樹下だより

初秋の趣だった曇天の日。

2017年7月29日(土曜日)

本日土曜日、朝6時に往診があり寝不足のせいか午前中、
軽いめまいが続いた。

服薬して長めに昼寝をしたら楽になり美術館に出向いた。

 

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主に曇天だったが、展示をご覧のあと外でお茶を飲まれた方達が
いた。帰られた後のベンチに談笑の声が残っているようだった。

 

2
遅い食事の後陶齋の湯呑で番茶を飲みながら永井荷風の短
編集から懸案の『雨瀟瀟」を読んだ。
昨年の今頃は太宰治の文庫本を繰り返し読んでいた。
今夏~秋は永井荷風にしようと思うが、難しい言葉が多い。
それを励みに繰り返し読んでみたい。

 

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水盤の可愛いメジロ。

 

4
夕刻の四ツ屋浜は自生のオニユリ。花が咲いている所だけ明
るく感じJられた。肥料もくべないのによく育つものだ。

本日やや涼し目に暮れたが明日から日射しと暑さが戻るらしい。

夏の新潟県立大潟水と森公園を歩いた。

2017年7月27日(木曜日)

一週間ほど前、新潟県立大潟水と森公園公園の方から半夏生(はん
げしょう)が自生していると聞いて本日午後出かけてみた。

場所を詳細に聞いてなかったため、見ることが出来なかったが、2時
間ほど園内を歩いた。

 

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午後3時半過ぎ、本日東口駐車場から入ってすぐのあずま屋。

 

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↑ここでいつものコシアキトンボ、コフキトンボのほか以下のウチワ
トンボを目にした。
ウチワトンボ
ウチワトンボ。

ところでトンボの場所の足許の水面に波紋が広がり、4,5匹の大きな
魚が集まって口をパクパクさせていた。

 

大きな魚
体長25~30センチはあろう魚が集っている(写真は矢印の四匹)。
一種の酸欠状態をを緩和するため、水面近くへ寄ってこのような動
作を行うらしい。。
共同して口を大きく使い水流を起こし波紋を作り水面と大気の接触面
積を増やして水の酸素濃度を上げているとも言われる。
魚が共同作業を行うとは少々驚く。

魚の種類は詳しく分からなかったがヒゲが無いので鯉ではない。
ブラックバスかもしれない。

さて昨年夏、潟の里ゾーンで驚くほど大きな黒い蝶を見た。後にモン
キアゲハではないかと公園の人から聞いた。
半夏生が駄目ならその蝶と出会えるかと、一旦車に戻って西口へ向
かい、潟の里ゾーンを歩いた。

 

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この道は静かで、私のような年配者が多く歩く。

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起伏に富んでいるので良い運動になる。
非常にきれいに夏草が刈られている場所があった。

以下道すがら目にとまった植物を交えて。

 

エゴの実
何本もあるエゴが沢山実を付けている。

 

モミジ
モミジの実も爽やか。

潟の里ゾーン→自然観察ゾーン→エントランスゾーンへ出て西口駐
車場へ戻る。

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多くが歩く歴史ゾーンを行き交う人が通る人気の木道。

 

ヌマトラノオ
上掲の木道で見た可憐なヌマトラノオ。

 

 

ガマズミ
もうガマズミの実が真っ赤になっている。

 

カラスアゲハ
クサギの花に取り付くカラスアゲハ。

 

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駐車場から振り返ったアジサイ広場のグリーン。
5時半を過ぎ静かになっていた。

 

クルミの実
駐車場に生えていたオニグルミが沢山実を付けている。

以上写真を撮りながら園内の3分の2ほどを2時間掛けて歩いた。

 

 

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最後に、出かける前美術館のナツハゼに止まっていたキアゲハ。

もう一枚の陶齋の色紙『清泉石上流」は茶会でどう使う?

