土曜日)

私は昭和32年(1957年)に新潟大学教育学部附属高田中学校というややこしい名の学校を卒業した。
入学したばかりのころ、自分で書かなければならない書類の学校名にうんざりしたのを昨日のように思い出す。

本日昼、その学校の同級会があった。
前回はいつだったか思い出せないほど間が空いていた。
(よく覚えていないが15年前?)

この中学校の卒業生の多くは高田高校と北城高校に進学する。
両校は大規模で、そこでの同窓、同級会は盛んに行われている模様だった。
しかし私はこれに参加したことが一度も無い。
病による留年で高校の卒業が一年遅れたことと、大勢がどうも苦手である。

このたびは〝いくら何でも、死ぬ前にもう一度〟というような密かな本音によって誰かが言い出し、高田の貴重な有志が幹事を引き受けて実現した。

105名の卒業生のうち40名が参加した。
73,4の年令を考えれば、良い出席率ではないだろうか。

さてクラス会は、過ぎた年月の威力をひたすら知らさせるばかり。
誰が誰やら、美味しい料理も立派な会場も、どこか浮き世離れして見え、
なんだかあの世で集まっているような気がしないでも無かった。

これが年月、これが現実、、、。
但し、但し時間と共に段々とクラス会らしくなってきた。
忘れがたい顔があり、遠慮がちにニックネームが聞こえ、その人らしい人生がささやかれ、
自分の恥ずかしいエピソードを聞き、いまだ変わらぬ優しさや語気に触れた。

誰かがぼろぼろの卒業記念文集を持参していて、それが回された。
末席に居たので時間が無く、何故か気になった校長の巻頭言を拾い読みし、急いで写真に撮った。
私の呑気な駄文はどうでも良いが、巻頭言は胸を打った。

 

巻頭言巻頭言「卒業生によせる」

 昭和29年の入学式で、負けて8年も経つのに「国破れて山河あり」と述べられた校長。
膨大な仏教美術の詳細を関西修学旅行の宿題とした校長。
恐らく初めて読んだその巻頭言「高田の町」は以下の主旨で進められていた。

いわく〝高田というところは世に知られた雪の町である。そこでの生活は何事も雪を中心に固く希有なバランスで形成されている。バランスは小さな地域に平和と調和を約束するものであるが、近年、受験の狭き門に晒されるようになった。このため個人が前に進もうとすればこのバランスを破らなければならず、背後の世評や失敗の苦悩と憂うつさを背負うことになる〟と述べる。

最後は次のように締めくくられていた。
「せめての願いは試験を受ける人に、このようなあせりを抱かせない様温かい思いやりをよせて、のしかかる運命を、苦悩を少しでも軽くさせたい」

ああ何という含蓄、何と暖かな言葉だろう、親以上ではないか。
偉くなれ、世に尽くせとは言ってない。
あの大きな両眼を窪ませ、痩せてまるでガンダーラ仏のようだった小島校長。
卒業する私たちにこんな言葉を贈っていたとは、58年経って今更ながら有り難かった。

新潟県立近代美術館「生誕100年 写真家 濱谷浩」展。

2015年7月30日(木曜日)

本日午後定期休診日は美術館非番の妻と新潟県立近代美術館へ行った。
同館で7月4日~8月30日まで「生誕100年 写真家・濱谷浩」展が開催されている。

氏は当館の展示作家、齋藤三郎と親交深かった人。
氏の写真集のいくばくかを樹下美術館でも収蔵し、一部をカフェの図書に出させて貰っている。
氏のファンは多く、何度も繰り返して写真集をご覧になる方は少なくない。

生誕100年の記念展は「濱谷浩 雪国」展として上越市総合博物館でも現在同時開催されている。
上越市ゆかりの偉大な写真家のメモリアルが、県と市によって行われているのは素晴らしいことであり、
一人でも多くの方に観ていただきたいと思う。

以下はこの度の会場内外の力の入った数々の案内パネルです。
この後、同展は世田谷美術館で開催されます。

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5

6

7いずれも立派で新潟県の力の入れようが伝わってくる。

本日の作品は出版物で観ていたものもあったが、現物の前に立つとあらためて心身が震えるのを覚えた。

撮影された現実と写真家の観点の二者がまさにジャストピントで合っている。
本当の写真とは何かを語って止まない貴重な催しであろう。

以下はショップで求めた2冊。8左・生誕100年 写真家・濱谷浩 :多田亞生、澤田佳三、加藤絢、
野田尚稔、片野恵介、江水彰洋編集 (株)クレヴィス 2015年7月4日発行

右:双忘記 濱谷了一著 発行者濱谷浩 多田亞生編集
湘南文庫1989年3月28日発行 (私家版)

上掲の写真集の帯に〝人間が、人間を、理解するために」とのつよい思いを託した200点〟と濱谷氏のエッセンスが記されている。
第1章モダン東京、第2章雪国、第3章裏日本、第4章戦後昭和、第5章學藝諸家のチャプターで代表作が網羅されている。

双忘記は濱谷浩氏の弟了一氏が自らのルーツを求めて辿った渾身の記録。
この本で、過日上越市内の菓子店大杉屋さんで拝見した濱谷浩筆「父不傳 子不記」の出典と濱谷氏父子に重ねられた深い意味を知って驚いた。

最後に、展示を見終わると感想文(アンケート)が壁に貼られていた。
作品の時代に憧れを持った、という主旨の若い人の感想が心を打った。

日頃、館長とは名ばかり不明を恥じる毎日。
この度の展覧会も大変勉強になりました。

盛夏の光と色 年を取ったら気に入った本を繰り返し読みたい。

2015年7月25日(土曜日)

高田で最高気温が34℃、カラッとした暑さだった。
夕刻までの2時間、カフェで本を読んだり芝に散水をした。

日射しに盛夏の強さがある。
暑いなどと不平を言わず、年と共に貴重になるそれぞれの季節を精一杯味わいたい。

 1およそ45年前に読んだ「アカシアの大連」を出して再読している。
窓際のカウンターで読んでいると、置いたグラスの影が写った。

この本には「朝の悲しみ」と「アカシアの大連」の二作が収載されている。
先日通して読み、本日「朝の悲しみ」の二回目が終わった。
「アカシアの大連」:清岡卓行著 講談社昭和45年3月20日発行

年を取ったら気に入った本を繰り返して読むのがいいと気付いた。
この本もその一冊にしたい。

2庭の散水で出来た小さな虹。

 

3夕食を終えると空が赤い。
急いで行った四ツ屋浜は素晴らしかった。

カフェに居るとき、ラックに本を返す二人の若者の話し声が聞こえた。
「フェルメールは色がきれいだ」
「うん確かにきれいだけど」
というような感じで、なるほどなるほど、と思った。

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