ご寄贈頂いた1971年の倉石隆作品2点。

2021年9月10日(金曜日)

初めて病らしいものに襲われた今夏、他方で良い事にも恵まれました。

8月下旬、湘南にお住まいの方から2点の倉石隆作品の寄贈を受けたのです。贈り主のお母様を描いた「O夫人像」と「運河の風景」です。

以下作品を掲載致しました。
いずれも1971年(昭和46年)制作、倉石隆55才でした。

 

「O婦人像」
1971年作ボードに油彩。 縦横53,2×40,6㎝。

O婦人像は年当時倉石氏に絵を習っていたO夫人を描いた人物画です。氏の人物画は時に頭上の空白を大きく取って描かれます。人物から立ち上る空間もその人の一部としたのかもしれません。
私には婦人が瞑目しているように見えるのですが、静かで大らかな女性が浮かびます。
ちなみに2018年の展示テーマは「瞑目する人」でした。
ためらいや恥じらいが消える瞑目にその人らしさが現れる、という観点を想像しています。
イエローとお気に入りの高価なホワイトをたっぷり使ってお顔を強調して描かれています。頸部から肩のブルーがとても爽やかです。

倉石氏に絵を習ったとは、なんとも羨ましく思われます。どんなに楽しかったことでしょう。

 

「運河の風景」
キャンバスに油彩(1971年作) 縦横27,5×40,6㎝。

私が知る限り、氏には珍しくオーソドックスな油彩風景画です。O婦人の像と同じく1971年の制作です。
氏は同年5,6月に渡欧しパリを起点に、ヨーロッパを旅しています。その年の11月29日~12月4日までアテネ画廊で個展「もう一つのヨーロッパ展」を開いています。その出品作でしょうか。黄金色の空と川、静かな街。眺めた倉石氏がイメージされます。

貴重な作品をご寄贈いただいたこと、感謝に堪えません。
心から御礼申し上げます。

来年のある時期にテーマを「ある種の朦朧、倉石隆の絵画」にして、二作品を展示したいと考えました。

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