2017年7月26日(水曜日)

一昨日、陶齋の色紙「行人歸去雨瀟瀟」のことを書かせて頂い
た。
樹下美術館にはもおう一枚「清泉石上流」があります。

開館に際して友人に持参して頂いたもので、清泉の語感や流れ
のイメージから季節は夏であろうと漠然と考えていました。

 

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「清泉石上流」、〝せいせんせきじょうをながれる〟と読むの
であろう。

この五言は中国の唐時代の詩人王維作「 山居秋瞑」の一節
でした。
出典の五言八句の詩は、春に山居へとやって来たが、雨上が
りの秋の月や、清らかな流れなどを見ていると、まだここに留
まりたくなった、という心境が述べられています。

一見夏の清涼を謳っているのかと思っていましたが、原典は
秋。
この一節の茶室向けの掛け軸があるようですが、どの季節に
掛けたらよいでしょう。

夏なら、
客「山水の流れの清々しさが伝わる良いお軸ですね」
亭主「有り難うございます、陶齋の若い時代かもしれません」
で簡単に済むかも知れませんが、客のだれかが秋の詩だと
知っていたら、どう展開するでしょうか。

一方、秋の詩だと承知して秋の茶会に掛けたとしてみると、
客「今は秋ですが、お軸は夏の清々しさが残っている風情を表
しているのでしょうか」
亭主「いえ、秋の山居の月や流れの風情の良さを詠じた漢詩
の一節なのです」
客「なるほど、それでは周囲は紅葉が見られるかもしれません
ね」
これでは話がぎくしゃくしますし、そもそも中国では日本のよう
に秋→紅葉のイメージが一般的かどうかも判然としません。

夏に出す場合は、
亭主「出典は秋の漢詩ですが、この一節はとても涼しさを感じ
させますので掛けさせていただきました」
と説明すれば良いかとも思われます。
旧歴では現在の8月は秋なので清涼も自然なのですね。

私は詳しくないのですが、作者の王維は6世紀末~7世紀の唐時
代の人で特に山水の風情を謳うのに優れていたそうです。

雨降りの午後 陶齋の雨瀟瀟。

2017年7月24日(月曜日)

昼を境に曇天が雨になり、時には非常に激しく降った。
叩きつけるような降りの時に二軒の在宅訪問と一件の急用があ
り、車から軒へと何度か走った。

こんな日だったが美術館は12人のお客様にお見えていただいた
という。

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↑樹下美術館の行き帰りに通った雨降りの道。

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雨の美術館の庭。

話変わって当館に齋藤三郎が揮毫した色紙が2枚あり、その1枚は
雨の情景で「行人帰去雨瀟瀟」と書かれている。
〝こうじんききょして、あめしょうしょうたり〟と読むのか。

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山と雲の濃淡で色紙は湿度満点の一枚。

行人は「ぎょうにん」と読めば宗教上の行者で「こうじん」と読む
と旅人、通行人になる。
この場合、後者ではないかと解釈した。
(「ぎょうにん」なら近郷の住職木村秋雨という話もあろう)。

教養と趣味の人だった齋藤三郎(陶齋)は、器に漢語(千字文
など)を良く書いている。
上掲の6文字も中国の古い詩文から取られているのでは、と
考え「雨瀟瀟」や「行人帰去」などを色々調べたが、色紙の一
節は見当たらなかった。
私の範囲で文は一文は陶齋の自作と考えられた。

瀟瀟と降る雨は激しい雨あるいは淋しい雨とある。
行人が旅人、もしかしたら客人だったとも思われる。
訪ね来た人が去った後雨が静かに降り始めた、、、。

その人と前夜遅くまで親しく酒を酌み交わしていたのか。
旅人と雨の詩的な状況に帰去という関係が入りいっそう寂寥迫
る印象を受ける。
絵といい文字といい、とても良い色紙だ。

ちなみに末尾の日時の記載は「昭和四十ここ年 孟秋」とある。
〝こ こ〟のような文字は二が二つ、つまり四と読むらしく、昭
和44年ということになる。

次に孟秋の孟は時節の始まりのことなので初秋、旧歴なら7月
上旬で現在の八月の初めの頃になろう。

さびしさは涼しさでもある。
暑い盛りの雨の一枚はエアコンとは次元を異にする涼味になっ
ている。
今エアコンの下の自分は人に聞いたりネットを調べて書いている
が、雨ひとつ取っても陶齋たちの世代が身につけていた教養の
高さには畏れ入るばかりだ。

