樹下だより

滋賀県湖西地方に「樹下神社」があった。

2017年7月7日(金曜日)

昨日お客様から少々驚きの絵はがき頂きました。

元サイズ
滋賀県大津市内の神社の写真だですが、よく見ると、

拡大
扁額に「樹下神社」とあります。
呼び名は〝じゅげじんじゃ〟だそうです。

樹下美術館の名も珍しいとして、神社に樹下があるとは驚きです。
滋賀県大津市に四社、湖西地方には他にも幾つかあるそうです。

樹下神社
樹下美術館は天満宮と並んでいる。
Wellcome Japan Wellcome SHIGAKEN のホームページ
より。

もとは比良山系の山体を神体として生まれたらしく、比叡山延暦
寺とも関係が生まれ、同じく信長に焼かれ江戸期に再建され、明
治初期に樹下神社と名が変わったようです。

樹下美術館の樹下は人が憩うところ、心地良い風が吹く所、あるい
は仏陀が座った所などを、開館時にイメージしていました。

少し調べてみましたが樹下神社命名の由来ははっきりしませんで
したが良いイメージが漂います。
奇しくも同じ名の神社を知って心強くし、いつか訪ねたいと思いまし
た。

お葉書を下さった方にとても感謝しています。

層雲の日 熊本県のスイカ。

2017年7月4日(火曜日)

本日日中雨雲に被われたもののひどい降りはまぬがれた。
頸城平野を南から西へと囲む山々に低い雲が連なっていた。

雲は白く、含んでいた雨を降らせ終えてほっとした表情を感じた。

層雲
高田の西方、南葉山一帯に低く白い層雲。現地では霧がかかっている
と思われる。左方遠くに妙高山が薄く見える(美術館近くで)。

畑にとって雨は一端恵みとなったが、今回豪雨を交えて降り続いたため、
大きなダメージとなった。
果樹園の方は長雨や日照りは年中行事の一つだが、雨のため必要な
作業が遅れることが痛いと仰った。

週間予報では金曜日から週末にかけて少々の晴れ間が見られるようだ。

昨年来、熊本で被災された先生とやりとりさせて頂いていたところ、この
度上越地方の豪雨を心配してスイカとメロンが送られてきた。

IMG_9892
熊本産というだけで特別美味しく感じられた小玉スイカ。

一息ついている夏の庭。

2017年7月2日(日曜日)

昨日の豪雨は上がり、薄曇り時に陽が射した日の日曜日、あたりに
ほっとした空気が漂っていた。

1
あまり降られると部分的にガラスのように透けてしまうテッポウユリ。
無事で良かったね、と喜ぶ風だった。

2
4月に近くのホームセンターで求めたクレマチスが二つ花をつけている。
良い色の花は大きからず、とても気に入っている。伸びてきた時の棚作
りを楽しみにしたい。

3
巣立ったばかりと思われる雀のヒナは恐らく今年の二番子。
三羽のヒナに餌を運んでいた親鳥は、この夏もう一度産卵、子育て
をする可能性がある。
1回に3羽を成鳥に導くとして、3回で9翅、それだけでも大変だが、
この先豪雨と酷暑が待っているので最も過酷な子育てになる。
真夏の鳥たちはしばしば口を開けて呼吸をするが、それ以外は淡々
としているように見えるので凄いなあと感心させられる。

その昔、猫に追い詰められていたヒナや胸が裂けているヒナを保護
して育てたことがあった。
大概上手くいったが、だめだったこともあった。
表情を表さない鳥たちだが、亡くなったヒナの最後は苦しそうに首を
振りながら懸命に立ち上がろうとし、またうずくまるのを繰り返した。
なきがらは折り紙のように軽く痛ましかったが、閉じた目に安息が見
られた。
以来雀にはほかと違った思い入れを覚えるようになっている。

4
トクサにムギワラトンボが数匹止まっていた。
とても初々しく感じられた。

本日都議選があった。
おごれる者は久しからずは方程式のようだ。
栄枯盛衰はこの先も繰り返されるような気がする。

梅雨の窓にアマガエル。

2017年6月30日(金曜日)