ところで雨瀟瀟を調べるとすぐに永井荷風の短編「雨瀟瀟」に当
たった。
興味を覚えたので岩波文庫「雨瀟瀟・雪解 他七篇をネットで求
めた。

ムクゲやヒメヒオウギズイセンが咲きシジュウカラが水浴びをする。

2017年7月22日(土曜日)

カフェの一番南側の2席から正面に水盤が見える。
周囲にヒメヒオウギズイセンのオレンジ色の花が咲き、
すぐ後ろにはムクゲが咲き始めた。


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右にはリアトリスが見える。。

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暑さ続きの庭ではじけるように咲いているムクゲ。

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シジュウカラがやって来て水浴びを始めた。

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拡大して見るといずれもくちばしに黄色味が残り今年生まれた若鳥
のようだ。
親たちはどこか涼しい所でのんびり過ごしているのだろうか。

明日から数日は雨降りがある予報、水涸れの庭は一息つけそうだ。

倉石隆の「落日」 氏の悲喜。

2017年7月19日(水曜日)

過日の樹下美術館10周年の会に出席下さった倉石隆氏のご親族が
以下の「落日」を携えてこられ、ご寄贈頂きました。

 

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「落日」(F6サイズ:縦横およそ41×32センチ)
瞑目する女性を光背の如く落日が包んでいる。
1977年少し以前に描かれた作品と言われています。

多様な人物を描いた倉石氏の作品のなかで特に静かな作品です。
静けさは深い悲しみそのものであり、落日の陰影が一層それを純化
しているようです。

似た雰囲気の作品にバルザック作「従兄弟ベット」の挿絵に用いら
れた版画があります。

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↑当館で収蔵している「従兄弟ベット」の登場人物の一人ユロ
夫人の挿絵原画(1970年6月29日初版の河出書房挿絵用)。
目を伏せて愁い悲しむ女性が描かれている。

倉石氏の人物画はあたかも〝笑顔の人物はほかの人に譲る〟と主
張している如く微笑む作品はわずかです。
真に迫りたいと述べる作者はどうしても甘美な美人は描けない、と語
っています。
なるほど私が知る範囲で微笑むのは少女たちの版画などかなり限ら
れてるように思われます。

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『大きな髪飾りの少女」 1983年。
この少女の笑みは一種迫真ではないでしょうか。

人は一日中(あるいは一生)笑って過ごせるわけではなく、倉石氏のよう
にあえてそれを控えるという画家がいても良いのではないかと、考えるの
です。
あるいはそのことが倉石作品の貴重さ、見所ではないかとj、「落日」を見
てあらためて思いました。

夏の庭 長野市のお客様 リップサービスでもちょっぴり嬉しい。

2017年7月17日(月曜日)

朝方のいっときザーッと降ったが次第に晴れて暑かった一日。

本日は長野市から裏千家茶道の9名様を交え、一日40人のお
客様が見えて樹下美術館としては大忙しの日だった。
長野の方々には、展示物の中に4月にお家元に薄茶を差し上げ
た際に用いた水指と菓子器があり、また展示中の色絵と鉄絵の
テーマとも好評の印象を受けた。
倉石隆の「人生」や「男の像」の面白さも共感して頂けて嬉しかっ
た。

バブルが終焉し不況のまっただ中に開館した小さな樹下美術館
は、その後の美術館や博物館が不調の中、10年を迎えたのは一
種の奇跡、とは過日10周年記念の会に於ける齋藤尚明氏の挨拶
だった。

奇跡はピンとこないが、毎年の年度初めに二人の常設展示作家の
テーマを考え、カフェの食器を更新し、わずかのショップ品をしつら
え、庭造りに勤しんできた10年は全く自己流以外何ものでも無かっ
た。

少しずつお客様を増やしているやに見える当館は展示と相俟って、
四季の庭を眺め、爽やかなヨーロッパ食器でお茶を楽しみ、しばし
和むに手頃な場所として認知されつつあるならば、本当に有り難い
ことだと思う。

その庭も真夏の眺めになってきた。

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手前はミソハギとリアトリス。向こうに二台の赤い車。

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芝生が終わる南の端に昔ながらのヒメヒオウギズイセンが咲き始めた。

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樹木が大きくなりカサブランカに日陰の時間が多くなった。
秋に移植が必要かも知れない(ユリの移植は経験ないのですが、、、)

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長野市のご一行様。
柏崎市の木村茶道美術館のあと当館をお訪ね頂いた。
信じがたいが、長野より新潟のほうが文化が高いと真剣に話した方
がいらっしゃったという。
隣の芝生に類することではないかと思うが、お世辞であっても正直ち
ょっぴり嬉しく張り合いを覚える。

館内ノートの楽しいイラスト 学芸員に欲しい青年 アルネ・ヤコブセン アルベルト・ジャコメッティ。

2017年7月16日(日曜日)

以前にもご紹介しましたが館内のノート、特に丸テーブルのには若い
人たちのイラストが描かれていて楽しい。
本日2点紹介させて頂きました。

1
9才女子のイラスト。
山、猫、雑草、ホコリ、花の冠など独自のキャラクターが描かれ面白い
です。〝ポジティブ〟が共通のキーワードのようですね。

2
↑こちらはもう少しお姉さんでしょうか、倉石作品の「めし」と「さかな」が
気に入った、また来たいと書かれていました。
どれもほのぼのとしていますが、可愛いハンドちゃんは良いアイディアで
すね。

そして本日お父さんとご一緒の若い男性は展示をご覧の後、カフェに
入るや「この椅子はアルネ・ヤコブセンですね」と仰った。
こんな事を話す人は数年にお一人くらいで、嬉しかった。
米国のメトロポリタン美術館をゆっくり観に行ったという美術ファン。
今夏是非行きたいと考えていた国立新美術館の「ジャコメッティ展」も既
に観ていて、お聞きした話から早く観たいと焦った。

当館は金欠美術館ですが、世が世ならこんな青年を学芸員として迎え
てみたい、と思いました。
アルベルト・ジャコメッティは倉石隆が影響を受けた芸術家の一人。
氏は1978年の座談会「幻想とは」で〝ジャコメッティの消えそうな形の
中に大きな宇宙を感じる〟云々と語っています。

3
↑カフェに並んだデンマークのフリッツハンセン社製オリジナルウッドチェ
ア「セブンチェア(ウォールナット)」は1955年アネル・ヤコブセンのデザ
イン。
歴史的な名作椅子は今でも売れ続け、すでに世界で500万脚を売ってい
るという。
一見きゃしゃに見えるが当館カフェで10年経ってもびくともしない。
木の座面ながら2時間、3時間座るお客様がいらしても、一人として固いと
か痛いとおっしゃる人が無く魔法の椅子。

風が吹き抜けるベンチで昼食。

2017年7月14日(金曜日)

連日暑さは続くが馴れることはない。
仕事場や出先、さらに車もエアコンがあるので、それらをつなぐ
短時間の屋外で参っている。
ある意味屋外以外涼しい場所で過ごしているため、そこを離れ
た途端余計に暑さを感じるのだろう。

炎天下の仕事や熱室の作業をする人も大勢いる。
自分のような者が暑い暑いと言うのは気が引けることにちがいな
い。

そんな日の昼食をあえて美術館の屋外ベンチで食べた。

1
仕度をしてくれたスタッフ。

2
今年からメニューになったピザトーストを食べた。
およそ二杯のポットコーヒーセットで900円です。

3
目の前の田んぼを風が渡っていく。
緑の稲が波のように白くひるがえる田は見飽きることがない。
風向きは海風(北風)でパラソルに入っていればそれなりに涼しかった。

本日ご来館の皆様有り難うございました。

昼過ぎのお客様 夕刻の月を邪魔した雲。

2017年7月8日(土曜日)

本日土曜日昼はカフェに来られる方、展示だけご覧になった
方、展示とカフェの方、あるいは庭を回られた方など、一時賑
やかにお訪ね頂いた。

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庭は樹木の濃い緑を背景にテッポウユリとカシワバアジサイ
の白い花が涼しく咲いています。

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夕方のの月は雲に隠れては〝いないないバー〟を繰り返した。
雲は芸達者でよく楽しませてもらうが、月との相性が悪く意地
悪をされているような事もままある。

明日の満月は晴れ晴れと昇ってもらいたい。

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