カラ梅雨と言って葉書を出していたところ、本日はよく降り梅雨本番
の空となった。

昼のカフェのお客様が窓枠でじっとしているカエルを見つけた。

窓辺
梅雨の窓辺にアマガエル(正式にはニホンアマガエルと呼ぶらしい)。

アマガエル
拡大したカエル。見える部分の体長はわずか1,5㎝ほど。
ミニチュアのオモチャのようで可愛い。

アマガエルは繁殖期に水田へ行くが、それ以外は近辺で生活し、水
中では過ごさない。
また、耕作中の水田周囲で生活するものの、放置されて荒れた田に
は寄りつかないらしい。
人の気配とともに過ごす点で雀に似ている。
樹下美術館は耕作されている水田に隣接しているのでとてもよく見
かける。

今夕樹下美術館10周年の集い。

2017年6月25日(日曜日)

去る6月10日、樹下美術館は満10年を迎えていました。
樹下美術館には特別な日は似合わない、と日頃考えて
いましたが、皆様の後押しもあり本日10周年の集いを行
いました。

弦楽四重奏
若い親族に東京音楽大学の学生がいますので、会の最
初と最後にお仲間で弦楽四重奏の演奏をして頂きました。
初夏の夕べ、館内いっぱいに若々しく爽やかなアンサンブ
ルの調べが広がりました。

参会者様から心温まるお話をお聞きし感謝に堪えません
でした。
恥ずかしながら以下に小生の挨拶の要旨を掲載させて頂
きます。

ご挨拶
10年という歩みはあっという間でしたが、顧みますと何の
保証もないまま小さな舟で無謀にも未知の荒海へとこぎ出
したというのが実状でした。
しかし荒波にもまれるうち、いつしか何か貴重な潮流に乗っ
ていて、気がつけばすでに帰れなくなっていたというイメー
ジが浮かびます。
潮流は費用も労力もまま掛かりましたが、幸いにもそこに
は思ってもみなかった「張り合い」という風が吹いていまし
た。
幸運な潮流と風は以下のような事実の集まりではなかった
かと振り返られます。
倉石隆と齋藤三郎という親しみ易く貴重な作家に恵まれ
たこと。
設計家大橋秀三さんと久保田建築さんによって楽しく品
の良い建物に恵まれたこと。
樹下美術館を愛して下さる皆様の暖かな励ましのお力。
地域の文化のために日夜心砕かれている方々がいらっし
ゃるという心強い事実。
陰に日向に樹下美術館を心配して下さる心の友の存在。
最後に今日まで懸命に樹下美術館を支えてくれた美術館
と診療所スタッフの努力を挙げなければなりません。

ささやかな施設ですが、庭やカフェとの相性の良さと相俟って
昨今はわずかずつお客様が増えているやに聞いております。
また長く念願でした齋藤三郎と倉石隆の収蔵図録がそれぞれ
間もく刊行の運びと相なりました。
今後願わくば貴重な潮流から外れて漂流などすることなくしっ
かり帆を張り末長く航海を続けて参りたい所存です。
どうか今後も樹下美術館のことを宜しくお願い申し上げます。
平成29年6月25日 樹下美術館館長

弦楽カルテット演奏曲目
・モーツアルト:ディヴェルティメントK136より
・ドヴォルザーク:アメリカより
・モーツアルト:アイネクライネナハトムジーク
・ピアソラ:リベルタンゴ
・小山作之助 後藤丹編曲:夏は来ぬ

一首 俵万智さんから少しお借りしました。
〝一人でもここがいいねと言う人が訪ねたその日は樹下の記念日〟

 

男の像を気に入られたお客様 新潟市と村上市からのお客様 「紅」とテッポウユリ。

2017年6月24日(土曜日)

本日うすぐもりの土曜日、やや蒸し暑さを感じる一日だった。

このところ初めて当館をお訪ねになる方が多く、熱心に展示を
ご覧頂いている。
本日の親子さんは倉石隆の「男の像」をとても面白い、た顔が、
特に目が気に入ったと喜ばれたとお聞きした。

E
↑大きな身体に小さな頭部、顔と手に落ち着かない表情が見ら
れます。

IMG_9949
↑その顔の拡大。何かを我慢している目は尋常ではなく、フラ
ストレーションで身体が膨らんでしまったのかもしれません。
ある時代の倉石隆氏の自画像と考えられます。

IMG_9936
↑午後新潟市と村上市からのお客様は樹下美術館オリジナル
のシーグラスのチョーカーをお求めになりました。濃いブルーと
薄黄色のものだったということですが、それぞれ2000円と1200
円でのお買い求めだったということ、「誠に有り難うございました」

IMG_9958
↑ついに真紅になった「紅」アジサイ。その向こうにテッポウユリ
が咲き始めました。

当館は新潟市から110キロ、村上市から140キロはあるので
はないでしょうか。
遠くからお訪ね頂いたのは、過日発行の新潟日報夕刊「Otona
プラス」をご覧になったからとお聞きしました。
あらためて新聞の影響の大きさに驚いています。

一日2回お見えになったお客様 カシワバアジサイ こだわりない樹下美術館。

2017年6月19日(月曜日)

低温の日が続いていたが本日は暑さが戻った。
それでも朝晩は気温が下がり着たり脱いだり忙しい日だった。

本日はとても熱心なお客様がお見えになり、午前はお友達に案内
され、気に入ったと仰ると午後にはご主人をお連れして再度来館さ
れたという事でした(お家は40キロも遠い所のようでしたが)。

日を変えてこのようなことが時々ある樹下美術館ですが、同日に二
回もいらっしゃったのは初めてかもしれません。

さて庭ではカシワバアジサイが女王のように目立ってきました。
この花は開館以前からあったものを株分けをして増やしました。

1
↑庭の入り口から見たもとからあるカシワバアジサイ。

2
手前は増やして5年ほど経ったもの。
右奥に親の木が見えています。

さて当館は開館して10年が経ちましたが、次第に不思議な場所だと思
うようになりました。

手作りの庭、カフェ、ヨーロッパアンティークの食器にデンマーク家具。
メインにはちがいありませんが、もしかしたら建物と展示物さえ樹下美術
館という場所の要素の一つかもしれないという考えがよぎるのです。

和み楽しむ場所に難しい定義などは必要無いのかもしれません。
どうか今後もこだわりなくお気軽にお過ごし下さい、
(初めての方達には熱心に展示もご覧頂いています。展示だけご覧に
なる方の入館料は200円です。)

ユキツバキが描かれていた辰砂(しんしゃ)の壺 岩の原葡萄園の深雪花。

2017年6月16日(金曜日)

過日新たに齋藤三郎作品が樹下美術館にやって来た。

地に銅を含む辰砂釉を用い、大きな窓を開け、中に地色
で花を、枝葉を呉須(藍色の顔料)で描いた壺。
派手な赤や緑が控えられ、渋めのあずき色と言えばいい
のか辰砂(しんしゃ)が醸し出す壺は伸びやかな形と相俟
って落ち着いた魅力を湛えていた。

1
辰砂窓絵椿文壺。 16,6×18,0(幅×高さ)㎝

居あわせた者で描かれた花の話になった。
これまで見ていた椿とちがい花びらは十分に開きかつ
乱れが見られ、花芯が短い。
枝も従来と異なり軟らかくたわんでいる。

2

野イバラやチューリップまで斬新な絵付けをした陶齋と
はいえ、花弁の数や芯が違うのでアメリカハナミズキで
はないでしょう、などとも語られた。

意識的に従来と異なる椿を描いているのは間違い無く、
結局「ユキツバキ」ではないかということで落ち着いた。
ユキツバキなら花びらが不揃いに広く開き、花芯はば
らついて短い。
花の不均衡さなどある種の逸脱感が茶人に喜ばれ、茶
室によく飾られる。
枝が細めで軟らいのは雪に耐えるため身につけたもの
らしい。

3
多く見られる陶齋の椿の一例、バランス良い花びらや枝
のゴツゴツ感など上掲の花とは異なる。

所で我が上越市に名門岩の原葡萄園があり、同園で長
く愛されているワインに「深雪花」がある。

128
「深雪花」のロゼ、白、赤。ラベルの椿図は陶齋の色紙
から取っている。
椿の花びらが不揃いで枝が細くしなやかに描かれて
いている。
「深雪花」はまさにユキツバキを描いたものであろう。

新潟県の花「ユキツバキ」。
この度の辰砂の壺からあらためて陶齋の観察眼と描写
力に敬服させられた。

花はマイペース ガクアジサイ、ヤマアジサイ。 

2017年6月14日(水曜日)

日中かなりの暑さになったが朝夕はさわやかだった一日。

梅雨なのか未だなのかよく分からないうちに、いつしか6
月も半ばになった。
人がお天気を云々する間にアジサイたちは自分たちのペ
ースで色を変えあるいは強めている。

1
見頃になった「クレナイ」。
少しずつ足してあちこち5株くらいになりました。

2
少しトリミングしました。まだまだ赤くなっていきます。

3
クレナイと競うように咲いている青いアジサイは藍姫らし
い。
ヤマアジサイは産地によって色々な名が付いている。
買った時には名札があったのだろうが、それも見失い、た
だ育てているだけなので、大抵名を忘れている。
名は忘れても可愛がっていればいい、と思うのだが当人た
ちはどう感じているのだろう。
ただし、このアジサイの名は?と希にお客様に訊かれるこ
とがあるのでうろたえてしまう。

さて上記のアジサイはいずれもヤマアジザイの種類で、こ
れまで古い覚えのままガクアジサイと記していましたので訂
正させてください。

ガクアジサイは木、葉、花ともヤマアジサイより大型で、葉
には光沢あるということです。
樹下美術館の北側の庭に数本あるものが相当すると思わ
れます。
花期もヤマアジサイより半月~一ヶ月近く遅れるということ
ですが、その通りの順序で咲きますので、こちらがガクアジ
サイなのでしょう。

アジサイは土壌のPHで色が決まる(変わる)といわれます
が、ヤマアジサイにはそのような性質が無いという事、当庭
でも青、赤いずれも毎年同じ色で咲いています。

芝生がきれいになってきた 月は長いカウンセラー。

2017年6月6日(火曜日)

美術館の館長なのに連日庭いじりのことばかりで、恐縮を禁じ
得ない。
その庭で一昨日は男性スタッフに芝刈りをして貰った。
建物の周囲400㎡ほどある芝生は、随所に円形の抜けや、
白っぽいまだらを生じ、時間を見つけて手当を繰り返してきた。

一回目なので軽めに刈って頂いた。
昨年は最初から強めにお願いして失敗した反省がある。
こざっぱりと刈られ、弱りの見えていた場所も青々として気持ち
良い眺めになった。

IMG_7431

刈ってみると今後の手当が必要な場所がよく分かるので、仕事
後夕食まで肥料入りの土(とても便利)をくべて撒水した。

終えてふり仰ぐと、間もなく満月となる月が東の空に昇ってい
る。
今日は飛行機雲が賑やかだったので、午後からずっと彼らと
ちょっとしたインスタレーションの構成で忙しかったようだ。

IMG_7808
変化する何本もの飛行機雲に囲まれている。

さて月には色々と仕事があり、中でも地上の悩みや不満や
願い事、あるいは呟きなどを聴くのが重要な役目になってい
る。
三日月の頃は「ああそうなのね」と小声でうなづき、
半月の頃は「うん分かる、分かる」と相づちを打ち、
満月の頃は「本当!大変だったんだ」と心こめてねぎらう。

月はその昔らか聴き上手なカウンセラーだったにちがいな
い。
お天気や月齢によって気まぐれな所もあるが、無料なので
問題なく続けてこられたのだろう。

2025年9月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

▲ このページのTOPへ